きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2019年概算要求の焦点④ 雇用 「働き方改革」推進を継続

2018-09-23 21:59:14 | 経済・産業・中小企業対策など
2019年概算要求の焦点④ 雇用 「働き方改革」推進を継続
厚生労働省の2019年度予算概算要求は、安倍晋三政権による「働き方改革」等の推進を掲げています。
安倍政権が働き方改革で進める「多様な就業形態の普及」のため、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」に7・9億円(18年度当初予算比4000万円増)などを要求しています。自宅等で働くテレワークや、副業・兼業の普及促進を図るとしています。近年、「フリーランス」など雇用によらない働き方が増えています。「柔軟な働き方」「自由な働き方」といわれていますが、労働法制の保護を受けない無権利労働が実態です。多くが不安定・低収入に陥っています。
「長時間労働の是正」に281億円(92億円増)を計上しました。監督指導体制の強化等は30億円(4億円増)です。適法な「時間外および休日労働協定」(三六協定)の締結のために、未届け事業場に相談・支援を行う三六協定点検指導員を拡充するとしています。



パソコンはフリーランスの必需品

監督官なお不足
監督指導体制の強化には、労働基準法を事業主に守らせる労働基準監督官の増員が必要です。100人程度の増員を要求していますが、そのうち純増はわずか10人ほど。大半は配置転換などで対応するといい、十分ではありません。
「外国人材受け入れの環境整備」は100億円(43億円増)です。安倍政権は6月に発表した骨太の方針で、外国人労働者の新たな受け入れ制度の創設を打ち出しました。これに伴い、「新たな在留資格により受け入れる外国人材の雇用管理体制・在留管理基盤の強化」として10億円を要求しました。外国人技能実習制度については、実習生に対する相談・援助等を行う外国人技能実習機構の体制を強化するために68億円(31億円増)を計上しました。技能実習制度は、実習生に対する賃金不払いなどの法令違反や人権侵害が多発し、問題となっています。


厚生労働省雇用関連予算概算要求
主要事項(カッコ内は2018年度予算比)

生産性向上の推進1355億円(350億円増)
働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援1222億円(285億円増)
同一労働同一賃金など雇用形態によらない公正な待遇の確保1082億円(254億円増)
長時間労働の是正や健康で安全に働ける職場環境の整備324億円(100億円増)
 うち長時間労働の是正281億円(92億円増)
外国人材受け入れの環境整備100億円(43億円増)
柔軟な働き方がしやすい環境整備7.9億円(0.4億円増)


中小企業は冷遇
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援」として1222億円(285億円増)を要求しました。「生産性を高めながら労働時間の縮減や最低賃金・賃金の引き上げ等に取り組む事業者等の支援」は125億円(70億円増)です。そのうち、賃金引き上げ等に取り組む中小企業への助成金はわずか20億円。対象は生産性向上に資する設備投資等を行った企業です。17年度から行われていますが、賃金は伸び悩んでいます。最賃や賃金を引き上げるためには、中小企業への思い切った支援が必要です。
「働き方改革推進支援センター」などによる相談支援体制の強化に75億円(59億円増)を要求。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、生産性向上による賃金引き上げなどについて、労務管理等の専門家による相談支援等、機能・体制の強化を図るとしています。
「働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者の人材確保を支援する助成金の創設」を制度要求しています。中小企業・小規模事業者が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成します。
同一労働同一賃金の実現に1082億円(254億円増)を計上。「キャリアアップ助成金」の活用などにより、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を引き続き推進するとしています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月21日付掲載


中小企業支援といっても「働き方改革」なので、実際に労働条件が改善されるとは限りません。労働者の健康よりも「生産性向上」を追及するものです。


2019年概算要求の焦点③ 農林水産 所得確保 具体策なし

2018-09-21 21:48:32 | 経済・産業・中小企業対策など
2019年概算要求の焦点③ 農林水産 所得確保 具体策なし
2019年度予算に対する農林水産関係の概算要求は、2兆7269億円です。18年度当初予算比18・5%増です。公共事業費が同21・1%増の8308億円、非公共事業費が同17・3%増の1兆8962億円です。

公共事業を増額
大規模自然災害が続く中で、公共事業の災害復旧に18年度当初予算と同額の193億円を要求しました。18年度には対策費が不足し、予備費や補正予算で対処しています。
農地の大区画化や水利施設の改修を進める農業農村整備関連事業に18年度当初比22%増の5305億円を要求。林野関係の治山、森林整備などに同22%増の2197億円、水産基盤整備にも同22%増の854億円を要求しました。
米の直接支払い交付金が18年度に廃止されました。しかし、代替し得る所得確保の具体策がみられません。
米から転作した麦、大豆、飼料用米などを支援する水田活用の直接支払い交付金に18年度当初と同額の3304億円を要求しました。過去3年連続で増額されてきたものの、横ばいに転じました。
19年度に開始される収入保険制度の実施に向け、18年度当初比28・8%増の335億円を要求しました。保険料や積立金の国庫負担分に充てます。
収入保険は、農家所得ではなく、農産物販売収入の減少を補うものです。過去5年間の平均収入の9割を基準に、それを下回ると差額の9割を補います。農産物価格が下がり続けると、基準も下がり続けるため、収入減の歯止めになりません。
また、青色申告を行っている農業者だけが対象です。農家の約2割にすぎません。



台風21号と北海道地震の影響について酪農家の話を聞く紙智子参院議員(右から2人目)と畠山和也前衆院議員(同3人目)=9月7日、北海道長沼町



輸出の10倍輸入
19年に輸出額1兆円を実現する目標を掲げ、農林水産業の輸出力強化に18年度当初比41%増の81億円を要求しました。海外需要創出等支援と輸出環境整備に同45%増の58億円などを支出します。
ただ、政府が誇る輸出額増加も、実際には加工品が多く、その原料の多くを輸入に依存しているため、国内の農家所得の向上には結びつきません。また、輸入も増えており、輸入が輸出の10倍以上という状況は全く変わりません。
18年度に開始された農業支援外国人適正受け入れサポート事業に倍増の4億円を要求。農業への外国人労働者の受け入れが国家戦略特区で始まりました。19年度には、新たな在留資格を創設し、特区以外でも農業などへの外国人労働者の受け入れを拡大する予定です。
19年度は、農業の成長産業化を目指すとして、ロポットなど先端技術を導入したスマート農業を目玉としています。スマート農業加速化実証プロジェクトに新規の50億円を要求しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月20日付掲載


米価の生産者米価と消費者米価の「逆ザヤ」が廃止され、生産者を生活を守るために、いろいろな制度で続いてきた米の直接支払い交付金が18年度に廃止。
代替し得る所得確保の具体策がありません。
農産物を戦略的に輸出するっていうけど。それはそれで良いのだけど。価格ベースでは輸入額の10分の1です。

概算要求の焦点② 公共事業 「成長力」口実の大型開発

2018-09-20 21:23:58 | 経済・産業・中小企業対策など
概算要求の焦点② 公共事業 「成長力」口実の大型開発
国土交通省は公共事業関係費として、2018年度当初予算比19%増の6兆1736億円を要求しています。

外環道建設推進
「効率的な物流ネットワークの強化」に18年度当初予算比29%増の4374億円を要求しました。東京外かく環状道路など三大都市圏環状道路の整備を含んでいます。外環道は、住民の立ち退きや環境破壊などさまざまな問題が噴出していますが、住民の反対の声を無視して進められています。
大規模都市開発プロジェクトなど「都市の国際競争力の強化」に39%増の138億円を盛り込みました。都市基盤の整備のほか、外国企業を呼び込むための国際会議施設の整備などに支援するといいます。
訪日外国人の受け入れ強化などのために、首都圏空港などの機能強化に15%増の178億円を盛り込みました。羽田空港の整備には特別会計予算とあわせ655億円を要求。羽田空港では20年のオリンピック、パラリンピックをにらみ、飛行経路の見直しなどで国際線の昼間時間帯発着枠を年6万回から約10万回に増やすとしています。しかし、新経路は都心上空を通り、事故や騒音などが問題になっています。
「整備新幹線の着実な整備」として18年度と同額の755億円を要求。しかし、人件費や資材の高騰で工事費は上昇しています。予算編成の過程で工事費が増える恐れがあります。不要不急の国際コンテナ戦略港湾などの機能強化に20%増の1023億円を求めています。
民間の事業機会を拡大するとして、インフラ(社会基盤)システム輸出や、PFI(公共サービスの民営化)の推進を盛り込みました。インフラシステム輸出には43%増の31億円を要求。トップセールスの推進や企業への支援を行います。
PFIの推進には67%増の505億円を要求しました。浜松市では下水道事業の一部が民営化され、市民に不安が広がっています。



外環道の工事現場=2017年12月、東京都練馬区




ダム頼みの対策
西日本豪雨などで、切実に求められている水害対策には5273億円を要求しました。18年度当初予算比1・33倍に当たります。
ところがこの中には2023億円ものダム事業費が含まれています。西日本豪雨では記録的な降水量により、愛媛県の野村ダム、鹿野川ダムで貯水量の6倍もの緊急放流をおこなったことで、肱川(ひじかわ)が氾濫し、犠牲者を出す甚大な被害を引き起こしました。ダムにたよった治水対策の限界を示しています。堤防強化、河川掘削など河川改修を優先、充実させるため、十分な予算額を確保すべきです。
そのほか、土砂・火山災害対策に25%増の958億円、南海トラフ巨大地震など大規模地震対策は30%増2189億円、インフラ老朽化対策には21%増の5440億円を求めています。
災害復旧費は544億円。東日本大震災復興特別会計には4577億円を要求。いずれも18年度と同額です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月19日


国土強靭化、都市基盤の整備というなら、生活に密着した砂防ダムとか河川堤防、浚渫などに取り組むべき。関西国際空港も、本格的なかさ上げ工事も必要だと思う。

2019年概算要求の焦点① 税財政 消費税増税にらみ軍拡

2018-09-19 21:49:24 | 経済・産業・中小企業対策など
2019年概算要求の焦点① 税財政 消費税増税にらみ軍拡
2019年度予算編成に向けた各省庁からの概算要求と「税制改正」要望が8月末に出そろいました。第2次安倍晋三内閣成立以降、概算要求段階から予算編成を行うのは6度目です。特徴をみます。

19年度の概算要求の一般会計総額は102兆7658億円と過去最高です。100兆円を超えるのは5年連続。安倍晋三政権が19年10月に狙う10%への消費税率引き上げに対応する「景気対策」については、概算要求と別枠で検討することになっており、実際の要求額がさらに膨らむのは確実です。



「消費税10%中止」を訴えデモ行進する人たち=9月9日、大阪市・御堂筋



米から高額兵器
財務省の資料によると要求額を最も増やしたのは国土交通省です。18年度当初予算に比べ1兆1258億円増やし、7兆677億円。公共事業関係費は6兆1736億円です。西日本豪雨や北海道地震など自然災害が相次ぎ、復興・復旧や防災・減災が緊急に求められる中、不要不急の大型公共事業の伸びが目立ちます。
軍事費は7年連続で前年度を上回る5兆2986億円を要求。5年連続で過去最大を更新しました。しかも概算要求では米軍再編関係経費などが「事項要求」として金額が明示されていません。18年度予算では2200億円程度が計上されており、合わせると5兆5000億円を超える規模になります。
軍事費を押し上げている要因の一つは、米国政府から購入する高額兵器が増えていることです。米国政府からの武器購入(有償武器援助目FMS)契約の要求額は6917億円と18年度予算額の4102億円から68・6%増という異常な伸びです。陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の取得経費として2352億円を要求。18年度に続き、F35Aステルス戦闘機や無人偵察機グローバルホークなどの購入も盛り込んでいます。
社会保障分野では自然増を、高齢化の進展による6000億円にとどめました。安倍政権は、16~18年度の社会保障費の自然増を5000億円以内に抑制してきました。今年の「骨太の方針」でも額こそ示さなかったものの、自然増抑制路線は変わっていません。

優先枠に4兆円
19年度予算には「新しい日本のための優先課題推進枠」が設けられています。これは「生産性革命」など安倍政権が目玉としたい課題への予算要望を受け付けます。各省庁から計4兆3175億円の要望が寄せられました。内閣官房の内閣衛星情報センターは、いわゆるスパイ衛星である情報収集衛星の機能拡充・強化対策として197億円を要望しています。
各省庁から19年度税制「改正」要望も出されました。消費税増税をにらみ、住宅ローン減税の拡充や車体課税の見直しなどが盛り込まれています。消費税は低所得者ほど重い負担を押し付けます。国民生活の困窮と景気悪化は必至です。
大企業を優遇する研究開発減税の拡充も盛り込まれています。(つづく)(9回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月18日付掲載


19年度予算には「新しい日本のための優先課題推進枠」に4兆円。「生産性革命」に割り当てるというから、おのずと限られた省庁になる。

北海道地震 謎だらけブラックアウト 停電回避システム、突然停止なぜ

2018-09-17 08:41:35 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
北海道地震 謎だらけブラックアウト 停電回避システム、突然停止なぜ
発生1分後苫東厚真停止 17分後全発電所で


6日未明に起きた最大震度7の北海道地震で、道内のほぼ全域の約295万戸が停電となった「ブラックアウト」。しかし、地震の発生からブラックアウトに至った詳しい経緯について、政府も北海道電力も明らかにしていません。



地震が発生したのは6日午前3時7分。当時、震源に近い苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(3基、出力計165万キロワット)が、約300万キロワットの道内の需要の半分を賄ってフル稼働していました。
1分後の同8分、2号機(60万キロワット)、4号機(70万キロワット)が地震の揺れを感知して緊急停止しました。計130万キロワットの電源が失われたため、道内の一部地域を強制的に停電させて需要を減らすなどして需給バランスを取り戻す対応を実施。さらに地震前から本州から北海道に電力を融通していた送電設備「北本連系線」を通じて最大容量の60万キロワットまで送られていたといいます。苫東1号機(35万キロワット)は、2、4号機停止後も17分間稼働を続けていました。

6日午前3時7分 地震発生
     同8分 苫東厚真2、4号機(計130万キロワット)が緊急停止
         北海道電力は一部地域で強制停電、本州から60万キロワットの送電
    同25分 苫東厚真1号機や他の発電所が止まり、本州からの送電もストップ。
         道内295万戸が停電する「ブラックアウト」。
         停止中の泊原発は外部電源を喪失し、非常用電源で使用済み核燃料を冷却



破損した苫東厚真火力発電所の2号機ボイラー管=6日午前、厚真町(北海道電力提供)


出火した苫東厚真火力発電所の4号機タービン=6日午前、厚真町(北海道電力提供)

しかし、同25分ごろに1号機は緊急停止します。同時刻、別の奈井江1号機(17・5万キロワット)、知内1号機(35万キロワット)、伊達2号機(35万キロワット)の火力発電所も設備が壊れるのを防ぐために自動的に止まりました。北本連系線も停電によって電源を失い送電できなくなり、道内全域が停電しました。泊原発の外部電源がすべて失われたのも3時25分でした。北電はこの時刻を「ブラックアウト」としています。
大規模停電を回避するシステムが一時的に機能していたようなのに、なぜ止まってしまったのかは不明です。
北海道電力はその後、地震の揺れを感知して停止したという苫東厚真火力の2号機で、高温の水蒸気が通るボイラー管11本が損傷していることを発表。タービンの先端部で火災があった4号機は、タービンの温度が高くて点検ができないため、点検は16日の週になるといいます。
2、4号機停止後も17分間稼働していた1号機にもボイラー管2本の損傷が見つかりました。見つかった損傷がいつ発生したものなのか。
当初、経産省と北電は、苫東火力の復旧見通しは1週間以上としていましたが、11日には、3基の復旧は11月以降の見通しだとしました。
北電は最大129万キロワットまで失われる想定で「訓練はしていた」といいます。訓練が生かされなかったのはなぜなのかも検証する必要があります。
政府は11日になって、北電や全国の電力需給調整を担う電力広域的運営推進機関に検証作業着手を指示するとしています。
(「電力」取材班)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年9月16日付掲載


たとえ苫東厚真の1号機も止まったとしても、送電を一部地域を止めることによって、伊達(70万KW)、知内(70万KW)、奈井江(35万KW)と本州からの融通の60万KWで半分以上の電力を確保。少なくとも全道ブラックアウトは避けられたのではということ。
訓練していたといけど、事故が起こった時に役に立たなければだめだね。