消費税ABC⑤ 社会保障支える道はある
消費税増税反対で対話をすると「社会保障財源をどうするのか」と聞かれることがあります。しかし、消費税は社会保障の拡充に使われてきませんでした。むしろ、消費税を増税する一方で、社会保障は削減を繰り返してきたのが現実です。
安倍晋三政権が2013年以降の約6年間に削減した社会保障費は少なくとも3・9兆円にのぼります。高齢化の進展や医療の高度化で当然に増える社会保障費の自然増分を毎年の予算編成過程で大幅に削減しました。さらに生活保護や年金、医療、介護の制度改悪を次々に行い、社会保障費を圧縮してきました。
生活保護では、食費や光熱費などに充てられる生活扶助費を13~15年度に1600億円も減額。18年度以降の3年間でも210億円も減らそうとしています。年金支給額も合計3・5%切り下げ、1兆7500億円もの給付額を削減しました。医療給付や介護給付も削減しています。
「消費税10%中止」を訴えてデモ行進する人たち=9月9日、大阪市の御堂筋
増税分はどこに
安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税増税で国民には約8兆円の負担が増えました。来年10月に強行を狙う10%への消費税増税は国民に5兆円の負担増をもたらします。これらのお金はどこに消えてしまったのでしょうか。
一つは大企業減税です。東日本大震災復興の財源として、所得税、法人税に課せられてきた復興特別税は、14年に法人税分だけが廃止されました。企業が負担する法人実効税率(国税と地方税を合わせた税率)は安倍政権発足時の37%から段階的に引き下げられ、29・74%になっています。加えて、もっぱら大企業が利用する研究開発減税などを拡充しています。安倍政権下ですすめられた大企業減税は4兆円にのぼります。
もう一つは税金の使い方の問題です。とりわけ軍事費は19年度の概算要求額で実質的に5・5兆円にまで膨れ上がっています。ステルス戦闘機F35、オスプレイ、新型空中給油機、無人偵察機、長距離巡航ミサイルなど、海外派兵のための武器購入までおこなっています。安倍首相は日米首脳会談のたびに、アメリカ製の高額兵器の購入を約束しています。
主婦連合会は3日に発表した声明で軍事費などについて「大幅な見直しがはかられるべきです」とし、「消費税率アップに断固反対」と表明しています。
日本共産党の財源提案
改革で財源確保
税金の集め方と使い方の見直しで社会保障の財源をつくることができます。税金の集め方の原則は応能負担です。
4兆円もの減税を受けてきた大企業はこの5年間で純利益を19兆円から45兆円へと2・3倍に膨張させました。保有株式1000億円以上(時価総額)の超大株主が持つ株式の時価総額は、安倍政権の5年9カ月で3・5兆円から17・6兆円へと5倍に膨れ上がりました。
こうした大企業・富裕層に応分の負担をさせることで税収を増やすことができます。日本共産党は、大企業への優遇税制の見直し、富裕層への証券課税の強化など税の集め方の見直しに加えて、歳出の見直しなどで当面は合計17兆円、将来的には23兆円の確保が可能だと提案しています。
(おわり)(清水渡が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月10日付掲載
大企業の優遇税制を見直すだけでなく、所得税・住民税の最高税率を元に戻したり、厚生年金・健康保険の掛け金の上限を引き上げたりすることで、社会保障の財源を確保。
「負担できるところに負担してもらう」というのが共産党の考え方。
消費税増税反対で対話をすると「社会保障財源をどうするのか」と聞かれることがあります。しかし、消費税は社会保障の拡充に使われてきませんでした。むしろ、消費税を増税する一方で、社会保障は削減を繰り返してきたのが現実です。
安倍晋三政権が2013年以降の約6年間に削減した社会保障費は少なくとも3・9兆円にのぼります。高齢化の進展や医療の高度化で当然に増える社会保障費の自然増分を毎年の予算編成過程で大幅に削減しました。さらに生活保護や年金、医療、介護の制度改悪を次々に行い、社会保障費を圧縮してきました。
生活保護では、食費や光熱費などに充てられる生活扶助費を13~15年度に1600億円も減額。18年度以降の3年間でも210億円も減らそうとしています。年金支給額も合計3・5%切り下げ、1兆7500億円もの給付額を削減しました。医療給付や介護給付も削減しています。
「消費税10%中止」を訴えてデモ行進する人たち=9月9日、大阪市の御堂筋
増税分はどこに
安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税増税で国民には約8兆円の負担が増えました。来年10月に強行を狙う10%への消費税増税は国民に5兆円の負担増をもたらします。これらのお金はどこに消えてしまったのでしょうか。
一つは大企業減税です。東日本大震災復興の財源として、所得税、法人税に課せられてきた復興特別税は、14年に法人税分だけが廃止されました。企業が負担する法人実効税率(国税と地方税を合わせた税率)は安倍政権発足時の37%から段階的に引き下げられ、29・74%になっています。加えて、もっぱら大企業が利用する研究開発減税などを拡充しています。安倍政権下ですすめられた大企業減税は4兆円にのぼります。
もう一つは税金の使い方の問題です。とりわけ軍事費は19年度の概算要求額で実質的に5・5兆円にまで膨れ上がっています。ステルス戦闘機F35、オスプレイ、新型空中給油機、無人偵察機、長距離巡航ミサイルなど、海外派兵のための武器購入までおこなっています。安倍首相は日米首脳会談のたびに、アメリカ製の高額兵器の購入を約束しています。
主婦連合会は3日に発表した声明で軍事費などについて「大幅な見直しがはかられるべきです」とし、「消費税率アップに断固反対」と表明しています。
日本共産党の財源提案
大企業優遇税制(研究開発減税などの見直し) | 4.0兆円 |
法人税率を安倍政権前の水準に戻す(中小企業を除く) | 2.0兆円 |
株式配当の総合課税など富裕層への証券税制の強化 | 1.2兆円 |
所得税・住民税の最高税率をもとに戻すなど | 1.9兆円 |
富裕税の創設、相続税の最高税率をもとに戻す | 1.1兆円 |
厚生年金・健康保険などの上限引き上げ | 2.2兆円 |
為替取引税・環境税など | 1.6兆円 |
大型公共事業・軍事費・原発推進などの浪費を一掃 | 3.0兆円 |
以上の合計(当面の財源) | 17.0兆円 |
将来は応能負担の原則で所得税率に累進的に上乗せ | 6.0兆円 |
将来分を含めた合計 | 23.0兆円 |
改革で財源確保
税金の集め方と使い方の見直しで社会保障の財源をつくることができます。税金の集め方の原則は応能負担です。
4兆円もの減税を受けてきた大企業はこの5年間で純利益を19兆円から45兆円へと2・3倍に膨張させました。保有株式1000億円以上(時価総額)の超大株主が持つ株式の時価総額は、安倍政権の5年9カ月で3・5兆円から17・6兆円へと5倍に膨れ上がりました。
こうした大企業・富裕層に応分の負担をさせることで税収を増やすことができます。日本共産党は、大企業への優遇税制の見直し、富裕層への証券課税の強化など税の集め方の見直しに加えて、歳出の見直しなどで当面は合計17兆円、将来的には23兆円の確保が可能だと提案しています。
(おわり)(清水渡が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月10日付掲載
大企業の優遇税制を見直すだけでなく、所得税・住民税の最高税率を元に戻したり、厚生年金・健康保険の掛け金の上限を引き上げたりすることで、社会保障の財源を確保。
「負担できるところに負担してもらう」というのが共産党の考え方。