新宿の紀伊國屋ホールで、シス・カンパニー制作、北村想(1952~)作の『夫婦パラダイス~街の灯はそこに~』を見て来た。「夫婦」は「めおと」である。尾上松也、瀧内公美が主演カップルを演じている。『夫婦善哉』にモチーフを得た作品ということで、気になっていたところに安いチケットがあったので買うことにした。でも後ろの方の端の席で、それはそうだろうなあ。声は通っていたし、舞台もよく見えていたから良かった。休憩なしで1時間40分程度。19日まで上演。
ホームページからコピーすると、こんな話。「川の向こうは「パラダイス」。でも、こちら側は人生の吹き溜まり…。そんな川辺のスナックに、ワケアリのカップル柳吉(尾上松也)と蝶子(瀧内公美)が流れ着く。店のママ信子(高田聖子)は蝶子の腹違いの姉で、失踪中の亭主藤吉(鈴木浩介)を待つ身の上。近所の出前持ちの静子(福地桃子)や羽振りのいい常連客馬淵 (段田安則)もその姿は、とんと見たことがないという。スナック2階の屋根裏部屋に転がり込んだ二人だったが、この店にもなにやらワケアリの雰囲気が…。」これだけじゃ全然判らないが、要するに『夫婦善哉』との共通点は柳吉、蝶子の名前だけという感じ。
(主演の二人)
時代は昭和初期ではない。というのも「IRパラダイス」なる施設が河内に出来ている。そしてついに政府はカジノを作ったとかセリフで言ってる。そもそも大阪のIR予定地は夢洲なんだから、これは「近未来」というより「パラレルワールド」。と思ううちに、店の様子がどんどん変になっていき、河童や安倍晴明、蘆屋道満の葛の葉伝説などファンタジックになっていく。それはそれで面白いのだが、僕は『夫婦善哉』期待だから、何だかハシゴを外された感もした。観客のかなりは尾上松也ファンと見受けられ、見得を切ったりするシーンが受けていたが。この尾上松也、瀧内公美のコンビはなかなかはまり役で、今さら映画のリメイクは無理だろうが舞台版『夫婦善哉』を企画しても良い気がした。
ところで、もう一人「影の役者」がいて、それはナレーション。ちょっと古いセリフがあると、演技がストップして解説がある。これがおかしかったが、最後に明かされる声の主は高橋克実だった。段田安則、鈴木浩介など豪華な顔ぶれ。蝶子の姉(そんな人は原作にはいない)を演じた高田聖子(たかだ・しょうこ)は、「劇団☆新感線」で有名な人。出前持ちの福地桃子は短い出番の割りに印象的だった。知らなかったが、調べてみると哀川翔の娘だった。僕は瀧内公美がナマで見られて良かった。皆うまくて俳優を見る楽しみはあるけれど、ちょっと戯曲の「夢オチ」が納得出来なかった。
(出演者)
チラシを見ると、「日本文学へのリスペクトを込めた『日本文学シアター』シリーズが久々に復活」とある。僕は北村想を見てないので、そう言われても良く判らないが、そう言えば『銀河鉄道の夜』に想を得た戯曲があったのは覚えている。北村想は岸田国士戯曲賞や紀伊國屋演劇賞などを受賞してきた日本を代表する劇作家の一人である。名古屋で活動を始めたということもあるが、「小劇場ブーム」の劇作家は僕はあまり見てないのである。活躍し始めた時期が自分が働き始めた時期と重なっていて、多忙だったからだ。ということで、この世代のことは語りにくい。このように「夢か現か幻か」という作風なんだろうが、『夫婦善哉』からはどんどん離れて行くのだった。ラストの「頼みにしてまっせ」も逆に蝶子のセリフ。
(北村想)
秋は面白そうな舞台が幾つもある。映画の特集も行きたいのがいっぱい。展覧会もあるし、と言っていくと旅行や散歩が出来ない。その前に猛暑が何とかならないと元気が出ない。今日も猛暑日なんだけど、いつまで続くのか。それでも紀伊國屋ホールに行って、本の匂いに触れると元気が出る気がする。ま、ちょっと予想外の展開だったけど、役者が良かったから満足かな。
ホームページからコピーすると、こんな話。「川の向こうは「パラダイス」。でも、こちら側は人生の吹き溜まり…。そんな川辺のスナックに、ワケアリのカップル柳吉(尾上松也)と蝶子(瀧内公美)が流れ着く。店のママ信子(高田聖子)は蝶子の腹違いの姉で、失踪中の亭主藤吉(鈴木浩介)を待つ身の上。近所の出前持ちの静子(福地桃子)や羽振りのいい常連客馬淵 (段田安則)もその姿は、とんと見たことがないという。スナック2階の屋根裏部屋に転がり込んだ二人だったが、この店にもなにやらワケアリの雰囲気が…。」これだけじゃ全然判らないが、要するに『夫婦善哉』との共通点は柳吉、蝶子の名前だけという感じ。
(主演の二人)
時代は昭和初期ではない。というのも「IRパラダイス」なる施設が河内に出来ている。そしてついに政府はカジノを作ったとかセリフで言ってる。そもそも大阪のIR予定地は夢洲なんだから、これは「近未来」というより「パラレルワールド」。と思ううちに、店の様子がどんどん変になっていき、河童や安倍晴明、蘆屋道満の葛の葉伝説などファンタジックになっていく。それはそれで面白いのだが、僕は『夫婦善哉』期待だから、何だかハシゴを外された感もした。観客のかなりは尾上松也ファンと見受けられ、見得を切ったりするシーンが受けていたが。この尾上松也、瀧内公美のコンビはなかなかはまり役で、今さら映画のリメイクは無理だろうが舞台版『夫婦善哉』を企画しても良い気がした。
ところで、もう一人「影の役者」がいて、それはナレーション。ちょっと古いセリフがあると、演技がストップして解説がある。これがおかしかったが、最後に明かされる声の主は高橋克実だった。段田安則、鈴木浩介など豪華な顔ぶれ。蝶子の姉(そんな人は原作にはいない)を演じた高田聖子(たかだ・しょうこ)は、「劇団☆新感線」で有名な人。出前持ちの福地桃子は短い出番の割りに印象的だった。知らなかったが、調べてみると哀川翔の娘だった。僕は瀧内公美がナマで見られて良かった。皆うまくて俳優を見る楽しみはあるけれど、ちょっと戯曲の「夢オチ」が納得出来なかった。
(出演者)
チラシを見ると、「日本文学へのリスペクトを込めた『日本文学シアター』シリーズが久々に復活」とある。僕は北村想を見てないので、そう言われても良く判らないが、そう言えば『銀河鉄道の夜』に想を得た戯曲があったのは覚えている。北村想は岸田国士戯曲賞や紀伊國屋演劇賞などを受賞してきた日本を代表する劇作家の一人である。名古屋で活動を始めたということもあるが、「小劇場ブーム」の劇作家は僕はあまり見てないのである。活躍し始めた時期が自分が働き始めた時期と重なっていて、多忙だったからだ。ということで、この世代のことは語りにくい。このように「夢か現か幻か」という作風なんだろうが、『夫婦善哉』からはどんどん離れて行くのだった。ラストの「頼みにしてまっせ」も逆に蝶子のセリフ。
(北村想)
秋は面白そうな舞台が幾つもある。映画の特集も行きたいのがいっぱい。展覧会もあるし、と言っていくと旅行や散歩が出来ない。その前に猛暑が何とかならないと元気が出ない。今日も猛暑日なんだけど、いつまで続くのか。それでも紀伊國屋ホールに行って、本の匂いに触れると元気が出る気がする。ま、ちょっと予想外の展開だったけど、役者が良かったから満足かな。