伊勢志摩サミット 問われる課題① 不透明増す世界経済
日米欧の主要7力国(G7)は26、27両日三重県で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開きます。日本開催が8年ぶりとなる今回のサミットで間われている課題とは。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は4月の講演で「多くの先進国・地域で回復は予測より緩やかです」と発言し、世界経済の見通しに警戒感を隠しませんでした。
中国をはじめとした新興国の減速、原油価格の下落による産油国経済への打撃、金融資本市場の混乱など、世界経済は不透明さを増しています。
日米欧の財界・経済界首脳らが参加するビジネス版サミツト(B7)は4月21日、伊勢志摩サミットに向けた共同提言を発表。「機動的な財政政策を実施」することや「大胆な構造改革を断行」することを求めました。

仙台市内で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議=5月20日午後、仙台市太白区(代表撮影)
財政出動見送り
安倍晋三首相は、議長国として参加国首脳や欧州連合(EU)首脳に協力を要請するため、今月初め欧州5力国とロシアを訪問しました。「下方リスク」が高まっている世界経済が「伊勢志摩サミットの最大のテーマ」だとして「政策協調」の舞台づくりを進めました。会談でドイツのメルケル首椙は、「財政の安定と構造改革などを通じて(世界経済を)確固たるものにしたい」と述べ、「財政出動」よりも「財政規律」に力点を置き、両者の食い違いが浮き彫りになりました。
G7サミット直前の20、21日両日仙台市で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は、需要を喚起する財政出動で共同歩調を取ることは見送られました。
経済状況の「下方リスク」が高まり、財政出動を狙っているのはほかでもない日本政府です。18日に発表されたー~3月期のGDP(国内総生産)は、前期比実質0・4%増という微増にとどまりました。中でも個人消費は消費税の8%への増税後、2年連続で落ち込み、深刻な内需不足に陥っています。
金融政策では、アメリカが金融緩和からの「出口」へ歩みを進めている一方で、日本は「異次元の緩和」をさらに進めることすらとりざたされています。
「税逃れ」対策
タックスヘイブン(租税回避地)での蓄財の実態を暴いた「パナマ文書」の公開によって超富裕層などの「税逃れ」に国際的批判が高まっています。
「パナマ文書」が明らかになった直後の4月5日、アメリカのオバマ大統領は、「税逃れ」の問題がG7の議論になるとの見通しを示していました。
課税逃れを防止するための国際的取り組みは、経済協力開発機構(OECD)や20力国・地域(G20)の会合を舞台にして進んでいます。
日本は各国にどう働きかけていくのか、議長国としての積極性が間われます。
(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月23日付掲載
パナマ文書に掲載されていない、ケイマン諸島で日本の大企業がペーパーカンパニーを介しての租税回避。
名目だけ「慈善団体」に「信託」する「慈善信託(チャリタブル・トラスト)」という手口。
「チャリ・トラ」と愛称でよばれるほど普及しているとか。許されない!
論戦ハイライト 幽霊会社で税逃れる大企業
課税すれば消費税増税必要なし 大門議員告発
日米欧の主要7力国(G7)は26、27両日三重県で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開きます。日本開催が8年ぶりとなる今回のサミットで間われている課題とは。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は4月の講演で「多くの先進国・地域で回復は予測より緩やかです」と発言し、世界経済の見通しに警戒感を隠しませんでした。
中国をはじめとした新興国の減速、原油価格の下落による産油国経済への打撃、金融資本市場の混乱など、世界経済は不透明さを増しています。
日米欧の財界・経済界首脳らが参加するビジネス版サミツト(B7)は4月21日、伊勢志摩サミットに向けた共同提言を発表。「機動的な財政政策を実施」することや「大胆な構造改革を断行」することを求めました。

仙台市内で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議=5月20日午後、仙台市太白区(代表撮影)
財政出動見送り
安倍晋三首相は、議長国として参加国首脳や欧州連合(EU)首脳に協力を要請するため、今月初め欧州5力国とロシアを訪問しました。「下方リスク」が高まっている世界経済が「伊勢志摩サミットの最大のテーマ」だとして「政策協調」の舞台づくりを進めました。会談でドイツのメルケル首椙は、「財政の安定と構造改革などを通じて(世界経済を)確固たるものにしたい」と述べ、「財政出動」よりも「財政規律」に力点を置き、両者の食い違いが浮き彫りになりました。
G7サミット直前の20、21日両日仙台市で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は、需要を喚起する財政出動で共同歩調を取ることは見送られました。
経済状況の「下方リスク」が高まり、財政出動を狙っているのはほかでもない日本政府です。18日に発表されたー~3月期のGDP(国内総生産)は、前期比実質0・4%増という微増にとどまりました。中でも個人消費は消費税の8%への増税後、2年連続で落ち込み、深刻な内需不足に陥っています。
金融政策では、アメリカが金融緩和からの「出口」へ歩みを進めている一方で、日本は「異次元の緩和」をさらに進めることすらとりざたされています。
「税逃れ」対策
タックスヘイブン(租税回避地)での蓄財の実態を暴いた「パナマ文書」の公開によって超富裕層などの「税逃れ」に国際的批判が高まっています。
「パナマ文書」が明らかになった直後の4月5日、アメリカのオバマ大統領は、「税逃れ」の問題がG7の議論になるとの見通しを示していました。
課税逃れを防止するための国際的取り組みは、経済協力開発機構(OECD)や20力国・地域(G20)の会合を舞台にして進んでいます。
日本は各国にどう働きかけていくのか、議長国としての積極性が間われます。
(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年5月23日付掲載
パナマ文書に掲載されていない、ケイマン諸島で日本の大企業がペーパーカンパニーを介しての租税回避。
名目だけ「慈善団体」に「信託」する「慈善信託(チャリタブル・トラスト)」という手口。
「チャリ・トラ」と愛称でよばれるほど普及しているとか。許されない!
論戦ハイライト 幽霊会社で税逃れる大企業
課税すれば消費税増税必要なし 大門議員告発