尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「悪夢のような」小泉進次郎首相、誕生?ー自民党総裁選②

2024年08月24日 22時13分05秒 | 政治
 2024年自民党総裁選について、今年になってから2回書いている。岸田首相に解散・総選挙に踏み切る力はなく、9月の総裁選までは延命するだろうが再選は無理。そこまでは誰でも予測可能だが、じゃあその後は誰が新総裁になるのか。3月13日の『それで岸田内閣は結局どうなるのかーやはり9月に辞職か?』では上川陽子外相を一番手に予想していた。6月27日の『「石破首相」の可能性はあるかー2024自民党総裁選はどうなるか?』では、これまで議員票が集まらないため当選は無理と考えていた石破茂氏の可能性も出て来たのではないかと書いた。どっちでも小泉進次郎議員のことには触れてない。

 ところがどうやら小泉進次郎元環境大臣が総裁選に出馬すると報道されている。僕が今秋に小泉政権を予想しなかったのは、さすがにそこまで「身の程知らず」とは思わなかったからである。小泉氏は人気も知名度も高いが、まだ環境相しか経験していない。その時もどうも理解できない言動が見られた。河野太郎氏が高圧的で丁寧に説明をしないのと似ているが、小泉進次郎氏には説明するだけの言語能力が不足しているのようなときが多かった。単なる「世襲」を越えた4代目にもなると、こういう人物が出て来るのかと僕なんかは思ってしまう。
(出馬予定の小泉進次郎氏)
 小泉進次郎氏は前回河野太郎氏を支援し、「小石河連合」と呼ばれた。だから、今回もし出馬せず石破氏か河野氏の応援に回っても何の不思議もない。その結果誰が当選したとしても、選挙応援の顔が欲しい次期政権では重要閣僚、または党三役に就任できるのではないか。一方いくら小泉進次郎首相でも次の選挙は厳しいと予想される。そんな「修羅場」はベテランに任せ、問題を起こすことが多かった「安倍チルドレン」を「精選」して、重要閣僚をこなした後で総理の座を目指しても年齢的には全然遅くない。

 僕は自分の常識でそう考えていたわけである。しかし、自分の常識を越えた人たちがやはり自民党にはいるのだ。小泉進次郎氏を「勘違い」させているのは、菅義偉前首相である。菅氏が官房長官あるいは首相だったときの国会答弁、記者会見なども、何だかよくわからないことを言っていた。言ってる内容に賛成、反対という前に、言ってることが理路整然としていないのである。そういう菅氏だからこそ、同じ自民党神奈川県連というだけでなく、小泉進次郎氏とは「似たもの同士」なのかもしれない。
(総裁選出馬を取り沙汰される人々)
 しかし、同じ神奈川と言えば河野太郎氏も神奈川県連所属である。だが前回は支援した河野氏が今も麻生派を脱退しないのが菅氏には不満なんだという。確かにそれは僕もどうかと思うが、麻生副総裁も「派内の河野が出れば推すのが筋」という理由で茂木幹事長の支援要請を断ったらしい。派閥が解散したと言っても、実は皆旧派閥単位で動いている人が多い。そうじゃない人がいると目立つけど、河野氏からすれば「あえて麻生派を脱退する理由がない」ということか。あるいは父親の河野洋平が創設したグループなんだから、自分こそルーツなんだという意識かもしれない。麻生派内にも様々な考えがあって、河野氏以外の支援に回っている人もいるようだが、それでも推薦人確保には派閥も有効と考えているのだろう。

 そのため菅氏は他の候補を求めて、自分に近い小泉進次郎氏を支援するようだ。政策なども菅氏のグループがまとめているらしい。菅氏も小泉氏も「無派閥」だが、「選挙互助会」の派閥なんて小泉進次郎には必要ない。落ちる心配がないから誰かの下で「雑巾掛け」する意味もない。菅氏も「派閥の弊害」を真剣に考えていたら、自民党最大派閥だった「安倍派」の安倍元首相を支えた意味がわからない。僕は菅氏を「無派閥」と見るのは間違いだと考えている。確かに派閥化はしなかったが、菅氏は関係が深い議員と「勉強会」などを組織してきた。事実上「菅派のトップ」と考えた方が正確だと思う。

 総裁選が始まれば、各マスコミでも討論会などが開かれるだろうが、そこで小泉氏が何を語るだろうか。「失言」あるいは「不適切発言」が出て来て急失速する可能性もないではない。だが何とか無難に乗り切れば、党員票を集めて2位には入って来る可能性が高い。そうなると当選可能性が高く、「小泉進次郎政権」誕生の可能性を考えておかないといけない。でもそれって「悪夢のような」(©安倍晋三)ものではないだろうか。ホントに有権者は「セクシー」な小泉進次郎政権を歓迎してしまうんだろうか。

 それとも21世紀に二度目の小泉政権は、カール・マルクスの言う「歴史は繰り返す。 一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」(『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』)となるのだろうか。父親は「自民党をぶっ壊す」と言って大勝利した。次男のもとで本当に壊れるのかもしれないが、それならそれで歴史的意味があるというべきか。

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