MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

KORAIL 368000系電車~ITX青春号用に登場した都市間優等列車用車両

2012-03-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、先月29日に運行開始したばかりの富士急行6000系電車(元JR205系)に関して取り上げましたが、その一日前には韓国の首都圏(ソウル都市圏)で「ITX-青春」と呼ばれる新種の都市間優等列車が運行を開始しています。

日本の鉄道関連で「青春」いう言葉を聞くと、まず「青春18きっぷ」が思い浮かび、普通列車の印象が思い浮かぶ方も多いかと思いますが、韓国の「ITX-青春」はこの印象とは対極にあり、4扉ロングシートの一般列車よりも割高な運賃が適用される座席指定制列車となっています。

 
MAKIKYUが先月韓国へ足を運んだ際には、運行開始前日が韓国出国日でしたので、残念ながら乗車は叶わなかったのですが、上鳳(Sangbong)駅などで試運転列車の姿を目撃する事が出来ました。

ITX-青春はソウル市内の龍山(Yongsan)駅か清凉里駅から、近年複線電化されて一部区間が路線付け替えとなるなど、大変貌を遂げた京春線を通って春川(Chuncheon)までの間を運行しています。

ソウル近郊の広域電鉄線区間を、座席指定制で一般列車より割高な運賃と高級な客室設備、少ない停車駅で速達運行を行うなど、高付加価値を付けた動力分散方式の「電車」で運行し、日本では小田急の特急ロマンスカーや近鉄特急などに近い存在と言える列車は、KORAILではソウル駅~新昌(Sinchang)間の「ヌリロ」号に次いで2例目、韓国全体では他にKORAIL空港鉄道の直行列車も存在します。

ヌリロ号は200000系と呼ばれる4両編成の電車が用いられ、広域電鉄線用高床ホームと列車線用低床ホームの双方に対応できる可動式ステップを装備していますので、列車線での運行も可能となっており、ソウル駅~新昌間以外にも、ソウル~提川(Jecheon)間を忠北線経由で結ぶ1往復の定期列車設定があり、他に臨時列車で大田(Daejeon)や湖南線方面への充当実績があります。

2編成併結の8両編成で運行可能で、現に一部列車は8両編成で運行しているなど、汎用度の高い車両で、現に京春線でも団体臨時列車での入線実績が存在しますので、200000系をそのまま、或いは小変更で追加増備して充当しても良い気がしますが、「ITX-青春」号向けには、別途368000系と呼ばれる新型電車が導入されています。

この電車は丸っこい前面形状などは最近の韓流トレンドと言え、日本の鉄道車両とはやや異なる趣を感じる他、8両1編成で、韓国の鉄道車両では初となる2階建て車両を、中間に2両組み込んでいるのが大きな特色となっています。
(編成は4M4Tですので、その気になれば先頭車を含む両端2両ずつを電動車にして、2階建て車両を4両組み込んでも良い気がしますが、両先頭車は制御車で、中間の付随車となる4・5号車の2両が2階建てと言うのは、何処かの島国の首都圏で運行している、「某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多い電車」などを用いた近郊型電車を連想してしまいます)

またドア位置を広域電鉄線用4ドア車に合わせ、客ドア自体も高床ホーム専用になっている他、装いもステンレス無塗装に青や黄緑色の帯が配されるなど、用途的には200000系に近いとはいえ、同系とは様々な差異が見受けられるのも、趣味的には興味深い所です。

この「ITX-青春」は、4扉ロングシートの通勤電車と同じ線路を走るにも関わらず、KTX(高速列車)を除く韓国の鉄道では最速となる最高180km/hを誇り、80km以上もの距離を乗車しても6000W台と、付加価値の高さなども考えると、お得感のある列車なのでは…と感じます。
(それでも彼の地ではやや割高と言う声が上がっている様で、物価の違いを考慮しても、一般列車の運賃は新線などでも羨ましくなる程割安で、首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)とその沿線の様な惨状は、彼の地の人間が目にしたら相当驚くかと思います)

同じ線路幅で輸送力的にも大差ないにも関わらず、何処かの島国の首都圏で、特別料金を徴収する座席指定制列車を「最高160km/h」「私鉄最速」などと大々的に謳っている「○田スカイアクセス」は一体…と感じてしまい、後者はこれから運賃・料金で高級な列車である事をPRした方が…と言わざるを得ない気がするのですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?