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【cinema】『アクロス・ザ・ユニバース』

2008-08-28 03:05:17 | cinema
'08.08.23 『アクロス・ザ・ユニバース』@シネカノン有楽町2丁目

これ見たかった。『ライオンキング』の演出家ジュリー・テイモアが監督したミュージカル映画。The Beatlesの楽曲を使い構成されている。この手の1人もしくは1BANDの楽曲をもとにミュージカル化した作品は『マンマ・ミーア!』の大ヒット以降やたらと作られた。中には良い作品もあるけど、その出来はピンキリ・・・。でも監督がジュリー・テイモアなのであれば期待大!

「リバプールの造船所で働くジュードは父を探しにアメリカに渡る。そこで知り合ったマックスと意気投合。2人でNew Yorkへ出る。シンガーのセディのアパートで、ギタリストのジョジョ、元チアリーダーのプルーデンスらと共同生活を始める。恋人をベトナム戦争で失くし、兄マックスを頼ってNew Yorkへ出てきたルーシー。彼女とジュードは恋に落ちる。何もかも新鮮で楽しい生活もマックスが徴兵されたことで変化していく・・・」という話。これはすごく良かった。ミュージカルは大好きだけど、ミュージカル映画となるとなんとなく違和感があった。上手く言えないけれど、ミュージカル部分と映画部分とがとけ込んでいない感じで、何となく入り込めない。でも、これはお互いがすばらしいクオリティーで相乗効果となっている。

ジュードがリバプールの浜辺で"Girl"を切なく歌う冒頭から引き込まれた。"Helter Skelter"にのって「彼女」のイメージが広がり、一気に"Hold Me Tight"へ。アメリカのハイスクールの体育館でプロム・ダンスを踊るルーシーと、リバプールのライブ・ハウスで踊るジュード。この対比がいい。中産階級のルーシー達は明るく健康的でいかにもアメリカという感じ。対して労働者階級のジュード。同じ造りの家が並ぶ暗く貧しい雰囲気のジュードの家がいい。このシーンだけで2人が住んでいる世界に違いがある事が分かる。だから後に2人の考え方に違いが生まれ、お互いそれを理解できずに苦しむ感じが良く分かる。とにかく見せ方が上手い。ルームシェア仲間のプルーデンスが切ない恋を歌う"I Want To Hold Your Hand"のシーン。彼女が思う人は実は初めにそれと見せていた人物とは違うということを、目線だけで見せる感じがいい。そういう細かくさりげない、でも映像ならでわの見せ方が上手い。説明過多ではないのに、その人物の思いやバックグラウンドまで伝わる見せ方は大好き。

テーマは大きく2つ。主人公達の成長と反戦。ルーシーはいきなり恋人をベトナム戦争で失ってしまう。マックスは徴兵され負傷して戻ってくるが、一時錯乱してしまう。ジュードは私生児。ようやく探しだした父親に拒絶されないまでも、歓迎はされない。ジョジョは自由を求める黒人達の暴動で弟を亡くす。と実はかなり重い。だけど、それらを語る楽曲と映像が美しい。The Beatlesは好きだけど、特別ファンではない。曲は好きだけど歌詞の意味まで考えたことはなかった。第一歌詞カードと対訳がなければ英語の歌詞なんて分からない(笑) でも、どのシーンも取ってつけたようではなく、楽曲自体が主人公達の気持ちを的確に語っている。

どのシーンも印象的で見どころ。プルーデンスが歌う"I Want To Hold Your Hand"はとっても明るく楽しい曲というイメージだったけど、彼女が思う相手が分かった途端、切ないラブソングに変わる。ベトナム戦争に行く大義が見つけられないマックスの徴兵検査で流れる"I Want You(She’s So Heavy)"もいい。このシーンはシュールで映像がすごく良かった。巨大なポスターの中のアンクル・サムがマックスにI Want Youと歌いかけた後に続く検査シーンがいい。そしてマックス達が自由の女神を背負ってShe’s So Heavyと歌うシーンがすばらしい! それは重かろうと(笑) ジュードとマックスが出会う"With A Little Help From My Friends"は楽しい。そして、デトロイトの暴動でジョジョの弟が歌う"Let It Be"が悲しい。ジョジョの弟の貧しい葬儀と、英雄として亡くなったルーシーの恋人の立派な葬儀との対比がいい。それだけでいろいろな思いが伝わる。

この対比は前にも書いた冒頭のダンス・シーンでのジュードとルーシーとの対比にも言えること。アメリカが最も豊かだった頃の、いわゆるアッパーミドルクラスと思われるルーシーと元カレ。その姿はいかにもアメリカ的健全さ。疑うことを知らない明るさを感じる。真っ直ぐな彼らの姿はまぶしいばかりだけど正直つまらない。失礼だけど(笑) ジュードは私生児として生まれた。初めから父親はいない。自由の国アメリカと違い階級社会のイギリスでは労働者階級は一生労働者という思いが強かったと思う。だからジュードには「世界を変えられる」なんて夢は見れない。自分の内側に沸き上がった衝動に素直に反応できるルーシーとは違う。何かをしなければと行動できる人はスゴイと思うし、うらやましくも思う。ルーシー達の行動は暴力に走るところは共感できないけれど、主張は正しいと思うし、そういう人々の行動がベトナムからの撤退に一役買ったことは間違いないと思う。でも、私はジュードに共感していた。一見、ルーシーに自分の彼女でいてくれることしか求めていない身勝手な男に見える。でも、いつもわりと自分の感情を表さないタイプの彼が、めずらしく激昂して歌う"Revolution"がいい! この歌詞に彼の思いが詰まっている。この歌詞の訳はすばらしいと思う。映画の中でこのシーンが一番印象に残った。

ルーシーの気持ちはよく分かる。10代で恋人の死を体験した。その同じ戦場に今度は兄も行かなくてはならない。あんな思いはしたくない。それはジュードも理解している。もちろんジュードも親友を戦争に行かせたくはない。ジュードが自分の怒りをぶちまけたのはルーシー達の組織のリーダーと彼女のある行動から。彼女を組織に取られた思いもあっただろうし、彼女が心酔するリーダーに対する嫉妬もあったと思う。そんな2人が彼らの部屋にテレビを持ち込む「これで反戦の気持ちを高めろ」と言うリーダーに怒るジュード。彼にとってこの暮らしは初めて自分で掴んだもので、自分の居場所だった。そこへ自分達の思想を一方的に持ち込んだのだ。それは侵害。でも、このリーダーはジュードが彼らの活動拠点に乗り込み彼の思想を語ることは許さない。「サイテーの男だ」と吐き捨てるけれど、横暴なのはどちらか。リーダーならば他人の思想も聞けよ。それがとんでもない屁理屈やスジの通らないたわ言なんじゃなければ。そういう全部が"Revolution"に込められていたと思う。

ジュードのジム・スタージェスが良かった。シャイでその生い立ちから「諦める」という大人になる過程がやや人より早かった感じを上手く表現していたと思う。彼の中では整理がついていないけど、ルーシーの行動は理解できていたし、その活動組織に「自分達だけが正しい」というおごりがあることも分かってたんじゃないかと思わせる。それくらい"Revolution"が良かった。ルーシーのエヴァン・レイチェル・ウッドもいい。特別苦労もなく真っ直ぐ育ってきた若い娘特有の正義感。でもそれを愛する人に分かって欲しいと思う気持ちは伝わる。だから無謀な行動に走る厄介な娘にはなっていない。私生活ではマリリン・マンソンの彼女だそうでビックリ(笑) マックスのジョー・アンダーソンも良かった。責任ある事や真面目に生きることを避けてきた彼が、ベトナムを経験し傷つき、大人の男になって友を思い歌う"Hey Jude"がいい。プルーデンスのT.V.カピオの声がいい。ジョジョのマーティン・ルーサー・マッコイ(本名らしい。もちろんキング牧師にちなんで命名)も良かった。そしてセディのデイナ・ヒュークスがかっこいい! みんなのアネゴ的な存在の彼女も、夢と恋そして現実との間で悩み傷つく。それらを受け止める感じがいい。

キャスト達は全員吹き替えなしで歌っている。みんな上手い。実はほとんどが撮影と同録のライブ音源だそう。役者達が同じテンションで歌っているから、セリフとの間に違和感がない。カメオ出演も豪華。サルマ・ハエックがあんな役で!とも思うけど、彼女が体現するテーマを考えると、無名の色っぽいだけのおネエちゃんではインパクトに欠けるかも。そしてU2のボノがさすがの歌声を披露。バカ衣装で登場(笑) 彼が歌う"I Am The Walrus"から"Being For The Benefit Of Mr.Kite!"までは映像もサイケ。当時のフラワーチルドレンとか、カウンター・カルチャーとかカルト教団なんかの感じを表していて面白い。よくは知らないけど(笑) ボノはエンドロールに流れる"Lucy In The Sky With Diamond"も歌っている。そして"Come Together"のジョー・コッカー! 3役で出演しているのでお楽しみに(笑) 私は3番目1番目が1番好き。スゲーかっこよかった。

New Yorkが舞台なのもいい。セディはよくわからないけど、みな別の場所からやって来た。それは移民の国アメリカを象徴しているんだと思う。その物語を紡ぐのがThe Beatlesというのもいい。彼らの曲にはどこか切なさや、いい意味でちょっとひねくれた感じがあると思う。個人的にあまりに開放的な明るさは疲れるし(笑) 曲の持っている力を感じた。歌詞はほぼそのままなのに、意外な場面で使われることによって違った顔を見せることにもビックリ。

ファンだったらニヤリとするオマージュ・シーンが満載らしい。例えば主人公達の名前。私はJudeくらしかピンとこなかったけど、曲が流れてニヤリ。"Strawberry Fields Forever"をジュードが歌う意味なんかはStrawberry Fieldsが本当はイチゴ畑のことではない事を知っていればより心にしみる。これはかろうじて知っていたので切なかった。たぶんジュード=ジョンなのだろうし・・・。このシーンの映像も好き。屋上での"All You Need Is Love"のシーンもオマージュ。このシーンはややベタだけどいい。マックスがここで歌うShe Loves You YEH YEHは、オリジナルの"All You Need Is Love"でポールがワンフレーズ歌ったとおり。このラストは映像と合っていて美しくて大好き。

The Beatlesネタ以外にもたくさんのニヤリポイントがある。個人的にはセディのジャニス、ジョジョのジミヘンな感じと、カッツ・デリカテッセンが出てきたのがうれしかった。The Beatlesとの関係は分からないけど、いろんな映画に登場する有名なお店。New Yorkに行った時行きたかったけど、夜は少々危険な地区とのことでやめてしまった・・・。まぁ、それはいいとして! 訳詞もビートルズファンの方と共訳したと思われるクレジットが出ていたけど、すごく良かったと思う。ファンの人が見ても満足できると思う。とにかく次々書きたい事が出てきて止まらない(笑) 映像がサイケでポップでいい。リバプールのどんより暗い感じも好き。エンドロールの文字のグラデーションも好き。あ!! 重大なことを忘れていた。冒頭ジュードと元カノが踊るシーンのライブ・ハウスはあのCAVERN CLUB!

ファンじゃなくても楽しめる優れた青春映画だと思う。10~20代で生き方に悩んでいる人は見たらいいと思う。ジュードとルーシーはタイプが違うだけで行き着いたところは同じ。ルーシーは闘って、ジュードは受入れて折り合いをつけた。結局、世の中の自分の思い通りにはならないことはたくさんある。だから自分以外の世界も受入れなくては。そして自分の居場所はただ探しているだけでは見つからない。人に与えられるものではなく自分で築くものだから。2人はそれぞれ自分と向き合い成長した。それは他の登場人物も同じ。そういうのが押し付けがましくなく、きちんと伝わった。

とにかくオススメ! すばらしい!


『アクロス・ザ・ユニバース』Official site

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【cinema】『レス・ポールの伝説』(試写会)

2008-08-24 02:32:14 | cinema
'08.08.18 『レス・ポールの伝説』(試写会)@PONYCANYON

シネトレ(いつもありがとうございます!)の試写会に当選。ROCK好きとしてこれは見ないと! レス・ポールとは偉大なギタリストにして発明家。多重録音など現代のレコーディング技術の原型を作った人でもある。そしてGibson LES PAUL! Guitar Kidsなら知らない人はいないというエレキ・ギターの代名詞。ご本人よりも有名かもしれない。私自身ご本人のことはあまりよく知らなかった。

「ロックの殿堂」入りをしているけど、ルーツはカントリー。カントリーはほとんど聴かない。イメージとしてはバンジョーという感じなので、エレキ・ギターがなぜ必要なのかは分からない(笑) でも、後にジャズやポップスへ移行していくことからも、自分のやりたい音楽、自分の出したい音を追求したということか。もちろん売れるという側面もあるはず。今年93歳になったレス・ポールはその辺りも隠さずサラリと語る。

1915年生まれ。音楽活動を開始したのは1930年代。93歳の今も毎週月曜日にニューヨークのイリジウム・ジャズ・クラブでライブを行っている。正直、活動初期の辺りはあまりに昔の話でよく分からない部分が多い。B.B.キング、ナット・キング・コール、ルイ・アームストロングなどのビッグ・ネームにビックリしつつも、いまひとつピンとこない。「White Christmas」のビング・クロスビーですら、ミュージシャンというより映画スターだと思っていたのでビックリ。

とにかく音楽に対する情熱と探究心がすごい。ハリウッドでビング・クロスビーが人気だと聞けば即行動! トリオを結成してアポなしで会いに行く。エレベーターから降りてくるのを待ち伏せして演奏し雇われたなんてエピソードは、もちろん多少の脚色もあるとは思うけれど、活気がありながらもほのぼのしていた古き良き時代の雰囲気まで感じられて楽しい。

93年の人生を90分にまとめるというのはけっこう乱暴(笑) 当然かなり駆け足。めまぐるしく変化していくレス・ポールの音楽人生と彼自身の人生。それを当時の映像と、関係者やミュージシャン、そしてもちろん本人のインタビューを交えて見せる。その見せ方は楽しくて彼らの興奮がそのまま伝わってくる。ただ、結構な速度のカット割なのでボーッと見てると見逃してしまう。特に自分があまり良く知らない時代や内容の話題の時には見失いがち。でも、1人の人物を取り上げたドキュメンタリーとしては丁度良い長さだったと思うし、詰め込みすぎという感じはしない。

妻だったメリー・フォードとのデュオがいい。これは完全にポップス。新しいメンバーを探す中、女性ヴォーカルが欲しいということになり、紹介されたのがメリー・フォード。典型的アメリカン・ビューティーな容姿と素晴らしい声の持ち主。彼女にはポップスがいいということで、次々とポップスの曲を発表。レス・ポールのギターとメリー・フォードの歌が絶妙。普段ポップスは聴かないけど、聴いて育ってきてはいるからやっぱり楽しい。聞き覚えのある曲もあった。年代的に'50~'60年代くらいで、その時代のポップな感じが浮かんでくる。もちろん知らないので想像だけど(笑) 2人は絶大な人気を得るけど、このデュオ最大の功績は多重録音。要するに別々に録音した音を重ねるということ。今では考えられないけど、それまでは違う音程の歌声を録りたければ、その人数分歌手が一緒に録音する必要があったということ。だけど、この方法を使えば高音部も低音部もメリー・フォードの歌声で録音することが可能。今でこそ当たり前のこの技術は当時では大発明。この発明、実は自宅のガレージを改装したスタジオで生まれたというのが楽しい。

知りたかったのはご本人のことはもちろん、多重録音と何といってもGibson LES PAULの事! ソリッド・ギターの代名詞。ギター自体のことはあんまり詳しくないので少々調べてみたところ、ソリッド・ギターとはボディーが空洞になっていないギターのこと。ギターは本来それ自体で響いて音が出るようにボディーが空洞になっている。アンプを通して音を出すこと前提に作られているのがソリッド・ギター。外部から音を出すため大音量で演奏できるし、ボディーも小さく薄く出来る。レス・ポールはまだウィスコンシン州の実家にいた頃に試作し、改良をし続けていた。ギブソン社に何度か売り込んだけれど断られていたそうで、実は先にソリッド・ギターを発売したのはフェンダー。この辺りのことは映画でもサラリと触れている。フェンダーのストラトキャスターといえば、こちらも人気の名器。この辺りのことはとっても知りたかった事だけど「ソリッド・ギターとは」というような前置きつきの説明はない。ギブソンの人のインタビューや、レス・ポールが発明のきっかけや、発想や改良の過程などを語ることが、そのまま説明となってはいるけど、ある程度知識がないとそれとは気付かないうちに終わってしまうかも(笑)

正直、この映画を見ただけでは多重録音のことも、LES PAULについても良く分からない。そして彼本人に関しても全て理解できるわけではない。でも、映画を1本見ただけで理解しよう、させようというのがそもそも無理。この映画で語りたいことはレス・ポールというギタリストの音楽人生。LES PAULにしても多重録音にしてもその一部であり、人生通じてのテーマでもあったということ。そもそも、ドキュメンタリーは主題に興味がなければ見てもあまり面白くないと思う。だから、この映画を見たいと思う人は彼に興味がある人だし、だとすればLES PAULも多重録音のことも知っているハズ。そういう前提で作ってあるのは潔いかもしれない。

B.B.キング、ジェフ・ベック、ヴァン・ヘイレンなどのインタビュー映像は豪華。キース・リチャーズやポール・マッカートニーはイリジウムでのライブに飛び入り。キースとのセッションはいい。キースがステージ去り際に「今日、俺は彼を聴きに来たんだ!」というのがいい。ここの主役は彼ですよということ。ジェフ・ベックの「Happy Birthdayジジイ!」もいい(笑) 2人とも言葉は悪いけど愛情と尊敬が感じられる。

毎週月曜日行っているライブ映像がいい。時々、冗談を交えながらイスに座ってギターを弾く。そのシワだらけの手からつむぎ出される音は、やわらかく美しく、そして若々しい。さすがすばらしい! ジャズアレンジの"OVER THE RAINBOW”がすごく良くて心に染みる。なんとも優しい音色。これはちょっと感動(涙)

さっきも書いたけれど、レス・ポール本人どころか音楽にもあまり興味がない人にはおもしろくないかもしれない。「ロックの殿堂」だけではなく「発明家の殿堂」入りもしている偉大な人物ではあるし、映像的にも楽しいけど、やっぱり音楽に興味がないとよく分からないと思うし・・・。ややテンポが速すぎる気もするけど、神格化し過ぎることなくもなく、きちんと描いていると思う。好きな人はきっと楽しいと思う。

とにかく、今年93歳になったレス・ポールが今も現役でギターを弾いていることこそが奇跡! 彼は生きる伝説だし。彼の音にも姿にも品格がある。それこそが93年の人生がすばらしいものであったことの証し。どうか1日も長くギターを弾き続けて下さい、ジジイ


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【MJ】「"シンボルず" インストア・イベント」

2008-08-12 23:12:53 | MJ
'08.08.11 シンボルずDVD発売記念イベント@TOWER RECORD新宿店

毎週日曜の深夜25:00~ テレ東にて放送中の「シンボルず」 そのDVD発売を記念して、新宿のタワレコでインストアイベントがあるよと、baruからメール。当日購入でOKなのか分からないけど、とりあえず行ってみようということで行ってきた。

イベント開始は19:00から。18:00ちょい過ぎに到着。イベント会場は7Fだけど、先に10FでDVD購入。レジ係のおネエさんがイベント会場にtelして整理券をキープ。その後7Fへ降りてレシートと整理券を引き換えというシステム。ちとめんどい・・・。

7Fに降りて整理券をもらい特設会場へ。柵で囲まれた中に整理券を持った人が優先的に入れる。トイレに行ったりぐずぐずしていたので結構後ろの方。といっても2人ともチビッコなので、最前辺りが取れないのであれば、真ん中だと埋もれてしまって逆に何も見えない。むしろ後ろの方で人の頭の間から見たほうが見えたりする。これもスタンディング・ライブの経験から得た知恵(笑) しかし、今回も整理券ありの人達が入り終えると、柵をはずして一般の人も入ってきてしまう。ということで埋もれてしまった(涙) でも、前回の勝手に観光協会のイベント時には、整理券ありの私達を押しのけてまで前に行く人(しかも連れの人に注意されているのに!)がいたけど、今回はそんな人もいなくて良かった。

19:00少し過ぎ頃、MJ&MEGUMI登場。しかし見えない・・・。何とかMJはチラチラ見えるよう視界に入る位置をキープしたけど、MEGUMIは一切見えず。まぁ、MJが見えればいいのでOK。お得意のスライドを見せるという形のイベント。スライド・ショーでのSIこと、いとうせいこうの位置をMEGUMIが担当するような形だけど、まぁよかったんではないでしょうか。MJは芸人ではないので、特別笑わしたりする必要は実はないのだけど、やっぱりトークは面白くないとつまらない。それには相方がいたほうがいいことは確か。撮影の裏話が聞けたのは楽しかった! 特におもしろかったのは、エキストラのオバちゃんたち。スライドに写ったオバちゃん達の1人はキレイな人で、MJはその方ならOKだそう(笑) ロケバスの変遷も楽しかった。今はピンクの派手なバス。ボディーには不思議な言葉が書かれてたんだけど、ど忘れ(涙) なんとかSTORYだった気が・・・。FANTASTIC STORYだったかな?

20分くらい話していたかな? 最終的には視界ゼロになってしまったので、腰や首も痛いし、正直辛かったので、MEGUMIが終わらせてくれたのは少し嬉しかった(笑) いや、少なくともMJだけでも見れていればいつまでも見ていたいけど・・・。2人は一度奥へ戻りサイン会の準備へ。ステージ上にテーブルとイスが並べられ、1人ずつステージに上がりMJ⇒MEGUMIの順番で握手してもらう。その際、MJから事前に書かれた2人のサインが入りのA4サイズのポストカードがもらえる。MJは「こんなのいるのかな?」とおっしゃっていましたが、いります! MJメインだからなのか、MEGUMIは握手を求めてきた人としか握手しないという姿勢。なので、素通りしてしまう人もいたけど、私は一応握手してもらった。テレビではフツーという印象だけど、実物は細くてちょっとかわいかった(笑)

というわけでMJに会えて嬉しかった! でも、やっぱりMJは安齋さんやSIと一緒の方が楽しいなぁ・・・。ゆるくて(笑)



噂のポストカード

「シンボルず」HP

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【cinema / DVD】『オフサイド・ガールズ』

2008-08-08 00:35:43 | cinema / DVD
この映画目当てで見に行ったら終わってしまっていた(涙) DVDにて鑑賞。

「男性が行うスポーツの試合を女性が観戦することは許されていないイラン。国技ともいえるサッカーのドイツ・ワールドカップ予選。スタジアムで観戦したい女の子達は男装して紛れ込もうとするが・・・」という話。これはおもしろかった! ずうずうしい人やチャッカリしてる人は出てくるけど、本当に嫌な人物は出てこない。そして少女達がとにかく明るくたくましい。

初老の男性がスタジアムに向かった娘の乗ったバスを探すシーンから始まる。そこからバスにギッシリ詰まって大ハシャギの男達。その輪からはずれて1人座る人物。少年の姿をしているけどフェイスペインティングをほどこしたその顔は明らかに少女。この導入部がいい。そのいでたちとは逆に、思い詰めたような表情。この時の少女の様子は後の伏線となる。少年の1人は彼女が気になって仕方がない様子。友人に男装の少女であることを指摘すると、彼はせっかく男装して来たのだから、見逃してやろうと言う。少年も悪意から気にしているわけではない。本当に彼女を心配しているのだ。あんまり気にするからてっきり、女が観戦しようとするなんて許せないというタイプなのかと思ったけどそうじゃない。全編そういう感じで、イランとかイスラム教という名前からイメージしていたのとずいぶん違う。確かにコメディータッチで描いているけれど、全体的に目線は公平で優しく温かい。

バスの少女がダフ屋にぼったくられたりしながら入場口に向かうシーンはスリリング。冒頭からここまでは一気に流れる感じでいい。少女は結局逮捕されてしまう。また疑り深く何か理不尽な目に遭うのではないかと思ってしまうけど、連れて行かれたのはスタジアムの屋外に設置された柵で囲っただけのスペース。実はほとんどのシーンはここが舞台。そして本当の見せ場はここから。次々連行されてくる少女達がいい。それぞれが個性的。兵士に「ホントに女か?」と言われるほど美少年ぶりの少女もいる。かなりかっこいい(笑) 彼女達を監視する兵士達もいい。要するに彼らとのやり取りがこの作品の言いたいこと。

少女達の「何故女性は試合を見てはいけないの?」という問いかけに、明確な答えは返ってこない。「日本戦では日本人の女の子は見てたのに!」「それは日本人だから」だから一体何故? それは見ている側の疑問でもある。宗教的な理由だろうとは思うけど、何故なのかは分からない。何故と聞かれると隊長も困る。隊長の答えが正解なのかは分からないけれど、どうやら私が考えていた”男性至上主義”からくる男尊女卑というわけでもないようだ。少なくとも隊長と実況の兵士(試合を実況)にとっては。これはかなり目からうろこ的な衝撃だった。

1人の少女がトイレに行きたいと言い出す。面倒を起こしたくない隊長は拒否するけど、必死に懇願されて結局行かせる。この辺りの隊長の人間くささがいい。小心者。でも悪い人ではない。その普通の人感がいい。だから彼女は後にちゃんと帰って来る。それもいい。実況兵士が付き添って行くことになるけど、このエピソードがすごくいい。彼が必死に守ろうとしているのは、法なのか、任務なのか、少女なのか、自分なのか。まぁ全部だけど(笑) 少女が入っているからと男トイレなのに、中にいる男性達を追い出したり、中に入れないように必死! 男性側を守ろうとしているのか、彼女の方なのか・・・。壁に書いてある落書きの言葉が汚すぎるから見せられないというセリフで、少なくとも彼が信じている男女を一緒にしない理由は理解できた。彼の信じる理由には「女性を守る」という側面もあるのだ。なるほど。それでもやっぱり不自然だと思うけれど・・・。

監督によるとイランでは禁止されている事の境界線が明確ではないことが多いらしい。隊長達がしどろもどろだったのはそのため? 結局、映画を見ても何故女性が観戦してはいけないのか本当の理由は分からない。でも、それを明らかにする事が目的ではないのだと思う。ホントの狙いはもう少し大きく、理由もハッキリしないのに何故禁止なのか?という問いかけなのだと思う。フランスW杯予選の時には、5千人の女性が観戦したそうだけど、少しは緩和される方向なのか。まぁ、政治的アピールという気がするけれど・・・。

少女達がサッカーを見るために男装するというのがなんともかわいい。でも、実は古代ギリシャの時代にも女性の競技観戦は禁止だったけれど、競技見たさに男装して観戦した女性達がいたのだそう。古代ギリシャの観戦禁止理由は、競技者が全裸だったからだった気がするけど違ったかな(笑) イランでも女性が男装して観戦しているというのは公然の秘密のようなものだったらしい。バスの少女がスタジアムにやって来た理由となっているドイツW杯予選日本戦の時、事故で亡くなった7人のうち1人だけ写真が公表されなかったそうで、実は女性だったのではないかと言われているのだそう。真相は分からないけど洋の東西を問わず、今も昔もたくましい女性はいたのだと思うと、なんだかとっても微笑ましい。

そう。この映画ホントに微笑ましかった。それぞれの立場や思惑と、本当の気持ち。その間でオロオロする隊長の姿がおかしくてかわいらしい。懲役で隊長をしているけど、家業の農作業が気になって仕方がない。それを愚痴る姿がホントに情けなくていい(笑) だからこそ少女達の明るさやたくましさが生きてくる。以前、ある男性に「女性はやりたいと思ったら直ぐに行動を起こせるからすごい」と言われたけど、確かにそうかもしれない。本当に自分がそうしたかったら迷わないかもしれない(笑) そういう男女の違いをも見せつつ、サッカーを通じて逮捕した側とされた側に不思議な連帯感が生まれていく。お互いを思いやったりする。彼女達を移送するバスの中で、壊れたラジオのアンテナを必死で直す隊長がいい。サッカーシーンは一切ないのもいい。

問題提起はしている。でも声高じゃない。こんなに見たがっているなら見せてあげたっていいじゃないかというような語り口。隊長たち兵士だって普通の人。そして、どちらも自分の国を愛しているし、誇りに思っている。そういう所をコメディータッチで、体制側でも少女たち寄りでもないスタンスで描いているのがいい。どちらも間違ってはいないと思う。でも、やっぱり国の代表を決める試合を女性だからという理由で見れないのは不自然だと思う。なかなか難しいけど・・・。ジャファル・パナヒ監督の映画は国内より海外で評価が高く、多く見られているそう。ということはやっぱりちょっと痛いところを突いているのでしょう。とっても公平で温かくそして鋭く描いている。でも、批判ではなく問題提起なのになぁ。まぁ、それすら過剰反応する気持ちは分からなくもない。

とにかく明るくたくましい。ホント楽しくて元気になれる。すごく好き!


『オフサイド・ガールズ』Official site

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【cinema / DVD】『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』

2008-08-06 01:28:58 | cinema / DVD
これ公開時かなり気になっていた。DVDにて鑑賞。

「パイ作り名人のウェイトレス、ジェナは横暴な夫に悩まされていた。いつか家を出ようとヘソクリするも貯まったのは1,200ドル。その上、夫アールに飲まされて酔ったはずみで妊娠してしまう・・・」という話。ここに産婦人科医ポマターとのダブル不倫が絡んでくるけど、要するにこれは1人の女性の自立の話。ちょっとご都合主義というかお伽的な部分もあるけど、これはすごくおもしろかった。

アメリカの田舎町。頑固で偏屈な老人ジョーがオーナーのパイの店が舞台。アメリカの映画でよく見かけるような店内。カウンターがあって、ボックスタイプの席があってみたいな。でも、このお店の感じすごくいい。ジェナ達3人のウェイトレスが着る制服も含めてとってもレトロな感じ。’60年代とかそいうイメージ。特に水色の開襟のピッタリしたワンピース。襟やボタンのところに白いライン。そして白のエプロン。ストッキングの足元に白のソックス。しかも折り返し。そして白のスニーカー。ダサカワイイ。彼女達の諦めというか倦怠感みたいなものが感じられる。

登場人物達のキャラがいい。ウェイトレス仲間のベッキーとドーン。ベッキーは化粧の濃いオバちゃん。寝たきりのダンナがいる。口は悪いけどいい人。ドーンは30代半ばくらいかな。ホントはかわいいのに青白い肌に自信が持てず今だ独身、彼氏なし。それぞれが少し不幸。でも人生ってそいうものだと少し悟りつつも明るく生きている。そして逞しい。そんな2人が「彼女とは代わりたくない」と口をそろえるのが主人公ジェナ。美人で明るく性格もいい彼女は夫のDVに悩まされている。暴力的なシーンはないけれど、偏屈老人ジョーに一歩も引かない気丈な彼女が怯える様子からそれは感じられる。

夫アールは子供のまま大人になった。多分、彼なりにジェナを愛しているんだとは思う。だからこそたちが悪い。このタイプで厄介なのは彼の中だけでは理屈は通っていること。自分が愛してやっているのだから、自分が何よりも優先されて当然だと思っている。それは嫉妬という大人の感情ではない。駄々をこねているだけ。「子供が生まれても俺を一番大切にしろ」というセリフがアールという人物を物語っている。視点は自分しかない。でも、こんな人は意外にいる。

そんなアールから逃げる計画を進めていた矢先、望まない妊娠が発覚。ジェナはお腹の子供を愛せない。何もかも思い通りに行かない事や、子供を素直に愛せない自分へのイラ立ちがつのり、優しく不思議な魅力のポマターと恋に落ちてしまう。ここでのジェナはすごく積極的というか爆発的(笑) いつも彼女の方が突っ走る。その感じがおもしろい。要するに2人の関係はいわゆる恋愛とは違うのかも。刺激とか慰めとか、言い方は悪いけどストレス発散というか・・・。もちろんお互いを好きなのは間違いないけれど。でも、ジェナはこの恋愛を通して、自分が本当に求めていたものや、本当の自分が分かったんだと思う。

誰だって不安だし、自分に自信なんてなかなか持てない。ましてアールのような夫に抑えつけられていれば劣等感でいっぱいになってしまうと思う。彼のことを軽蔑していたとしても、上手く立ち回れない自分には劣等感を抱いてしまう気がする。でも、ありのままの自分を必要としてくれる人の存在は大きな自信になる。それには恋愛が手っ取り早い(笑) 何より彼はジェナが唯一自信が持てるパイを絶賛してくれたのだ。ジェナのパイ作りの腕は名人級。お店でも人気だし、ベッキーとドーンにも認められている。それはもちろん嬉しいけれど、自分が認めて欲しい相手から認めてもらえた時に、本当に自信が持てるんだと思う。ジェナが求めていたのはそいう相手。不幸なことに夫アールはその相手ではなかった。でも、それをポマターに求めるのも違う。そして本当の「その人」を見つける。それが分かった時、初めて彼女は自から運命に立ち向かう。

脚本がいい。監督、脚本はドーンを演じたエイドリアン・シェリー。自身が妊娠8ヶ月の時に書き始めたらしい。その時の子がジェナの娘としてラストに登場する。出産も妊娠も体験していないので、本当の気持ちは理解できていないと思うけれど、子供を授かるのは喜びも大きいけれど、同時に不安も感じるのだと思う。1人の人間を育てることに対してもそうだけど、自分の世界が変わってしまうという不安もあるんじゃないか。エイドリアン・シェリーは実際にそう感じてこの脚本を書き始めたらしい。本当は自分がジェナを演じる予定だったみたいだけど、ケリー・ラッセルで正解だったと思う。エイドリアン・シェリーはかわいらしい印象。それだとアールのDVがリアルになり過ぎると思う。それよりキリッとした印象のケリー・ラッセルが、自分に自信を持てずにいる方が、見ていて共感しやすい気がする。彼女でも自信がないなら仕方ない的な(笑) 夫のDV、望まない妊娠、不倫など実はテーマは重い。それを少しコメディータッチにして明るく軽やかに描いているのがいい。少しお伽的な部分もあるけどそれもいい。センスがいいと思う。

役者達はみんな良かったと思う。アール役のジェレミー・シストは『unknown』に出ていたみたいだけど気付かなかった(笑) ジェナ役ケリー・ラッセルがいい。ポマターを襲うシーンはいい! そういうコメディー・シーンをちょっとキレ気味に演じることで、よりおもしろくしているのが上手い。頑固で偏屈なオーナー、ジョーのアンディー・グリフィスが良かった。本当は淋しいのに素直になれず、憎まれ口をきいてしまい人に疎まれてしまう。でも、その憎まれ口にはユーモアや的確なアドバイスが含まれている事にも気付く。その感じが絶妙。イライラしながらも唯一相手になってくれたジェナに少しずつ心を開いていくのもいい。それだから後の2つの贈り物が生きてくる。1つ目には泣かされた(涙) 2つ目は予想ついたけれど・・・。まぁ「情けは人の為ならず」ということでしょうか。情けってちょっと失礼か(笑) まぁ、人の情けということで・・・。

全部で200個作ったというパイがどれもおいしそう! ジェナはうれしい事や、辛い事、悲しい事があった時に、その気持ちを表現したパイを焼く。焼けない時にはレシピを考えて気持ちを落ち着ける。そういう風にパイを使っているのがいい。とっても分かりやすいし、単純に見ていて楽しい。パイの名前もおもしろい『アールの子供は欲しくないパイ』(←これはボツになって『悪い子のパイ』に改名)とか『恋するチョコレートパイ』とか。このパイのレシピもエイドリアン・シェリーによるもの。すごい才能だと思う。そんな彼女は2006年亡くなってしまった。とても残念。ご冥福をお祈りします。

この映画に描かれているのはジェナの自立。足かせはお腹の中の子ではなく、自分の中にあった。でも、不幸な結婚も、ポマターのとの恋愛も、ジョーの事も、妊娠そして出産も人生というパイの具みたいなもの。良質な具はパイをおいしくするけれど、具が粗悪ではまずくなる。でも、失敗作を作ってしまうのも、おいしいパイを焼くための試作みたいなもの。失敗を怖れずいろいろ試行錯誤してみたらいいんだと思った。自分の中の足かせを少し意識しつつ・・・(笑) いい映画だった。


『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』Official site

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【cinema】『ベガスの恋に勝つルール』(試写会)

2008-08-04 01:45:08 | cinema
'08.07.29 『ベガスの恋に勝つルール』(試写会)@一ツ橋ホール

シネトレで試写会に当選。

「婚約者にフラれたジョイ。社長である父親にクビにされたあげく、勘当されたジャック。嫌なことは忘れちゃおうと、それぞれ友人とラスベガスへ。ホテルの手違いで知り合った2人は意気投合。ハシャギまくって泥酔。酔った勢いで結婚してしまう。無効を申し立てるも、2人はスロットで300万ドル当ててしまい・・・」という話。これは典型的なラブコメ。先に結婚してしまったというだけで、ストーリー展開は王道なので、ネタバレも何も・・・という感じ(笑) いがみ合う2人がいずれ恋に落ちることは初めから分かっていることなので、後はどれだけ面白く展開させるかということ。しっとりした良質のラブストーリーにも出来るし、ドタバタした感じにもできる。この映画は間違いなく後者。それならば、そのように楽しめばいい。そういう意味では面白かった。

ラスベガスでのバカ騒ぎはホントにバカ(笑) 酔ったら陽気になる人は大好きだし、自分がするのはムリだけど、先頭を切ってバカなことをしてる人を見るのは楽しかったりもする。でも、いくらなんでもやり過ぎ(笑) 同じ店にいたら絶対にひくと思うけど、映画で見ている分には楽しい。そして、すごいカット割で勢いよく見せるので、ひいている暇もない。このスピード感はいい。しかし、素面で撮影したんだったら2人とも大変だったに違いない。特にキャメロン・ディアスの方(笑) でも、この大ハシャギの中、たびたび見せるカットで、本来2人は感覚がすごく合っていることが分かる。この見せ方は好きだった。とにかくカット割が多い! その感じは良かった。

それぞれが300万ドル(約3億2千万!)の全額もしくは半分を要求。判事の下した判決は、半年間の共同生活と、カウンセラーにかかるというもの。半年後にカウンセラーから「本当の夫婦」と認められなければ2人に300万ドルの権利はない。2人には協力し合って「夫婦」となるか、相手の落ち度という形で結婚自体を無効にするしか選択の余地はない。とりあえずジャックの部屋で共同生活を始める。そこからのあの手この手もそんなに目新しくはないし、2人の性格の違いによるお互いのストレスを笑う感じも今まで何度も見てきた感はある。でも、やっぱり笑ってしまう。相手が仕掛けた事に対する報復がどんどんエスカレートしていく感じはおかしい。普通出来ないと思うし(笑) でも、ジャックがした事はちょっとヒドイ。それが後の伏線となる。

そんないがみ合いの中から、どうやってお互いを意識する関係にするのかと思っていた。まぁ、ちょっと簡単過ぎる気がしないでもない。でも、恋のきっかけって意外にこんな感じかもと思ったりもする。意識してか無意識かは別として「相手のため」に何かを考えたり、行動したりするのは、別に恋愛じゃなくても好意を持った証拠。2人はいつの間にか無意識にお互いの事を思いやる関係になる。その感じはすんなり受け入れられた。このシーンの主役2人の演技は良かったと思う。

ジョイはキャメロン・ディアス。正直、前半部分のキャメロンは痛々しかった・・・(涙) ベガスでのハシャギっぷりや、仕事をガツガツする感じとか、ジャックとの掛け合いなんかでも、ちょっとやり過ぎな感じもした。足のきれいさは見事だけど、全体的にビルドアップし過ぎて、肩や腕の筋肉がスゴイ。ちょっとセクシーではなかった。なんというか・・・パサパサ感。でも、NYで証券取引所の場立ちをしているキャリアウーマンなのであれば、セクシーさよりも強さなのかも(笑) そんな感じでちょっと違和感を感じながら見ていたけど、ジョイが今まで見せていなかった一面をジャックに見せ始めてからは良かった。相手が見ているであろうイメージどおりに自分を演じてしまう感じは分かる気がした。

ジャックはアシュトン・カッチャー。『バタフライ・エフェクト』は良かったけど、これは普通。ちょっと役柄的に不利ではあるけれど。ジャックはいい加減で、真面目に何かをする事がバカらしくて仕方ないという、いわゆる現代の若者の象徴のような役。それでも魅力を感じさせることが重要。それは良かったんじゃないかと思う。私がこのタイプに全く魅力を感じないというだけ。ただ『バタフライ・エフェクト』の時もそうだったけど、キメ系の髪型や服装の時に全然イケてないのは何故なんだろう・・・。まぁ、それも好みの問題か。

ドタバタして、あり得ないぐらいの足の引っ張り合いを繰り広げて、ほんの少しかい間見たお互いの一面に惹かれ、最後は収まるところに収まるという。ホントに王道! 正直、いくつか恋愛を経験したのであれば、得るところはあまりない。意外な一面を知り相手が気になり、本当の自分を出せる相手であること、そしてお互い自然でいられることに気付くってことは恋愛においても王道だし。だからこれはむしろ、前半部分のドタバタを楽しむべき! ベガスでのハシャギっぷりは見る価値あるかも(笑)

エンドクレジットの後にもおまけ映像あり。


『ベガスの恋に勝つルール』Official site



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【art】「対決 巨匠達の日本美術」鑑賞@国立博物館 平成館

2008-08-02 01:51:59 | art
'08.07.25 「対決 巨匠達の日本美術」@国立博物館 平成館

これは見たかった! 今更言うまでもない巨匠達の作品を対決という形で紹介する展覧会。ホントにライバル関係だったり、師弟関係だった2人もいれば、100年の隔たりがある2人もいる。これはなかなかおもしろかった。

いきなり運慶VS快慶対決。それぞれ鎌倉時代のスーパースター仏師。実は快慶は運慶の父の弟子だったそう。2人の関係がどうだったのかはイマヒトツ分からなかったけど、東大寺南大門の阿形像は2人の共作なのだそう。出展は地蔵菩薩像1点ずつ。運慶が坐像で快慶が立像。運慶の坐像は衣のドレープが美しく、表情も女性的。すっきりとした優しいお顔。これは素晴らしい。背中までしっかりと作りこまれている。快慶の立像は小さい。ドレープはあえてあまり表現せずシンプル。お顔もどっしりと男性的。どちらもいいけど運慶の方が好み。ちなみに、地蔵菩薩は弥勒菩薩の使いで、人々を六道から救うのだそう。

続いて雪舟VS雪村。雪舟の「慧可断臂図」が素晴らしい。達磨に弟子入りを懇願する慧可が自らの左腕を切り落とし差し出すシーン。正直気持ちのいい題材ではないし、墨一色で描かれた絵は少し不気味。でも、やはり迫力がスゴイ。近くで見るより離れて見たほうがいい。遠近法で描かれた慧可と達磨が対角線上にいて、2人の立場の違いがよく分かるし、洞窟奥にいる達磨の鬼気迫る表情が際立つ。

次が永徳VS等伯。この2人は本当にライバルだったらしく、特に等伯はライバル心を燃やしていたらしい。永徳の「松に叭叭鳥・柳に白鷺図屏風」は永徳にはめずらしく墨一色で描かれている。カラスが素晴らしい。でもやっぱり「松林図屏風」! この日のお目当ては若冲とこの絵。27日までしか展示されていないので慌てて見に来た。6曲1双の屏風に描き出された幽玄の世界。余白を多く取り、墨の濃淡だけで表現された松林。松林といっても鬱蒼と茂っているわけではない。そのバランスが素晴らしく、その淡い今にも消えてしまいそうな松の感じが、なんともいえず胸に迫ってくる。実はこの頃、等伯は親交のあった千利休と、実の息子を亡くしたばかりだったそう。そう考えると世の儚さを感じると共に、どこか向こう側の世界を見ているようにも思う。勝手な感想だけど・・・。

長次郎VS光悦は焼物対決。千利休により考案された楽焼を完成させた長次郎の「赤楽茶碗」がいい。「銘無一物」とされているところに自信の程がうかがえるのだそう。対する光悦の「赤楽茶碗 銘加賀光悦」はオレンジ! その色がすごい。なんとも斬新。長次郎は利休から受け継いだ「わびさび」を重んじた作風。光悦は斬新な形や色、彩色のものが多い。焼物では甲乙つけがたく、どちらも好きだったけれど、宗達と光悦のコラボ「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が素晴らしく良かった。銀色で描かれた鶴が左方に向かって羽ばたいていく姿と迫力が素晴らしいけど、この絵は宗達によるもの(笑) 光悦は筆だけどこの文字は美しい。2人のコラボは多いそうで、これは素晴らしかったので、是非他の作品も見てみたい。

宗達VS光琳。宗達の「蔦の細道図屏風」が素晴らしい。「伊勢物語」を題材にしているけど、緑で道のようなものがあいまいに描かれている。これは正面から見るより左右から見る方がいい。道は1本に繋がるのだけれど、正面よりハッキリするし、左右で全然景色が違う。特に左がいい。烏丸光広の賛が素晴らしい。宗達は「秋草図屏風」も良かった。構図もいいし、細かくて繊細。これも左右で表情を変える。この屏風の鑑賞の仕方を知ったのは良かった。光琳は「菊図屏風」がいい。菊が盛り上がって見える。これは良かった。本来この展覧会の目玉は「風神雷神図屏風」対決。宗達を尊敬していた光琳が写したもの。でも残念ながらこれは最終週のみの展示。見たいけど、来れるかなぁ・・・。

第2会場へ移動して、応挙VS芦雪。ここは虎対決! まずは応挙の「猛虎図屏風」これは素晴らしい。さすが応挙という迫力と繊細さ。毛並みは虎の敷物を参考にしたとの事でこれが細かい! 気が遠くなるほどの細かさ。体の動きがしなやかだけどやや猫っぽいのは仕方なし。白虎の眼光鋭い迫力がスゴイ! あえて地面は描かず座った時に同じ目線になるよう配置されているそうで、これはすごい迫力だと思う。なぜか豹が描かれているのは、豹は虎の雌だと考えられていたからなのだそう(笑) そして芦雪の「虎図襖」 これは素晴らしい。今回見た絵の中で2番目に好きだった。3mを超える大作。襖2枚いっぱいに描かれている。左前足を前に踏み出し、挑むように頭を突き出している。今にも飛び掛ってきそう。うなり声まで聞こえてきそうな迫力が素晴らしい。応挙の虎に比べるとやや漫画的に見えるけれど、この大作を描く線には全く迷いがない。尻尾の先まで手を抜くことなし。これは素晴らしい。見れて良かった。裏には参考にしたという猫の絵が描かれているそう。それも見てみたい。

仁清VS乾山。こちらも焼物対決。乾山の「色紅葉図透彫反鉢」がいい。紅葉の形に切り取られた茶碗のふち。枝の形にそった透かし彫りもいい。形も斬新。紅葉の名所竜田川を描いているという景色は、外側と内側の絵が繋がる仕組み。これは見事。仁清の「色絵竜田川水指」も良かった。

円空VS木喰は木像仏の対決。どちらも素朴なお姿が特徴。もともと円空の方が好み。円空の「虚空蔵菩薩像」がいい。断割った丸太を大胆に彫ったお姿がいい。まるで刀で彫り出したかのよう。そのお顔は線で表現されている。素朴で大胆。そしてこれは絶対に真似できない。この辺りになると閉館まで時間がなくてじっくり見れなかったのが残念。とにかく混んでいる。

ルート的には次は若冲VS蕭白だけど、大好きな若冲は後で語るとして、大雅VS蕪村の中国文人画対決。あまり好きなタイプの題材ではないので全体的にグッとこなかったけど、蕪村の「楊柳青々・一路寒山図屏風」は良かった。

歌麿VS写楽はもっとじっくり見たかった。だけど、浮世絵ってもともと小さいし、とにかく混んでて見えない。歌麿は大好き。「婦女人相十品・ポッピンを吹く娘」はいい。写楽といえば「市川蝦蔵の竹村定之進」はさすがの迫力。写楽の絵はデッサン的におかしい点があるけれど、そのデフォルメし過ぎギリギリの感じは唯一無二。やっぱりいい。歌麿の「歌撰恋之部・物思恋」がいい。その表情が素晴らしい。さすが歌麿!

鉄斎VS大観がラスト。しかし点数が少ない。鉄斎2点、大観1点。大観の「雲中富士図屏風」は富士を青で描いた大作。これがホントのラスト。でも、正直あまりグッとこなかった。

若冲VS蕭白を最後にしたのは、もう単純に若冲が大好きだから。正直、蕭白は好きではなかった。「唐獅子図」は迫力があって良かったけど、他は全体的に不気味・・・。若冲は素晴らしい! 若冲の良さはその写実性。普通は描かない枯れた葉まで完璧に描写する。でもそれはただ写真のような絵というわけではない。その構図の大胆さや繊細さと彩色の美しさが相まって、いつまで見ていても飽きない。そして新しい。もうホントに大好き。「仙人掌群鶏図襖」は圧巻。6面の襖に8羽の鶏。尾の先まで丁寧に描かれた鶏が素晴らしい。庭にたくさんの鶏を放し飼いにして写生していたというその描写力は見事。鶏が今にも動き出しそうな迫力。でも、どこかかわいらしい。そして、この”かわいらしい”は本日1番好きだった1枚「雪中遊禽図」にも言える。これはやられた! 完全に心を奪われた(笑) まず2羽の鴛鴦がかわいい。枝振りが大胆な木の構図もいいし、その枝に散らされた花が美しくてかわいい。その花の淡いピンクが鴛鴦の足のピンクと呼応して、雪景色に何とも言えない温かさを加えている。これは、ホントにやられた! しばし動けず。やっぱり若冲は素晴らしい!

というわけで大満足。1,500円は安いと思う。あと「風神雷神図屏風」対決も見れたら言うことないんだけど・・・(涙)


「対決 巨匠達の日本美術」Official site

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