ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「明日の空の向こうに」、浮浪児が国境を越えて新天地を求める話

2014-06-04 15:50:59 | 映画
おススメ度 ☆☆☆

『木洩れ日の家で』(07)で、日本中に深い感動を与えたポーランドの名匠ドロタ・ケンジェジャフスカ監督待望の最新作。日本人が製作に加わっている。

舞台は、ロシアの一地方。

駅舎でその日暮らしを続ける3人の浮浪児。6歳のペチャと10歳になるヴァーシャの兄弟、同じ境遇の11歳の少年リャパ。

兄とリャバは、鉄道の先にある、ポーランドへ越境しようと相談。弟は、置いていかれそうになるが、必死に食い下がって、同行する。

3人の子供のロードムービーだ。

この映画の素晴らしいのは、子供たちを素材として生活させ、素の姿を演じさせたところにある。

特に、幼い弟の可愛さが抜群で、彼が、この映画の主役といってよい。身よりのない、即ち生活のすべを持たない幼子が、必死で生きる様は、その愛嬌で何とか、おこぼれにあずかる。

可愛い子供を描いた秀作は、指折り数えられるが、この映画も仲間入りをした。

そして目標の越境を果たすことはできるのだが、現実は厳しかった。

その時々に触れる村人たちのやさしさは、見るものをうなずかせるが、社会制度のない社会では善意でしか、彼らを助けることはできないのだろうか。

それにしても、越境すればという、前向きのロードムービーは、その撮影シーンの美しさと相まって、心地よいものだ。

本当は、暗い映画なのに、そんな気持ちを起こさせないのは、子供たちのバイタリティのせいだろうか。

コメント
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