『仏教の名随筆 Ⅰ』
国書刊行会
平成18年6月20日 初版第一刷
葛飾中央図書館で借りてきた一冊を読んでいます。
岡本かのこ(明治22年~昭和14年)さんが、平成7年にラジオ放送での講話をまとめた、
『仏教の新研究』が大変面白いです。
つぎのような出だしの言葉です。
「仏教は古臭い宗教であるとまだ多くの人々に思われているようです。
仏教といえば直ぐ年をとった所謂善男善女か、葬式の時の読経かを思い出し、
浮世に用の無い閑僧までも連想されがちです。
こういう状態にあって、仏教の価値を説き、
仏教を直ちに生活の要素そしなければならないと云う意味を徹底させるのは実に難しい。
否、実に辛いことです」
岡本かのこさんは、あの大阪万博(太陽の塔)の制作者・岡本太郎さんの母上。
現在の日本国の実情は、昭和7年より一層、仏教離れであります。
実に残念な実情です。
ボクは、教師・スクールカウンセラーの仕事をしてきた者ですが、
仏教から多くのものを学び支えとしてきました。
先生方が、仏教に無関心なのが本当に残念だと思っています。
子ども達にとっても不幸な現実です。
また、カウンセリングの学びを重ねてきましたが、
カウンセリングで示しているところのモノは、ほとんどが仏教で語られているところのモノです。
「仏教は古いどころか常に新鮮である」
岡本かのこさんの言葉ですが、同感であります。
古いのは、仏教の方ではありません。
古いと感じてしまっている、
モノ・カネ至上の時代の流れにドップリつかった我々日本人の“鈍感さ”にあるように思います。