尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

野党は臨時国会で実質審議を要求すべきであるー即時解散論批判

2024年09月13日 21時47分13秒 | 政治
 このブログではあまり(新聞の)「社説」みたいなことは書かないようにしている。読まれない記事の代表だし、時間が経つと書いた意味がなくなる。今までも単にニュースの感想みたいな記事はすぐ読まれなくなった。しかし、今日はそういう「社説」みたいな話。ひと月すれば意味がなくなるのは判っている。僕が書いても政治的な影響がないのももちろん判っている。

 もうすぐあると予想される「衆議院解散」の話である。9月12日に自民党総裁選が告示され、9人が立候補した。27日に新総裁が決まり、その後臨時国会が開かれる。そこで岸田内閣が総辞職して、新しい総理大臣指名選挙が行われる。衆参ともに与党が過半数を占めているので、自民党新総裁が内閣総理大臣に選出される。そこまでの流れは決められた道を進むだけである。
(公明党北側副代表の発言)
 その臨時国会召集日は、10月1日と予想されている。公明党の北側副代表が自民党からそう打診されたと記者会見で明かした。問題はそこからで、その後直ちに衆議院を解散すれば、最短で10月27日も可能になるらしい。誰が新首相になるか未定だが、世論調査では小泉進次郎、石破茂両氏への支持が多く、両氏が軸になると言われている。そして両氏とも早期に衆議院を解散して民意を問うと表明しているのである。まあ、要するに就任当初の人気・期待が消えないうちにやっちゃおうということだろう。

 しかし、そんなにすぐ解散・総選挙をしても、国民には選びようがない。思えば、前回2021年衆院選も岸田氏が新首相になってすぐに解散して行われた選挙だった。その前の2017年衆院選に至っては、9月28日に開いた臨時国会冒頭で安倍晋三首相が衆議院を解散したものだった。当時は森友・加計学園問題などで野党が安倍内閣を批判していて、憲法に基づいて野党が臨時国会を要求したが安倍内閣はずっと国会を開かず、ようやく開いたと思ったら何の審議もせずに解散してしまった。
(早期解散を明言する小泉進次郎氏)
 こういうことを繰り返して、「勝った勝った」と言って何の意味があるんだろう? ちゃんと新首相が「施政方針演説」を行い、代表質問を受ける。また「党首討論」も実施する。そんなタテマエみたいなことを言うより、選挙になればテレビやネットメディア、記者会などが党首討論会を聞くからそれで構わないじゃないか。そう思う人も多いだろうが、やはり国権の最高機関である国会は大切にしなくていけない。そういう場で語られる言葉を国民もきちんと注視するべきだ。

 そして、そんなことより何より「政治資金規正法」の再改正をさっさとやるべきだ。6月に決めたはずの「政治活動費の10年後公開」などを見直すべきだと総裁選立候補者があれこれ言っている。立憲民主党代表選立候補者が軒並み批判しているが、「今頃言うな」である。あまりにもふざけた話だと思わないか。野党は皆与党案は不十分だと言っていた。「維新」なんて、政活費を見直すことで合意したつもりで衆院では与党案に賛成したぐらいだ。しかし、参院段階でも協議が進まず(自民党にやる気が見られず)今度は参院で反対に回った。そんなドタバタ劇があったことを覚えているだろうか。

 自民党新総裁が再改正をすると言うなら、野党はもともとそう言ってるんだから、選挙をする必要がない。与野党で直ちに合意して、政治資金規制法を再改正するべきだ。3週間もあれば出来るだろう。野党はまとまって「臨時国会で政治資金規正法を再改正するべきだ。応じないなら、総理大臣指名選挙に協力しない」と通告すればよい。自民党がそれに応じないとしても、最低限、党首討論を実施させる必要がある。応じないなら、自公だけで首相指名をせよ、野党は欠席すると言うべきだ。

 衆議院を解散して総選挙を実施した場合、憲法の規定で「選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない」(特別国会)と決められている。しかし、今回は自民党の都合で首相が変わるだけである。確かに「辞めると決まっている首相」をいつまで放っておくのは、「国益に反する」かもしれない。だけど、憲法上は臨時国会はいつやってもよく(だから自民党はいつも要求に応じず延ばしてきた)、辞めるはずの岸田内閣がそのままやっていても問題ない。

 「国会できちんと論戦を交わしてから解散せよ」。これは無理な話でもなんでもなく、正論すぎて書くのが恥ずかしいぐらいだ。内閣総理大臣が施政方針演説もせずに選挙をするようなことが当たり前になってはまずい。「コスパ」「タイパ」なんて言葉ばっかり流行って、きちんと議論することが世の中全体に少なくなっている。話し合いをほとんどせずに、「さっさと決めよう」が世の中の当たり前になってはいけない。こんなことを書きたくないんだけど、やはり書いておかねばと思う。

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