きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

伊勢志摩サミット 問われる課題③ テロ・貧困など焦点

2016-05-26 15:10:56 | 国際政治
伊勢志摩サミット 問われる課題③ テロ・貧困など焦点

全世界が共通して直面するさまざまな課題に主要7力国(G7)がどのような対応をとるのか、常にサミットで注目されます。

難民に各国苦慮
ISをはじめとする過激組織によるテロ活動は世界各地で続いています。昨年6月のサミット首脳宣言は、テロ組織への対応で米国主導の有志連合を支持し、資産凍結や資金流入の遮断などの対策強化を打ち出しました。
しかしその後もテロは続発。サミット関係国でも11月にフランスの首都パリ、今年3月に欧州連合(EU)本部のあるベルギーの首都ブリュッセルがテロに襲われました。
それを受けて、シリアやイラクでは有志連合がISに対する直接の武力攻撃を強化。民間人も含め犠牲者は増える一方です。
ことにシリア紛争は、ロシアが支援するアサド政権と欧米が後押しする反政府勢力、ISなどが衝突を繰り返し、和平の進展が見通せない状況が続いています。
シリアを逃れた難民は欧州各国に押し寄せ、各国ともその対応に苦慮しています。反難民を掲げる極右が政治的に台頭するなど、内政にもさまざまな影響を及ぼしています。
テロを生み出す土壌の一つとして貧困が挙げられています。国連総会は昨年9月、「持続可能な開発目標」を採択。公正で民主的な経済秩序の構築を公約しました。
極貧や飢餓の根絶から気候変動対策、経済格差の縮小まで17項目の「目標」は途上国、先進国を問わず、2016年から30年末までの世界共通の開発指針になります。採択後、最初のサミットでG7がどう具体化を図るかが焦点です。
また昨年末、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された20年以降の地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」は、今年4月に各国の署名が始まりました。
早期発効に向けた署名・批准の推進とともに、先進工業国による温室効果ガス排出削減の努力や途上国支援などで、サミットとして何を打ち出すかも問われます。



ギリシャのマケドニアとの国境近く、臨時難民キャンプで子どもを連れたシリア難民=5月20日(ロイター)

高まる反核世論
さらに、核兵器の全面禁止・廃絶を求める世界世論の高まりにどう向き合うかも重要です。昨年の国連総会でも、核兵器禁止条約の交渉開始におよそ140カ国が賛成。具体化を探る作業部会もジュネーブで始まりました。
G7は核保有国と、その核軍事同盟体制に加わる国々です。4月の外相会合では、初めて米英仏の現職外相が広島の平和記念公園を訪問。今回の首脳会合後には、オバマ米大統領が広島を訪問します。核兵器廃絶を求める世界の大多数の国の声にどう応えるか、注目されます。
(おわり)(金子豊弘、山田英明、山崎伸治が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月25日付掲載


シリア難民に苦慮するEU諸国。自らまいた種とも言えますが…
高まる核兵器廃絶の世論にG7諸国は応えなければなりません。
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伊勢志摩サミット 問われる課題② 軍事的台頭どう解決

2016-05-25 11:21:42 | 国際政治
伊勢志摩サミット 問われる課題② 軍事的台頭どう解決

南沙諸島での人工島造成やレーダー設置、西沙諸島でのミサイル配備など、中国は南シナ海での軍事的台頭を強めています。ロシアは2014年3月、ウクライナへの軍事介入の末に、クリミアを編入しました。地域の平和と安定を脅かす「一方的な現状変更」にどう対応するか、伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の主なテーマとなっています。

対中、対ロシア
中国による南シナ海の一方的な現状変更と軍事的緊張を高める行動は、中国がASEAN(東南アジア諸国連合) と締結し、「紛争を複雑化あるいは激化させ、また平和と安定に影響を与えるような行動を自制する」と規定した「南シナ海行動宣言」(DOC)に反する行為です。ロシアによるクリミア編入は侵略行為そのものです。
いずれも事態の平和かつ公正な解決が求められています。
しかし、実際、こうした「一方的な現状変更」に対する日米両国の対応は、軍事的対応が中心です。
米国は中国が造成した人工島周辺に米軍艦を派遣する「航行の自由作戦」を継続。日本の海上自衛隊は、戦争法施行(3月29日)を受け、南シナ海で戦略的な寄港や訓練を活発化させています。南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンへの自衛隊機の貸与ももくろんでいます。
軍事的挑発にたいし軍事で構えたら、軍事対軍事の悪循環に陥るだけです。いま国際社会に求められるのは、ASEANによる「南シナ海行動規範」(COC)実現に向けた粘り強い努力のように、対話による解決を促すための外交努力です。



太平洋上を米ミサイル駆逐艦「ストックデール」(左)とともに航行する海自大型ヘリ空母「いせ」(米海軍のホームページから)

当事者そろわず
伊勢志摩サミットには、日、米、英、仏、独、伊、加の7力国首脳がつどいます。いずれも日米安保条約と北大西洋条約機構(NATO)で結ばれた米国の軍事同盟国です。
1998年にロシアが正式参加しG8となったサミットは、ウクライナ問題を契機に2014年のブリユッセルサミットから、ロシアを除く現行のG7に逆戻りしました。
政治、経済、安全保障の面でも国際的影響力を強める、中国などの新興国はメンバーではありません。
「力による一方的な現状変更」がテーマに挙げられているものの、サミットの議論に参加するのは、一方の当事者のみ。問題解決にむけた当事者間の対話ではありません。
「基本的価値を共有するG7」―。サミットを形容する言葉として多用される表現です。しかし、共有する「基本的価値」とは、米国とその同盟国が共有する一方の「価値観」ともいえます。
異なる価値観をもった体制や文明が、それを相互に尊重し、共存することが大切な時代となっている現代の国際社会。テロや「一方的な現状変更」などをどう解決するか―。政治・外交をめぐる議論では、G7サミットの存在価値が間われます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月24日付掲載


ロシアのクリミア半島編入は許されるものではありませんが、それだからといってロシアをサミットから仲間外れにするのは間違ってるのでは…。
当事者がそろわないサミットでは、おのずから限界があります。
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伊勢志摩サミット 問われる課題① 不透明増す世界経済

2016-05-24 20:34:03 | 国際政治
伊勢志摩サミット 問われる課題① 不透明増す世界経済

日米欧の主要7力国(G7)は26、27両日三重県で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開きます。日本開催が8年ぶりとなる今回のサミットで間われている課題とは。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は4月の講演で「多くの先進国・地域で回復は予測より緩やかです」と発言し、世界経済の見通しに警戒感を隠しませんでした。
中国をはじめとした新興国の減速、原油価格の下落による産油国経済への打撃、金融資本市場の混乱など、世界経済は不透明さを増しています。
日米欧の財界・経済界首脳らが参加するビジネス版サミツト(B7)は4月21日、伊勢志摩サミットに向けた共同提言を発表。「機動的な財政政策を実施」することや「大胆な構造改革を断行」することを求めました。



仙台市内で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議=5月20日午後、仙台市太白区(代表撮影)

財政出動見送り
安倍晋三首相は、議長国として参加国首脳や欧州連合(EU)首脳に協力を要請するため、今月初め欧州5力国とロシアを訪問しました。「下方リスク」が高まっている世界経済が「伊勢志摩サミットの最大のテーマ」だとして「政策協調」の舞台づくりを進めました。会談でドイツのメルケル首椙は、「財政の安定と構造改革などを通じて(世界経済を)確固たるものにしたい」と述べ、「財政出動」よりも「財政規律」に力点を置き、両者の食い違いが浮き彫りになりました。
G7サミット直前の20、21日両日仙台市で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は、需要を喚起する財政出動で共同歩調を取ることは見送られました。
経済状況の「下方リスク」が高まり、財政出動を狙っているのはほかでもない日本政府です。18日に発表されたー~3月期のGDP(国内総生産)は、前期比実質0・4%増という微増にとどまりました。中でも個人消費は消費税の8%への増税後、2年連続で落ち込み、深刻な内需不足に陥っています。
金融政策では、アメリカが金融緩和からの「出口」へ歩みを進めている一方で、日本は「異次元の緩和」をさらに進めることすらとりざたされています。

「税逃れ」対策
タックスヘイブン(租税回避地)での蓄財の実態を暴いた「パナマ文書」の公開によって超富裕層などの「税逃れ」に国際的批判が高まっています。
「パナマ文書」が明らかになった直後の4月5日、アメリカのオバマ大統領は、「税逃れ」の問題がG7の議論になるとの見通しを示していました。
課税逃れを防止するための国際的取り組みは、経済協力開発機構(OECD)や20力国・地域(G20)の会合を舞台にして進んでいます。
日本は各国にどう働きかけていくのか、議長国としての積極性が間われます。
(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月23日付掲載


パナマ文書に掲載されていない、ケイマン諸島で日本の大企業がペーパーカンパニーを介しての租税回避。
名目だけ「慈善団体」に「信託」する「慈善信託(チャリタブル・トラスト)」という手口。
「チャリ・トラ」と愛称でよばれるほど普及しているとか。許されない!


論戦ハイライト 幽霊会社で税逃れる大企業
課税すれば消費税増税必要なし 大門議員告発
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検証アベノミクス 税財政② ワンショットのはずが…

2016-05-24 14:15:46 | 予算・税金・消費税・社会保障など
検証アベノミクス 税財政② ワンショットのはずが…

2014年4月1日、国民の反対を押し切って安倍晋三政権は8%への消費税率引き上げを強行しました。消費税増税による国民の暮らしと日本経済への打撃はいまなお回復していません。
消費税増税前や増税当初、安倍首椙は消費への影響は一時的なものだと繰り返していました。14年10月8日の参院予算委員会では日本共産党の大門みきし議員の質問に「消費税(増税による景気への悪影響は)はワンショット(1回限り)だ」と答弁していました。
しかし、経済指標は首相のウソをあらわにしました。増税前の駆け込み需要もあり、14年1~3月期に実質321・7兆円(季節調整値・年換算)だった個人消費は、同年4~6月期に305・9兆円まで急落。その後の国内総生産(GD P)統計でも回復していません。それどころか15年10~12月期には個人消費が増税直後をさらに下回る304・9兆円となりました。16年1~3月期も「うるう年効果」があったにもかかわらず306・4兆円と低迷しています。



消費税10%大増税の中止を求める各界連の宣伝=4月25日、東京・新宿駅西口

「予想以上だ」
安倍首相も3月3日の参院予算委員会で、日本共産党の小池晃議員から消費の低迷と消費税増税の関連をただされ、「予想以上に(消費が)落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実」だと認めざるを得ませんでした。影響が“軽い”かのように偽って国民に大増税を押し付けた責任は重大です。
総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯について消費税増税直後の14年4月から16年3月までの24カ月中、実質消費支出が前年同月を上回ったのはわずか2回でした。つまり、24カ月中22カ月で消費支出が前年同月を割り込んでいたのです。




景況感下向く
個人消費の冷え込みを受けて、大企業の景況感も下向きつつあります。1~3月期の「法人企業景気予測調査」(内閣府・財務省)によると、大企業全産業の景況判断指数は3四半期ぶりにマイナスを記録。4~6月期の見通しも大企業から中小企業までいずれもマイナスでした。
民間信用調査会社、帝国データバンクが4月14日に発表した「2016年度の業績見通しに関する企業の意識調査」によると、16年度の業績見通しを下振れさせるリスク(複数回答)については、40・7%の企業が「個人消費の一段の低迷」と回答しました。
このような状況にもかかわらず、安倍首相は17年4月に消費税増税を強行しようとしています。ますます国民の暮らしと日本経済が立ち行かなくなることは火を見るより明らかです。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の片岡剛士さんも「消費税増税は、延期ではなく凍結すべきだ」(4月27日付「朝日」)と指摘します。日本共産党は消費税率10%への増税の中止を強く求めています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月21日付掲載


消費税増税による景気低迷、個人消費の落ち込みは2年以上続いている。
決してワンショットではない。来年からの消費税増税は中止を。
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検証アベノミクス 税財政① 法人減税で内部留保増

2016-05-21 20:05:53 | 予算・税金・消費税・社会保障など
検証アベノミクス 税財政① 法人減税で内部留保増

「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」「世界一安心な国、世界一安全な国、日本をつくり上げる」。2013年1月28日、第2次安倍晋三政権が発足して初めての所信表明演説で安倍首相は声を張り上げました。あれから3年、アベノミクスの破たんがあらわになっています。税財政の面から検証します。

安倍政権のもとで大規模な大企業減税が行われてきました。東日本大震災の復興特別法人税を廃止したのをはじめ、政権発足時には37・0%だった法人実効税率(国と地方を合わせた企業の税負担率)を段階的に29・74%まで引き下げることを決めました。安倍政権の下での大企業減税のばらまきは4兆円に上ります。



トヨタ自動車本社=愛知県豊田市

設備投資は減
大企業減税について安倍首相は15年11月11日の経済財政諮問会議で「企業においては、そうした(減税など)政府の取組と歩調を合わせて、設備投資や賃上げにつなげていただきたい」と述べました。まるで法人実効税率を引き下げれば、設備投資が増えて、労働者の賃金も引きあがるといわんばかりです。
安倍政権のもとで賃金は下がり続けています。法人企業統計で資本金10億円以上の大企業について、従業員一人あたりの賃金の推移をみると、15年10~12月期は12年に比べて、1・8%増とほとんど増えていません。この間の物価変動を考えれば、実質減です。
エ場や機械設備など有形固定資産は3年間で1・2%の減少です。法人実効税率の引き下げは賃上げにも設備投資にも回らなかったのです。
代わって急増しているのが内部留保です。大企業の内部留保は3年間で15%以上も増大し、300兆円を突破しました。
日本の法人税が不公平なのは大企業ほど負担が低くなっていることです。研究開発減税や外国子会社配当益金不算入制度など大企業ほど使いやすい制度があるからです。




5年間払わず
トヨタ自動車の場合、リーマン・ショックが起きた08年度から12年度まで5年間法人税を1円も払っていませんでした。13年度から納税を再開しましたが、研究開発減税が2年連続で1000億円以上、復興特別法人税廃止や税率引き下げで1200億円、受取配当益金不算入などで毎年2000億円前後減税されています。さらに、「賃上げしたから」という理由で、111億円もの減税を受けました。
こうした特定大企業を優遇する制度を見直すことが不可欠です。
(つづく)(この項4回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月20日付掲載


トヨタ自動車が、リーマンショック以降5年間、税金を払ってこなかったことは有名な話しですが…
その後、安倍政権は大企業向けの減税を開始。
労働者の賃金にまともに回っていません。
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