尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

指宿温泉白水館の元禄風呂と砂蒸しー日本の温泉⑲

2022年07月25日 21時01分34秒 |  〃 (日本の山・日本の温泉)
 鹿児島県の薩摩半島南端にある指宿温泉は、温泉の中でも難読地名のトップ級だろう。「いぶすき」と読めない人に何人か会ったことがある。直木賞作家の山本一力は、若い時に旅行会社に勤めていて客から「いぶすき温泉」を取ってくれと言われた時に、全然知らなかったと書いていた。いろいろとパンフなどを調べて、「扱ってないですね」と言ってしまったという。漢字の読みを知らなかったのである。もっとも「熱海」とか「鬼怒川」なんかも、知らなきゃ正しく読めないだろう。

 今まで小さな秘湯を取り上げることが多かったので、2回ほど大旅館を書きたい。大旅館を避けてきたわけじゃなく、時々は行っている。本当に若い頃は、国民宿舎や民宿、ユースホステルなどに泊まって旅行したが、そのうち少し余裕が出来てくると「たまの贅沢」をしても良いかなと思うようになった。でも、勇んで予約した大旅館に行ってみると、案外つまらない。部屋は大きいし、食事の品数は豊富だけど、それだけみたいな宿が結構多かった。特にいつまでも女将が見送っていたりする宿が困る。車だと車内整理とか、宿周辺の散歩、写真撮影をしたいのに、ずっと入口で立っている。もう引っ込んでくださいという感じ。
(指宿白水館の元禄風呂)
 ところで指宿温泉だけど、開聞岳に登りに行った時に泊まって気に入って、また行ったところである。1回目は指宿いわさきホテルに2泊。ここも素晴らしいんだけど、2回目にはたまに大旅館と思って、「白水館」にした。ここの名物の「元禄風呂」と名付けた「江戸時代を再現」という巨大な風呂がすごい。とにかく広くて豪華。そりゃまあ、宿賃は高いけど、十分満足だった。指宿温泉は湧出温度82℃のナトリウム塩化物泉だという。湧出温度はもっと高温もあるらしいが、泉質は同じ。大露天風呂は他にもあるけれど、内風呂の大きさと満足度ではここが一番だった。
(白水館全景)
 ところで指宿温泉と言えば、言わずと知れた「砂むし」が名物である。「指宿砂むし会館」という立ち寄りがあるから、誰でも入れる。だけど、ちょっと大きな旅館・ホテルには自分のところに「砂むし」の施設がある。チェックインした後に外出するのは面倒なので、指宿で大旅館を取ったのは、中で砂むしもやれるところという目的がある。
(指宿砂むし会館)
 「砂むし」というのは、浴衣だけになって熱い砂を掛ける温浴である。首にタオルを巻いて横たわると、係の人が砂を掛けてくれる。砂が熱いのは下から地熱で温まっているからで、50度ぐらいになるという。だから、裸のままで砂に埋まると熱くてやけどする。だけど体の奥の方から温まって発汗して、体内の毒素が全部出ていくような快感は他では得られない。独自の入浴法があると大体試してみる。砂むしに似たようなのは他にもあるけど、指宿の砂むしが一番趣があって面白い。
(指宿いわさきホテル)
 最初に泊まった指宿いわさきホテルも大満足の宿だった。岩崎グループは鹿児島を中心に観光、交通業を展開している。一時は首都圏にも進出していたが、現在はホテルとしては指宿屋久島種子島に集中している。(昔行って面白かった伊豆南端の石廊崎ジャングルパークも岩崎がやっていたと今知って驚き。)南国リゾートムードの大ホテルで、隣に美術館を併設している。そういう宿も時々あって、創建者が美術マニアで収集品を展示しているのである。温泉に入ってアートに浸るのも一興。指宿温泉は高いところばかりではなく、民宿、ペンション、休暇村など周辺を入れて40軒以上の宿がある大温泉地で価格もそれぞれ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 音楽関係4団体の自民候補支持... | トップ | 『生と死と愛と孤独の社会学... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

 〃 (日本の山・日本の温泉)」カテゴリの最新記事