ぼくらは箱根の宿としてHLホテルを利用することが多い。施設巡りバスを利用するので、ホテルの前にバス停もあり、便利なこともあるが、早川沿いの庭園林も気に入っている。
ホテルのレストランで朝食をとっているとき、ふと、テーブルの椅子の縞模様が気になり始めていた。あの椅子の模様だ、と、もう一人の僕が耳元でささやく(村上春樹風に;笑)。速水御舟の”花の傍”の、花子さんが座っている椅子の模様。”花の傍”は新歌舞伎座のロビーの壁面の、松園、清方、魁夷らと共に、日本画の中のひとつに選ばれている。ひと月半ばかり前に見たばかりだから、すぐ連想したのかもしれない。
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この絵を最初に観たのは、2010年の9月、茅ヶ崎美術館で。何故、速水御舟展が茅ヶ崎で?茅ヶ崎に親から譲られた別荘をもっていたから、関係があるのだ。モデルの花子さんは御舟の親戚の娘さんで、その後、茅ヶ崎の氷室家(椿園)にお嫁入りした。で、この絵が目玉展示となった。
ぼくの想像はどうだったか。家に帰ってから調べてみた。しかし、本画の、花子さんの着物の模様は縞模様だったが、椅子の模様は違っていた。そうか、着物の模様と椅子の模様とをごっちゃにしていたのかと、少し、落胆した。
その展覧会では、本絵だけではなく、それに至る、何段階もの下絵も同時に展示していた。その際、はじめから椅子の模様を決めているのではなく、いろいろ試しているのだ。その中に、おおっ、と思う絵が図録にあった。その二番目の下絵の椅子が、ホテルの椅子の縞模様によく似ていたのだった。
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ぼくの、古ぼけた頭の片隅にも、その絵の残像があって、ホテルの椅子の模様にピピピと反応したのかもしれない。稀勢の里の一勝分ぐらいの嬉しさだった。
庭園林は鎌倉より、少し遅くれた初夏を迎えていた。
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ホテルのレストランで朝食をとっているとき、ふと、テーブルの椅子の縞模様が気になり始めていた。あの椅子の模様だ、と、もう一人の僕が耳元でささやく(村上春樹風に;笑)。速水御舟の”花の傍”の、花子さんが座っている椅子の模様。”花の傍”は新歌舞伎座のロビーの壁面の、松園、清方、魁夷らと共に、日本画の中のひとつに選ばれている。ひと月半ばかり前に見たばかりだから、すぐ連想したのかもしれない。
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この絵を最初に観たのは、2010年の9月、茅ヶ崎美術館で。何故、速水御舟展が茅ヶ崎で?茅ヶ崎に親から譲られた別荘をもっていたから、関係があるのだ。モデルの花子さんは御舟の親戚の娘さんで、その後、茅ヶ崎の氷室家(椿園)にお嫁入りした。で、この絵が目玉展示となった。
ぼくの想像はどうだったか。家に帰ってから調べてみた。しかし、本画の、花子さんの着物の模様は縞模様だったが、椅子の模様は違っていた。そうか、着物の模様と椅子の模様とをごっちゃにしていたのかと、少し、落胆した。
その展覧会では、本絵だけではなく、それに至る、何段階もの下絵も同時に展示していた。その際、はじめから椅子の模様を決めているのではなく、いろいろ試しているのだ。その中に、おおっ、と思う絵が図録にあった。その二番目の下絵の椅子が、ホテルの椅子の縞模様によく似ていたのだった。
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ぼくの、古ぼけた頭の片隅にも、その絵の残像があって、ホテルの椅子の模様にピピピと反応したのかもしれない。稀勢の里の一勝分ぐらいの嬉しさだった。
庭園林は鎌倉より、少し遅くれた初夏を迎えていた。
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