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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から① 禁止条約発効へ展望

2018-11-26 21:29:45 | 平和・憲法・歴史問題について
核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から① 禁止条約発効へ展望
第73回国連総会の第1委員会(軍縮・安全保障)は1日、一連の核軍縮に関する決議案を採択しました。これらは12月初旬の総会で採択にふされます。第1委員会の議論は、核兵器廃絶をめぐる今日の焦点とともに、今後の課題もうきぼりにしました。4回にわたって、くわしく見ていきます。

今年も多くの国が核兵器禁止条約を支持、歓迎する発言をおこないました。「歴史的」(南アフリカ)、「画期的」(東南アジア諸国連合)、「大きな進歩」(アフリカ・グループ)、「核軍縮の行き詰まりを打破するもの」(カリブ海・グループ)など、高い評価があいつぎました。NGOの調べによると、こうした発言をした国は50力国近くにのぼりました。



軍縮問題をめぐり一般討論をする国連総会第1委員会=10月8日、ニューヨークの国連本部(池田晋撮影)

批准向け進む準備
「被害者支援」など条約の「積極的義務」の意義を強調したり(トリニダード・トバゴ)、核兵器の女性への影響を明記した重要性について述べたり(アイルランド)、条約の内容を深める発言もありました。禁止条約は、国際政治のなかに定着しつつあります。
核兵器禁止条約の署名国は現在69、批准は19力国で、発効には50力国の批准が必要です。
今回初めて、53カ国が共同で(議案に明記された数)、署名・批准を訴える決議「核兵器禁止条約」を122カ国の賛成(反対41、棄権16)で採択されました。また、20近い国が批准の準備をすすめていることを発言のなかで述べました。近い将来の条約発効が見通せる情勢となっています。実現すれば、核保有国へのいっそう大きな政治的、道義的圧力となるでしょう。
この状況を生みだした力が、世界の平和運動と諸国政府の共同です。討論でも、多くの国が市民社会の役割を評価しました。被爆者の役割を強調した発言(エルサルバドル)もあり、市民との共同が生き生きと発展していることが示されました。
第1委員会では、非同盟運動が提起した、核兵器廃絶の行程を含む包括的核兵器条約の交渉開始を求める決議「核軍備撤廃に関する2013年国連総会ハイレベル会合のフォローアップ」(賛成143、反対27、棄権14)、核不拡散条約(NPT)再検討会議での核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を求めた「新アジェンダ」連合の決議「核兵器のない世界へ:核軍備撤廃の約束履行の促進」(賛成134、反対31、棄権18)なども採択され、「核兵器のない世界」への流れがゆるぎないものであることが示されました。



核兵器廃絶を求める署名に応じる人たち=11月6日、東京・新宿駅前

近代化に強い批判
一方、核大国が、禁止条約の批准をさせないよう、非核保有国に圧力をかけていることも見過ごせません。こうした逆流とたたかうことが前進にとって不可欠です。
さらに米ロなどが、核戦力の維持・強化にむけた動きを強めていることも重大です。
トランプ政権は今年2月、核兵器使用の「敷居」をひきさげ、「低威力」の核兵器開発をめざす核戦略(「核態勢見直し」=NPR=)を発表しました。ロシアも核戦力の増強を計画するなど対抗姿勢を示しています。
それだけに討論でも、「核兵器近代化の新しいサイクルに入った」(オーストリア)などの懸念とともに、「非核保有国への核攻撃を想定している」(ベネズエラ)、「力の誇示だ」(リトアニア)といった強い批判が表明されました。「核戦力から国連『持続可能な開発目標』に予算を振り向けるべきだ」(バチカン教皇庁)など、軍事費の増大にも警鐘がならされました。
朝鮮半島をめぐる南北、米朝の合意には、各国から歓迎が表明されました。一方、多くの国が、トランプ政権が離脱したイラン核合意(包括的共同行動計画)の順守を求めました。1995年の合意以来アメリカ、イスラエルなどの反対で実現していない中東非核地帯の問題では、現状打開のためにアラブ諸国が共同で、条約の交渉開始を求める決議を新たに提出し、多くの国が支持しました。
非核・平和の世界的な流れのなかで、大国とその同盟国が孤立を深める構図がますます鮮明となりつつあります。(つづく)(川田忠明・党平和運動局長)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月20日付掲載


昨年7月に国連で核兵器禁止条約が採択されたとき、すぐにでも各国で署名と批准が行われると思っていましたが、すぐには署名・批准とはならず。
しかし、展望がないわけではありません。今年改めて、「署名・批准を求める決議」が同数の122の国で採択。
日本でもヒバクシャ国際署名が進められていますが、各国の世論喚起が、各国の政府・議会を動かし、署名・批准に結び付く。