2024年7月7日の都知事選に合わせて、9箇所で都議補選が実施された。2021年の都議選以後に死亡、辞職などで欠員が出た地区で、来年7月までの任期の補欠選挙が行われたのである。それぞれの地区で選挙になった事情が異なるので、全都的、全国的な影響度は一概には言えない。しかし、結果として(8地区で擁立した)自民党が2勝6敗だった。自民党への逆風は間違いないが、では野党へ追い風が吹いているのだろうか。その問題を点検してみたいと思う。
(都議補選結果)
まず「欠員」前の所属政党を見ると、自民党5人、都民ファーストの会2人、無所属2人だった。今回の補選の当選者は、都民ファースト3人、自民党2人、無所属2人、立憲民主党1人、諸派1人である。自民党が3人減ったのは間違いないけれど、明確に野党に所属している当選者は1人だけ。今回は都知事選と一緒に行われたが、もし都議補選だけだったら投票率は劇的に低かっただろう。知事選に行ったら、ついでに都議補選の投票用紙も渡されたから、誰かに投票するわけだ。(都議補選だけ棄権することも可能なんだけど、投票所では事実上投票を前提に紙を渡される。棄権または白紙投票も可と告知するべきじゃないか。)
(都議補選、議席の推移)
今回「都民ファーストの会」が4人立候補して、そのうち3人が当選した。それは知事選で小池百合子氏が当選したのと連動している。知事選で「小池」と書いた人がどの地区でも最多なんだから、ついでに補選があると「都民ファースト」に入れる。そういうことじゃないか。北区補選は前回トップ当選の山田加奈子(自民党)が区長選に出て当選したために行われた。自民、都民ファースト、共産、維新が出て、都民(5万8千)が当選、自民(4万4千)、共産(3万)、維新(2万6千)の順。自民出身の区長がいても、自民は落選。しかし、「共産」「維新」は「非自民」の受け皿になれないことが判る。
一方、隣の板橋区では唯一都民ファーストの会が4位で落選した。当選したのは自民(9万1千)で、共産(6万2千)、維新(5万2千)、都民(4万5千)の順番。共産も維新も前回都議選より大幅に得票を増やしているが、自民には及ばなかった。ここで都民ファーストの会が大敗したのは、恐らく前職の辞職理由にあると思う。3年前に3位で当選した議員が、選挙運動期間中に無免許状態で運転していたことが発覚したのである。この時の対応に有権者が今も納得していないのではないか。有効投票数を調べると、知事選は27万、都議補選は25万と2万票も違う。都民、自民、共産、維新いずれも入れたくないということだろう。では立憲民主党は出ないのか。3年前に当選した現職議員がいて、来年には改選だから出なかった。
板橋区の当選者は自民党だが、3年前に6位(定数5)で落選した元議員だった。もともと知名度があり、同情票も期待出来た。それでも立憲民主党との一騎打ちなら当落は判らなかっただろう。しかし、野党代表が共産党だった場合は、反自民票は結集しないのが現実である。 江東区では4人中4位、中野区では4人中3位だった。板橋区で2位というのは健闘した方なのである。「維新」は国会で自民党と協力したり(反発したり)、「反自民票の受け皿」には向かない。関西はともかく、東京では共産党の方が地力があるということだろう。逆に「一騎打ち」になったところを見る。
八王子市は萩生田光一元政調会長の地元である。裏金問題で役職停止1年になったものの、それは党中央のことで地方組織は別だと言い張って自民党都連会長を続投している。補選では自民党は市議の馬場貴大氏を擁立したが、10万票弱で落選。当選したのは諸派の滝田泰彦氏(14万4千票)と4万票以上の差が付いた。滝田氏は2017年に都民ファーストの会から当選して1期都議を務めた。3年前に落選して、「新時代の八王子」から出馬したが実質無所属だという。立民、共産は現職がいるから候補を立てず、結果的に「非自民票」の受け皿となったわけである。この間市長選にも出たということで、知名度もあったのだろう。
(八王子の都議補選結果)
もう一つ、自分の地元の足立区でも立憲民主党の銀川ゆい子(141,326票)が自民党の榎本ふみ子(140,564票)をわずか762票差で振り切って当選した。僕はもう少し差が付くかと思っていたのだが、やはり足立区は自民党、公明党の基礎票が強い。それでも立憲民主党が勝ったのは、区議選で知名度があった候補だったこともあるが、要するに「反自民票が立憲民主党に集まった」ということだろう。なお、多摩地区の府中市も自民党が当選したが、他に無所属候補が2人立っていて、合計すれば自民候補を上回る。国政野党が候補を立てなかった理由は不明。
東京の政治風土が全国と同じとは言えないだろう。しかし、今回の選挙結果を見ると、有権者の「反自民党感情」は強いように思う。だから仮に「維新から共産まで」の候補者調整が行われた場合、自民党(と公明党)は政権を失うのではないか。しかし、そんな選挙協力は不可能である。もしあり得るとしても、「立憲民主党と国民民主党」、「立憲民主党と共産党」のブリッジ共闘とも言えない、「勝手に選挙区調整」ぐらいだろう。だけど、その場合候補が立憲民主党の場合のみしか機能しない。ということで、小選挙区で「乱立」するから、自民党は結構当選する。という衆院選結果を都議補選は予告しているのではないか。
(都議補選結果)
まず「欠員」前の所属政党を見ると、自民党5人、都民ファーストの会2人、無所属2人だった。今回の補選の当選者は、都民ファースト3人、自民党2人、無所属2人、立憲民主党1人、諸派1人である。自民党が3人減ったのは間違いないけれど、明確に野党に所属している当選者は1人だけ。今回は都知事選と一緒に行われたが、もし都議補選だけだったら投票率は劇的に低かっただろう。知事選に行ったら、ついでに都議補選の投票用紙も渡されたから、誰かに投票するわけだ。(都議補選だけ棄権することも可能なんだけど、投票所では事実上投票を前提に紙を渡される。棄権または白紙投票も可と告知するべきじゃないか。)
(都議補選、議席の推移)
今回「都民ファーストの会」が4人立候補して、そのうち3人が当選した。それは知事選で小池百合子氏が当選したのと連動している。知事選で「小池」と書いた人がどの地区でも最多なんだから、ついでに補選があると「都民ファースト」に入れる。そういうことじゃないか。北区補選は前回トップ当選の山田加奈子(自民党)が区長選に出て当選したために行われた。自民、都民ファースト、共産、維新が出て、都民(5万8千)が当選、自民(4万4千)、共産(3万)、維新(2万6千)の順。自民出身の区長がいても、自民は落選。しかし、「共産」「維新」は「非自民」の受け皿になれないことが判る。
一方、隣の板橋区では唯一都民ファーストの会が4位で落選した。当選したのは自民(9万1千)で、共産(6万2千)、維新(5万2千)、都民(4万5千)の順番。共産も維新も前回都議選より大幅に得票を増やしているが、自民には及ばなかった。ここで都民ファーストの会が大敗したのは、恐らく前職の辞職理由にあると思う。3年前に3位で当選した議員が、選挙運動期間中に無免許状態で運転していたことが発覚したのである。この時の対応に有権者が今も納得していないのではないか。有効投票数を調べると、知事選は27万、都議補選は25万と2万票も違う。都民、自民、共産、維新いずれも入れたくないということだろう。では立憲民主党は出ないのか。3年前に当選した現職議員がいて、来年には改選だから出なかった。
板橋区の当選者は自民党だが、3年前に6位(定数5)で落選した元議員だった。もともと知名度があり、同情票も期待出来た。それでも立憲民主党との一騎打ちなら当落は判らなかっただろう。しかし、野党代表が共産党だった場合は、反自民票は結集しないのが現実である。 江東区では4人中4位、中野区では4人中3位だった。板橋区で2位というのは健闘した方なのである。「維新」は国会で自民党と協力したり(反発したり)、「反自民票の受け皿」には向かない。関西はともかく、東京では共産党の方が地力があるということだろう。逆に「一騎打ち」になったところを見る。
八王子市は萩生田光一元政調会長の地元である。裏金問題で役職停止1年になったものの、それは党中央のことで地方組織は別だと言い張って自民党都連会長を続投している。補選では自民党は市議の馬場貴大氏を擁立したが、10万票弱で落選。当選したのは諸派の滝田泰彦氏(14万4千票)と4万票以上の差が付いた。滝田氏は2017年に都民ファーストの会から当選して1期都議を務めた。3年前に落選して、「新時代の八王子」から出馬したが実質無所属だという。立民、共産は現職がいるから候補を立てず、結果的に「非自民票」の受け皿となったわけである。この間市長選にも出たということで、知名度もあったのだろう。
(八王子の都議補選結果)
もう一つ、自分の地元の足立区でも立憲民主党の銀川ゆい子(141,326票)が自民党の榎本ふみ子(140,564票)をわずか762票差で振り切って当選した。僕はもう少し差が付くかと思っていたのだが、やはり足立区は自民党、公明党の基礎票が強い。それでも立憲民主党が勝ったのは、区議選で知名度があった候補だったこともあるが、要するに「反自民票が立憲民主党に集まった」ということだろう。なお、多摩地区の府中市も自民党が当選したが、他に無所属候補が2人立っていて、合計すれば自民候補を上回る。国政野党が候補を立てなかった理由は不明。
東京の政治風土が全国と同じとは言えないだろう。しかし、今回の選挙結果を見ると、有権者の「反自民党感情」は強いように思う。だから仮に「維新から共産まで」の候補者調整が行われた場合、自民党(と公明党)は政権を失うのではないか。しかし、そんな選挙協力は不可能である。もしあり得るとしても、「立憲民主党と国民民主党」、「立憲民主党と共産党」のブリッジ共闘とも言えない、「勝手に選挙区調整」ぐらいだろう。だけど、その場合候補が立憲民主党の場合のみしか機能しない。ということで、小選挙区で「乱立」するから、自民党は結構当選する。という衆院選結果を都議補選は予告しているのではないか。
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