先日「MAKIKYUのページ」では、昨年運行開始したばかりの東京メトロ千代田線の最新型車両・16000系に関して取り上げ、同系は首都圏で大きな注目を集めています。
これに対し関西でも昨年末、JR西日本で225系と呼ばれる新型電車が運行を開始し、こちらも大きな注目を集めていますが、MAKIKYUは昨年末に青春18きっぷで岡山・広島方面へ出向く際、途中で少し寄り道して乗車する機会がありましたので、今日はこの225系に関して取り上げたいと思います。
225系は現在新快速などで活躍中の223系の後継版に当たる車両で、東海道・山陽本線向けの0番台と、阪和・紀勢本線向けの5000番台の2種類が存在しています。
まだ走り始めて日が浅い事もあり、さほど数が多くない上に、東海道・山陽本線向けの車両は運用範囲が極めて広く、余所者がふらりと訪れて捕まえるのは容易ではなく、こちらに関しては一度すれ違った他は、車庫に停車している編成を目撃しただけと言う状況でした。
一方阪和・紀勢本線向けに導入された5000番台は、運用範囲がある程度限られる事もあり、暫定運用の状況でも阪和線内では比較的容易に捕まえられる状況で、MAKIKYUが先月乗車したのはこの阪和線向けの225系でした。
阪和線向けの225系は、窓下の帯色が青系統の特徴的なモノとなっており、座席配列も航空旅客対応として片側1列配置とするなど、同線の223系と同様の特徴が見られるのが特徴です。
また225系自体は、設備的に223系を踏襲しつつも、その後登場した新鋭通勤型車両・321系に類似した部分も多く見られ、メカニズム的にも0.5Mシステム採用によって全電動車(321系の場合は付随車も存在)となるなど、両者を足して2で割った車両という雰囲気も感じたものでした。
これに加え225系の大きな特徴として、JR西日本で以前発生した大事故を踏まえ、安全対策を強化している事が挙げられます。
これによって外観も、前面形状は今までに比べるとお世辞にもスマートとは…という雰囲気になっており、高運転台構造が影響して客室からの前面展望も、非情に見晴らしの良い先代223系に比べると、やや劣っています。
側面もドア間5列の座席に対し、両端の座席に対応して開閉可能な窓が設けられ、中央の3列に対応する窓が大きな固定窓、この固定窓は各窓に対応するブラインド用のレールが設けられるという、他に類を見ない特徴的な窓割となっており、余りスマートな印象ではありませんが、見た目よりも車体強度の強化を優先した事が容易に見受けられます。
車内に足を踏み入れると、つり革が随分増設されて首都圏並みといっても過言ではない状況になっており、その長さも223系などに比べると短めであるなど、やや関西の電車らしくない雰囲気もあります。
大きく目立ちやすいオレンジ色のつり革は好みが分かれそうで、MAKIKYUとしては数を増やす程度で…とも感じてしまいますが、「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」の総本家で最近増殖しており、好みが大きく分かれる黒いつり革などに比べれば、まだ良いのでは…と感じたものです。
また車内は窓割りやつり革配列などを除くと、JR西日本の通勤・近郊型車両の集大成といった雰囲気となっていますが、座席モケットが退色の目立つ223系に比べて濃い色になり、化粧板も座席モケットと違和感ない色彩になるなど、見るからにちぐはぐな雰囲気が否めなかった阪和線用223系の増備車(2500番台)などに比べると、色彩の面では随分良くなっている様に感じたものです。
この様に225系はデザインよりも車体強度向上などの安全対策を優先し、実用性重視といった雰囲気を受けたものですが、それでも車内に足を踏み入れると設備的にはハイレベルで、走行時の騒音や振動などの面でも、貧相極まりない「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」の総本家の車両に乗り慣れた身としては、同じJR在来線20m級近郊型電車の最新型で、東西でここまで格差が出るのかと感じたものです。
ただ最近は関西でも阪和線の競合線区とも言える大手私鉄路線(概ね数km海側を走っており、直接競合する区間は限られますが…)でも、貧相な印象が否めない「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」が増殖しており、ご存知の方も多いかと思います。
(この車両に関しては「MAKIKYUのページ」でも以前取り上げた事がありますので、興味のある方はこちらをクリックして下さい)
こちらは老朽車両がゴロゴロしている事を考えると、低コストで新車調達を行う事が急務なのかもしれませんが、今後225系の増備と本格稼動により、阪和間ではJR快速列車(紀州路快速)の増発やサービスレベル向上が図られる中で、果たしてJRと互角のサービスを提供できるのかも気になる所です。
関西でも阪和間の路線は、安価で高レベルの輸送サービスを提供する路線が集まる事で定評ある京阪間などに比べ、現状では見劣りが否めませんが、225系の大量導入による阪和線快速のサービスレベル向上に対し、競合私鉄も今後どの様な対抗策を打ち出して行くのかも気になる所です。