徹底追及 統一協会 新世事件編② 資産状況を把握 「g数」に応じ信者に勧誘
統一協会(世界平和統一家庭連合)の霊感商法を展開していた印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)。「新規からの基本的な流れ」と題する社内文書があります。街頭で客に声をかけるところから「基本トーク」で印鑑を売りつけ、さらに「アフターケア」としてビデオ視聴などの信者獲得のステップに進む流れが、所要時間とともに書かれています。
その早い段階で明記されているのが、「財把握…誰が主管しているのか。決定権を知る」という手順です。街頭で「姓名判断をする」と声をかけて客を事務所に連れてきてから1時間以内に、客の資産規模と処分権の在りかをつかむといいます。
印鑑販売会社「新世」の「新規ゲスト進展」文書。大きい黒塗りのすぐ右の欄が客の財産を示す「g数」
月ごと管理
同社は、こうして資産状況を把握し印鑑を購入させた客の情報を、表計算ソフトで月ごとに管理していました。「新規ゲスト進展」と題する文書には、担当者名や客の個人情報が並ぶほかに、「g数」という項目があります。
有罪が確定した同社営業部長は、これを「100万円を1グラムと置き換えたゲストの財産」だと解説していました。
例えば「g数」が「30」とされた客。右の項目に「08/01 SK3000予定」と書かれています。営業部長は検察官に、この客が「フォーラムで3000万円をSK、つまり献金する予定であった」と説明しました。
「フォーラム」とは、統一協会内で「文化フォーラム(BF)」などと呼ばれる、店舗とは別の「統一協会の原理を教える施設」(営業部長の供述)。教義を刷り込むビデオなどを繰り返し視聴させる場所でもありました。
文書「新規ゲスト進展」は、こうしたフォーラム類への客の勧誘状況も記録。「状況」という項目には客から聞き取った悩みや心配事も書かれています。「夫は自己中心的」「長男が原因不明の発熱」など、記述は具体的です。
「g数」の大小に応じて、その客に対するその後の勧誘などのあり方を変えていたとみられます。
文書「新規からの基本的な流れ」には、姓名判断を始めてから60分の間に「財把握」をすると記述
規模に執着
例えば営業部長は供述調書の中で、ある客について次のような趣旨の説明をしていました。
「財産が0・5グラム、つまり50万円と少ないため、フォーラムにつなげないつもりだった。しかし担当者の強い希望により、フォーラムに動員することが決まった」
客の資産規模への執着は、多くの社内文書からもうかがえます。
「新世」から押収されたハードディスクにあったあるレジュメ。「出会いたいゲスト」として「SK1億できる人」を挙げています。
2006年1月に社長が従業員にあてたとみられる文書は「今年の新世の年頭目標」として「1万グラム(百億)の篤志家(とくしか)ゲストと出会います!」と記していました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月27日付掲載
街頭で「姓名判断をする」と声をかけて客を事務所に連れてきてから1時間以内に、客の資産規模と処分権の在りかをつかむと。
「新規ゲスト進展」と題する文書には、担当者名や客の個人情報が並ぶほかに、「g数」という項目があります。
有罪が確定した同社営業部長は、これを「100万円を1グラムと置き換えたゲストの財産」だと解説。
信者を獲得すると言うよりは、いかにして金を巻き上げるかってことですね。
統一協会(世界平和統一家庭連合)の霊感商法を展開していた印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)。「新規からの基本的な流れ」と題する社内文書があります。街頭で客に声をかけるところから「基本トーク」で印鑑を売りつけ、さらに「アフターケア」としてビデオ視聴などの信者獲得のステップに進む流れが、所要時間とともに書かれています。
その早い段階で明記されているのが、「財把握…誰が主管しているのか。決定権を知る」という手順です。街頭で「姓名判断をする」と声をかけて客を事務所に連れてきてから1時間以内に、客の資産規模と処分権の在りかをつかむといいます。
印鑑販売会社「新世」の「新規ゲスト進展」文書。大きい黒塗りのすぐ右の欄が客の財産を示す「g数」
月ごと管理
同社は、こうして資産状況を把握し印鑑を購入させた客の情報を、表計算ソフトで月ごとに管理していました。「新規ゲスト進展」と題する文書には、担当者名や客の個人情報が並ぶほかに、「g数」という項目があります。
有罪が確定した同社営業部長は、これを「100万円を1グラムと置き換えたゲストの財産」だと解説していました。
例えば「g数」が「30」とされた客。右の項目に「08/01 SK3000予定」と書かれています。営業部長は検察官に、この客が「フォーラムで3000万円をSK、つまり献金する予定であった」と説明しました。
「フォーラム」とは、統一協会内で「文化フォーラム(BF)」などと呼ばれる、店舗とは別の「統一協会の原理を教える施設」(営業部長の供述)。教義を刷り込むビデオなどを繰り返し視聴させる場所でもありました。
文書「新規ゲスト進展」は、こうしたフォーラム類への客の勧誘状況も記録。「状況」という項目には客から聞き取った悩みや心配事も書かれています。「夫は自己中心的」「長男が原因不明の発熱」など、記述は具体的です。
「g数」の大小に応じて、その客に対するその後の勧誘などのあり方を変えていたとみられます。
文書「新規からの基本的な流れ」には、姓名判断を始めてから60分の間に「財把握」をすると記述
規模に執着
例えば営業部長は供述調書の中で、ある客について次のような趣旨の説明をしていました。
「財産が0・5グラム、つまり50万円と少ないため、フォーラムにつなげないつもりだった。しかし担当者の強い希望により、フォーラムに動員することが決まった」
客の資産規模への執着は、多くの社内文書からもうかがえます。
「新世」から押収されたハードディスクにあったあるレジュメ。「出会いたいゲスト」として「SK1億できる人」を挙げています。
2006年1月に社長が従業員にあてたとみられる文書は「今年の新世の年頭目標」として「1万グラム(百億)の篤志家(とくしか)ゲストと出会います!」と記していました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月27日付掲載
街頭で「姓名判断をする」と声をかけて客を事務所に連れてきてから1時間以内に、客の資産規模と処分権の在りかをつかむと。
「新規ゲスト進展」と題する文書には、担当者名や客の個人情報が並ぶほかに、「g数」という項目があります。
有罪が確定した同社営業部長は、これを「100万円を1グラムと置き換えたゲストの財産」だと解説。
信者を獲得すると言うよりは、いかにして金を巻き上げるかってことですね。