きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

消費税ABC④ インボイスで「廃業検討」

2018-11-10 07:55:18 | 予算・税金・消費税・社会保障など
消費税ABC④ インボイスで「廃業検討」
安倍晋三政権は2023年10月から複数税率のもとで「適正な課税を確保する」として、インボイス制度を導入する予定です。これにより、500万あるとされる免税業者が取引を断られる恐れがあります。
インボイスは商品・サービスの売買の際、売り手が買い手に発行する書類です。適格請求書ともよばれ、税率8%適用商品と10%適用商品を区分して商品価格と税額を記載します。インボイスを発行できるのは課税業者だけです。
消費税は消費者が負担することになっています。しかし、実際に税務署に納めるのは消費税を受け取った事業者です。8%の税率のもと、小売店で本体価格1000円の商品を購入したなら、消費税は80円となります。しかし小売店は80円を税務署に納めるわけではありません。小売店は卸売業者からの仕入れ価格(仮に900円とする)に対応する消費税(この場合は72円)をすでに払っており、二重払いになってしまうからです。そのため、販売した際の消費税から仕入れにかかった消費税を引いた額(この場合は8円)を税務署に納めます。この仕組みを仕入れ税額控除といいます。




免税業者が苦境
現行制度では仕入れ税額控除は帳簿で計算し、取引先の請求書などを保存することが要件です。仕入れ先が免税業者であっても、この仕入れ税額控除ができました。免税業者でも仕入れには消費税がかかっており、販売の際に少なくともその額を上乗せしなければ損になってしまいます。
しかしインボイスの導入後は、インボイスの保存が仕入れ税額控除の要件となります。インボイスには登録番号の記入が必要です。登録番号は課税業者として税務署に登録しなければ入手できません。そのため免税業者はインボイスを発行できません。免税業者との取引で課税業者は負担する消費税額が増えることになります。そのため免税業者は取引を断られるのです。
10月31日の参院本会議で日本共産党の山下芳生議員はインボイス導入によって免税業者が取引を断られる恐れがあると追及。安倍首相は増税からインボイス導入まで4年あり、その後も免税業者からの仕入れに対し一部税額控除する「経過期間」が6年あることをあげて、「免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めてもらう」と述べました。
しかし免税業者は年間売り上げ1000万円以下というごく規模の小さい業者です。課税業者になれば納税のための金銭負担と事務負担が重くのしかかります。日本商工会議所の調査でも9・2%がインボイス導入で「廃業を検討する」と答えています。

一人親方に影響
インボイスの導入は請負やフリーランス、一人親方など雇用によらない働き方をしている人たちにも影響を与えます。こうした働き方をしている人たちを使っている企業は、会計上、彼らに払う報酬を「外注費」として仕入れ税額控除の対象にしているからです。
インボイス導入後、フリーランスなどが免税業者のままでは企業が仕入れ税額控除をできなくなってしまいます。もし、フリーランスなどがインボイスを発行できる課税業者になったら、消費税相当分の報酬額を上げてもらわない限り、わずかな収入から消費税を納める必要があります。逆に免税業者のままなら、企業が負担する消費税額が増えてしまうために、報酬切り下げや契約打ち切りの恐れもあります。なお、派遣社員であれば派遣元企業からインボイスが発行されるものとみられます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月9日付掲載


今でも「仕入れ税額控除」はやられているわけだけど、単一税率なので免税業者でも問題は発生していません。
複数税率になり、インボイス発行ということになると、免税業者が排除されることに…