こんばんわ。
先日、映画”八犬伝”を見て来た。”南総里見八犬伝”は子供の頃、貸本屋さんから借りて読んだ覚えがあるが、その後、ずっとご無沙汰だった。10年ほど前、歌舞伎の”南総里見八犬伝”を見て、少し思い出したという程度。この映画は”八犬伝”の映画でもあるのだが、もう一つというか、こちらがメインとなる八犬伝の作者、滝沢馬琴の八犬伝着想から完了までの28年間の物語を交錯させて描かれてゆく。すなわち虚の世界と実の世界が交錯する。
この映画の前にNHKの歴史探訪”滝沢馬琴”を見た。馬琴は武士を捨てて、なんと、今話題の蔦屋重三郎の番頭をしていたのだ。ここでの仕事の合間に黄表紙など軽いものを書いていたが、本格的な物語(読本)を書きたいと思っていた。蔦重に吉原のお店の婿養子を勧められたが断り、履物屋の婿養子に入った。ここで家業には励まず(笑)、文筆業に専念することになった。
映画はこの時点から始まる。滝沢馬琴を役所広司、友人の葛飾北斎を内野聖陽と、江戸の両巨匠を当代の名優が演じる。馬琴の妻、お百には寺島しのぶ、馬琴の息子・宗伯を磯村勇斗、宗伯の妻・お路を黒木華という布陣。虚の世界、八犬伝の方は、伏姫が土屋太鳳、犬塚信乃に渡邊圭祐、犬飼現八に水上恒司ら。監督・脚本は曽利文彦。原作は山田風太郎の八犬伝。
馬琴の仕事部屋に北斎がいる。馬琴が八犬伝の着想を話しかけると、北斎はそれは面白いと興奮し、たちまちそのイメージを絵にしてしまう。馬琴も決心し、書き始めるのだが、たびたび訪ねてくる北斎がその度に絵を描く。それを見て、また新たな発想が生まれるようで、馬琴の筆が進む。馬琴はこれまで黄表紙などの挿絵を北斎に担当してもらっているので、今回も是非、お願いしたいと頼むのだが、引き受けない。自分の門下の浮世絵師を紹介する。自分は富士山を描く旅に出るのだという。
この読本は人気が出て、何年も連載している。あるとき、北斎から歌舞伎座に誘われる。演目は”東海道四谷怪談”なのに、何故か忠臣蔵がごちゃ混ぜに入っている。歌舞伎役者は、忠臣蔵では七代目市川団十郎(内蔵助役)を中村獅童、お岩さんの三代目菊五郎には右近が演じている。このあと、二人は舞台裏で戯曲の鶴屋南北(談春)と創作にまつわる問答を繰り広げる。虚の四谷怪談と実の忠臣蔵が巧妙に入り混じった面白い芝居だと、馬琴が褒めると、南北は逆だという。実が四谷怪談で忠臣蔵は虚だと言い張る。武士出身でもあり、勧善懲悪をモットーにしている馬琴が気を悪くするが、あとで南北の才能を認める。
そして、二十数年が経過し、八犬伝もいよいよ最終盤に入っているが、馬琴の目が弱ってくる。ほとんど書けなくなるが、息子・宗伯はすでに亡くなり、どうなるものかと思われたが、宗伯の妻・お路(黒木華)が口実筆記を手伝ってくれる。字も知らず嫁に来たが、勉強していたらしく、馬琴の指導もありたちまち上達して、八犬伝を書き上げた。書き始めてから28年の歳月がたっていた。この映画の感動的なフィナーレである。
鏑木清方の名作にこの場面を描いた”曲亭馬琴”がある。一字一句、手の平に書いて教えている馬琴。
さて、虚の世界の”八犬伝”の物語とは。10年ほど前の歌舞伎の”南総里見八犬伝”を紹介したブログを写して、代用しよう。
安房国を治めていた里見家の息女伏姫は、愛犬八房と共に富山山中で暮らしていましたが、誤って家臣に銃で撃たれて絶命。すると八つの水晶の珠が空中に飛び散ります。この珠を持つ八犬士の一人で里見家再興を目指す犬塚信乃は、公方に献上した名刀村雨丸が偽物だというあらぬ罪を着せられます。追手の犬飼現八も実は八犬士なのですが、互いにそれとは知らず二人は芳流閣の大屋根で死闘を繰り広げます。行方知れずとなった村雨丸は、円塚山で犬山道節の手に渡り、引き寄せられるように八犬士たちが姿を現し…。曲亭馬琴の名作より、大立廻りやだんまりなど見せ場のあふれる舞台をご覧に入れます。(筋書から)
右近(犬飼現八)と獅童(犬塚信乃)の芳流閣の斜めの大屋根の上の戦い。この映画でもこの場面の大立ち回りが見どころ。
獅童と右近が、この映画では、前述の歌舞伎の場面で江戸時代の團十郎と菊五郎役で出演している。
とても面白い映画でした。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
もう一人の主役、北斎の赤富士
迫力があったでしょう!
役者も演技派面々で、面白みも増したことですね。
南総里見八犬伝。
東映映画もありに吃驚。
当代の名優が演じてにも👀でした。
辻村ジュサブロウ氏の人形劇が圧倒されました。
作者と絵描き、思いと気持ちの交差する家族間。
鏑木清方の挿絵、堪りません。
余禄・先日、安珍 清姫を観ました。
市川団十郎?若尾文子の共演でした。
道成寺・釣鐘・蛇の化身。
正直、固唾をのむ迫力でした。
おやすみなさいませ。
馬琴に役所さんだなんて、ぴったりな感じの役者さんの一人だと感じます。
馬琴の作品は漢文も多く起用され、難しいですね。
馬琴に北斎だなんて、面白そうな映画ですね!
獅童と右近が、劇中劇で江戸時代の團十郎と菊五郎役ですか、、、
おもしろそう、、過ぎますね。
ツボにはまり、私もこの映画を見ようと思ったのですが、、、
関西では上映されていませんでした。
日本では3館のみで、非常に残念です。
良い記事を公開していただきありがとうございます。
ネットで公開されるのを待ちたいと思います、、、
この映画を見にいこうか?
と思ったりもしましたが。
内容が少し、私の想像する八犬伝の話だけではなさそうなので
見にいきませんでした。
八犬伝といえば、
まっ先に思い出すのは
昔、NHKで放送されてた人形劇です
30分番組?ではなく15分番組
だったかもしれません
確か月曜から金曜まで夕方に放送してたと思います
人形の作者はジュサブロ
ーさんだったか?
別な方だったか?
私が高校生の頃ですが
クラスのほとんどの子か見ていた人気番組で
よくクラス仲間と話してました
人形劇なのに、人形に命があるような表情を感じられました
語りが坂本九さんで、その語りも面白かったです
再放送してくれないかと思うけど
多分、テープが残ってないのたと思います
残念です
NHKの人形劇で
一生懸命に放送を楽しみに見てたのは
ひょっこりひょうたん島と
この八犬伝であります
ジュサブロウの人形劇はぼくは見ていませんでしたが、人気があったようですね。
清方の曲亭馬琴、いいでしょう。ぼくの好きな作品の一つです。
安珍 清姫、面白そうですね。絵では見ています。
ありがとうございました。
今回は馬琴と北斎の”実の世界”の方に惹かれて、見に行きました。面白かったですよ。
ありがとうございました。
はっはっは
とても面白そうですが、医者に映画観賞も控えるようにと言われているので我慢しておきます。
なにせ、役所広司、内野聖陽、寺島しのぶ、黒木華、中村獅童はファンなのでと言うか、役者さんはそれだけしか知りません(笑)
このページの上から下まで読ませていただいて満足しています。
有難うございました。
ぼくも、若い現代俳優さんの名前はほとんど知りません。小父さん同様+右近くらいでしょうか(笑)。
ありがとうございました。