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【tv】100分de名著「アルプスの少女ハイジ」(第1回)

2019-06-20 21:53:09 | tv

【tv】100分de名著「アルプスの少女ハイジ」(第1回)

山の上に住む幸せ

 

 

1回25分×4回で1つの作品を読み解く番組。6月はヨハンナ・シュピリ(Wikipedia)著「アルプスの少女ハイジ」(Wikipedia)を読み解く。講師はドイツ文学者の松永美穂さん。今回はその第1回。

 

講師の松永さんは、子供の頃に子供向けに書かれた本を読んでいたけれど、学生から卒論のテーマにしたいと言われて改めて読み、是非大人に読んで欲しいと思われたのだそう。アニメ大好きなのでどう違うのか楽しみ😍

 

【ヨハンナ・シュピリについて】

1827年:スイス山村生まれ。父は開業医、母は牧師の娘で詩人。

1852年:弁護士と結婚

1871年:小説「フローニの墓に捧げる一葉」を匿名で出版

1875年:高等女学校の理事になる(~92年まで)

1880年:「ハイジの修業時代と遍歴時代」を匿名で出版

1881年:「ハイジは習ったことを役立てることができる」を実名で出版

 

もとは専業主婦。最初の作品を送った時は、シュピリの文才に気づいた知人から何か書いて欲しいと言われ、イニシャルのみで出版した。有名になろうとかお金を儲けようという野心はなかった。

 

ハイジは「ハイジの修業時代と遍歴時代」と「ハイジは習ったことを役立てることができる」の2部構成。「ハイジの修業時代と遍歴時代」というタイトルは、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Wikipedia)の「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」と「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」の影響。シュピリはゲーテ愛読者で、新婚旅行でゲーテが暮らしたワイマール公国を訪問。相当なゲーテファンだった。

 

「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」はビルドゥングスロマン[Bildungsroman](bilden[動詞]形作る・築く)の基になった作品と言われている。ビルドゥングスロマンは日本語で教養小説と訳されることが多いが、むしろ人格形成小説である。少女ハイジが苦難や教育を通して人格を形成していく。


出た! 100分de名著ビルドゥングスロマンよく取り上げられるんだよね! まぁ、それだけ普遍的で支持されるテーマなのかもしれない😌

 

朗読意訳:6月の朝、マイエンフェルトの山道を背の高いがっしりとした若い女性が、まだ5歳くらいの女の子を連れて歩いていた。

(女優の安達祐実さんが朗読されていましたが、全文書き写すのは大変なので意訳?しました😌)

 

この2人はデーテとハイジ。2人はデルフリ(小さな村)に辿り着く。デーテはこの街出身なので、たくさんの人が声をかけてくる。バルベルという女性は家から出て来ると、一緒に歩きながらデーテに尋ねる。デーテの姉が遺した子のようだが、一緒にどこに行くのか?

 

朗読意訳:おじいさんに預かってもらうつもりだと言う。バルベルは難色をしめし、どこで働くつもりか聞く。デーテはフランクフルトだと答える。

 

大都市フランクフルトで働くことはデーテにとって大きなチャンスだったが、子供を連れて行くことはできない。そこで山の上で暮らすハイジの祖父(アルムのおじさん)に預けに来た。そう聞いてバルベルは驚く。山の上でアルムおじさんがどうやって暮らしているか誰も知らない。おじさんは誰とも関わろうとしない。1年に1度杖をついて山を下りて来ると、みな避けるし怖がっている。風貌はまるで異教徒だ。デーテは、そうだとしてもあの人はおじいちゃんなのだから、子供の世話はしなきゃいけないと答える。

 

伊集院光氏:女性同士の世間話感が良くできている。矢継ぎ早に質問が渋滞する感じ。


ハイジのおじいさん(アルムのおじさん)の息子がハイジの父で、デーテはハイジの母の妹。2人がやって来たマイエンフェルトはスイス東部にある現在でも人口3000人の小さな街。デーテが働いていたのはラガーツ温泉で、マイエンフェルトの隣駅。ラガーツ温泉は19世紀に高級保養地として発展した。デーテはヨーロッパ各地からラガーツ温泉に来た富裕層に誘われてフランクルとでの職を得た。

 

仕事を求めてドイツに行くことはよくあったのか?

 

当時のスイスはそんなに豊かな国ではなかった。19世紀後半だけど20万人以上が出稼ぎに行った。「ハイジ」が書かれた当時は大不況の影響で国外の移民が急増。

 

伊集院光氏:そういう境遇の人もいるだろうと読者も納得する感じなんですね。

 

19世紀は鉄道網が整備されたのでマイエンフェルトにも1858年に鉄道が開通。近代化の影響もあり人々の移動が盛んになった背景がある。


子供の頃アニメを見ていた時には、この物語の舞台がスイスであることは漠然と分かっても、デーテが出稼ぎに行くフランクフルトがドイツであって、スイスからはそれなりに距離があることも分かっていなかった。ましてや、スイスからの出稼ぎは普通のことであったというようなことは知らなかったので、なかなか興味深い😌

 

おじさんの評判が良くない?

 

バルベルは他所からデルフリ村に嫁いできた女性で、おじいさんが嫌われていることは知っていたが、詳しいことは知らないのでデーテから聞き出したいと思っている。実際に聞くと想像以上に暗い過去であった。

 

立派な農園の長男として生まれたおじいさんだが、若い頃に遊びや酒に財産を使い果たすと行方をくらましナポリで傭兵になった。十数年後トビアスという息子を連れて故郷に帰って来るが、村人たちは受け入れなかった。

 

朗読意訳:おじさんは腹を立ててデルフリに移り少年と暮らした。トビアスはきちんとした大人になり村人たちに好かれた。でも、おじさんのことは信用しなかった。人を殴り殺してナポリから逃げて来たと噂した。トビアスはどうなったの?とバルベル。

 

大工になったトビアスはデーテの姉アーデルハイドと結婚しハイジが生まれた。しかし2年後、トビアスは事故死。アーデルハイドも後を追うように亡くなった。

 

朗読意訳:するとみなが、この悲しい運命はおじいさんが神様を信じないで生きてきた罰だと言うようになった。面と向かって言う人もいたし、牧師も悔い改めるように言った。おじさんはますます頑固になり誰とも話さなくなった。みなもおじいさんを避けるようになった。おじいさんはアルムに上がって降りてこないとういう話になり、それ以来そこで暮らしている。

 

伊集院光氏:衝撃的。まさかの人を殺した。殺人事件なのか過失なのかも分からない。


ホントまさかの人殺しでビックリだけど、これは噂の域を出ないのか、本当に殺したのかも分からないね💦 ハイジのおじさんなのだから子供がいたことは間違いないけど、まさかの息子を連れて帰って来たという設定もビックリ😲 母親はどうしたのか? でも、トビアスがきちんとした大人になったのだったら、おじいさんはそんなにダメな人物ではないのでは? たしかに若気の至りで家をつぶしてしまったけれど😅

 

おじいさんの粗暴な一面ばかり列挙しているが、「神様とも人間とも仲たがいしたまま」のおじいさんの変化も物語の軸。

 

若い頃に外国の傭兵だったのはスイスらしいエピソード。資源に乏しいスイスでは貧しい男性が家計のために外国の傭兵となる歴史があった。ホームシック(独語:ハイムヴェー Heimwen)は故郷を離れたスイス人がかかる特別な病気だと思われていた。フランスではスイス病とも言われていた。ホームシックになるためスイスの傭兵は故郷の歌を歌うことも禁じられていた。

 

伊集院光氏:スイスが良いところだという要素もあり、リアリティーがある。


おじいさんが傭兵に行っていたというのもビックリしたけど、そういう背景があるなら納得。しかし、ホームシックというのはスイス人がなる病気だと思われていたというのは知らなかった😲

 

デーテがバルベルと話している間にハイジは重要人物に出会う。

 

ハイジは11歳の山羊飼いの少年ペーターと出会う。お母さんと目の見えない祖母と壊れかけた小さな小屋に住んでいる。父も山羊飼いだったが数年前に事故死している。半ズボンに裸足で山羊たちと飛び跳ねるペーターを見てハイジがしたことが象徴的。

 

 朗読意訳:半ズボンに裸足で駆け回るペーターを見て、ハイジは靴と靴下を脱ぎ捨てて、分厚いショールを脱いだ。

 

荷物を減らすため厚着させられていたハイジは次々に服を脱いでいく

 

 朗読意訳:ハイジはあっという間に普段着を脱いでしまう。そして身軽な下着姿で満足そう。洋服を全部きちんと重ねると、山羊たちの後ろにくっついてペーターと並んで飛び跳ねた。デーテにたしなめられると服はいらないとハイジ。後悔していない。

 

ハイジの服は下の方に置き去りにされていてたため、デーテはペーターに取って来てくれるように頼む。最初は聞き流していたが、デーテが5ラッペン硬貨を差し出すと、直ぐに取に行った。ほんの少しのご褒美を宝物のように喜んだ。

 

伊集院光氏:アニメで有名なシーン。とても得しているのは原作のすごさと、それをああいう風にアニメにしたんだというすごさ両方味わえる。

 

アニメでは山を登りながらどんどん服を脱ぎ散らかしていくが、原作では服をたたんで重ねる。ハイジは躾がなされていることが分かる。

 

伊集院光氏:アニメはつかみの部分で自然児ハイジのような感じを出したかったのでは?


たしかにアニメではとても印象的なシーン。すごく厚着させられていてマトリョーシカのようになっちゃっててかわいかった😳 あと、ペーターがハイジより6歳も年上でビックリ! もう少し年が近いのかと思ってた。

 

ペーターのご褒美5ラッペン硬貨はどれくらいの価値?

 

現在も使われている銅貨で、現在のレートでは5ラッペン硬貨=約5円。当時も少額なものだった。安い硬貨を貰ってペーターが喜んだのは、お金を持ったことがなかったから。ペーターは貧しくて無知な存在として、少し突き放して描かれているが、ハイジと交流し成長するのも物語の見どころになっている。

 

ハイジとデーテはおじいさんの山小屋に到着するが、とても冷たい態度を取られる。デーテに対しては「とっとと帰れ」と言うが、置いて行かれたハイジには優しさを見せる。

 

 朗読意訳:ハイジと2人きりになると、おじいさんは何がしたいか尋ねる。ハイジは小屋の中を見てみたいと答える。

 

ハイジはおじいさんの小屋が気に入る。屋根裏に干し草を積んでベッドにする。

 

 朗読意訳:ハイジは干し草のベッドによろこび今が夜なら直ぐに眠れると言うと、おじいさんはまずは何か食べようと言う。お腹は空いているかね?と聞く。

 

おじいさんはしぼりたての山羊のミルクを用意してくれた。

 

 朗読意訳:こんなにおいしいミルクを飲んだのは初めてとハイジ。それならもっと飲めと注いでくれる。ハイジは焼いてバターのようにやわらかくなったチーズをパンに塗って食べた。ハイジはパンを食べ、合間にミルクを飲んで満足そう。

 

ぐっすり眠った翌朝、ペーターの口笛でハイジは目覚める。おじいさんはパンとチーズのお弁当を作ってハイジに持たせ、ペーターお一緒に山の牧場へ送り出した。ハイジにとって山の上は素敵なことばかり。

(ブルーノ・ガンツ出演の映画『ハイジ アルプスの物語』の映像が使われていた! この映画好きだった😃)

 

伊集院光氏:安達祐実さんの天才っぷり! 一気におじいさんとの距離が縮まる。


安達祐実の朗読はホントにスゴイ! 現在のところ、デーテ、バルベル、ハイジ、おじいさんを演じ分けている。特にハイジのかわいさがスゴイ! そして子供の頃食べたくて仕方がなかったチーズのパン! 美味しそう😋

 

安部みちこアナウンサー:自然の美しさが伝わって来る。


シュピリの自然描写は読みどころの一つ。映画もテレビもない時代、人々は言葉の描写によって見知らぬ土地の風景を味わった。おいじさんやペーターにとって山の自然は見慣れたものだったが、麓の街からやって来たハイジの感受性を通して、風景画再現される。


分かる! そこにいる人には日常だから風景も生活の一部だけど、初めて見る者にとっては全てが新鮮なんだよね。まして、アルプスの山の風景ならばなおさら。5歳のハイジのキラキラした目で見た自然を一緒に見るという感覚はおもしろいと思う!


冬になるとハイジには新たな出会い。ペーターのおばあさん。おじいさんに橇に乗って連れて行ってもらう。おばあさんは目が見えず外出も出来ない。おばあさんとハイジは仲良くなる。ペーターの小屋はガタガタで壊れそうとおばあさんが言うと、ハイジはおじいさんに頼んで小屋を直してもらう。おじいさんは小屋には入らず外側だけを直してあげる。


伊集院光氏:そこもよくできてる。おじいさんの人嫌いは治っているわけではない。ハイジが真ん中に入ると何かしてやろうという感じはよく書けている。


ハイジが人と人をつないでいく。山の上で暮らす人々にも幸せが訪れて来る雰囲気がうかがえる。


もちろんこれはハイジが成長していくビルドゥングスロマンなのでしょうけれど、ハイジという存在がおじいさんを始めとした周りの人々を変えていくという部分でもビルドゥングスロマンなんだね😌 続きが楽しみ!

 

100分de名著:毎週月曜日 午後10:25~10:50 Eテレ

100分de名著


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