気ままに

大船での気ままな生活日誌

山口晃展

2013-05-05 09:49:47 | Weblog
そごう美術館で開催されている山口晃展。”老若男女ご覧あれ”のサブタイトルに誘われて、”老”代表として(笑)、出掛けてきた。やっぱりというか、お客さんは、”若”が中心だった。でも、”老”も十分楽しめる展覧会でもありました。

まず、模写の実力にびっくり。国宝「伝源頼朝像」(京都・神護寺蔵)。二つの図版からそれぞれ、模写したものが展示されている。それぞれの図版の微妙な色合いの違いまで描き分けて、どうだ、参ったか。 参りました。 

このデッサン力は、澁澤龍彦のホラー・ドラコニア少女小説集、”菊灯台”の挿画などに、いかんなく発揮される。さらに、五木寛之の新聞小説の”親鸞”の挿絵画家でもあったり、なんと、ドナルドキーンの”私と20世紀のクロニクル”の挿画まで担当している。意外と”爺殺し”なのかもしれない(笑)。これらの挿画をたっぷりと楽しむことができる。昭和のはじめの挿絵画家、小村雪岱の絵がみたくて小説本を買った人も多かったようだが、きっと現代の若い人の間でも、山口晃の挿絵が目的で本を買う人も多いことだろう。


些細な歴史にも詳しい。今でこそ美観をそこなうと、のけものにされている電柱も、明治時代のデビューの頃は、古流の華道家がデザインするほどの美的な構造物だったそうな。そこで、山口晃は、見て美しい(?)、かつ新機能を付加した”演説電柱”をつくってしまった。でも、よくみると、この演説を聞きに来ている人が不思議。サラリーマン、女学生らの中に、ちょんまげ姿の江戸のお兄さんも混じっている。時空を超えているのはこの作品だけではない。”百貨店図日本橋三越”でも同様で、江戸と平成の三越が混在している。江戸時代の日本橋が広重の浮世絵のように描きこまれている。

しかし、山口晃の真骨頂は、室町・江戸時代の洛中洛外図を模した、大阪や東京の大都市の俯瞰図にあるのだろう。建物にしても、無数の人間にしても、実に丁寧に、緻密に描かれている。よほどの忍耐と集中力がなければ、出来るものではない。そういう大作が、ここでいくつもみられ、遠目で景色の全貌を眺め、そして近づいて、個々の建物や人々の仕草などを観察する。”Tokio山水” (4曲1双の大型の屏風で、東京の東から西まで俯瞰)、大阪市電百珍図、「東京図」広尾・六本木(六本木昼図(ヒルズ)をマクロ視点で見たもの)などなど。

さらに、<一人国際展>の最新作「山愚痴屋澱エンナーレ2013」が会場内で開かれている。モダンアートの映像もあり、銃声もあり、抽象画もあり、まだまだ、何でもできるぞ、どうだ参ったか 参りました

”老若男女ご覧あれ”のサブタイトルは間違いなかった。どうぞ、みなさんもどうぞご覧あれ。



”厩圖(うまやず)2004”自慢のバイクや馬を眺めながら飲む酒の味は?


ドナルドキーン作”私と20世紀のクロニクル”の挿画


そごう美術館


展覧会後、そごう10Fのカフェで一休み。今日はこれから、桐生くんの、夢の9秒台を目撃するため、千駄ヶ谷に。選手たちを眺めながら飲む酒の味は?(汗)


コメント
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