昨日MAKIKYUは久々に、埼玉県内を走る秩父鉄道を利用する機会があったのですが、その際には今年春に走り始めたばかりの秩父鉄道での最新型車両・7500系にも乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。
この車両は元東急8090系電車で、今もなお大井町線で活躍しており、軽量ステンレス製車両の元祖とも言える車両ですが、さほど古い車両という印象ではない同系も、最初に製造された編成は既に製造から30年を経ています。
この事もあって近年怒涛の勢いで新車が導入されている東急では、8090系も運用離脱となる車両が出る程で、JRの「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」をはじめ、近年低コスト型車両の大量導入が続く首都圏では、軽量ステンレス車と言えども…という事を実感させられます。
しかしながら運用離脱となった8090系も、先に8500系電車が同社7000系として移籍した秩父鉄道において、第2の活躍舞台を見出す事が出来たのは幸いと言えます。
秩父鉄道の路線条件もあって、大井町線時代の5両→3両へ短縮されると共に、余剰となった中間車は廃車となっていますが、3両編成化に伴って8090系では初めて先頭車が電動車となった車両(三峰口方の先頭車両)が登場しているのも大きな特徴です。
これ以外にも秩父鉄道での使用条件に合わせたワンマン化(車内での運賃収受はなし)や、半自動押ボタン式スイッチの取り付け、それにドアチャイムや自動放送装置(従前の秩父鉄道車両で使われているバス用ではなく、英語放送入りとなっている点も注目です)が設けられるなどの変化が見られます。
とはいえ編成短縮と、最低限秩父鉄道での使用条件に合わせた改造を行った他は、内装も東急線時代と大差なく、ドア窓に貼られたステッカーまで東急仕様になっている程ですので、前面の緑色グラデーション色のカラーテープなども大井町線の色違いを連想させられ、概ね東急線時代の雰囲気を良く留めていると言えます。
こんな電車が元国鉄や都営、西武譲渡車の面々と共に活躍し、更に西武線からの直通電車や貨物列車、それにSLとも姿を並べるとなると、一体何処の路線と感じてしまう程ですが、今では秩父でしか見られない旧国鉄101系(1000系)をはじめ、様々な車両との顔合わせを見ていると、鉄道模型を並べているかの様な錯覚を感じてしまいます。
この様なシーンが東京都心から日帰りでも訪問できるエリアで、常に繰り返されているのは秩父鉄道の面白い点で、旧国鉄101系に代わって今後普通列車の主力になるであろう東急8000系列の導入が進む今日は、車両バラエティの面でも最も面白い状況と言えます。
また今回の7500系登場で、東急8000系列の運行は3編成目となりますが、そのどれもが異なる姿となっている点や、8090系を種車とする車両だけが別形式として区分されている点も興味深い所ですが、今後8500系と共に8090系の移籍も進んで7500系が数を増やすのかも気になる所です。
それにここまで東急8000系列を揃えたのであれば、今度は8590系(8090系の前面貫通路付きとも言える車両で、現在大井町線や田園都市線で活躍中です)も移籍させれば尚更面白くなるのでは…と感じたものですが、東急の車両取替時期などを考えるとこれは微妙な所で、今後も暫く続く事が予想される秩父鉄道以外の他者移籍も含めた、東急8000系列の転用劇に注目していきたいものです。