2017年予算概算要求の焦点⑦ 文教 教員増も35人学級進まず
2017年度予算の文部科学関係概算要求額は、16年度予算比9・5%増の5兆8266億円。文教予算は7・6%増の4兆3638億円です。
公立小中学校の教職員定数については、10年間で子どもの自然減に伴う減少分4万5400人に対し、教職員の2万9760人増を求める中期見通しを策定。初年度となる17年度は自然減3100人に対し3060人の増を求めています。
発達障害児への「通級による指導」や外国人児童の教育にあたる教職員については、義務標準法を改正して基礎定数化を掲げる一方、35人学級など少人数学級の推進にはなっていません。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付ける「道徳の教科化」の18年度実施を狙い、保護者全員に配布するパンフレットや小学校教科書の無償給与などに前年比13億円増の28億円を計上しました。
競争主義に拍車をかける全国学力テストは国語、算数・数学に加え、中学英語の予備調査のため7億円増の60億円を計上。

大学間競争強化
大学入試制度を見直す「高大接続改革」では、センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テストの準備に向け、11億円を計上しました。
国立大運営費交付金は、425億円増の1兆1371億円としています。基盤的経費である運営費交付金を再配分し大学問競争を促す「国立大学法人機能強化促進補助金」(60億円)を創設するなど3類型化(①地域のニーズに応える②分野乙との教育研究拠点③世界トップ大学)に向けた重点支援に145億円増の453億円を要求。人文学部の来年度入学定員が1055人の削減となるなど、人文学部等の組織再編を促すものとなっています。
私大の経常費補助3278億円には、産業界との連携に取り組む大学への支援229億円などを盛り込んでいます。私立高校の経常費補助は35億円増の1059億円で、うち144億円はグローバル人材育成など特別補助です。
新たに私立中学の授業料負担軽減のため13億円を計上しました。幼児教育の無償化も予算編成で検討するとしています。

奨学金制度の改善、給付型奨学金の実現などをめざして開かれた院内集会=3月、参院議員会館
世論受け給付型
大学奨学金は、153億円増の1033億円を計上。無利子奨学金は、基準を満たす希望者全員への貸与を目指し、約2万4千人増やすとしています。
返済不要の給付型奨学金は、世論と運動に押されて導入するとしていますが、対象者や給付額などについては予算編成過程で検討するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月22日付掲載
義務教育の35人学級を支える教員増。でも実態は、増員数と自然減でトントン。これではダメです。
2017年度予算の文部科学関係概算要求額は、16年度予算比9・5%増の5兆8266億円。文教予算は7・6%増の4兆3638億円です。
公立小中学校の教職員定数については、10年間で子どもの自然減に伴う減少分4万5400人に対し、教職員の2万9760人増を求める中期見通しを策定。初年度となる17年度は自然減3100人に対し3060人の増を求めています。
発達障害児への「通級による指導」や外国人児童の教育にあたる教職員については、義務標準法を改正して基礎定数化を掲げる一方、35人学級など少人数学級の推進にはなっていません。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付ける「道徳の教科化」の18年度実施を狙い、保護者全員に配布するパンフレットや小学校教科書の無償給与などに前年比13億円増の28億円を計上しました。
競争主義に拍車をかける全国学力テストは国語、算数・数学に加え、中学英語の予備調査のため7億円増の60億円を計上。

大学間競争強化
大学入試制度を見直す「高大接続改革」では、センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テストの準備に向け、11億円を計上しました。
国立大運営費交付金は、425億円増の1兆1371億円としています。基盤的経費である運営費交付金を再配分し大学問競争を促す「国立大学法人機能強化促進補助金」(60億円)を創設するなど3類型化(①地域のニーズに応える②分野乙との教育研究拠点③世界トップ大学)に向けた重点支援に145億円増の453億円を要求。人文学部の来年度入学定員が1055人の削減となるなど、人文学部等の組織再編を促すものとなっています。
私大の経常費補助3278億円には、産業界との連携に取り組む大学への支援229億円などを盛り込んでいます。私立高校の経常費補助は35億円増の1059億円で、うち144億円はグローバル人材育成など特別補助です。
新たに私立中学の授業料負担軽減のため13億円を計上しました。幼児教育の無償化も予算編成で検討するとしています。

奨学金制度の改善、給付型奨学金の実現などをめざして開かれた院内集会=3月、参院議員会館
世論受け給付型
大学奨学金は、153億円増の1033億円を計上。無利子奨学金は、基準を満たす希望者全員への貸与を目指し、約2万4千人増やすとしています。
返済不要の給付型奨学金は、世論と運動に押されて導入するとしていますが、対象者や給付額などについては予算編成過程で検討するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月22日付掲載
義務教育の35人学級を支える教員増。でも実態は、増員数と自然減でトントン。これではダメです。