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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

白書が描く経済⑤ 食料危機 供給不安 いよいよ現実に

2022-08-24 07:10:25 | 経済・産業・中小企業対策など
白書が描く経済⑤ 食料危機 供給不安 いよいよ現実に
最新版の2021年度農業白書(食料・農業・農村の動向)は、「食料自給率の向上や食料安全保障の強化への関心が一層高まっています」と述べ、直近の食料価格の高騰や食料需給の動向などを取り上げています。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略などの影響で、世界的に食料供給への懸念が生じていることを受けたものです。供給不安がいよいよ現実のものになりつつあります。
白書は、「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入および備蓄を適切に組み合わせる」ことで食料の安定供給を確保すると述べるものの、抜本的な増産の方向を示してはいません。




穀物価格高騰
人口増加に伴う食料需要の増加が進む一方、気候変動のほか、家畜の伝染病や植物の病虫害の発生などが食料生産を不安定にしており、白書も、「(食料需給が)中・長期的にはひっ迫が懸念され」ると指摘しています。特に21年以降、米国やカナダにおける高温・乾燥による不作、ロシアのウクライナ侵略の影響による供給不安で、小麦をはじめ穀物の国際価格が高騰しています。穀物価格の国際的指標とされるシカゴ商品取引所で3月8日、小麦の先物価格が14年ぶりに史上最高値を更新しました。トウモロコシ、大豆なども値上がりました。国連食糧農業機関(FAO)が公表している世界の食料価格指数は3月、1990年の統計開始以来の最高を2カ月連続で更新しました。その後、やや下がったものの、なお高水準にあります。








自給率向上を
穀物の国際価格の上昇を受け、政府は4月、輸入小麦の売り渡し価格を17・3%引き上げました。小麦の輸入は国家貿易で、政府が一手に輸入した後、製粉会社へ売り渡します。売り渡し価格は、国際相場の変動を受け、毎年4月と10月に改定されます。
国際的に、小麦のほか、食料全般が値上がりしています。進行する円安と相まって、輸入食料も値上がりし、国内の食料価格を高騰させています。
日本の食料自給率は20年度に史上最低の37%(37・15%=確定値)まで落ち込みました。そのうえ、主な食料の輸入元が偏っており、特に米国への依存が顕著です。農林水産省が5日発表した21年度の食料自給率が38%(37・99%=速報値)へ小幅上昇したとはいえ、食料自給率の向上は、もはや放置できない課題です。
しかし、政府の食料・農業・農村基本計画は、10年先を見据えて食料自給率の目標や農政の基本施策を定めるものでありながら、自給率目標を引き下げたうえ、達成年限も先送りして、食料自給率向上に本格的に取り組む姿勢を示していません。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月20日付掲載


農業白書は、「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入および備蓄を適切に組み合わせる」ことで食料の安定供給を確保すると述べるものの、抜本的な増産の方向を示してはいません。
小麦の輸入は国家貿易で、政府が一手に輸入した後、製粉会社へ売り渡します。売り渡し価格は、国際相場の変動を受け、毎年4月と10月に改定。
パンやめん類も値上げです。
主な食料の輸入元が偏っており、特に米国への依存が顕著。アメリカは食料輸出国ですが、食糧危機になった場合、国内の食料が優先ですので、いくら同盟国でも日本への食料の保証はできません。