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KORAIL 栄州駅と留置車両~希少な寝台車の姿も…

2012-09-04 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

以前「MAKIKYUのページ」では、韓国・慶尚北道を走るKORAILの「慶北観光 循環テーマ列車」に関して取り上げた事がありますが、MAKIKYUが2月にこの列車に乗車した際の乗車駅・栄州(Yeongju)駅は、慶尚北道の北部・栄州市に位置しています。


栄州市は人口約12万人、日本の都市に例えると人口6~7万人程度の地方都市に近い雰囲気で、余り外国人観光客が訪れる様な都市ではないと思いますが、KORAIL中央(Jungan)線の途中駅であると共に、慶北線・嶺東(Yeongdong)線が分岐する鉄道の要衝になっています。


そのため都市の規模こそ大きくないものの、鉄道駅の規模は比較的大きく、日本のJRに例えるなら米原や新山口(旧・小郡)に近い雰囲気があります。
(写真は駅前の通りの様子です)

また高速鉄道(KTX)の運行区間から外れた亜幹線ばかりが集まる駅と言う事もあって、余り近代化されずに昔ながらの雰囲気がよく残っている気がします。


そんな栄州駅も、低床ホームにドイツ型ELや、アメリカ型DLに牽引された大柄な客車が入線する様を見ると、如何にも異国の鉄道と言った感がありますが、鉄道の要衝とも言える主要駅だけあって留置車両も数多く見受けられたものでした。

MAKIKYUが栄州駅から慶北観光 循環テーマ列車に乗車した際には、駅舎から階段を昇降せずに乗車できる1番乗り場からの発着でしたが、このホームの脇には、日本風に言うなら0番乗り場とも言える頭端式ホームがあり、そこには韓国では希少な寝台車が2両も停車していたものでした。


この寝台車は、今世紀に入ってから老朽化した旧型寝台車の代替で製造されたものの、運行開始から程なくして定期列車での寝台車連結が取り止めになり、さほど古くないにも関わらず活躍舞台を失って持て余し気味となっている車両です。
(MAKIKYUはこの寝台車には乗車した事がありませんが、既に廃車となった旧型寝台車には一度だけ乗車した事があり、今となっては少々割高な寝台料金を払ってでも乗車しておいて良かったと感じています)

2両は若者向け格安乗車券(ネイロ:日本の青春18きっぷなどと異なり、かなり厳しい年齢制限が設けられており、MAKIKYUは使いたくても残念ながら…という有様です)利用者向けの仮眠場所に用いられている様で、最後尾には栄州駅から市内バスでアクセスできる観光地へのバス時刻案内も掲げられています。

この寝台車は扉が開いている車両もあり、寝台客室こそ扉が閉まっていて入れなかったものの、近くにいた係員に断って客車内デッキからガラス越しに寝台客室を覗き、撮影も出来たものでした。


寝台客室の通路は客車中央にあり、その両側にレール方向で2段ベッドが並んでおり、日本の開放室B寝台や中国の寝台車で一般的なタイプではなく、寝台特急「あけぼの」号のソロ(B寝台1人用個室)に近い雰囲気となっています。

このタイプの寝台は各寝台のプライバシーが保てる反面、上下空間がかなり狭くなりますので、国土が狭く、夜行列車でも夜が明ける前に目的地に着いてしまう列車が多い韓国ならば、さほど問題にならないとはいえ、寝るだけなら良いものの、乗車時間が長くなると辛いのが難点です。
(KORAILでは途中駅での時間調整なしに、昼間の列車と同じ感覚で夜行列車を走らせますので、終着駅3時台到着で容赦なく下ろされる列車も多数存在し、夜が明けるまで車内でゆっくりと休息を取れない列車が多い事も、寝台車が振るわない大要因かもしれませんが…)


また2両の寝台車前方には、きちんとDLも連結されており、営業列車を意識した印象を作り出している様にも感じますが、新塗装ながらも車体に錆が出ている有様などを見ると、用途不要になった休車or廃車の機関車を飾りで連結している様な雰囲気にも見受けられます。


この寝台車2両+DL編成の近くには、最近は余り見なくなった旧塗装の車両を含むDL数両と、緑色に塗られた事業用客車の姿なども見受けられる状況でした。


事業用客車も、最近ではステンレス製のセマウル号用客車が転用改造される事例が相次ぎ、決して珍しくない状況になっていますので、旧型客車を改造した事業用客車があとどれだけ活躍するのかも気になる所です。


この手の車両は余りモノを場当りで改造しているのか、栄州駅に停車している車両だけを見ても形状の違いなどが見受けられるのは興味深いものです。