11月28日に、有楽町の朝日ホールで桂二葉の落語を聴いてきた。6月に行った時のことは、『桂二葉チャレンジ!!2』、桂二葉の才能とエネルギーに感嘆』に書いた。すごく面白かったので、今回は夫婦で出掛けようと思ったが、2枚希望にしたらチケットぴあの抽選に当たらなかった。その後のセカンドチャンスでも落選して、もう行けないのかなと思ってたら、2週間ぐらい前に、ラストチャンスなるメールが来た。それに当たったわけだが、かなり大きな朝日ホールの最後列だったので遠かった。
桂二葉はマクラがものすごく面白いけど、今回は「探偵!ナイトスクープ」の話がおかしかった。最近はいろんな仕事をしてるけど、その一つが「探偵」とか言って笑わせる。大阪のテレビ番組で、東京では大手放送局ではやってないので評判は聞いてるけど見たことはない。番組に来た相談を「探偵」が解決するという趣向で、二葉が最近担当したのは「人生は生きてるだけで素晴らしいのか」という相談だそう。仕事で失敗が多く、同僚に相談したらそう言われた。それは果たして本当なのか。
大阪のあちこちでいろんな人にインタビューした後、「ディベート部」が強い進学高校に行ったという。そして「人生は生きてるだけで素晴らしい」「そうは思わない」の二派に分れて大討論を喧々諤々。果たして結果はどちらが勝ったのでしょうというところで、それは来週のオンエアで。これは何だか見たくなってきた。しかし、首都圏ではなかなか見られないんだけど…。
さて、この落語会シリーズは、長講をネタ下ろしすることが売りで、今回は「しじみ売り」と公表されている。ちなみ来年4月のファイナル公演は「百年目」をやるそうだ。「しじみ売り」は子どもながらしじみを売り歩く男の子に一体何があったのか。そこには掛けた情けがあだになった悲劇が隠されていた。買ってくれと言われた親分は、全部買い取ってしじみを川に放すとともに事情を聞き取っていく。鼠小僧次郎吉の人情ものなんだけど、案外寒々しい話なので熱演に関わらず、今ひとつ乗れないなあ。
そこでゲストの柳家三三。寄席にもよく出ているが、東京でも今一番脂が乗ってる何人かの一人だろう。歯切れの良さと勢いで、満座を引きずっていく。「締め込み」という噺で、明るい泥棒もの。留守の家に上がり込んで空き巣を働こうと、風呂敷を広げて着物などを包んでいく。そこへ八五郎が帰ってきて、やむなく床下に隠れていると、主人が風呂敷を見つけて、さては女房が浮気して家出しようとしていると早合点する。そこに女房が帰ってきて、壮絶な夫婦げんかになってヤカンを投げつけると、お湯が床下の泥棒にかかってしまう。思わず出て来た泥棒が仲裁に入ってしまう…。良く出来た噺だが、ケンカ場面が圧倒的に面白かった。
仲入をはさんで、再び桂二葉の「池田の猪買い」。上方落語なので、東京ではほとんどやらないだろう。何しろ薬と思って、猪の肉を買いに行くが、その行き先が大阪北部の池田という。池田と言えば戦国時代に荒木村重の本拠地だったところだが、大阪でも北部で山の方は高給住宅地になってるらしい。この噺では、大阪で猪(誌誌)と言えば池田と言われている。ともかくとぼけた掛け合いが抜群。特に買いに来た男と猟師が雄を撃つか雌を撃つかで、揺れるところがおかしかった。
その後、二葉と三三のトーク。マクラから、二人ともトークが苦手で、今までもやってるけど黙ってしまうから、どうなるやらと気を持たせていた。二葉がネタ下ろしはどう練習するかと聞いたら、一度ノートに書き写すと8割方覚えてると答えた。映像記憶で残っているので、頭の中でノートを見るような感覚でやるという。これには二葉さんもビックリ。歩きながら覚えると言ったら、三遊亭白鳥が職質を受けたとか返して笑えた。まあ、今回も面白かったから次回も是非行きたいなと思った。
今年前半は落語協会百年行事もあって、ずいぶん寄席に行ってたけど、8月に浅草へ行ったあとずっと行ってなかった。暑いと長丁場の寄席は厳しい。この会は終わりが9時半過ぎになるので、帰りが遅くなってしまう。たまには夫婦で久しぶりの外食も美味しかったけど。
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