おススメ度 ☆☆☆
日本の戦争の実態が知りたい方 ☆☆☆☆☆
京都ではやっと今公開中。
観客は、昼間のせいもあってどうしても年配者中心。
映画の製作に携わっているのが、若い人なので、できれば、若い人に戦争の裏面をもっと知ってほしいと思う。
180分の大作。でも、大半が生存者の証言であり、字幕や写真、当時のニュース映画など巧みに挿入されて、研究所の実態が明らかにされていく。
生物・化学・電気兵器についても触れられているが、実際の人体実験などは中国現地でなされていたので、ここは話が中心。
それに比べて、風船爆弾は、実際の製造状況から、風船を飛ばす現場、果てはアメリカまで。終戦間際の狂気のような所作が浮かび上がる。紙にこんにゃくノリを張るという、原初的な方法が真剣に実施されていた窮状も察せられる。
もう少し大がかりなのは、偽札。これは中国の兵士たちの購入資金に使われていたとは初耳で、いかに日本が、中国を食い物にしてきたかがうかがい知れる。
そもそも、自らの生活を戦地で調達せよという、日本軍の基本的な考え方が、いろんな悲劇の原動になっていたことを思い知らされる。
なかで、戦争に対する痛烈な批判を醸しだしたのは、「陸軍登戸研究所」の著書もある伴繁雄氏の後妻和子さんの夫とその組織への批判の言葉であった。
明治大学に、登戸研究所の資料館があり、一般に公開されているようだ。風化させないように願うものだ。