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JR東日本・仙台地区のジョイフルトレイン「こがね」(2)~車内編

2010-08-04 | 鉄道[東北]

昨日「MAKIKYUのページ」で取り上げたJR東日本の「こがね」ですが、この車両は現在こそ普通車扱いとなっているものの、かつてはグリーン車扱いとして運行していたジョイフルトレインだけあり、車内設備は改造種車のキハ58系列原型とは大きく異なり、外観以上に特徴的なものとなっています。


客室は客窓が固定窓に改められたとはいえ、種車同様の上下方向の幅が小さい窓となっており、今日では古さを否めないと共に、展望性にもやや難があり、種車の面影を強く感じる部分も見受けられますが、座席は非常にゆったりとしたリクライニングシートが2+1列で並んでいます。

この座席は、特急グリーン車でも横4列席の車両が大半を占めるJR東日本においては、極めて豪華な設備と言っても過言ではなく、しかも2+1列の座席配置も、単に2人掛けと1人掛けの間に通路を配したレイアウトではなく、片隅に通路を配している上に、2人掛けと1人掛けを交互に配するという非常に特徴的な座席配置となっており、こんな座席配列の車両は他に類を見ない独特なものです。

その上各座席も前後に向きを変える事が出来るだけでなく、45°ずつ座席を動かして任意の向きで固定できる用になっており、この構造も影響してか座席の回転レバーは台座ではなく座席下部に設けられ、MAKIKYUも最初回転レバーが何処にあるのか探してしまう程でした。


45°ずつ座席を動かして任意の向きで固定できる座席だけあり、横向きや斜め向きのポジションにする事も出来ますので、特徴的な座席配置と共に非常に独自色が強く、一度乗ったら忘れられない程です。

しかしながらジョイフルトレインへの改造からも、既に20年もの月日が経過している事もあってか、異音を立ててがたつく席も見受けられ、おまけにしっかりと固定されない座席もあるなど、痛みの見受けられた外観に劣らず、こちらも経年劣化を感じる部分が見受けられたのも事実です。

占有空間が極めて広く、定員の限られた豪華車両とはいえ、これではグリーン車扱いとするのは厳しく、普通車扱いへの格下げも妥当な所と感じたものでした。


また各車両のデッキと客室の間には、自動ドアが設けられているのですが、こちらも故障箇所が複数あり、「自動ドア故障中 ドアの開閉は手動でおねがいします」という掲出を幾つも見かけたもので、経年で老朽化が進行した車両が、引退を前に最後の活躍をしている事を強く実感したものでした。

あと「こがね」の車内設備は客室内だけでなく、先頭車前部の展望スペースも大きな特徴と言え、運転席はガラス張りの半室式となっています。

 
このため最前部の右半分は乗客向けの展望スペースに充てられ、展望スペースにはソファーに加え、最前部に丸椅子が2脚してあり、運転席や右半分の展望スペースは高運転台構造ではなく、しかも大型ガラスを採用しているために前面展望は極めて良好なものとなっています。

JR東日本が近年キハ40系列を改造して走らせている観光列車用気動車は、最前部に展望スペースこそ設置しているものの、全室運転台である上に、高運転台構造だけあって前面展望はイマイチと感じますので、この点は大いに評価できるものです。

とはいえ近年JRでは前面に展望スペースを設けた車両でも、踏切事故対策などで使用中止としている事例も存在し、やはり前面展望をウリとしており、それなりの乗客保護機構が備わっている小田急ロマンスカーでも乗客が負傷し、対策を迫られる事にもなりましたので、そこそこの速度で運行する列車という事も考えると、この展望スペースの構造は賛否が分かれる所で、この様な車両が今後出てくる可能性も低いのでは…と感じたものでした。

この様に「こがね」は非常に独自色が強い車両で、今となっては普通車扱いだけあって、「こがねふかひれ」号の座席指定券さえ購入すれば、非常に割安な青春18きっぷなどでも乗車できる列車にしては、破格の設備を誇る乗り得列車と感じたものでした。

ただ種車が今となっては骨董車両と言っても過言ではない、古参のキハ58系列であるだけに、居住性はお世辞にも良いとは言えず、老朽化も影響してか走行中の振動などは結構なもので、さほど古くない車両でも次々と廃車に追い込んでいるJR東日本にしてはよく今まで活躍し続けたと感じ、老朽化による内外各所の痛みなども考えると、今年末限りでの引退も止む無しと感じたものでした。

「こがね」引退までに残された日もそう長くはないですが、最後まで無事に走り続ける事を願うと共に、MAKIKYUが「こがねふかひれ」号に乗車した際はそこそこの乗車率だった様に見受けられた事から、「こがね」が引退した後も気仙沼線では定期快速列車「南三陸」号の座席指定車だけでなく、新型リゾート気動車導入によって捻出される車両などを活用し、座席指定制の観光向け臨時快速列車の設定に期待したいと感じたものでしたが、興味のある方は是非一度「こがね」が最後の活躍をしている臨時快速列車「こがねふかひれ」号に乗車してみては如何でしょうか?