尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

公選法改正、「ネット事前運動」や「戸別訪問」の解禁も議論を

2024年07月19日 21時47分03秒 |  〃  (選挙)
 都知事選関連の問題はもっと考えるべきことがある気がしてる。結局それは「東京一極集中」という問題になる。まあ、そのことは後に回して、先に公職選挙法(公選法)の改正問題を考えてみたい。自民、公明両党は改正に向けた議論を始めていて、秋の臨時国会の大きなテーマになるだろう。「つばさの党」事件や「ポスター掲示板販売」問題が起こった以上、それらの明らかに選挙をおかしくする行為を禁止するのは当然だ。ついでに「政党その他の政治団体は、各選挙の当選者定数を越える候補者を公認することはできない」というルールも作って欲しいところだ。

 しかし、そういう「禁止事項を加える」だけでなく、この際「選挙運動の自由」を大幅に拡大するべきだと思う。まず日本の選挙運動期間は非常に短い。アメリカの大統領選なんか、常にガンガン議論している。まだ民主、共和両党の候補を決める段階だけど、事実上「事前運動」をずっとやってる。それが良いかどうかはまた別だが、衆議院選が12日参議院選と知事選が17日は明らかに短すぎる。多くの人が休日の土曜、日曜が(告示の曜日にもよるが)1回か2回しかない。これで議論が活発になるはずがない。だから、普段から顔と名前を売っている現職が出る場合、新人が勝つのはとても難しいのである。

 だけど、実際の選挙運動が長すぎるのも困る。選挙カーが回ってくると騒音だし、燃料代も公費負担である。だから実際の選挙運動は今と同じ期間でもいいけど、ネット上の運動なら告示日なんか関係ない。「次の選挙に立候補します」とネット上で宣言することに何か問題があるだろうか。都知事選なんか「後出しジャンケン」なんて言われて、誰が出馬するのかなかなか判らない。そして選挙期間中もほとんど議論がない。逆に早く立候補を表明して、どんどんネット上で支持を広げる戦略もアリではないか。インターネットの使い方に関しても、上記画像にあるように「SNS」は可なのに、電子メールは不可など、不可解なルールが存在する。こんなバカげたルールは意味不明。何を使っても良いが、他候補への根拠無き非難などを刑事罰で禁止する規定の方が必要だろう。
(ネット選挙の現状)
 一方で、「マスコミの公平性」も緩和するべきだ。今回明らかに小池、石丸、蓮舫3候補が大量得票が見込まれた。(新聞やテレビ局は世論調査をしてるんだから、事前に承知している。)だから、3氏の討論会をやって欲しいわけだが、小池知事が「公務優先」を理由にして出ないということで、実現しなかった(と言われる)。でも、「蓮舫対石丸」の討論会でいいから、テレビや新聞、ネットメディアでやって欲しかった。終わってから石丸氏を各番組に呼ぶんじゃなく、選挙期間中にもやれば良い。他の候補が不公平だと言うだろうが、多少は知名度がある候補数人に5分程度のアピール時間を確保すれば十分だ。

 もう一つ「戸別訪問」の問題もある。もともとなんで禁止なのかというと、「買収が起こりやすい」からと言われる。また労働組合が支持する革新党が有利になることも保守陣営は心配したんだろう。でも今じゃ誰が録音録画しているか判らない。迷惑な戸別訪問をする陣営は、録音がネットに掲載されてあっという間にネットで叩かれるに決まってる。確かに今戸別訪問を解禁すれば、公明党(創価学会)や共産党の支持者がやって来て、支持者じゃない人には迷惑もあるだろう。でも嫌なら嫌で、ビラだけ受け取って帰って貰えば良い。支持しない政党のビラでも貰って読むべきだろう。
(戸別訪問と個々面接の違い)
 理解出来ないルールが残り続け、選挙運動期間も少ない。これでは盛り上がるわけがない。僕は街で選挙運動を見る機会が非常に少ない。ほとんど誰とも会わないのを覚悟している。いつもそうだからである。もっとも今回は都議補選の候補者の演説は二人とも聞いた。(立憲民主と自民から出た。)地元密着の選挙なら、運動にもぶつかるのである。しかし、住民が1400万もいて、離島もある東京都の知事選では、候補者を見る機会が少ない。業界団体や労働組合、宗教団体などに参加している人は今とても少ない。誰からも働きかけがないなら、選挙の投票率が下がるのも当然だろう。自分で調べて投票に行く人ばかりじゃないんだから。以前書いたことと重なる論点もあるが、あえてまた書くことにした。
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