おススメ度 ☆☆☆☆ イギリス
きしくも昨年12月に亡くなったマンデラさん(ノーベル平和賞受賞)。映画のエンドロールで在りし日のマンデラさんの写真が流される。
もともとマンデラはテンプ人の王族の子として生まれ、大学を卒業後弁護士になった。だが、黒人隔離政策の下、一段と激しくなった差別に、暴力をもってせざるを得ない状態に。ANC(アフリカ民族会議)に身を置き、武装闘争を繰り広げる。
だが、逮捕され、仲間とともに、死刑は免れたものの、終身刑として島の刑務所に収監される。前半、この収容所の過酷な実態が描写され、それでも、反抗精神を崩さないマンデラが描かれる。
そこで描かれる妻への愛の情熱。一方、妻は、彼の庇護のない下で逃走を続け収監もされ、痛めつけられる。
このように、一筋の明るさは消えないまでも、虐待される姿の描写は、見ていて楽しいものではない。
後半は、アパルトヘイトの現実が世界にさらされるにつれ、世界中で黒人差別反対運動が盛り上がる。おかげで、政府側も、対策を講ぜざるを得ず、反対派のカリスマ的存在であるマンデラと交渉しようとする。
そこでマンデラは、自らの立ち位置を明確にし、妥協は許さない。
そして、釈放、次いで選挙へと進む。
だが、虐待された側の憎しみは、目には目をの対決姿勢を崩そうとしない。
マンデラの博愛主義の演説は、見るものを納得させ、今日に至る。
妻との意見の対立から、離婚へと突き進み、大家族の夢は夢でしかない。
愛の映画でもありながら、夫婦愛だけに終わらない現実の厳しさが描かれる。
選挙で勝利するマンデラをみて、やっと感動を覚える。長くて辛い歳月。それは、過程があっての勝利だった。
マンデラを演じるイドリスエルパは、南ア人ではないが、よく研究し、老年期はマンデラそっくりに。貫録の演技で安心して見てられる。