これも気になっていたのでDVDにて鑑賞。
「家族にまつわるものなら何でもZiplocに入れてコレクションしているジョナサン。祖母が亡くなる時、若い頃の祖父とある女性の写真を譲られる。祖父の命の恩人だというその女性を探す旅に出るが・・・」という話。でも実は主人公はもう一人いて、旅に同行するウクライナ人通訳のアレックス。彼のナレーションで話が進行するので、彼目線で描かれている。
ジョナサンはユダヤ人で、あの髪型&帽子というスタイルこそしていないが、黒スーツに黒ネクタイと割と敬虔な信者を思わせる。思慮深く生真面目というか堅物な印象。一方アレックスはヒップホップダンスが大好きなアメリカかぶれで奔放な生活をかっこいいと思っているタイプ。少し前なら逆の設定だったはず。そのあたりも面白い。
トラキムブロドという村を探しに行くロードムービーになっていて、前半は嫌々ながら運転手として同行することになった元ガイドの祖父や、祖父の盲導犬(笑)サミー・デイビス・Jr・Jrの珍道中。ウクライナののどかな風景がいい。素朴な田舎の人々と生真面目なジョナサンとのやりとりが、アレックスの適当な通訳でよりおかしくなっていく感じがコミカルに描かれる。そう言えば『単騎千里を走る。』でもこんなやりとりがあった。まぁ、この感じは王道な気もするけど(笑)
ホテルの部屋とか廊下とかのデザインというか建物の感じがすごくいい。ジョナサンのやけに広い部屋にベッドのみとか、無駄に広い廊下の割にはアレックスと祖父の部屋は狭いベッド2つでいっぱいいっぱい。しかもアレックスのベッドには柱がめりこんでいる! 食事に関するやりとりもいい。食堂も殺風景でいい! なんだかとっても旧共産圏の香りのするデザイン。あとウクライナを思わせる音楽もいい。
トラキムブロドに近づくにつれて、祖父の様子が変わってくる。アレックスもその原因を何となく感じ始める。感情を爆発させた後、祖父は決意したようにトラキムブロドに向かう。
辿り着いたその地はまるで夢に出てきそうな光景。かわいらしい小さな家の回りにたくさんのヒマワリ。このヒマワリにもしかしたら何か意味があるのかも知れないけど、ユダヤ人やその辛い歴史については通り一遍の知識しかないので分からない。老嬢が一人で住むこの家の中がまたすごい。ユダヤ人が祖父のルーツを探して旅しているのだから、どんな過去かは想像がつく。そのすべてがここにある。でもそれをあえてすべて見せないのがよかった。
老嬢に導かれて知った事実は重い。それはジョナサンのルーツだけでなく、アレックスのルーツをも明らかにする旅だった。この作りは上手いと思うけど、伏線の貼り方がちと…。納得はできるけど、だから祖父はあの態度だったのかとはしっくりとこない感じ。ただ度々フラッシュバックで見せられる記憶は、こちらへの小出しであると同時に、祖父の記憶の甦りなのだとすればスゴイと思う。あまりに強烈な記憶だったために祖父は記憶を削除していたのかもしれない。それが甦ったからこそあの選択をしたのだろう。
ジョナサン役のイライジャ・ウッドは内向的で変わった趣味の青年を好演。彼の美しい目はいつもどこか悲し気で雄弁にジョナサンの心情を語っていた。ユージン・ハッツもいい加減に振舞いながら実は好青年なアレックスを好演していた。祖父役のボリス・レスキンの表情が素晴らしい。老嬢リスタ役ラリッサ・ローレットが素晴らしい。あまり多くは語らないけれど、辛い過去を一人引き受けてまるで修道女のように生きている。彼女が最後に3人に問うセリフが重い。そのセリフで祖父は決断したのかもしれない。一人逃げいてた自分なりの決着・・・。
想像はしていても実際に突きつけられればやっぱり重い。でもこんな風にまるでトラキムブロドとう村で起こった架空の話のように見せられれば、見る側の負担は軽くなり、より心に染みる気がする。もちろん人それぞれだけど、あまりに悲惨な映像や話ばかり見せつけられると、その衝撃だけで本質に目が行かないこともある気がする。
気がつけば長文になってた(笑) よい映画だったと思う。
追伸:"指輪"も出てきます(笑)
⇒『僕の大事なコレクション』HP
「家族にまつわるものなら何でもZiplocに入れてコレクションしているジョナサン。祖母が亡くなる時、若い頃の祖父とある女性の写真を譲られる。祖父の命の恩人だというその女性を探す旅に出るが・・・」という話。でも実は主人公はもう一人いて、旅に同行するウクライナ人通訳のアレックス。彼のナレーションで話が進行するので、彼目線で描かれている。
ジョナサンはユダヤ人で、あの髪型&帽子というスタイルこそしていないが、黒スーツに黒ネクタイと割と敬虔な信者を思わせる。思慮深く生真面目というか堅物な印象。一方アレックスはヒップホップダンスが大好きなアメリカかぶれで奔放な生活をかっこいいと思っているタイプ。少し前なら逆の設定だったはず。そのあたりも面白い。
トラキムブロドという村を探しに行くロードムービーになっていて、前半は嫌々ながら運転手として同行することになった元ガイドの祖父や、祖父の盲導犬(笑)サミー・デイビス・Jr・Jrの珍道中。ウクライナののどかな風景がいい。素朴な田舎の人々と生真面目なジョナサンとのやりとりが、アレックスの適当な通訳でよりおかしくなっていく感じがコミカルに描かれる。そう言えば『単騎千里を走る。』でもこんなやりとりがあった。まぁ、この感じは王道な気もするけど(笑)
ホテルの部屋とか廊下とかのデザインというか建物の感じがすごくいい。ジョナサンのやけに広い部屋にベッドのみとか、無駄に広い廊下の割にはアレックスと祖父の部屋は狭いベッド2つでいっぱいいっぱい。しかもアレックスのベッドには柱がめりこんでいる! 食事に関するやりとりもいい。食堂も殺風景でいい! なんだかとっても旧共産圏の香りのするデザイン。あとウクライナを思わせる音楽もいい。
トラキムブロドに近づくにつれて、祖父の様子が変わってくる。アレックスもその原因を何となく感じ始める。感情を爆発させた後、祖父は決意したようにトラキムブロドに向かう。
辿り着いたその地はまるで夢に出てきそうな光景。かわいらしい小さな家の回りにたくさんのヒマワリ。このヒマワリにもしかしたら何か意味があるのかも知れないけど、ユダヤ人やその辛い歴史については通り一遍の知識しかないので分からない。老嬢が一人で住むこの家の中がまたすごい。ユダヤ人が祖父のルーツを探して旅しているのだから、どんな過去かは想像がつく。そのすべてがここにある。でもそれをあえてすべて見せないのがよかった。
老嬢に導かれて知った事実は重い。それはジョナサンのルーツだけでなく、アレックスのルーツをも明らかにする旅だった。この作りは上手いと思うけど、伏線の貼り方がちと…。納得はできるけど、だから祖父はあの態度だったのかとはしっくりとこない感じ。ただ度々フラッシュバックで見せられる記憶は、こちらへの小出しであると同時に、祖父の記憶の甦りなのだとすればスゴイと思う。あまりに強烈な記憶だったために祖父は記憶を削除していたのかもしれない。それが甦ったからこそあの選択をしたのだろう。
ジョナサン役のイライジャ・ウッドは内向的で変わった趣味の青年を好演。彼の美しい目はいつもどこか悲し気で雄弁にジョナサンの心情を語っていた。ユージン・ハッツもいい加減に振舞いながら実は好青年なアレックスを好演していた。祖父役のボリス・レスキンの表情が素晴らしい。老嬢リスタ役ラリッサ・ローレットが素晴らしい。あまり多くは語らないけれど、辛い過去を一人引き受けてまるで修道女のように生きている。彼女が最後に3人に問うセリフが重い。そのセリフで祖父は決断したのかもしれない。一人逃げいてた自分なりの決着・・・。
想像はしていても実際に突きつけられればやっぱり重い。でもこんな風にまるでトラキムブロドとう村で起こった架空の話のように見せられれば、見る側の負担は軽くなり、より心に染みる気がする。もちろん人それぞれだけど、あまりに悲惨な映像や話ばかり見せつけられると、その衝撃だけで本質に目が行かないこともある気がする。
気がつけば長文になってた(笑) よい映画だったと思う。
追伸:"指輪"も出てきます(笑)
⇒『僕の大事なコレクション』HP