きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ゴーン・ショック 高額報酬の源泉① 人間切り捨ての結果

2018-11-30 07:41:48 | 経済・産業・中小企業対策など
ゴーン・ショック 高額報酬の源泉① 人間切り捨ての結果
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は2010~14年度の5年分の役員報酬を過少に記載したとして逮捕されました。ゴーン流経営は、V字回復を実現したとして世間の注目を集めてきました。しかし、リストラされた元日産社員や下請け切りにあった企業などの関係者からは、「有無を言わさないやり方で、怒りしかなかった」「許せない」「いいかげんにしろ」などの怒りの声があがっています。
(日本共産党政策委員会 湯浅和己)

1999年、経営危機に直面する日産を救済したルノーが日産に送り込んだのが、「コストカッター」の異名をとるカルロス・ゴーン容疑者でした。日産は同年10月18日、再建計画「日産リバイバル・プラン」を発表。2000年に日産の社長についたゴーン容疑者のもとで、急激な購買コストや従業員の削減などを強行しました。
リバイバルプランは「成長による業績への貢献は一切、前提にしていません」(01年10月18日の社長スピーチ)と、ゴーン容疑者自身が説明しています。従業員のリストラと下請け切り捨てによって過去最高の営業利益をたたきだしたのです。




6月26日に横浜市内で開かれた日産自動車の株主総会に出席したカルロス・ゴーン会長(右)=当時=と西川広人社長(同社提供)

増益の主要因
リバイバルプラン1年目の2000年度は、部品サプライヤー(下請け企業)を1145社から810社に削減しました。実に3割もの切り捨てでした。サービス・サプライヤーでは、4割削減を実施しました。この年度に、従業員は1万4200人純減させました。同年度の営業利益は2903億円。そのうち、購買コストの削減で2870億円の増益要因となりました。営業利益の大半は購買コスト削減によって実現したのです。
ゴーン容疑者は01年度の決算発表で、「2001年度も購買コスト削減は収益改善に最も重要な役割を果たしました」と発言。
為替による差益を除外すると、日産の01年度の営業利益増加はすべてが、購買コスト削減と人件費の削減によるものでした。大幅に利益が上がったと自慢しても、下請けや労働者にしわ寄せし、収奪した結果にほかなりません。
1年前倒しで、日産リバイバルプランの目標を総達成したゴーン容疑者。02年4月からは、新たな事業計画「日産180」に取り組み、3年間で購買コストをさらに15%削減するとして、下請け企業を追い詰めていきます。その結果をゴーン容疑者は、「営業利益に最も寄与したのは、引き続き購買コストの改善だった。2001年度との比較で営業利益は約2500億円の増加だったが、そのうち購買コストの削減は2270億円の増益をもたらした」と説明しました。



■営業利益の大幅増加に貢献する購買コスト削減
年度連結営業利益購買コスト削減による増益(対前年)
20002,9032,870
014,8922,450
027,3702,270
038,2491,830
048,6121,310
(日産発表資料から作成)


「再建」の中身
表のように購買コスト削減の名で下請け切り、下請け代金の切り下げを強引に進めたリバイバルプランの結果、①購買コストの3年で20%削減という目標を、2年で達成②人員削減は、2万1000人削減目標に対し2万2900人と超過達成③その結果として、2年間で合計4000億円を超える営業収益を上げる―という「成果」を会社にもたらしました。人件費と購買費の削減こそが「日産再建」のほとんどの中身だったのです。
「再建請負人」のゴーン容疑者への高額報酬は、労働者の収奪と首切り、下請け企業切り捨ての結果にほかなりません。(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月27日付掲載


日産の営業収益の回復は、徹底的なコスト削減。その実態は、生身の人間の生活を切り捨てすことで生み出されたものだったのですね。