15年度予算 概算要求の焦点 社会保障⑥ 「充実」どころか切り捨て
厚生労働省は、消費税が8%に増税されて初めての概算要求で、増税の口実である社会保障費の充実どころか切り捨てに走っています。
年金を大削減
年金・医療費の自然増分8200億円は要求したものの、「合理化・効率化に最大限取り組」むとする安倍政権の概算要求基準を受け、年金では実質大削減を行っています。
アベノミクスで物価が上昇しているにもかかわらず、賃金スライド分(0・8%)のみ反映し、「特例水準の解消」と称する0・5%削減に加えて、「マクロ経済スライド」の初めての発動で年金改定率を0%とします。
物価上昇にもかかわらず年金が上がらず、実質大削減です。さらに厚労省は、保険料納付期間の延長や給付年齢の引き上げも検討しています。
医療・介護総合法をうけて制度の改悪に踏み出します。医療では、病床削減などを進めるための基金を設準置。診療報酬明細書(レセプト)情報を地域別に集計し活用する事業に20億円を要求。
医療費の上限目標を各県ごとに設けて競争させ、医療費抑制を狙っています。
介護では、要支援者向けサービス切り捨てなど安上がりの「地域包括ケア」を推進。介護報酬改定は予算編成で検討するとしています。
生活保護では、住宅扶助や冬季加算など各種扶助・加算の見直しを明記。13年8月から始まった扶助基準の引き下げに続き、さらなる削減を図ろうとしています。
また福祉事務所に新たに「就労支援体制整備推進員」を配置するため28億円を要求。40歳・50歳代の“働ける年齢層”を「5万円就労」と称して低賃金労働に追いたてようとしています。生活保護費の半分を占める医療扶助を削減しようと、後発医薬品の使用促進や生活指導のための人員配置に39億円(14年度4・3億円)を要求しています。
医療や福祉を守れと声をあげる「輝け!いのち4・24ヒューマンチェーン」の参加者=4月24日、東京・日比谷野外音楽堂
保育昨年並み
子育て分野では、待機児童解消策など保育や学童保育の要求額は昨年並み。一方、保育士の専門性を否定し、保育水準を引き下げかねない「子育て支援員」の導入のため、子育て経験のある主婦らを対象にした研修制度創設に新規で6・5億円を求めています。
来年4月から実施予定の子ども子育て支援新制度に関する予算は、消費税10%だのみで金額を示さない「事項要求」です。5年間で30万人増を目指す学童保育の定員増も事項要求にとどまっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月17日付掲載
社会保障のためと言って消費税率をアップしておいて、社会保障の切り捨て、それも最後のセーフティネットと言われる生活保護費をカットするなんて、許せません。
厚生労働省は、消費税が8%に増税されて初めての概算要求で、増税の口実である社会保障費の充実どころか切り捨てに走っています。
年金を大削減
年金・医療費の自然増分8200億円は要求したものの、「合理化・効率化に最大限取り組」むとする安倍政権の概算要求基準を受け、年金では実質大削減を行っています。
アベノミクスで物価が上昇しているにもかかわらず、賃金スライド分(0・8%)のみ反映し、「特例水準の解消」と称する0・5%削減に加えて、「マクロ経済スライド」の初めての発動で年金改定率を0%とします。
物価上昇にもかかわらず年金が上がらず、実質大削減です。さらに厚労省は、保険料納付期間の延長や給付年齢の引き上げも検討しています。
医療・介護総合法をうけて制度の改悪に踏み出します。医療では、病床削減などを進めるための基金を設準置。診療報酬明細書(レセプト)情報を地域別に集計し活用する事業に20億円を要求。
医療費の上限目標を各県ごとに設けて競争させ、医療費抑制を狙っています。
介護では、要支援者向けサービス切り捨てなど安上がりの「地域包括ケア」を推進。介護報酬改定は予算編成で検討するとしています。
生活保護では、住宅扶助や冬季加算など各種扶助・加算の見直しを明記。13年8月から始まった扶助基準の引き下げに続き、さらなる削減を図ろうとしています。
また福祉事務所に新たに「就労支援体制整備推進員」を配置するため28億円を要求。40歳・50歳代の“働ける年齢層”を「5万円就労」と称して低賃金労働に追いたてようとしています。生活保護費の半分を占める医療扶助を削減しようと、後発医薬品の使用促進や生活指導のための人員配置に39億円(14年度4・3億円)を要求しています。
医療や福祉を守れと声をあげる「輝け!いのち4・24ヒューマンチェーン」の参加者=4月24日、東京・日比谷野外音楽堂
保育昨年並み
子育て分野では、待機児童解消策など保育や学童保育の要求額は昨年並み。一方、保育士の専門性を否定し、保育水準を引き下げかねない「子育て支援員」の導入のため、子育て経験のある主婦らを対象にした研修制度創設に新規で6・5億円を求めています。
来年4月から実施予定の子ども子育て支援新制度に関する予算は、消費税10%だのみで金額を示さない「事項要求」です。5年間で30万人増を目指す学童保育の定員増も事項要求にとどまっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月17日付掲載
社会保障のためと言って消費税率をアップしておいて、社会保障の切り捨て、それも最後のセーフティネットと言われる生活保護費をカットするなんて、許せません。