きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2017年予算概算要求の焦点⑦ 文教 教員増も35人学級進まず

2016-09-27 19:24:41 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年予算概算要求の焦点⑦ 文教 教員増も35人学級進まず

2017年度予算の文部科学関係概算要求額は、16年度予算比9・5%増の5兆8266億円。文教予算は7・6%増の4兆3638億円です。
公立小中学校の教職員定数については、10年間で子どもの自然減に伴う減少分4万5400人に対し、教職員の2万9760人増を求める中期見通しを策定。初年度となる17年度は自然減3100人に対し3060人の増を求めています。
発達障害児への「通級による指導」や外国人児童の教育にあたる教職員については、義務標準法を改正して基礎定数化を掲げる一方、35人学級など少人数学級の推進にはなっていません。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付ける「道徳の教科化」の18年度実施を狙い、保護者全員に配布するパンフレットや小学校教科書の無償給与などに前年比13億円増の28億円を計上しました。
競争主義に拍車をかける全国学力テストは国語、算数・数学に加え、中学英語の予備調査のため7億円増の60億円を計上。




大学間競争強化
大学入試制度を見直す「高大接続改革」では、センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テストの準備に向け、11億円を計上しました。
国立大運営費交付金は、425億円増の1兆1371億円としています。基盤的経費である運営費交付金を再配分し大学問競争を促す「国立大学法人機能強化促進補助金」(60億円)を創設するなど3類型化(①地域のニーズに応える②分野乙との教育研究拠点③世界トップ大学)に向けた重点支援に145億円増の453億円を要求。人文学部の来年度入学定員が1055人の削減となるなど、人文学部等の組織再編を促すものとなっています。
私大の経常費補助3278億円には、産業界との連携に取り組む大学への支援229億円などを盛り込んでいます。私立高校の経常費補助は35億円増の1059億円で、うち144億円はグローバル人材育成など特別補助です。
新たに私立中学の授業料負担軽減のため13億円を計上しました。幼児教育の無償化も予算編成で検討するとしています。



奨学金制度の改善、給付型奨学金の実現などをめざして開かれた院内集会=3月、参院議員会館

世論受け給付型
大学奨学金は、153億円増の1033億円を計上。無利子奨学金は、基準を満たす希望者全員への貸与を目指し、約2万4千人増やすとしています。
返済不要の給付型奨学金は、世論と運動に押されて導入するとしていますが、対象者や給付額などについては予算編成過程で検討するとしています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月22日付掲載


義務教育の35人学級を支える教員増。でも実態は、増員数と自然減でトントン。これではダメです。

2017年度 予算概算要求の焦点⑥ 社会保障 改悪先取り 負担増・給付減

2016-09-27 19:04:19 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度 予算概算要求の焦点⑥ 社会保障 改悪先取り 負担増・給付減

厚生労働省の2017年度概算要求は、一般会計の総額で31兆1217億円(16年度比8108億円増)です。通常1兆円~8000億円である社会保障の自然増(高齢化などに伴う増)分は、6400億円(前年比200億円減)に絞り込み、年末の予算編成で5000億円程度へ抑え込むことを狙っています。自然増を16年度からの3年間で1・5兆円に抑える安倍政権の方針に基づくものです。


「憲法25条を守れ」「社会保障の拡充を」と声をあげる憲法25条を守る共同集会の参加者たち=5月、東京・日比谷野外音楽堂

事項要求どまり
低年金者への給付金など消費税10%増税分を充てるとしていた「社会保障の拡充」は、増税先送りを口実に、予算編成過程で検討する事項要求にとどまっています。
介護では、要支援者の訪問・通所介護を保険給付から外し、市町村に丸投げする「総合事業」への移行が最終年度となり、サービス切り捨てや負担増が懸念されます。さらに厚労省は、要介護1・2についても保険給付外しを来年の通常国会に提案することを狙っています。急がれる介護人材の処遇改善は、「月額平均1万円相当の改善」を予算編成で検討するとしていますが、他産業より月額賃金が約10万円も低い処遇の改善には程遠いものです。
医療では、916万人が受ける75歳以上の保険料負担の特例軽減を段階的に廃止し、2~10倍もの負担増を強います。具体的中身は予算編成で決めるとしています。住民や自治体が強く求める子どもの医療費無料化も「検討し、年末までに結論を得る」と先送りしています。




年金は実質削減
年金は、1%の物価上昇にもかかわらず、賃金上昇が0%だとして改定せず実質削減です。また年金積立金の株式運用拡大で10兆円の赤字を出す失態を犯しています。年金を物価・賃金の上昇以下に抑える「マクロ経済スライド」は2年連続で発動されませんが、見送った分を後でまとめて実施できる改悪法案を国会に提出中です。年金受給資格期間の短縮(25年から10年へ)を行いますが、年金給付の底上げは棚上げにされ、消費税増税による負担増が狙われています。
保育は、4・6万人分の受け皿を整備するとしています。17年度は「待機児童解消加速化プラン」の最終年ですが、“隠れ待機児童”が待機児童の3倍にものぼり、行き詰まりは明りょうです。
今年から新たに導入した企業主導型保育は、521億円増の1318億円(内閣府計上)にのぼります。保育基準の緩い認可外施設に、認可保育所並みの補助金を注入し、強力に推進する構えです。
保育士や学童保育指導員の処遇改善は事項要求。保育士は2%相当(月額6000円)の引き上げを掲げていますが、全産業平均より約10万円低いため、処遇改善には遠く及びません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月21日付掲載


毎年1兆円から8000億円ある社会保障費の自然増を、6400億円に絞り込むなど冷たい政策。
それが、75歳以上の医療費負担を1割から2割に段階的に引き上げるなどに現れます。許されません。