最近ネット上で長野電鉄が、JR東日本から特急用車両を購入するという情報が随分飛び交っていましたが、遂に昨日付けで長野電鉄公式HPでもその旨が発表になり、ご存知の方も多いかと思います。
JRからの購入対象となるのは、成田エクスプレス運行開始と同時に導入され、最近E259系が続々と導入されたのと引き換えに、次々と運用を離脱している253系電車で、同系は間もなく成田エクスプレスと言う第一線から姿を消すことになります。
253系は一部がJR東日本の中で他用途に転用される情報も飛び交っていますが、同形の中でも早々と運用離脱した3両編成は、次々と廃車を前提に疎開されている有様でしたので、車齢を考えるとまだまだ使える253系が第2の活躍舞台を見出す事は、歓迎できる事と感じます。
公式HPでの発表によると、長野電鉄がJR東日本から購入したのは3両2編成(6両)との事で、この車両数は現在朝夕を中心に運転しているB特急で用いられる2000系電車の残存数と一致します。
253系は運用離脱車の数が多い事も考えると、長野電鉄が購入するのは2編成だけで終わりなのか、それとも更なる追加購入が行われるのかも気になる所です。
ところで253系導入によって淘汰される事がほぼ確実と言える2000系電車は、昭和30年代に長野電鉄が特急用車両として導入した自社発注車で、一般型車両が全て他社からの譲渡車で占められている今日では、長野電鉄では貴重なオリジナル車両にもなっています。
元号が平成に変わる頃には、下回りの取替えや冷房化改造といった大規模な改造が行われているとはいえ、この改造からも既に20年が経過し、製造から50年を過ぎる状況で廃車も発生しているとはいえ、一部は未だに特急と言う第一線で活躍し続けているのは、驚異的と言うほかなりません。
MAKIKYUも一年程前に長野を訪問する機会があり、この時に2000系にも乗車する機会があったのですが、現存する2編成は共に今流行のリバイバルカラーに装いを改めており、年代を感じさせるレトロな風貌もあってか、「動く博物館」と言っても過言ではない印象を受けたものでした。
乗車したのは特急の間合いで走る各駅停車だったのですが、長野電鉄は特急料金が比較的割安(100円)とはいえ、この車両では普通運賃以外に追加料金を払うに値する車両とは言い難く、特急運用の2000系に乗車するともなれば、骨董車両の維持費を払う様な感覚だろうと感じたものでした。
この事を考えると、253系は幾ら特急用車両としては設備が見劣りし、割高な指定席のA特急料金を徴収する列車への充当はとんでもないと感じながらも、特急料金100円の特急として走らせるのであれば妥当なのでは…と感じたものです。
長野電鉄に移籍した253系は、今後ワンマン運転対応などの改造を施す事がアナウンスされていますが、どの様な姿で第2の活躍を始めるのか気になる所です。
東急8500系が次々と入線し、一般車の方も車両取替えが進む長野電鉄は、これから面白くなりそうですが、253系が稼動開始した暁には、特急料金は高過ぎ、成田空港にも用事がないMAKIKYUは、成田エクスプレスの姿は良く見ていてもとても乗車する気になれないとはいえ、長野電鉄の特急であれば比較的手頃に乗車できる事になります(長野までの交通費は嵩みますが…)ので、是非一度乗車してみたいと感じたものです。
また来年春を目処に253系が運行開始となると、現在B特急で活躍している2000系電車の活躍も、253系運行開始までの間と言う事になり、2000系に残された時間は限られたものになりますので、興味のある方は早めに乗車や撮影を済ませた方が良さそうです。
それと253系導入に伴い2000系が引退するとなれば、長野電鉄の旅客車両は全て他社からの移籍車両のみで占められる事になりますが、2000系が長野電鉄の看板車として長年活躍した功績は大きく、長野電鉄史上最も影響力の大きな車両と言っても過言ではありませんので、運用を離脱しても保存対象となるのかも気になる所です。
写真は現存する2000系2編成と、年代を感じさせる同系車内の様子です。