1月にMAKIKYUが四国を訪問した際には、土休日などにJR四国線の普通・快速列車とJR四国バスの一般路線が1日乗り放題となる「四国再発見早トクきっぷ」を利用した日があったのですが、この乗車券を利用した最大の目的は、JR四国バスの松山高知急行線を利用するためでした。
(四国再発見早トクきっぷは、利用前日までの発売で当日購入不可ですので、遠方から四国を訪問しての利用を検討している場合は要注意です)
松山高知急行線は、名前の通り松山と高知を急行運転する都市間連絡路線と言いたい所ですが、過去に隆盛を誇った路線とはいえ、現在松山と高知の2県庁所在都市を結ぶバス路線は、比較的近年開業した高速道路経由の高速バスに置き換わっています。
JR四国バスでは「なんごくエクスプレス」と称した高速バスを運行している他、民鉄系事業者などの高速バスも運行しており、現在の松山高知急行線は都市間連絡路線としての役目は果たしておらず、それどころか愛媛県内だけの路線になっているのですが、それでも県都松山と山間部の久万高原町を結ぶローカル路線として一部区間が残存しており、路線名だけが過去の隆盛を誇った時代のままとなっています。
今日の運行区間はJR松山駅~砥部~久万高原駅~落出(Ochide)間で、1日10往復に満たないバスが走るだけですが、松山と砥部以遠の久万高原町方面を結ぶ公共交通機関は松山高知急行線のみですので、久万高原町にとっては欠かせない重要な路線とも言えます。
松山市内から砥部にかけては、松山市の中心部や郊外の市街地を走り、伊予鉄道のバスが頻繁に走る区間である上に、運賃面でも並行する伊予鉄バスに軍配が挙がるために、わざわざ運行本数が少ないJR四国バスを選んで利用する乗客は少なく、この区間におけるJR四国バスのメリットは、JR松山駅を発着しているだけと言っても過言ではない状況です。
(ただ松山はJR松山駅周辺よりも松山市駅(伊予鉄道)周辺の方が栄えており、地元客にとってはこの点でも松山市駅発着の伊予鉄道バスの方が利用価値が高い事が多いのが現状です)
砥部を過ぎると山道に差し掛かり、峠を越えて久万高原町に入るのですが、久万高原駅までの所要時間も片道1時間以上、終点の落出までは2時間弱を要し、市街地や山間部など運行区間も変化に富んでいますので、結構な乗り応えがあります。
運賃も全区間を乗り通すと1840円になりますので、四国再発見早トクきっぷを利用すれば、松山高知急行線全線の片道乗車+JR四国線利用(初乗り区間でも)だけで元が取れてしまい、JR四国線を初乗り区間以上で利用する場合や、松山高知急行線を往復利用する場合(松山市内~久万高原駅などでも)のは、四国再発見早トクきっぷが非常に威力を発揮する路線とも言えます。
使用車両も最近入れ替えが行われたのか、MAKIKYUが乗車した際には、大阪市営バスから移籍したばかりの2段ステップ・前後扉のV8エンジンを搭載したいすゞ大型路線車が充当され、四国では少数派の西日本車体工業(西工)製96MCボディ大型路線車だったのは少々意外でしたが、途中ではいすゞ純正のキュービック(こちらも前後扉車)ともすれ違っています。
JR四国バスの一般路線は松山高知急行線と、少し前に「MAKIKYUのページ」でも取り上げた大栃線の2路線しかなく、両路線は結構距離が離れている上に、後者はアンパンマンバス限定となっている事から、松山高知急行線用の車両は他路線に充当される事はなく、この事も影響してか、車体側面には「松山⇔砥部⇔久万⇔落出」(ローマ字併記)と運行区間を記しているのも大きな特徴と言えます。
車内も元々が都市型路線用だけあって、1時間以上の長時間乗車となる事が多い松山高知急行線の路線状況を懸案し、一部座席の取替えと増設が行われているのですが、大阪市営バスタイプの座席(モケットは張替え)と、大阪市営バスとは異なるタイプの座席が混在しています。
おまけに内装やつり革をはじめ、特徴的な後扉のドアチャイム(開扉時と閉扉時でチャイムが異なります)もそのまま使用しており、多少手を加えたとはいえ、大阪市営バスの雰囲気が色濃く感じられたもので、大都市圏中古の大型路線車に乗車するのが好きなMAKIKYUとしては、路線・車両の両面で乗り応えのある路線と感じたものでした。
また現在松山高知急行線は高知県内を走る区間こそないものの、終点の落出では県境を跨ぎ、高知県へ至る路線バスに乗り継ぐ事も可能で、MAKIKYUが1月に松山高知急行線を利用した際にも、この路線バスを利用する機会がありましたので、こちらも近日中に別記事で取り上げたいと思います。