今春小田急線は社運を賭けた代々木上原~登戸間の複々線化事業が完成、これに伴う大規模ダイヤ改正と共に新型特急車・70000形GSEも華々しくデビューし、注目を集める存在になっています。
一方ダイヤ改正と共に引退するのでは…と一部で推測されていた古参特急車・7000形LSEも残存、それどころかダイヤ改正で新設された「モーニングウェイ」へ充当されて注目を集めていますが、70000形GSE第2編成導入により車両代替となります。
先月後半からは現在活躍中のLSE1編成の側面にLAST RUNステッカーを掲出、また小田急線中吊り広告などでもLSE引退に伴うイベント告知などを実施しており、いよいよラストランである事を改めて実感させられ、今月10日を最後に定期運転から離脱、その後臨時列車などに充当し今年度中に退役する事も公式発表されています。
小田急線駅構内では「運行期間も残りわずか、ぜひこの機会に皆様のご乗車、お待ちしております!」「2021年春、海老名にオープン予定のロマンスカーミュージアムで、またお会いしましょう!」と謳った告知も見受けられ、なかなか上手い告知を製作したな…と感心させられたものでした。
また先月某日には丁度LSE運行予定時刻に都心方面から帰宅する日があり、当日LSEで運行する列車の空席状況を照会したら、さすがに目玉の展望席は満席。
ただ一般席通路側には空席も散見される状況でしたので、今月限りで有効期限が到来するOPカードのポイント消化も兼ねて特急券を購入、久々にLSEにも乗車したものでした。
(ちなみにMAKIKYUが乗車した列車は、発車10分前位には休日ダイヤ運行日ながらも「満席」となり、乗車後の車内でも満席で座席変更できない旨が案内されていました)
ちなみに特急券の購入は、OPカードのポイント充当という事もあり券売機を利用、券売機の画面には充当車両アイコンも表示されますが、LSEアイコンは現在の塗装ではなくリニューアル時に変更された赤と白の装いになっていたのも大きな特徴と感じたものでした。
そして新宿駅で発車時刻が近づき、LSEが入線するとカメラを構えている人物も相当数、かなりの注目を集めている事を改めて実感させられたもので、先頭車だけでなく側面のLAST RUNステッカーを撮影する人物も多数見受けられたものでした。
入線後も車内整備のため乗車はしばらくお預け、そして車内整備が終わり車内に入ると、一時期のロマンスカーでは当たり前だったものの折戸を用いた客扉が目を惹きますが、これも今ではLSEのみとなっており、この折戸も小田急線ではもう間もなく見納めとなります。
客室に足を踏み入れると、EXE以降の平成時代に製造された他の特急車とは大違い、リニューアルを経たとはいえ今となっては年季を感じさせられますが、LSEと比べても遜色が否めない有料特急用車両が、首都圏他社では今日でも幾つか見受けられるのはさすがに…とも感じます。
座席モケットは赤系統(写真)と青系統の2色が編成内で混在、座席回転時は背もたれを前に押してから回転させる方式となっており、今ではこのタイプの座席も随分少なくなった気がします。
今日では当たり前の装備ですが、特急ロマンスカーでは初めてリクライニング機構を装備、金属バーによる簡易型の足掛けも、今日の特急ロマンスカーではLSEのみの装備になっています。
座席シートピッチは970㎜、現在の特急ロマンスカー他車両は983㎜~1000㎜ですので、若干狭い程度でスペック的には他車両と大差なく、同年代の国鉄特急普通車などと比べれば優秀な部類に入るかと思います。
しかしながら特急ロマンスカー他車両とは異なり、座席下の足元空間が詰まっていますので、日頃座席指定列車では窓側席を選ぶ事の方が多いMAKIKYUも、LSEに関しては足元が窮屈と感じてしまう窓側より通路側の方が良いと感じてしまうのは難点です。
近年では一般車両も含め標準的な装備になっているLED文字案内やLCDモニターによる次駅表示、英語なども含めた多言語による自動放送装置も、現在の特急ロマンスカー各車両の中では唯一装備されていないなど、久々に乗車したLSE、外観・車内共に良くも悪くも昔ながらの特急ロマンスカーを感じされられる面が多々あると感じたものです。
歴代特急ロマンスカーの中では製造初年~定期運転終了までの期間が最長の車両になり、後進に比べて陳腐化も否めない状況では、現役引退も止む無しかと思います。
とはいえ社運を賭けた複々線化事業完成後に最後の活躍舞台が用意された事に加え、ロマンスカーミュージアム建設・同館での一部車両保存も発表されたのは非常に喜ばしい話で、今後ロマンスカーミュージアムが開館した後は是非足を運んで再会出来れば…と感じています。
LSEの定期運行は今度の週末(土・日)の2日間と、定期運行最終日の10日(火)の残り3日間、充当予定列車の大半は座席指定の特急券も売り切れとなり、これから乗ってみようと思ってもなかなか…という状況ですが、最後まで大きな問題などが生じる事なく走り続け、有終の美を飾る事を願うばかりです。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もLSEに乗車した際の思い出話などがありましたら、コメントもどうぞ。