今日からJR各線の普通・快速列車が割安に利用できる「青春18きっぷ」の利用期間に突入、「MAKIKYUのページ」をご覧の中にも、青春18きっぷを利用して遠出などを計画している方も少なくないと思います。
MAKIKYUは今夏利用するか否かまだ分からない状況ですが、首都圏各地に在住なら日帰りで足を運ぶにも丁度良い距離のJR日光線では、今春から「いろは」という愛称の観光向け車両が運行開始、先月乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。
「いろは」は既存の205系電車を改造、観光向け車両としたもので、観光向けとは言いながらも基本的には普通列車として特定運用に充当、普通乗車券や定期乗車券のみで乗車できる列車として運行しています。
(何度か座席指定券が必要な臨時快速列車として運行した事もあります)
JR東日本が通勤型車両を改造、観光向けに運行する形態である事に加え、4両という運行両数故に、JR東日本が以前青梅線で運行していた201系改造の観光車両「四季彩」を連想する方も少なくないと思います。
一時期運行していた「四季彩」を含め、定期列車は基本的にトイレなし車両のみでの運行となっている青梅線と異なり、日光線車両は通勤型車両ながら各編成共に宇都宮地区転属時にトイレ追設、また半自動押しボタン式ドアスイッチ設置改造を実施しているのが大きな特徴で、日光線は列車本数も決して多いとは言い難い状況ですので、トイレ設置は非常に有難いと感じます。
日光線転用時に幾つかの改造を実施、その後更に観光列車としての改造を施行した事もあり、車内の銘板は幾つも存在し賑やかな状況になっており、205系も結構な年数に達した車両である事を実感させられます。
ちなみに日光線で運行している「いろは」以外の205系各編成や、以前青梅線で運行していた201系「四季彩」などは、製造当時と同様の4扉車として運用していますが、「いろは」は中間2箇所の扉を埋めて2扉車にしている事が大きな特徴となっています。
ステンレス車という事もあり扉を撤去して側窓を設置した箇所は非常に目立ち、見るからに改造車という雰囲気を放っているのが特徴で、埋められた中間2扉の戸袋部分も窓追設などは行っていませんので、車内の窓割も余り芳しくない状況になっています。
車内に足を踏み入れると、化粧板・床材・つり革・座席脇の仕切りなどを交換、客ドアも内側は化粧板貼付となり、ドア上には横長のLCDモニターが追設され4か国語で次駅表示案内などを表示しているなど、従来の205系とは随分様変わりしています。
外国人旅行者利用も多い路線特性を考慮すると、客ドアのガラス部分は段差が大きい状態のままというのは、少々残念な気もします。
4か国語案内対応のLCDモニターは駅名などを表示するだけの簡易型、表示部分の大きさもLED文字案内装置と大差ないもので、多数の映像などを用いた観光列車らしい観光案内などは期待できませんが、不慣れな外国人旅客向けに案内を充実させるという点では、この様な装置を追設した事は大いに評価できる気もします。
2扉車に改造された事もあり、座席配置はドア付近が通勤通学時間帯の運用も考慮したロングシートながら、車内中央部は2+1列配置のボックス席に改められ、スーツケースなどの大型荷物に対応した荷物置きが設置されている辺りは、路線特性や旅客動向を反映していると感じたものです。
2+1列のボックス席部分は僅かながら通路部分より段上げされているのも大きな特徴、座席横幅は結構なゆとりがあり、特急グリーン車でも2+2列が標準的なJR東日本にしては破格と感じる一方、背もたれの枕部分がビニール加工という辺りはJR東日本らしいと感じたものです。
茶色を基調にもみじをデザインしたモケットの座席は、改造車故に先述の通り窓割と一致しない座席が複数個所あり、中には外の景色ではなく化粧板を眺める箇所も存在、座席指定料金などを収受し、展望をウリにする列車ならかなり芳しくない状況です。
ただ「いろは」は原則として特別料金不要、全車自由席の普通列車に充当する車両という事も考慮すると、展望性難ありの座席が複数個所存在する難点があるとは言えども、総体的に見れば乗り得な車両では…と感じたものです。
また「いろは」へ改造された1編成以外の日光線205系は、座席モケットなどは製造当初とは異なるデザインに改められ、先述のトイレやドアスイッチ追設などの改造が行われているものの、車内設備は20年以上前の製造当初から変化なく今日に至っている面が多々あり、JR西日本や富士急で活躍する205系改装車(富士急での形式は6000系)に比べるとイマイチ感が否めない気もします。
観光列車として特別に設置されたボックス席や荷物置きなどは、一般車両への設置は困難かと思われますが、今後も暫くの活躍を見込むのであれば、4扉ロングシートのままでも「いろは」の意匠を取り入れる事が出来ないのだろうか…とも感じたものでした。
車内化粧板・床材・つり革・座席モケット・袖仕切りなどを、「いろは」と同等品に交換できるなら、日光線の205系はJR西日本や富士急で活躍する205系改装車に匹敵する存在になり、外国人観光客利用が多い路線特性も考慮すると、ドア上の4か国語対応横長LCDモニター設置にも期待したいと感じたものでした。