my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ハマスホイとデンマーク絵画@東京都美術館と、ハマスホイの時間@ヒナタノオト

2020-02-14 16:52:35 | 好きなもの・美術館や展覧会

2月最初の日曜日、東京都美術館で開催されている
ハマスホイとデンマーク絵画展に、夫とともに出かけてきました。




前回、ハマスホイの絵が来たのは、ちょうど12年前。
(その時はハンマースホイという表記でした)
同じく上野の、国立西洋美術館へ、当時小学生だった娘も連れて
3人で観に行ったことをよく覚えています。(その時のログは
それから、干支が一巡し、娘も24歳になりました。自分たち家族のことを
照らし合わせてみても、なんだかそれだけで思い出深いです。

私にハマスホイを教えてくれた友が、開幕後すぐに観に行っていたので、
「どうだった?」と、訊いたところ‥4番目のハマスホイの部屋への入口が
とてもよかった。それと、グッズショップが健司さんそのもの。と、
教えてくれたのでした。

友と健司さんのことは、どうぞこちらのリンク先で読んでください→


今回の展覧会は1章~4章に分かれていて‥順番に観ていくと、ハマスホイが
師事していた方の絵とか、当時のデンマーク絵画界のムーブメントとか、
印象派との繋がりなんかも、わかるようになっていて、そして最後の
4章目のドアの向こうに(実際の会場に扉はありませんが)、ハマスホイの
絵があるという構成になっています。

入口。
とてもとてもすてきでした。これから行かれる方は、ぜひ心して立ち止まって
くださいませ(笑)。

そして、忘れてならないのは、今回、本物の、あの「パンチボウル」が
来ているのだということ。(ハマスホイの)奥様が小脇に携えている
あの銀のトレイも一緒にです。

私は展示を観たあとで、こちらの萬屋健司さんの「光の本」での連載を再読したの
ですが、先に読むべきだったのでは、とすこしだけ苦い気持ちが行ったり来たり‥。
それほどに、胸深くささるものがあったのでした。

なかでも、<パンチボウルがある室内>の、この文章。

ただ眺められるだけのものとして、実用性と引き換えに、
このパンチボウルは美的価値を得たのです。

それと、<アジア商会>の、こんなところにも。

彼はデンマークというよりは、コペンハーゲンという街と
結びついた画家であったといえます。

「場所の記憶」

私がハマスホイの絵をいいなあと思う理由が、健司さんの文章を通して、
解けたような気がしたのでした。


***   ***    ***


そして、日本橋小舟町ヒナタノオトでは、2月16日日曜日まで
ハマスホイの時間」が開催されています。

前述の健司さんの文章「ただ眺められるだけのものとして、
実用性と引き換えに、このパンチボウルは美的価値を得たのです」を、
読んだあとに、あれ、と何かがひっかかりました。

では、「ハマスホイの時間」に展示されている9人の作家さんの手で
作りだされた作品は、その真逆なのではないだろうかー。
工芸品は、ただ眺められる美術品ではなく、使い手を得てこそ実用性を
兼ね備えていてこそ、なのではないかー。
ぐるぐる廻ったあとに、そこに「美」はあるか、が共通点なのだと
思い至りました。

必要を満たすものの中に「美しい」と思えるものがあってこそ、
それは生活の一部を潤すものになり、自分自身の一部にもなっていくのです。
パンチボウルも、ロイヤルコペンハーゲンの、元は用を満たす美しい食器で、
粉々に砕けた後に修繕を施され、その直した跡に美を感じた画家が、
実用性と引き換えに美的価値を見出したということですものね。

9人もの作家さんが、それぞれの「ハマスホイ」を胸に抱いて作り上げた
作品、とても美しいです。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「まかて」まつり・続く | トップ | 工芸館所蔵作品展@東京国立... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

好きなもの・美術館や展覧会」カテゴリの最新記事