2019年概算要求の焦点④ 雇用 「働き方改革」推進を継続
厚生労働省の2019年度予算概算要求は、安倍晋三政権による「働き方改革」等の推進を掲げています。
安倍政権が働き方改革で進める「多様な就業形態の普及」のため、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」に7・9億円(18年度当初予算比4000万円増)などを要求しています。自宅等で働くテレワークや、副業・兼業の普及促進を図るとしています。近年、「フリーランス」など雇用によらない働き方が増えています。「柔軟な働き方」「自由な働き方」といわれていますが、労働法制の保護を受けない無権利労働が実態です。多くが不安定・低収入に陥っています。
「長時間労働の是正」に281億円(92億円増)を計上しました。監督指導体制の強化等は30億円(4億円増)です。適法な「時間外および休日労働協定」(三六協定)の締結のために、未届け事業場に相談・支援を行う三六協定点検指導員を拡充するとしています。

パソコンはフリーランスの必需品
監督官なお不足
監督指導体制の強化には、労働基準法を事業主に守らせる労働基準監督官の増員が必要です。100人程度の増員を要求していますが、そのうち純増はわずか10人ほど。大半は配置転換などで対応するといい、十分ではありません。
「外国人材受け入れの環境整備」は100億円(43億円増)です。安倍政権は6月に発表した骨太の方針で、外国人労働者の新たな受け入れ制度の創設を打ち出しました。これに伴い、「新たな在留資格により受け入れる外国人材の雇用管理体制・在留管理基盤の強化」として10億円を要求しました。外国人技能実習制度については、実習生に対する相談・援助等を行う外国人技能実習機構の体制を強化するために68億円(31億円増)を計上しました。技能実習制度は、実習生に対する賃金不払いなどの法令違反や人権侵害が多発し、問題となっています。
厚生労働省雇用関連予算概算要求
主要事項(カッコ内は2018年度予算比)
中小企業は冷遇
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援」として1222億円(285億円増)を要求しました。「生産性を高めながら労働時間の縮減や最低賃金・賃金の引き上げ等に取り組む事業者等の支援」は125億円(70億円増)です。そのうち、賃金引き上げ等に取り組む中小企業への助成金はわずか20億円。対象は生産性向上に資する設備投資等を行った企業です。17年度から行われていますが、賃金は伸び悩んでいます。最賃や賃金を引き上げるためには、中小企業への思い切った支援が必要です。
「働き方改革推進支援センター」などによる相談支援体制の強化に75億円(59億円増)を要求。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、生産性向上による賃金引き上げなどについて、労務管理等の専門家による相談支援等、機能・体制の強化を図るとしています。
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者の人材確保を支援する助成金の創設」を制度要求しています。中小企業・小規模事業者が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成します。
同一労働同一賃金の実現に1082億円(254億円増)を計上。「キャリアアップ助成金」の活用などにより、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を引き続き推進するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月21日付掲載
中小企業支援といっても「働き方改革」なので、実際に労働条件が改善されるとは限りません。労働者の健康よりも「生産性向上」を追及するものです。
厚生労働省の2019年度予算概算要求は、安倍晋三政権による「働き方改革」等の推進を掲げています。
安倍政権が働き方改革で進める「多様な就業形態の普及」のため、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」に7・9億円(18年度当初予算比4000万円増)などを要求しています。自宅等で働くテレワークや、副業・兼業の普及促進を図るとしています。近年、「フリーランス」など雇用によらない働き方が増えています。「柔軟な働き方」「自由な働き方」といわれていますが、労働法制の保護を受けない無権利労働が実態です。多くが不安定・低収入に陥っています。
「長時間労働の是正」に281億円(92億円増)を計上しました。監督指導体制の強化等は30億円(4億円増)です。適法な「時間外および休日労働協定」(三六協定)の締結のために、未届け事業場に相談・支援を行う三六協定点検指導員を拡充するとしています。

パソコンはフリーランスの必需品
監督官なお不足
監督指導体制の強化には、労働基準法を事業主に守らせる労働基準監督官の増員が必要です。100人程度の増員を要求していますが、そのうち純増はわずか10人ほど。大半は配置転換などで対応するといい、十分ではありません。
「外国人材受け入れの環境整備」は100億円(43億円増)です。安倍政権は6月に発表した骨太の方針で、外国人労働者の新たな受け入れ制度の創設を打ち出しました。これに伴い、「新たな在留資格により受け入れる外国人材の雇用管理体制・在留管理基盤の強化」として10億円を要求しました。外国人技能実習制度については、実習生に対する相談・援助等を行う外国人技能実習機構の体制を強化するために68億円(31億円増)を計上しました。技能実習制度は、実習生に対する賃金不払いなどの法令違反や人権侵害が多発し、問題となっています。
厚生労働省雇用関連予算概算要求
主要事項(カッコ内は2018年度予算比)
生産性向上の推進 | 1355億円(350億円増) |
働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援 | 1222億円(285億円増) |
同一労働同一賃金など雇用形態によらない公正な待遇の確保 | 1082億円(254億円増) |
長時間労働の是正や健康で安全に働ける職場環境の整備 | 324億円(100億円増) |
うち長時間労働の是正 | 281億円(92億円増) |
外国人材受け入れの環境整備 | 100億円(43億円増) |
柔軟な働き方がしやすい環境整備 | 7.9億円(0.4億円増) |
中小企業は冷遇
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援」として1222億円(285億円増)を要求しました。「生産性を高めながら労働時間の縮減や最低賃金・賃金の引き上げ等に取り組む事業者等の支援」は125億円(70億円増)です。そのうち、賃金引き上げ等に取り組む中小企業への助成金はわずか20億円。対象は生産性向上に資する設備投資等を行った企業です。17年度から行われていますが、賃金は伸び悩んでいます。最賃や賃金を引き上げるためには、中小企業への思い切った支援が必要です。
「働き方改革推進支援センター」などによる相談支援体制の強化に75億円(59億円増)を要求。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、生産性向上による賃金引き上げなどについて、労務管理等の専門家による相談支援等、機能・体制の強化を図るとしています。
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者の人材確保を支援する助成金の創設」を制度要求しています。中小企業・小規模事業者が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成します。
同一労働同一賃金の実現に1082億円(254億円増)を計上。「キャリアアップ助成金」の活用などにより、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を引き続き推進するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月21日付掲載
中小企業支援といっても「働き方改革」なので、実際に労働条件が改善されるとは限りません。労働者の健康よりも「生産性向上」を追及するものです。