数日前MAKIKYUは関西へ足を運ぶ機会があったのですが、その際には久々に大阪で唯一残存している路面電車・阪堺電気軌道にも乗車する機会がありました。
阪堺電気軌道は大都市圏を走る路線ながらも、未だに各種カード乗車券類などは導入されておらず、設備的には後進的な印象が強く、車両面でも旧態依然とした単車ばかり、その中には酷寒地を別とすれば希少な部類に入る非冷房車も未だに…という状況です。
しかしながらこの阪堺電気軌道でも、近年各地の路面電車で導入が進む低床の新型連接車が遂に導入され、先月末から稼動を開始しています。
この低床連接車は1001形と呼ばれる形式名と共に、先月運行を開始した1編成は「茶ちゃ」という愛称が付いており、今後も更に増備される予定になっています。
MAKIKYUが今月阪堺電気軌道に乗車した際にも、この「茶ちゃ」に早速乗車する機会に恵まれましたが、運行予定時刻がHPで告知されているのに加え、レールファンの多い土地柄で土休日だった事もあってか、新型車目当ての乗客も数多く見られたものでした。
現在の運行区間は、導入費用の一部を堺市が補助している事も関係してか、阪堺電気軌道の中では閑散区間とも言える我孫子道以南の堺市区間(我孫子道電停とその周辺のみ大阪市)に限定されています。
通常この区間では、天王寺駅前~我孫子道~浜寺公園間を結ぶ電車が12分毎に運行しており、この一部を「茶ちゃ」での運行にするとなれば、我孫子道で一部列車が乗り換えという事になってしまうのですが、既存列車はそのまま運行し、別立てで我孫子道~浜寺公園間を運行する事で、「茶ちゃ」の前後だけ6分間隔となり、「茶ちゃ」が走る分だけ運行本数純増となっています。
現段階の運行形態は、新車のお披露目や習熟を兼ねた仮運行といっても過言ではない気がしますが、この様な運行形態での営業開始は新車目当ての乗客が殺到する事による一般客への影響を回避すると共に、閑散区間に乗客を呼び込むという点でも、阪堺電気軌道は良く考えたと感心します。
この「茶ちゃ」の外観塗装は、以前堺市がHPで公募を募った新車の塗装案(MAKIKYUも1票投票したのですが…)の中で、最も得票数の多かったデザインを採用しており、車両自体はアルナ車両の標準型ベースながらも、結構ゴージャスな印象を受けたものです。
車内に足を踏み入れると、こちらも木目などを多用した内装、そして九州などで多数の実績がある某デザイナーの手がけた車両を連想させる、天然素材を用いた日よけなどが目を引きます。
最新型車両らしく、LCDモニターによる案内装置なども装備されており、車内放送も従来車とは異なり、最近流行の音声読み上げソフトを用いたと思われる不自然なアクセントの放送が流れていました。
各地の路線バスではこの手の放送に時折遭遇しますが、鉄道では余り…と感じたもので、今後阪堺電気軌道の既存車両にもこのタイプの放送が波及するのか気になる所です。
車両デザインや内装などを見ると、阪堺電気軌道は低床車導入では後発と言う事もあり、単に新鋭車両を導入するだけに留まらず、他者の動向などを踏まえながらも、見劣りしない車両を…という意気込みを感じたもので、特に堺市区間での利用が不振と言われる阪堺電気軌道において、今後の活性化にどれだけ貢献するのかも注目したいものです。
また阪堺電気軌道の近隣を並行して運行する親会社の新車は、関西の他事業者で活躍する新型車両に比べると、設備面などで余り芳しくない印象が強いだけに、こちらも系列会社に刺激を受けてもう少し…と感じたものですが、こんな事を思ってしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?