おすすめ度 ☆☆☆ (劇場鑑賞)
アンジェイワイダ好き、ポーランド映画好き ☆☆☆★
この映画の監督アンジェイ・ワイダは昨年10月、肺不全のため、90歳で亡くなった。
本作は、遺作となった。
「地下水道」「灰とダイヤモンド」など、1950年代末期に、気鋭の監督として、話題をかっさらった。
その彼が、この遺作でも、抵抗の姿は、映画を貫いている。
実在の前衛画家ブワディスワフ・ストゥシェミンスキの半生を描いている。
美術館を建て、学校を経営するほどの有名人で、彼の講義は学生に人気があった。
彼は、戦争で片手と片足を怪我し、不自由な身であった。
冒頭のスケッチのシーンなど、美術家として成功している様が描かれる。
だが、社会主義が勝利するや、芸術も社会主義を謳歌するものでなければならないとする政府側ににらまれ。
反抗するため、ますます、じり貧となる。
孤高の芸術家として描かれているが、もう少し妥協の余地はなかったのかと、余計なおせっかいをおもいつく。
だって、肺結核にかかり、食うに困るのだから。
それにしても、導入部と終末部に描かれる彼の作品は、なかなか魅力的。
ワイダは、自分の人生を重ねたのだろうか?