このブログでも、ときどき福田美蘭シリーズとして、その日の記事の末尾に彼女の作品を掲載してきたが、まだ、福田美蘭展について記事にしていなかったことに気付いた。とにかく面白い作品ばかりで、美蘭は美術界のコロッケと言ってもいいだろう、なんて思ってしまう。天才コロッケのように形態模写をベースにして、それにひとひねりもふたひねりもして、笑わせる才能は尋常ではない。
この才能は父親譲りである。2011年9月に、川崎市民ミュージアムで開催された”福田繁雄大回顧展”を観たが、ユーモア溢れる作品群には度肝を抜かれたものだ。そのとき印象に残った作品というと、2552枚の使用済み切手ばかりでつくったモナリザそっくりさんや、めちゃめちゃの鉄クズの塊に光を当てると、その影が実物大のモトクロス・オートバイに化けているのとか。どれこれも遊び心が感じられる作品ばかりだった。
美蘭の遊び心も東京都美術館で弾けている。第一幕は、”日本への眼差し”。黒田清輝の”湖畔”の団扇をもつ女性が画面の左端にいて、湖が右に大きく拡がっている。人物画というより風景画にヘンシン。掛け軸の”旭日静波”の朝日がハート形に。はあ?と思うと、西洋人が朝日に匹敵する精神性をもつものといえばこれではないかと描き入れてみたと、本人の釈明がある(笑)。また、”遊鯉”では仰向けになった死んだ鯉がいるが、ナヌッと目をむくと、西洋画にはよく死んだ魚や動物を描かれてるじゃん、とペロッと舌を出す。水墨山水には白雪姫と小人たちが入っている。アジャー、トホホ、と思う人は固定観念にとらわれている人。和洋折衷の不思議な雰囲気もいいし、第一、そのユーモア発想が面白い。
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あの北斎の神奈川沖浪裏が左右反転に描かれている。版画ではありえないから、北斎もみたことがない、どうだ参ったか、という作品。うん、この向きがいいと言う人もきっといる。また鑑賞石をモデルに想像を膨らませて、山水画にして、石とセットで楽しむ作品も。
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”安井曾太郎と孫”も微笑ましいというか、思わず、笑ってしまう。モデルの娘を横に置いてキャンパスに向かう安井曾太郎を、彼の画法を模倣して描いている。美蘭は最年少で安井賞を受賞しているので、恩返しの意味もあるのだろう(笑)。
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こうしたほのぼの系だけではなく、第二幕の現実への眼差しでは、ブラックユーモアもある。戦争のことで頭がいっぱいのブッシュ大統領は誰の話しも聞かないようなので、キリストなら聞いてくれるだろうと、大統領執務室で会談させた。ブッシュの渋い顔がおかしい。
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隣りの”ニューヨークの星”も好きな作品。9.11で破壊されたツインタワーの窓の灯りが切り取られ、夜空の星になっている。昨年、ニューヨークでグラウンド・ゼロを見学したし、ツインタワーがあった時代のブルックリン側からのマンハッタンの夜景も観ているし、しんみりした。その他、噴火後の体型が著しく変わった富士山とかもあり、富士山好きのぼくをカッカ怒らせた。
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そして、第三章には西洋の眼差し。ここでは名画があれこれ、いじくり回されヒサンな絵に蘇る(笑)。額の扉を開いて観る絵とか床に置き、踏みつけながら鑑賞する絵もある。美大受験の予備校時代に絵に添削されたことを思い出し、セザンヌの静物画に直しの文字を入れて作品にしたのもある。”台の設定が不安定”、とか総評”視点がばらばらです”これには大爆笑だった。ぼくの一押しの作品(爆)。
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まだまだ、たくさんありますが、また、時々、福田美蘭シリーズで紹介したいと思います。お固いルーブル博物館展のあとは、福田美蘭展で頭をほぐす、このコースがおすすめですね。
この才能は父親譲りである。2011年9月に、川崎市民ミュージアムで開催された”福田繁雄大回顧展”を観たが、ユーモア溢れる作品群には度肝を抜かれたものだ。そのとき印象に残った作品というと、2552枚の使用済み切手ばかりでつくったモナリザそっくりさんや、めちゃめちゃの鉄クズの塊に光を当てると、その影が実物大のモトクロス・オートバイに化けているのとか。どれこれも遊び心が感じられる作品ばかりだった。
美蘭の遊び心も東京都美術館で弾けている。第一幕は、”日本への眼差し”。黒田清輝の”湖畔”の団扇をもつ女性が画面の左端にいて、湖が右に大きく拡がっている。人物画というより風景画にヘンシン。掛け軸の”旭日静波”の朝日がハート形に。はあ?と思うと、西洋人が朝日に匹敵する精神性をもつものといえばこれではないかと描き入れてみたと、本人の釈明がある(笑)。また、”遊鯉”では仰向けになった死んだ鯉がいるが、ナヌッと目をむくと、西洋画にはよく死んだ魚や動物を描かれてるじゃん、とペロッと舌を出す。水墨山水には白雪姫と小人たちが入っている。アジャー、トホホ、と思う人は固定観念にとらわれている人。和洋折衷の不思議な雰囲気もいいし、第一、そのユーモア発想が面白い。
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あの北斎の神奈川沖浪裏が左右反転に描かれている。版画ではありえないから、北斎もみたことがない、どうだ参ったか、という作品。うん、この向きがいいと言う人もきっといる。また鑑賞石をモデルに想像を膨らませて、山水画にして、石とセットで楽しむ作品も。
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”安井曾太郎と孫”も微笑ましいというか、思わず、笑ってしまう。モデルの娘を横に置いてキャンパスに向かう安井曾太郎を、彼の画法を模倣して描いている。美蘭は最年少で安井賞を受賞しているので、恩返しの意味もあるのだろう(笑)。
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こうしたほのぼの系だけではなく、第二幕の現実への眼差しでは、ブラックユーモアもある。戦争のことで頭がいっぱいのブッシュ大統領は誰の話しも聞かないようなので、キリストなら聞いてくれるだろうと、大統領執務室で会談させた。ブッシュの渋い顔がおかしい。
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隣りの”ニューヨークの星”も好きな作品。9.11で破壊されたツインタワーの窓の灯りが切り取られ、夜空の星になっている。昨年、ニューヨークでグラウンド・ゼロを見学したし、ツインタワーがあった時代のブルックリン側からのマンハッタンの夜景も観ているし、しんみりした。その他、噴火後の体型が著しく変わった富士山とかもあり、富士山好きのぼくをカッカ怒らせた。
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そして、第三章には西洋の眼差し。ここでは名画があれこれ、いじくり回されヒサンな絵に蘇る(笑)。額の扉を開いて観る絵とか床に置き、踏みつけながら鑑賞する絵もある。美大受験の予備校時代に絵に添削されたことを思い出し、セザンヌの静物画に直しの文字を入れて作品にしたのもある。”台の設定が不安定”、とか総評”視点がばらばらです”これには大爆笑だった。ぼくの一押しの作品(爆)。
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まだまだ、たくさんありますが、また、時々、福田美蘭シリーズで紹介したいと思います。お固いルーブル博物館展のあとは、福田美蘭展で頭をほぐす、このコースがおすすめですね。
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