飛行機に乗ると、当たり前のことですが、雲の上です。科学の恩恵はいろいろなありますが、私は飛行機には、慣れることはありません。毎回この景色に見入ってしまいます。
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」のピアノとフルートのアレンジ譜を手に入れました。
1892年ドビュッシー30歳の時に着手され、1894年に初演されました。
ステファン・マラルメの詩に前奏曲、間奏曲、終曲からなる交響詩を構想しましたが、前奏曲で、描ききったのか、終曲と、間奏曲は存在しません。
「暑くけだるい夏の日の午後。森影の草むらにまどろんでいる牧神が目を覚ます。草いきれの中、頬を撫でて行く風が心地よいが、彼はまだ夢見心地である。
ついさっき沼のほとりで手折った葦で笛を作る。
そして吹きながら、水辺で水浴びをしていた妖精のことを思い出す。
白い肌に光が反射して、まぶしい。思わず抱きしめたい衝動にかられる…もう一度、あの時のように…彼女の姿を思い浮かべ、抱きしめようと手を伸ばす。しかし彼女の幻影は消える。諦めきれない彼は、さらに空想を広げる。
そして遂に、愛の女神ヴィーナスを捕らえる。
抱擁!
官能の嵐!
もうろうとした歓び…
やがて幻影は消え、牧神は再び目を覚ます。辺りに音はなく草いきれだけが静かに彼を包み込む。茫然と広がる倦怠感の中、何時の間にか彼はまたまどろみ始めている…」
現代フルートの魅力を見出したとも思える、フルートにとっては特別な曲です。
また、ニジンスキーが1912年に振り付けをつけて、舞踊界にも、大きな影響を与えました。舞台で自慰行為の真似をしたとか。この詩を読めば、納得ですが、当時は大変だったようです。
解説はいろいろな人が書いているので、これくらいにして。
印象派の、モネや、ルノワールの時代。この色彩感に、ドビュッシーも印象派と呼ばれましたが、彼自身は嫌がっていたそうです。
印象派が風景や、さわやかな人物画を描いていましたが、ドビュッシーの曲は、縁取りの無い色彩の手法は、印象派のものですが、中味はもっと官能的で、原初的な、人間の本能というようなものをえがいているような気がします。
ピアノとフルートの編曲はどうも?と思いましたが、どうしても一度吹いてみたかった。