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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

仮想通貨 金融化の申し子① 過剰蓄積の必然的帰結

2018-03-14 23:05:41 | 経済・産業・中小企業対策など
仮想通貨 金融化の申し子① 過剰蓄積の必然的帰結
中央大学名誉教授 高田太久吉さん

インターネットの不正接続によって、仮想通貨交換業者が顧客の仮想通貨を大量に流出させた事件が幅広い関心を呼んでいます。仮想通貨について、中央大学名誉教授の高田太久吉(たくよし)さんに聞きました。

仮想通貨は、「経済の金融化」(以下、金融化)の必然的な帰結といえます。

実体経済と乖離
金融化は、株式、債券、投資信託、仕組み証券、デリバティブ(金融派生商品)、その他の架空資本(注1)が売買される証券市場が膨張し、企業、家計、政府の経済活動が証券市場の動向に依存するようになる現代資本主義の傾向を意味しています。
金融化の背景には、実体経済の成長から遊離した、過剰な貨幣資本の蓄積があります。過剰な貨幣資本は、富裕層と機関投資家が利殖目的で運用する資本です。これらの多くは新たな投資や雇用、要するに生産拡大には向かわず、架空資本市場での金融・投機活動に充てられます。したがって、金融化は雇用の削減・不安定化、賃金・労働分配率の低下、経済成長率の低下を促します。
金融化のもとで、一方における実体経済の停滞と、他方における貨幣資本の過剰蓄積が、限度を超えて乖離(かいり)すると、バブルが膨張し、その崩壊によって金融危機が発生します。2007~10年の世界金融恐慌はその歴史的な事例です。



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新種の架空資本
07~10年の恐慌後の政府・金融当局の対応は、恐慌の根っこを除去せず、大手金融機関の救済と集中の促進によって、次の恐慌の条件を温存しました。しかし、すでに世界の国内総生産(GDP)の3倍以上に積み上がった貨幣資本にとって、株式、社債などの伝統的な架空資本だけでは、出口の見えない超低金利のもとで、期待する利回りを上げ続けることはできません。さらに、これらに代わって登場した仕組み証券やデリバティブが提供する投資機会にも限度があることが、07~10年の恐慌で明らかになりました。
その結果、従来の架空資本とは別の、純粋に投機的な架空資本に対する需要が、金融機関と投資家の双方から高まりました。ビットコインをはじめとする暗号技術を使った仮想通貨は、そうした需要に応える形でサイバー空間(注2)につくられた新種の架空資本です。貨幣資本の過剰蓄積が継続する限り、投機資本がサイバー空間に侵入することは必然的でした。仮想通貨の代表であるビットコインが09年に登場したこと、仮想通貨の交換業者の背後には大手金融機関が隠れている事実は、この間の消息を物語っています。
ただし、サイバー空間に投機市場を創造するためには、最新の暗号技術と結びついたコンピューター技術の発展が必要でした。いわゆる「ブロックチェーン」(注3)と呼ばれるアイデアの応用が、これを可能にしたわけです。

(注1)定期的に一定額の所得を受け取る権利を、あたかも資本であるかのように想定した架空の資本。例えば、株式、社債、国債などの有価証券や、信託受益証券など。
(注2)コンピューターやネットワークの中に広がるデータ領域で、多数の利用者が自由に情報を発信したり、情報を得たりすることができる仮想的な空間。
(注3)仮想通貨に使われている技術。取引履歴の集合体(ブロック)を暗号技術で鎖(チェーン)のようにつなげ、取引台帳としたもの。

(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年3月13日付掲載


従来の架空資本(投資信託や金融派生商品など)は、その裏付けに実体経済があったけど、ビットコインのような仮想通貨は完全に実体経済から遊離したもの。
完全に投機対象です。
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