『オペラ座の怪人25周年記念公演in ロンドン』
第二幕
ということで第二幕。一幕の記事にも書いたけれど、トイレ休憩はなし。二幕開始前のオーケストラ演奏の部分でおトイレに行ってしまったので、演奏が聴けなかったのがちょっと残念(涙) でも、残りをおトイレ我慢して観るのは、絶対嫌だったので! (●’ェ’))コクコク
*ネタバレしまくりです! 相変わらず長文(o´ェ`o)ゞ
MASQUERADE / WHY SO SILENT:
Masquerade大迫力! 本公演では少ない出演者を補うため、ダミー人形が使われているのだけど、今回は必要なし! 何十人いたんだろう。ステージ上だけでなく、両脇の階段も所狭しと歌い踊るシーンは圧巻。しかも、このアンサンブルの中には、現WEラウル、旧WEクリスティーヌのセリア・グラハム、現WEクリスティーヌ・アンダーのケイティ・ホールなども含まれるという豪華版。クリスティーヌの衣装は、青とピンクのグラデーションはそのままだけど、マンボ踊るみたいな付け袖はなし。個人的にはあったほうが好きだけど、シエラの美しい二の腕が映えて素敵。楽しいシーンが一転、赤い死が現れる。赤い死のデザインは好き。骸骨がカクカクするのがちょっとおかしくもある(笑) ラミンの脅しイイ! この後、消えないといけないので、おそらく舞台上の都合で、クリスティーヌの指輪引きちぎりはなし。
TWISTED EVERY WAY:
ファントムから無理難題を押し付けられてきた支配人達。ラウルが一計を案じ、クリスティーヌを囮としてファントムを捕らえようと呼びかける。皆乗り気になるけど、当然ながらクリスティーヌと、彼の過去を知っているマダム・ジリーは反対する。クリスティーヌの怯えぶりがいい。カルロッタの「She's mad」が生きてくる。ここで怯えて、絶対に嫌だと言っているから、次のWishing you were somehow here againが生きてくる。
WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN:
で、Wishing you were somehow here again! これ素晴しかった! ここのシエラ・ボーゲスは神ががかっている。この曲四季版だと完全に父親に対して歌っている感じなんだけど、英語の歌詞を読むとファントムに対して歌ってるっぽい。いずれにしても、要するにここでクリスティーヌは逃げないで、ファントムと自らの運命に立ち向かおうと決心するわけで、その不安と嘆きと、自分を鼓舞する感じがきちんと表現されている。歌だけでなく全身から。ここはショー・ストップになってた。当然だと思う! できれば拍手したかったくらい素晴しかった。ここでのクリスティーヌの心境が、今までは父親にすがってるだけにしか思えなかったので、続くシーンでDon Juanのリハーサルに加わってることに違和感があって、ずっとクリスティーヌが流されている気がしてた。でも、クリスティーヌはここで立ち向かう決心をしたから、強い気持ちでリハーサルに臨んでいるのだと、初めて納得できた。シエラ完璧!
WANDERING CHILD / BRAV0 MONSIEUR:
さて、そんな決意を固めたクリスティーヌの前に、再びファントムが現れて、wandering childと優しく歌いかける。イイ、(・∀・)イイ!! あれだけ、優しかったファントムを求めていたクリスティーヌにとって、この優しく歌いかけるファントムに、我を忘れてしまうのはすごく分かる。声の力でどんどんクリスティーヌをトランス状態にしていくファントム。声の魅力に抗えないクリスティーヌ。イイ、イイ! これは夢見がちで、やっぱり芸術家であるクリスティーヌだからこそという側面もある。いくら素晴しいものを見せても、聴かせても、響かない人には響かない・・・。
で、ここにラウル乱入! この時点でラウルが加わって三重唱になるのはWE版のみ。なんでもブロードウェイのオリジナル・ファントムでもあったマイケル・クロフォードの鶴の一声でなくなったそうで、それ以降のプロダクションは三重唱なしとなったとのこと。ラウルの見せ場があまりないので、個人的にはあった方がいい気がするけど、この3人だからそう思えたのかも。正直、全員が同じレベルで高いクオリティーのキャストというのはなかなか難しいと思うので・・・。ヘイドリー・ラウル力強い! 闘ってる。彼に負けじと声の力で圧すラミン・ファントム。スゴイ迫力! お墓はセットではなくて、スクリーンに映し出されている。ファントムは一幕の終わりで泣いてた指揮者前の装飾辺りにいたと思う。火を吹く杖は持っていないので、ファントムが手をかざすと、舞台上に火が上がる仕掛け。これスゴイ! ラミン・ファントムのお怒りもスゴイ(笑)
DON JUAN:
警官達が客席から入ってくる。書き忘れたけど支配人たちの初登場シーンも客席から。この客席の通路は花道のように使われてた。Don Juanのシーン。ここでも、WEキャストがたくさん出ているらしい。ドン・ファンの本当の話については知らないので、ファントムが作ったこのオペラが、もともとの作品にそったものなのか、完全にオリジナルなのか不明。すごく耳障りの悪い感じに仕上げている。不協和音というか・・・。以前、音楽家の方がこの作品の劇中劇の音楽について語っていらしたけど、Hannibalは新作となっているので、おそらく時代的にヴェルディの「アイーダ」を、Il Mutoは古典というセリフがあるので、おそらくモーツァルトの「フィガロの結婚」を意識して作られたのではないかということで、このDon Juanについては、ファントムの天才を示すために、現代的に書いているのではないかということだった。なるほど・・・。上手く言えないけど、ちょっとROCKが入っているというか・・・。
THE POINT OF NO RETURN:
待ってました!(笑) 一番好きな場面。四季版で観た時はあまり分からなかったのだけど、この時クリスティーヌは始めのうちDon Juanでの、彼女の役アミンタとして歌っているし、演じている。囮になる覚悟はしていたし、ファントムが現れるのを待っていたとも思うけれど、プロとして役柄になり切っている。その演技がまたスゴイ。純真なクリスティーヌが、まるで娼婦のよう。このアミンタがどういう役柄なのか不明だけど、これはスゴイ。一方のファントムはピアンジを殺して入れ代わっているわけだけど、それを悟られないようにしつつ、クリスティーヌの近くにいることで、つい地がでちゃっている感じがいい。このシーンは頭まですっぽり被った黒マント着用だけど、声と手の演技がエロイ! クリスの体に這わせる手がエロ過ぎ。スゴイぞ、スゴイぞ! そして、クリスティーヌのパート。歌い出しはまだアミンタ。なので思いっきり誘惑してくる。シエラの表情が妖艶。で、ファントムに近づいて、彼の体に触れる。後ろから肩を抱くようにして、腕を伸ばしてきたファントムとガシッと手を握り合う。このシーン大好き! エロ過ぎ! そして、ファントムの喜びと官能が伝わってくる。イイ! イイ! ファントムだと気づいたクリスティーヌをぐいぐい引っ張るファントム。イイ! イイ!! そして、ファントムが被っているフードをはずすクリスティーヌ。マスクをつけたファントムの顔が現れる。「lead me , save me from my solitude・・・」と切なく歌うファントム。泣ける。「Christine , that's all I ask of・・・」 youまで言えずにマスクをはがされ絶叫するファントム。ああ、素晴しい。望んでいたとおりのthe point of no returnだった。エロくて官能的で、そして命がけでギリギリ。まさにNo returnな感じ。初めて2人がここで歌によって結ばれたんだと感じた。クリスティーヌとファントムがガシッと手を取り合った瞬間。2人は結ばれたんだと思った。行為こそなかったけれど・・・ それくらい官能的なシーンだった。素晴しい! こういうのが観たかった!
DOWN ONCE MORE:
もう、この辺りからボロボロ泣きまくりで、ずっと号泣(笑) 本公演では2人はまた船に乗るのだけど、今回は例の通路に現れる。ここはボディ・ダブルではなくラミン & シエラが演じていたのだそう。「why・・・? why・・・?」と自らの運命に対する嘆きをクリスティーヌにぶつけるファントム。もう観ている側はファントムがかわいそうで、かわいそうで・・・(涙) 美しく、イヤせめて人並みに生まれていたら、その天才ゆえに崇拝されていただろうに、醜く生まれたばかりに、生きていくためには人殺しさえしなくてはならない人生・・・。かわいそう過ぎる・・・(涙)
THE FINAL LAIR:
ここに向かって物語は進むわけなんだけど、もうホントにいつまでも観ていたくて、終わってしまうのが悲しいのと、ファントムがかわいそうなのと、ラミンとシエラが素晴し過ぎる感動とでグチャグチャ(笑) ほとんど号泣。もう何度も書いてるけど、ファントムとしては後には引けないわけで、でも自分が愛されていないことは分かっている。なぜなら自分は醜いから。だからもう自暴自棄になっちゃって、この時点ではある意味駄々っ子みたいになっちゃってる・・・。って、ちょっと違うか(笑) とにかくもう、ギリギリでちょっとおかしくなっちゃってるわけで、クリスティーヌがいくら懇願しても、ラウルがいくら立ち向かっても、もうダメなんだよね。だってpoint of no returnを越えちゃったわけだから。その辺りをラミン・カリムルーがハイテンション演技で表現。スゴイ。ハイテンションって書くと怒鳴りっぱなしみたいだけど、そうじゃない。この演技はスゴイ。それに応えるシエラ・クリスティーヌは、ただ打ちひしがれているんじゃなくて、闘っている。これがまたいい。ただ流されているんじゃなくて、自分の思いをちゃんと伝えている。初めてセリフが生きている感じがした。上っ面ではなく、クリスティーヌの言葉になってた。クリスティーヌの逃げではない真正面の気持ちが伝わってくるからこそ、余計にそれを受け入ることが出来なくて、ますます追い詰められるファントム。クリスティーヌの首を締め上げちゃってる。スゴイ! こんなの見たことない。でも、全然やり過ぎとは思わない。ヘイドリー・ラウルも闘うけど、こちらは台本上、あっさりパンジャブ・ラッソーに掴まってしまう。ラウルも助けたいし、ファントムも救いたいクリスティーヌ。そして、「make your choice」と迫られ、当blogでも映画版字幕で激怒したあのセリフ「you are not alone」と歌い、万感の想いを込めてキス!全身の力が抜けるファントム。ファントムを抱きしめて、もう一度キスするクリスティーヌ。彼女を抱きしめたいのに、引き離しラウルの方へ向かうファントム。イイ! 素晴しい! 蝋燭を一本取り出し、火をうつしてラウルを吊った縄を切る。ここまでかなり長い。でも、キスの余韻があるので、固唾を呑んで見守ってしまう。そして、ラミン・ファントム絶叫! これはスゴイ(涙) こんなに叫んでノドは大丈夫なんだろうかと心配になるくらいの絶叫! そして、ヘナヘナとなってしまうファントム。観ている側も心を揺さぶられて大号泣。
そして、「Masquerade・・・ Hide your face so world will never find you・・・」と猿のオルゴールの目をふさぐ手つきが・・・(涙) ふと気づくとそこにクリスティーヌ。この時のラミン・ファントムがまた切ない。精一杯きちんとしようとしてる感じが伝わる。ファントム最後のプライド(涙) そして、ちょっと期待する目つきをする。顔半分で(涙) 「どうして戻ったの?」みたいな・・・。その表情が・・・(涙) そして、クリスティーヌが差し出す指輪を見て、あぁってなっちゃって、「いいんだよ」みたいな感じで首を少し振りながら、「Christine , I love you・・・」 うわーん
何という声・・・。そして何という優しい歌い方・・・。そっとクリスティーヌの手を包む手・・・。そして、その手に号泣しながらキスするクリスティーヌ(涙) シエラ素晴しい。クリスティーヌの痛みが伝わってくる。クリスティーヌは男女の愛よりもっと深い愛情をファントムに向けていることが分かる。人間としての、母親のような・・・ 上手く言えないけど・・・。それが、しっかりと伝わる。そして、後ろ髪を引かれて、立ち去りがたそうに、階段に向かうクリスティーヌ。迎えに来るラウル。All I ask of youのフレーズが歌われるけど、これは間違いなくファントムに向けて歌っている。心は置いていきますという・・・(涙) この演出は好き!これならファントムもむくわれる。
そして2人が去ってしまうと「you alone can make my song take flight , it's over now the music of the night・・・」(号泣) このラミン・カリムルーの歌は涙なくして聴けないと思う。全身全霊で歌ってた。圧巻。ヴェールを天に放り投げ、椅子に座り黒いベールをかけ、両腕を抜いた瞬間サッと消える。この消え方もかっこよかった。はぁ・・・。終わっちゃった。ホントに素晴しかった! もう、素晴しいという言葉しか言えないのが悔しいくらい感動してしまった・・・。この記事も泣きながら書いてるし(笑) ホント凄いものを見てしまった。
ホントはここで終わりにしたいけど、カーテンコールがまた豪華なので書かないとね(笑)
カーテンコール:
カーテンコールでは、出演者全員の挨拶が終わったあと、サー・アンドリューがステージに現れてご挨拶。プロデューサーのサー・キャメロン・マッキントッシュと抱き合うシーンも。そして、何とオリジナル・ファントムのマイケル・クロフォードが! だいぶお年を召したけど、あのかわいらしい笑顔は健在。現在「オズの魔法使い」にご出演中とのことで、歌ってくれなかったのは残念(涙) そして、サー・アンドリューの「私のエンジェル・オブ・ミュージック」という紹介で、サラ・ブライトマン登場! オリジナル・クリスティーヌというだけではなく、サー・アンドリューは彼女のためにこの作品を作ったわけだから、まさにエンジェル・オブ・ミュージック。そして、サー・アンドリューがファントムってことか(笑) だからなのか登場したサラは、マイケル・クロフォードとハグしに行っちゃって、慌ててサー・アンドリューが引き戻すシーンも(笑)
この後、サラ・ブライトマンを中心に4人の歴代ファントム達がThe Phantom of the Operaを熱唱。最後はラミン・カリムルーも加わり、5人のファントムから「Sing!」と迫られるサラ。あんまり声出てなかったような・・・。でも、相変わらず美しくてかわいい声。この場でサラが歌ってくれることに意味があるからOK! ラミン・ファントムにエスコートされてサラ・ブライトマン退場。
4ファントムによるThe music of the night。贅沢。ちなみにメンバーは
コルム・ウィルキンソン:カナダ・オリジナル
ジョン・オーウェン・ジョーンズ:現WEキャスト
アンソニー・ワーロウ:オーストラリア・オリジナル
ピーター・ジョバック:次期WEキャスト
ちなみに現WEのジョン・オーウェン・ジョーンズはスゴイ美声の持ち主で、日本にも熱烈なファンの多い人。このカーテンコールでもソロ長めだった。映画は2日ソワレの映像だけど、2日マチネの彼の歌唱が素晴しかったらしい。ちょっと聴いてみたかったな。
4ファントムとサラ・ブライトマンは全公演登場したらしいけれど、マイケル・クロフォードは2日ソワレのみ。新旧入り混じってのご挨拶の時に、ラミン・カリムルーがマイケル・クロフォードの手を両手で取って、お辞儀していたのが印象的。敬意をはらっているのと同時に、やっぱりこの公演でファントムを演じることの重圧を感じた。この後、みんなで挨拶したところで終わり。動画で見たラミンがシエラをお姫様抱っこするカーテンコールが見たかった・・・(涙)
ということで、長々書いてきたけど、これで終了。
はぁ、もうボロボロ泣き & 演技と歌唱、映画全体からのパワーでグッタリ。ホントにスゴイものを見てしまった。世にファントム役者はたくさんいるし、クリスティーヌ女優もたくさんいる。その分だけ「オペラ座の怪人」は存在するわけだけど、このファントム & クリスティーヌに大満足。細かく見ればいろいろあると思うけれど、ほんとに個人的にはパーフェクト。この記事、泣きながら書いてたし(笑) 特にTHE FINAL LAIRは号泣しながら書いてた これ、絶対ブルーレイ買う! っていうか、その前にまた観る!
ミュージカル・ファンの方はオススメ! 「オペラ座の怪人」ファンの方必見です!!
『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン|公式サイト


ということで第二幕。一幕の記事にも書いたけれど、トイレ休憩はなし。二幕開始前のオーケストラ演奏の部分でおトイレに行ってしまったので、演奏が聴けなかったのがちょっと残念(涙) でも、残りをおトイレ我慢して観るのは、絶対嫌だったので! (●’ェ’))コクコク
*ネタバレしまくりです! 相変わらず長文(o´ェ`o)ゞ
MASQUERADE / WHY SO SILENT:
Masquerade大迫力! 本公演では少ない出演者を補うため、ダミー人形が使われているのだけど、今回は必要なし! 何十人いたんだろう。ステージ上だけでなく、両脇の階段も所狭しと歌い踊るシーンは圧巻。しかも、このアンサンブルの中には、現WEラウル、旧WEクリスティーヌのセリア・グラハム、現WEクリスティーヌ・アンダーのケイティ・ホールなども含まれるという豪華版。クリスティーヌの衣装は、青とピンクのグラデーションはそのままだけど、マンボ踊るみたいな付け袖はなし。個人的にはあったほうが好きだけど、シエラの美しい二の腕が映えて素敵。楽しいシーンが一転、赤い死が現れる。赤い死のデザインは好き。骸骨がカクカクするのがちょっとおかしくもある(笑) ラミンの脅しイイ! この後、消えないといけないので、おそらく舞台上の都合で、クリスティーヌの指輪引きちぎりはなし。
TWISTED EVERY WAY:
ファントムから無理難題を押し付けられてきた支配人達。ラウルが一計を案じ、クリスティーヌを囮としてファントムを捕らえようと呼びかける。皆乗り気になるけど、当然ながらクリスティーヌと、彼の過去を知っているマダム・ジリーは反対する。クリスティーヌの怯えぶりがいい。カルロッタの「She's mad」が生きてくる。ここで怯えて、絶対に嫌だと言っているから、次のWishing you were somehow here againが生きてくる。
WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN:
で、Wishing you were somehow here again! これ素晴しかった! ここのシエラ・ボーゲスは神ががかっている。この曲四季版だと完全に父親に対して歌っている感じなんだけど、英語の歌詞を読むとファントムに対して歌ってるっぽい。いずれにしても、要するにここでクリスティーヌは逃げないで、ファントムと自らの運命に立ち向かおうと決心するわけで、その不安と嘆きと、自分を鼓舞する感じがきちんと表現されている。歌だけでなく全身から。ここはショー・ストップになってた。当然だと思う! できれば拍手したかったくらい素晴しかった。ここでのクリスティーヌの心境が、今までは父親にすがってるだけにしか思えなかったので、続くシーンでDon Juanのリハーサルに加わってることに違和感があって、ずっとクリスティーヌが流されている気がしてた。でも、クリスティーヌはここで立ち向かう決心をしたから、強い気持ちでリハーサルに臨んでいるのだと、初めて納得できた。シエラ完璧!
WANDERING CHILD / BRAV0 MONSIEUR:
さて、そんな決意を固めたクリスティーヌの前に、再びファントムが現れて、wandering childと優しく歌いかける。イイ、(・∀・)イイ!! あれだけ、優しかったファントムを求めていたクリスティーヌにとって、この優しく歌いかけるファントムに、我を忘れてしまうのはすごく分かる。声の力でどんどんクリスティーヌをトランス状態にしていくファントム。声の魅力に抗えないクリスティーヌ。イイ、イイ! これは夢見がちで、やっぱり芸術家であるクリスティーヌだからこそという側面もある。いくら素晴しいものを見せても、聴かせても、響かない人には響かない・・・。
で、ここにラウル乱入! この時点でラウルが加わって三重唱になるのはWE版のみ。なんでもブロードウェイのオリジナル・ファントムでもあったマイケル・クロフォードの鶴の一声でなくなったそうで、それ以降のプロダクションは三重唱なしとなったとのこと。ラウルの見せ場があまりないので、個人的にはあった方がいい気がするけど、この3人だからそう思えたのかも。正直、全員が同じレベルで高いクオリティーのキャストというのはなかなか難しいと思うので・・・。ヘイドリー・ラウル力強い! 闘ってる。彼に負けじと声の力で圧すラミン・ファントム。スゴイ迫力! お墓はセットではなくて、スクリーンに映し出されている。ファントムは一幕の終わりで泣いてた指揮者前の装飾辺りにいたと思う。火を吹く杖は持っていないので、ファントムが手をかざすと、舞台上に火が上がる仕掛け。これスゴイ! ラミン・ファントムのお怒りもスゴイ(笑)
DON JUAN:
警官達が客席から入ってくる。書き忘れたけど支配人たちの初登場シーンも客席から。この客席の通路は花道のように使われてた。Don Juanのシーン。ここでも、WEキャストがたくさん出ているらしい。ドン・ファンの本当の話については知らないので、ファントムが作ったこのオペラが、もともとの作品にそったものなのか、完全にオリジナルなのか不明。すごく耳障りの悪い感じに仕上げている。不協和音というか・・・。以前、音楽家の方がこの作品の劇中劇の音楽について語っていらしたけど、Hannibalは新作となっているので、おそらく時代的にヴェルディの「アイーダ」を、Il Mutoは古典というセリフがあるので、おそらくモーツァルトの「フィガロの結婚」を意識して作られたのではないかということで、このDon Juanについては、ファントムの天才を示すために、現代的に書いているのではないかということだった。なるほど・・・。上手く言えないけど、ちょっとROCKが入っているというか・・・。
THE POINT OF NO RETURN:
待ってました!(笑) 一番好きな場面。四季版で観た時はあまり分からなかったのだけど、この時クリスティーヌは始めのうちDon Juanでの、彼女の役アミンタとして歌っているし、演じている。囮になる覚悟はしていたし、ファントムが現れるのを待っていたとも思うけれど、プロとして役柄になり切っている。その演技がまたスゴイ。純真なクリスティーヌが、まるで娼婦のよう。このアミンタがどういう役柄なのか不明だけど、これはスゴイ。一方のファントムはピアンジを殺して入れ代わっているわけだけど、それを悟られないようにしつつ、クリスティーヌの近くにいることで、つい地がでちゃっている感じがいい。このシーンは頭まですっぽり被った黒マント着用だけど、声と手の演技がエロイ! クリスの体に這わせる手がエロ過ぎ。スゴイぞ、スゴイぞ! そして、クリスティーヌのパート。歌い出しはまだアミンタ。なので思いっきり誘惑してくる。シエラの表情が妖艶。で、ファントムに近づいて、彼の体に触れる。後ろから肩を抱くようにして、腕を伸ばしてきたファントムとガシッと手を握り合う。このシーン大好き! エロ過ぎ! そして、ファントムの喜びと官能が伝わってくる。イイ! イイ! ファントムだと気づいたクリスティーヌをぐいぐい引っ張るファントム。イイ! イイ!! そして、ファントムが被っているフードをはずすクリスティーヌ。マスクをつけたファントムの顔が現れる。「lead me , save me from my solitude・・・」と切なく歌うファントム。泣ける。「Christine , that's all I ask of・・・」 youまで言えずにマスクをはがされ絶叫するファントム。ああ、素晴しい。望んでいたとおりのthe point of no returnだった。エロくて官能的で、そして命がけでギリギリ。まさにNo returnな感じ。初めて2人がここで歌によって結ばれたんだと感じた。クリスティーヌとファントムがガシッと手を取り合った瞬間。2人は結ばれたんだと思った。行為こそなかったけれど・・・ それくらい官能的なシーンだった。素晴しい! こういうのが観たかった!
DOWN ONCE MORE:
もう、この辺りからボロボロ泣きまくりで、ずっと号泣(笑) 本公演では2人はまた船に乗るのだけど、今回は例の通路に現れる。ここはボディ・ダブルではなくラミン & シエラが演じていたのだそう。「why・・・? why・・・?」と自らの運命に対する嘆きをクリスティーヌにぶつけるファントム。もう観ている側はファントムがかわいそうで、かわいそうで・・・(涙) 美しく、イヤせめて人並みに生まれていたら、その天才ゆえに崇拝されていただろうに、醜く生まれたばかりに、生きていくためには人殺しさえしなくてはならない人生・・・。かわいそう過ぎる・・・(涙)
THE FINAL LAIR:
ここに向かって物語は進むわけなんだけど、もうホントにいつまでも観ていたくて、終わってしまうのが悲しいのと、ファントムがかわいそうなのと、ラミンとシエラが素晴し過ぎる感動とでグチャグチャ(笑) ほとんど号泣。もう何度も書いてるけど、ファントムとしては後には引けないわけで、でも自分が愛されていないことは分かっている。なぜなら自分は醜いから。だからもう自暴自棄になっちゃって、この時点ではある意味駄々っ子みたいになっちゃってる・・・。って、ちょっと違うか(笑) とにかくもう、ギリギリでちょっとおかしくなっちゃってるわけで、クリスティーヌがいくら懇願しても、ラウルがいくら立ち向かっても、もうダメなんだよね。だってpoint of no returnを越えちゃったわけだから。その辺りをラミン・カリムルーがハイテンション演技で表現。スゴイ。ハイテンションって書くと怒鳴りっぱなしみたいだけど、そうじゃない。この演技はスゴイ。それに応えるシエラ・クリスティーヌは、ただ打ちひしがれているんじゃなくて、闘っている。これがまたいい。ただ流されているんじゃなくて、自分の思いをちゃんと伝えている。初めてセリフが生きている感じがした。上っ面ではなく、クリスティーヌの言葉になってた。クリスティーヌの逃げではない真正面の気持ちが伝わってくるからこそ、余計にそれを受け入ることが出来なくて、ますます追い詰められるファントム。クリスティーヌの首を締め上げちゃってる。スゴイ! こんなの見たことない。でも、全然やり過ぎとは思わない。ヘイドリー・ラウルも闘うけど、こちらは台本上、あっさりパンジャブ・ラッソーに掴まってしまう。ラウルも助けたいし、ファントムも救いたいクリスティーヌ。そして、「make your choice」と迫られ、当blogでも映画版字幕で激怒したあのセリフ「you are not alone」と歌い、万感の想いを込めてキス!全身の力が抜けるファントム。ファントムを抱きしめて、もう一度キスするクリスティーヌ。彼女を抱きしめたいのに、引き離しラウルの方へ向かうファントム。イイ! 素晴しい! 蝋燭を一本取り出し、火をうつしてラウルを吊った縄を切る。ここまでかなり長い。でも、キスの余韻があるので、固唾を呑んで見守ってしまう。そして、ラミン・ファントム絶叫! これはスゴイ(涙) こんなに叫んでノドは大丈夫なんだろうかと心配になるくらいの絶叫! そして、ヘナヘナとなってしまうファントム。観ている側も心を揺さぶられて大号泣。
そして、「Masquerade・・・ Hide your face so world will never find you・・・」と猿のオルゴールの目をふさぐ手つきが・・・(涙) ふと気づくとそこにクリスティーヌ。この時のラミン・ファントムがまた切ない。精一杯きちんとしようとしてる感じが伝わる。ファントム最後のプライド(涙) そして、ちょっと期待する目つきをする。顔半分で(涙) 「どうして戻ったの?」みたいな・・・。その表情が・・・(涙) そして、クリスティーヌが差し出す指輪を見て、あぁってなっちゃって、「いいんだよ」みたいな感じで首を少し振りながら、「Christine , I love you・・・」 うわーん

そして2人が去ってしまうと「you alone can make my song take flight , it's over now the music of the night・・・」(号泣) このラミン・カリムルーの歌は涙なくして聴けないと思う。全身全霊で歌ってた。圧巻。ヴェールを天に放り投げ、椅子に座り黒いベールをかけ、両腕を抜いた瞬間サッと消える。この消え方もかっこよかった。はぁ・・・。終わっちゃった。ホントに素晴しかった! もう、素晴しいという言葉しか言えないのが悔しいくらい感動してしまった・・・。この記事も泣きながら書いてるし(笑) ホント凄いものを見てしまった。
ホントはここで終わりにしたいけど、カーテンコールがまた豪華なので書かないとね(笑)
カーテンコール:
カーテンコールでは、出演者全員の挨拶が終わったあと、サー・アンドリューがステージに現れてご挨拶。プロデューサーのサー・キャメロン・マッキントッシュと抱き合うシーンも。そして、何とオリジナル・ファントムのマイケル・クロフォードが! だいぶお年を召したけど、あのかわいらしい笑顔は健在。現在「オズの魔法使い」にご出演中とのことで、歌ってくれなかったのは残念(涙) そして、サー・アンドリューの「私のエンジェル・オブ・ミュージック」という紹介で、サラ・ブライトマン登場! オリジナル・クリスティーヌというだけではなく、サー・アンドリューは彼女のためにこの作品を作ったわけだから、まさにエンジェル・オブ・ミュージック。そして、サー・アンドリューがファントムってことか(笑) だからなのか登場したサラは、マイケル・クロフォードとハグしに行っちゃって、慌ててサー・アンドリューが引き戻すシーンも(笑)
この後、サラ・ブライトマンを中心に4人の歴代ファントム達がThe Phantom of the Operaを熱唱。最後はラミン・カリムルーも加わり、5人のファントムから「Sing!」と迫られるサラ。あんまり声出てなかったような・・・。でも、相変わらず美しくてかわいい声。この場でサラが歌ってくれることに意味があるからOK! ラミン・ファントムにエスコートされてサラ・ブライトマン退場。
4ファントムによるThe music of the night。贅沢。ちなみにメンバーは
コルム・ウィルキンソン:カナダ・オリジナル
ジョン・オーウェン・ジョーンズ:現WEキャスト
アンソニー・ワーロウ:オーストラリア・オリジナル
ピーター・ジョバック:次期WEキャスト
ちなみに現WEのジョン・オーウェン・ジョーンズはスゴイ美声の持ち主で、日本にも熱烈なファンの多い人。このカーテンコールでもソロ長めだった。映画は2日ソワレの映像だけど、2日マチネの彼の歌唱が素晴しかったらしい。ちょっと聴いてみたかったな。
4ファントムとサラ・ブライトマンは全公演登場したらしいけれど、マイケル・クロフォードは2日ソワレのみ。新旧入り混じってのご挨拶の時に、ラミン・カリムルーがマイケル・クロフォードの手を両手で取って、お辞儀していたのが印象的。敬意をはらっているのと同時に、やっぱりこの公演でファントムを演じることの重圧を感じた。この後、みんなで挨拶したところで終わり。動画で見たラミンがシエラをお姫様抱っこするカーテンコールが見たかった・・・(涙)
ということで、長々書いてきたけど、これで終了。
はぁ、もうボロボロ泣き & 演技と歌唱、映画全体からのパワーでグッタリ。ホントにスゴイものを見てしまった。世にファントム役者はたくさんいるし、クリスティーヌ女優もたくさんいる。その分だけ「オペラ座の怪人」は存在するわけだけど、このファントム & クリスティーヌに大満足。細かく見ればいろいろあると思うけれど、ほんとに個人的にはパーフェクト。この記事、泣きながら書いてたし(笑) 特にTHE FINAL LAIRは号泣しながら書いてた これ、絶対ブルーレイ買う! っていうか、その前にまた観る!
ミュージカル・ファンの方はオススメ! 「オペラ座の怪人」ファンの方必見です!!

『オペラ座の怪人25周年記念公演in ロンドン』
第一幕 
この分だと終わらないので、第一幕と第二幕と分けて書くことに決定! 余談ですが、今作は幕間なしの上映になるので、事前におトイレは済ませておきましょう! 最悪、第二幕の前にオーケストラによる演奏が入るので、その間にダッシュすれば行けると思う。
*ネタバレしまくりです! そして長文(o´ェ`o)ゞ
本編はRAH(ロイヤル・アルバート・ホール)の客席上部からの映像で始まる。円形ホールの一角にステージを作っている感じ。この仕様で5,000人入るそう。半円形の舞台はあまり広くない。両サイドに階段、舞台上のかなり高い位置にオーケストラ・ピット、劇場のボックス席そのままなのか、そこにセットでつなげたのか不明だけど、そこがBOX5になるという設定。「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」の時は、セットはなしで、俳優たちは衣装は着けていたけど、スタンドマイクで歌う形式。今回の公演は基本舞台どおりに演じられるというのは知っていたけど、どこまで忠実に再現するのか興味津々。とりあえずオープニングで舞台上にあるはずのシャンデリアは、天井から吊られていて、LOT666の布がかけられている。指揮者がやってきて暗転!
PROLOGUE / OVERTURE:
「Sold!」というオークショナーの一言からスタート。このオークショナーはなんとWE(West End)ファントム経験者で「レ・ミゼ 25周年」の司祭役アール・カーペンター。残念ながらオークショナーは歌わないので、すごく贅沢なキャスティング。でも、一気に「オペラ座の怪人」の世界に引き込まなくてはならないので、とっても重要な役。しばし、オークション場面。オペラ座の怪人事件から数十年後、当時の思い出の品々を落札していくラウル。そして、LOT666シャンデリアがコールされると、あの有名なOverture! シャンデリアにかかっていた布が引き上げられると、映画版で使用されたスワロフスキーの2億円シャンデリアが! 豪華・・・ プロセニアム・アーチもある! マリア・ビヨルソンのデザインを踏襲したものになっているので、すごく素敵。生オケはほぼフルオーケストラ。ただし、あんまりその迫力が伝わってこなかったような・・・。お腹にずんずん響く感じはなかったかも。現地ではスゴイ迫力だったみたいなので残念(涙) でも、大迫力だったことには間違いなし! そうそう今回の字幕は、浅利慶太氏による劇団四季上演バージョン。舞台版そのままなので、英語歌詞と合わない部分もあり、ラスト地下での三重唱では、画面いっぱい字幕という、とんでもない状態になってしまっている。なかなか難しい問題ではあるけど、画面いっぱいはちょっと・・・
おっと、本題!
HANNIBAL:
ここはほぼ舞台どおり、ただし象は出ない。その代わりを補ってあまりあることに、スレイブ・マスターのダンサーがロイヤル・バレエ団のセルゲイ・ポルーニン。カッコイイ! 舞台が狭いので若干踊りにくそうではあったけど、素晴しい踊りを披露してくれる。回転の早さとキレのよさはスゴイ! なんという贅沢。コールド・ダンサーの人数も増量。少し振りが変わっていた気も・・・。この中にクリスティーヌとメグがいるはずだけど、シエラ・ボーゲスの顔認識ができていなかったため発見できず。次は頑張る。ちなみにクリスティーヌは舞台上で着替えがあるため、リボン部分がゴムになってるトウシューズを履いてるよ!(←豆知識) カルロッタはオペラ歌手の人がキャスティングされていたけど、声の調子が悪いということで降板してまったそうで、現WEキャストの人が演じている。スゴイ迫力ボディ(笑) でも、なんだか憎めないカルロッタで良かった。ムッシュー・アンドレ & ムッシュー・フィルマンも現WEキャストとのこと。このお2人も上手かった。ファントムが緞帳を落とす場面は、後ろのスクリーンに映し出される。正直、迫力はないけど、劇場の都合上仕方なし・・・。オーケストラの後ろと、舞台後ろにスクリーンがあって、その2つを組み合わせて、背景にしたり、セットの一部にしたりしてた。特に舞台上のスクリーンは、スクリーンであることを感じさせないように工夫してあった。2日目マチネではトラブルもあったみたいだけど、これは上手く考えられていると思う。あと、今回全体的にカメラがすごく近い。もちろん遠景など全体を映したり、いろいろ切り替わるけど、俳優たちの表情がハッキリ映るので、細かな演技まできちんと伝わってくる。まさに、舞台と映画のいいとこ取り。よりいっそう感動できた気がする。
THINK OF ME:
さて、Think of me! 主演のラミン・カリムルーに関しては「レ・ミゼ25周年」のアンジョルラスで観て、その声量にビックリした覚えがあって、期待大だったのだけど、クリスティーヌのシエラ・ボーゲスについては、全く知らなかったので、ちょっと不安だった・・・。それが、このThink of meで完全に持っていかれた。イヤ、スゴイ! 何がスゴイかと言えば、ちゃんとお芝居をしているってこと。当たり前のことなんだけど、ここまできちんとやってくれた人見たことなかった。クリスは実力はあるけど、コーラス・ガールで、この時まだ16歳。突然の抜擢でオドオドしている。細々歌いだす人はいるけど、もう本当にオドオドしている。でも、ちゃんと声は聞こえてる。でも、歌に引き上げられて、どんどん本来の実力を発揮する。衣装を着けると完全にプリマドンナ! これは素晴しい。観ている側もクリスティーヌがプリマドンナになる瞬間を目撃できる仕掛けなのだけど、それがホントにリアルに体験できた。最後の高音も無理なく出しているので、聞いていても気持ちに切れる部分がない。そして美しいソプラノ。これはスゴイ! 今回、これはスゴイと思ったのは、このThink of meから。シエラ素晴しい! そして、かわいい。お人形みたい。もしくは絵画みたい。で、この後のカーテンコールのシーン。なんと後ろのスクリーンに、RAHの客席が映し出されるという粋な演出。
ANGEL OF MUSIC / LITTLE LOTTE / THE MIRROR:
メグもかわいい。メグに訊ねられて音楽の天使について答えるクリスティーヌ。クリスティーヌはヴァイオリニストだった父親から音楽の天使の話を聞いていたから、自分の元に来てくれたのは音楽の天使なのだと信じている。16歳にしてはどうかなと思うけど、それが彼女の品の良さや可憐さだからOK。シエラ・ボーゲスの実年齢は29歳だけど、その辺りホントに上手く演じていたと思う。まぁ、アップで見れば正直16歳には見えないけど、それは問題なし。ヘイドリー・フレイザーは全体的に力強いラウル。ラウルってわりとヘタレだったりするので(笑) 世間知らずのお坊ちゃまだし。ヘイドリーは男らしいラウルで、やや子爵っぽさには欠ける気もしないでもないけど、クリスティーヌがラウルに恋することに説得力が増した。歌も上手い。顔はわりと濃い目で、かわいいタイプ。全体的にかなりかっこいいラウルになってた。楽屋はセットではなくドレッサーのみ。クリスティーヌの着替えもドレッサー前で、ここは同じ。ラウルが一度は退場すると、いよいよラミン・ファントム登場! 「Insolent boy!」から怒ってます! ラミン・カリムルーの声は美しいというより力があるという感じ。もちろん美しい声なんだけど、圧倒的な声量と、情熱的で艶のある声をしている。今回はファントム役で、25周年記念公演ということで、あまり自分色を押し出していないようだけど、ご本人が33歳とまだ若いこともあり、大人の男の魅力で包み込むというより、情熱的に迫ってくる感じ。ファントムの初期設定は40代らしいので、大人の魅力で包み込むタイプが正解なのでしょうが、この情熱的でセクシーなファントムは嫌いじゃない。もう、鏡の中からファントムが現れることは知っているので、来るよ来るよと思っていたら、背景のスクリーンの一部を鏡に見立てて、クリスティーヌとファントムの映像が映る。かなり巨大(笑) そして、そのスクリーンが開きファントムが姿を現す。「come to me angle of music・・・」と甘く誘いつつ、手を差し出す姿がカッコイイ! そしてエロい。ラミン・カリムルーはイラン系カナダ人なので、実際の彼の顔はかなり濃い。沢村一樹似です(笑) ご本人もセクシーではあるけれど、それはここで求められているセクシーさとは違う。その辺りがスゴイなと思う。上手く言えないけど・・・
THE PHANTOM OF THE OPERA:
おなじみのあの前奏が始まると頭上の通路のようなところにクリスティーヌとファントムの姿が。これはボディ・ダブルで現WEクリスティーヌ・アンダーのケイティ・ホールだそう。「レ・ミゼ 25周年」のコゼットでもある。シエラの輪郭がわりとしっかりしているのに対し、ケイティは丸顔。その丸顔がチラッと見える(笑) ファントムもWEアンダーの人だったと思うけれど、名前を失念・・・。本公演のように上下動はしないので、2人行ったり来たり。燭台数本出た気もするけれど、あとはスクリーンの映像。船は出る! ここでの2人。特にラミン・ファントムがパワフル。でも、決してケンカしてるみたいではない。プライベートでも2人仲が良いみたいだし、LNDでもオリジナル・ファントム & クリスティーヌだったので、お互いの呼吸が分かっているのかも。「Sing!」がスゴイ迫力。ちょっと狂気を感じさせる。いいぞ、いいぞ! それにうながされて、シエラの高音がどんどん高くなっていく。そして、最高音に! スゴイ、スゴイ! この後、カメラは引きの画になるけど、シエラはそこで自分のノドの辺りをおさえて、自分にこんな声が出せるなんて信じられないというお芝居をしている。上手い。自分でも知らなかった力を引き出してくれるからこそ、ファントムのことを音楽の天使であり、マスターなんだと信じているわけで、女性としてだけじゃなく、芸術家としてファントムを愛した理由はそこにあると思うので。あと、ここのオーケストラの音もスゴイ迫力。ROCK調の曲がガンガン響いてくる。
THE MUSIC OF THE NIGHT:
ここの前、オルガンを弾くシーン。ラミンものすごいハイテンション! この後、よくこの曲に入れるなというくらい。でも、とうとうクリスティーヌを連れて来ちゃった興奮が感じられて良い。そして、ファントム最大の聴かせどころ、The music of the night。エロい! ここと第二幕のThe point of no returnのシーンは、この作品でも特にセクシーな部分なんだけど、ここまで官能的なThe music of the nightを観たのは初めて。ラミンは甘く囁くというよりは、声の力で押してくる。声は圧倒的。ファントムになっているので、アンジョルラスみたいな若々しい声や歌唱ではないけれど、そのパワーがスゴイ。そして身のこなしが情熱的でエロい。手の動きエロ過ぎ。それに応えるシエラの表情がまたエロくて、ものすごい官能的。イヤ素晴しい! ぞくぞくする。これは四季版では絶対ムリだわ(笑) 日本人にされたら見ている側も照れちゃうと思うし。でも、これを観てしまったらなぁ・・・。イヤ、ホント素晴しい。ファントムはセクシーじゃないとね! クリスティーヌ人形はないので、ファントムに触れられて失神するクリス。お姫様抱っこで船に寝かし、最後のフレーズを歌い上げるラミン・ファントム。「Night~」が美しい。ショー・ストップになってた。
STRANGER THAN YOU DREAM IT:
で、クリスティーヌが目覚めて有名なアン・マスクド・シーン。一応、映画ブロガーのはしくれなので、映画豆知識を披露しておくと、ガストン・ルルー原作のこの作品は、数々映画化、ドラマ化されてきたけど、映画版で有名なのは1925年のロン・チャニー版で、特にこのアン・マスクド・シーンは伝説となっている。本公演の時点から、このシーンとアングルとかそっくりなので、オマージュなのかなと思う。ちなみに、Masqueradeの赤い死のデザインもロン・チャニー版にそっくり! まぁ、ロン・チャニー版は白黒だけど(笑) で、本題に戻ると、ここでのお怒りがスゴイ! こんなに怒ってるのも初めて。まぁ、なにしろほとんどの記憶が四季版なので・・・。イヤ、四季版がダメだと言っているのじゃなくて、四季版はあまり感情を表に出さない日本人に合わせて抑え目演出になっている。なにしろAll I ask of youでは、20回くらいキスしろと言われたのを、大幅に減らしたそうなので(笑) だから、このお怒りっぷりを日本人にしろというのも、見せられるのもムリかもなんだけど、個人的にはこの情熱的な2人に引き込まれているので、この怒りも大歓迎。スゴイわー。でも、ガンガンに怒った後、ヘナヘナってなっちゃう。その緩急がいい。この葛藤はすさまじい。母にも嫌われたって嘆くのが、もう、かわいそうで・・・
そして、それを理解して優しく仮面を返すクリスティーヌ。このシーンはホント絵画みたい。
PRIMA DONNA:
ずっと官能的でハイテンション・シーンが続いたので、ここはコミカル場面で楽しい。支配人2人と、カルロッタ、ピアンジ、マダム・ジリー、メグ、そしてラウルの七重唱となり大迫力。Il Mutoのバレエ・シーンが後になったので、カルロッタの着替えシーンはここに。これちょっと楽しい。
IL MUTO:
劇中劇のシーン。ここはロココ調のセットが魅力なんだけど、舞台の関係でほぼなし。男装のセラフィーモ役のクリスティーヌと、伯爵夫人のカルロッタがじゃれ合うベッドはソファになってた。カルロッタのカエル声上手い。そして、カルロッタちょっとかわいい(笑) この後のバレエ・シーンで、再びロイヤル・バレエ団のセルゲイ・ポルーニンが登場。素晴しい踊りを見せてくれる。そしてブケー殺害! これ見えてます!
RAOUL I'VE BEEN THERE / ALL I ASK OF YOU:
屋上へ逃げてきたクリスティーヌとラウル。クリスティーヌのマントが水色からライトグリーンになってる。これかわいい。シエラ・ボーゲスによく似合う。ここでのクリスティーヌの怯える演技も良かった。人殺しとしてのファントムに恐怖を感じながら、声の魅力に抗えずにいる感じ。初めてこのシーンに説得力があった。あの声なら納得。クリスティーヌと呼びかけるラウル、そしてファントム。ファントムを探すうち泣き崩れてしまうクリスティーヌ。(・∀・)イイ!! そして、ラウルが彼女をなぐさめるために歌いかけるAll I ask of you。 実はラウルがフルで歌うのってこの曲だけなので、力入ってる! 力強く自信に満ち溢れている。なので、クリスティーヌが安心してラウルにすがる気持ちが良く分かる。上手い。2人かなりのイチャつき度。濃厚キスした後のクリスティーヌのはしゃぎっぷりがカワイイ! なので、その後のファントムが・・・(涙)
ALL I ASK OF YOU (Reprise):
書き忘れましたが、屋上ってことでスクリーンには屋根の装飾や、その向こう側にパリの夜景が映っている。オーケストラピット上の、スクリーンの天使像が屋根の頂上という設定なので、ファントムは指揮者手前の装飾部分に現れる。本公演では劇場的に可能であれば、天使像に乗っている。WEで観たときは2階席だったので、真正面にファントムが現れた覚えがある。帽子被っているのが切ない
帽子被って地下の隠れ家から出てきたのに、大失恋って・・・(涙) そう思えるのは、ラミン渾身の演技のおかげ。ホント打ちひしがれている。しぼり出すような声で「I gave you my music・・・」と歌う声が切なく美しい。All I ask of youのワンフレーズを歌うクリス & ラウル。「No・・・、No・・・」と言いながら耳をふさぐファントム。むせび泣き・・・(涙) そして、一転お怒りモードに! 「All that the phantom ask of you」と歌うけど、この「phantom」の最後がちょっと裏返る感じがすごく好き! ここまで怒ってて、次の「ask of」と来た後、よく「you―!」がああ出られるよな・・・。まぁ、プロなので当然といえばそうなんだけど(笑) このお怒りはラミン・ファントムならでわな気がした。他のファントムあんまり知らないけど(笑) で、この後舞台に戻り伯爵夫人に扮したクリスティーヌのカーテンコール。カワイイ! そして「Go―!」の声とともに・・・ 残念ながらシャンデリア落下はなし。その代わりシャンデリアから火花が出る。そして第一幕終了。
この記事も一度終了。第二幕へ続きます。 お疲れ様でした!(笑)
『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン|公式サイト


この分だと終わらないので、第一幕と第二幕と分けて書くことに決定! 余談ですが、今作は幕間なしの上映になるので、事前におトイレは済ませておきましょう! 最悪、第二幕の前にオーケストラによる演奏が入るので、その間にダッシュすれば行けると思う。
*ネタバレしまくりです! そして長文(o´ェ`o)ゞ
本編はRAH(ロイヤル・アルバート・ホール)の客席上部からの映像で始まる。円形ホールの一角にステージを作っている感じ。この仕様で5,000人入るそう。半円形の舞台はあまり広くない。両サイドに階段、舞台上のかなり高い位置にオーケストラ・ピット、劇場のボックス席そのままなのか、そこにセットでつなげたのか不明だけど、そこがBOX5になるという設定。「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」の時は、セットはなしで、俳優たちは衣装は着けていたけど、スタンドマイクで歌う形式。今回の公演は基本舞台どおりに演じられるというのは知っていたけど、どこまで忠実に再現するのか興味津々。とりあえずオープニングで舞台上にあるはずのシャンデリアは、天井から吊られていて、LOT666の布がかけられている。指揮者がやってきて暗転!
PROLOGUE / OVERTURE:
「Sold!」というオークショナーの一言からスタート。このオークショナーはなんとWE(West End)ファントム経験者で「レ・ミゼ 25周年」の司祭役アール・カーペンター。残念ながらオークショナーは歌わないので、すごく贅沢なキャスティング。でも、一気に「オペラ座の怪人」の世界に引き込まなくてはならないので、とっても重要な役。しばし、オークション場面。オペラ座の怪人事件から数十年後、当時の思い出の品々を落札していくラウル。そして、LOT666シャンデリアがコールされると、あの有名なOverture! シャンデリアにかかっていた布が引き上げられると、映画版で使用されたスワロフスキーの2億円シャンデリアが! 豪華・・・ プロセニアム・アーチもある! マリア・ビヨルソンのデザインを踏襲したものになっているので、すごく素敵。生オケはほぼフルオーケストラ。ただし、あんまりその迫力が伝わってこなかったような・・・。お腹にずんずん響く感じはなかったかも。現地ではスゴイ迫力だったみたいなので残念(涙) でも、大迫力だったことには間違いなし! そうそう今回の字幕は、浅利慶太氏による劇団四季上演バージョン。舞台版そのままなので、英語歌詞と合わない部分もあり、ラスト地下での三重唱では、画面いっぱい字幕という、とんでもない状態になってしまっている。なかなか難しい問題ではあるけど、画面いっぱいはちょっと・・・

HANNIBAL:
ここはほぼ舞台どおり、ただし象は出ない。その代わりを補ってあまりあることに、スレイブ・マスターのダンサーがロイヤル・バレエ団のセルゲイ・ポルーニン。カッコイイ! 舞台が狭いので若干踊りにくそうではあったけど、素晴しい踊りを披露してくれる。回転の早さとキレのよさはスゴイ! なんという贅沢。コールド・ダンサーの人数も増量。少し振りが変わっていた気も・・・。この中にクリスティーヌとメグがいるはずだけど、シエラ・ボーゲスの顔認識ができていなかったため発見できず。次は頑張る。ちなみにクリスティーヌは舞台上で着替えがあるため、リボン部分がゴムになってるトウシューズを履いてるよ!(←豆知識) カルロッタはオペラ歌手の人がキャスティングされていたけど、声の調子が悪いということで降板してまったそうで、現WEキャストの人が演じている。スゴイ迫力ボディ(笑) でも、なんだか憎めないカルロッタで良かった。ムッシュー・アンドレ & ムッシュー・フィルマンも現WEキャストとのこと。このお2人も上手かった。ファントムが緞帳を落とす場面は、後ろのスクリーンに映し出される。正直、迫力はないけど、劇場の都合上仕方なし・・・。オーケストラの後ろと、舞台後ろにスクリーンがあって、その2つを組み合わせて、背景にしたり、セットの一部にしたりしてた。特に舞台上のスクリーンは、スクリーンであることを感じさせないように工夫してあった。2日目マチネではトラブルもあったみたいだけど、これは上手く考えられていると思う。あと、今回全体的にカメラがすごく近い。もちろん遠景など全体を映したり、いろいろ切り替わるけど、俳優たちの表情がハッキリ映るので、細かな演技まできちんと伝わってくる。まさに、舞台と映画のいいとこ取り。よりいっそう感動できた気がする。
THINK OF ME:
さて、Think of me! 主演のラミン・カリムルーに関しては「レ・ミゼ25周年」のアンジョルラスで観て、その声量にビックリした覚えがあって、期待大だったのだけど、クリスティーヌのシエラ・ボーゲスについては、全く知らなかったので、ちょっと不安だった・・・。それが、このThink of meで完全に持っていかれた。イヤ、スゴイ! 何がスゴイかと言えば、ちゃんとお芝居をしているってこと。当たり前のことなんだけど、ここまできちんとやってくれた人見たことなかった。クリスは実力はあるけど、コーラス・ガールで、この時まだ16歳。突然の抜擢でオドオドしている。細々歌いだす人はいるけど、もう本当にオドオドしている。でも、ちゃんと声は聞こえてる。でも、歌に引き上げられて、どんどん本来の実力を発揮する。衣装を着けると完全にプリマドンナ! これは素晴しい。観ている側もクリスティーヌがプリマドンナになる瞬間を目撃できる仕掛けなのだけど、それがホントにリアルに体験できた。最後の高音も無理なく出しているので、聞いていても気持ちに切れる部分がない。そして美しいソプラノ。これはスゴイ! 今回、これはスゴイと思ったのは、このThink of meから。シエラ素晴しい! そして、かわいい。お人形みたい。もしくは絵画みたい。で、この後のカーテンコールのシーン。なんと後ろのスクリーンに、RAHの客席が映し出されるという粋な演出。
ANGEL OF MUSIC / LITTLE LOTTE / THE MIRROR:
メグもかわいい。メグに訊ねられて音楽の天使について答えるクリスティーヌ。クリスティーヌはヴァイオリニストだった父親から音楽の天使の話を聞いていたから、自分の元に来てくれたのは音楽の天使なのだと信じている。16歳にしてはどうかなと思うけど、それが彼女の品の良さや可憐さだからOK。シエラ・ボーゲスの実年齢は29歳だけど、その辺りホントに上手く演じていたと思う。まぁ、アップで見れば正直16歳には見えないけど、それは問題なし。ヘイドリー・フレイザーは全体的に力強いラウル。ラウルってわりとヘタレだったりするので(笑) 世間知らずのお坊ちゃまだし。ヘイドリーは男らしいラウルで、やや子爵っぽさには欠ける気もしないでもないけど、クリスティーヌがラウルに恋することに説得力が増した。歌も上手い。顔はわりと濃い目で、かわいいタイプ。全体的にかなりかっこいいラウルになってた。楽屋はセットではなくドレッサーのみ。クリスティーヌの着替えもドレッサー前で、ここは同じ。ラウルが一度は退場すると、いよいよラミン・ファントム登場! 「Insolent boy!」から怒ってます! ラミン・カリムルーの声は美しいというより力があるという感じ。もちろん美しい声なんだけど、圧倒的な声量と、情熱的で艶のある声をしている。今回はファントム役で、25周年記念公演ということで、あまり自分色を押し出していないようだけど、ご本人が33歳とまだ若いこともあり、大人の男の魅力で包み込むというより、情熱的に迫ってくる感じ。ファントムの初期設定は40代らしいので、大人の魅力で包み込むタイプが正解なのでしょうが、この情熱的でセクシーなファントムは嫌いじゃない。もう、鏡の中からファントムが現れることは知っているので、来るよ来るよと思っていたら、背景のスクリーンの一部を鏡に見立てて、クリスティーヌとファントムの映像が映る。かなり巨大(笑) そして、そのスクリーンが開きファントムが姿を現す。「come to me angle of music・・・」と甘く誘いつつ、手を差し出す姿がカッコイイ! そしてエロい。ラミン・カリムルーはイラン系カナダ人なので、実際の彼の顔はかなり濃い。沢村一樹似です(笑) ご本人もセクシーではあるけれど、それはここで求められているセクシーさとは違う。その辺りがスゴイなと思う。上手く言えないけど・・・
THE PHANTOM OF THE OPERA:
おなじみのあの前奏が始まると頭上の通路のようなところにクリスティーヌとファントムの姿が。これはボディ・ダブルで現WEクリスティーヌ・アンダーのケイティ・ホールだそう。「レ・ミゼ 25周年」のコゼットでもある。シエラの輪郭がわりとしっかりしているのに対し、ケイティは丸顔。その丸顔がチラッと見える(笑) ファントムもWEアンダーの人だったと思うけれど、名前を失念・・・。本公演のように上下動はしないので、2人行ったり来たり。燭台数本出た気もするけれど、あとはスクリーンの映像。船は出る! ここでの2人。特にラミン・ファントムがパワフル。でも、決してケンカしてるみたいではない。プライベートでも2人仲が良いみたいだし、LNDでもオリジナル・ファントム & クリスティーヌだったので、お互いの呼吸が分かっているのかも。「Sing!」がスゴイ迫力。ちょっと狂気を感じさせる。いいぞ、いいぞ! それにうながされて、シエラの高音がどんどん高くなっていく。そして、最高音に! スゴイ、スゴイ! この後、カメラは引きの画になるけど、シエラはそこで自分のノドの辺りをおさえて、自分にこんな声が出せるなんて信じられないというお芝居をしている。上手い。自分でも知らなかった力を引き出してくれるからこそ、ファントムのことを音楽の天使であり、マスターなんだと信じているわけで、女性としてだけじゃなく、芸術家としてファントムを愛した理由はそこにあると思うので。あと、ここのオーケストラの音もスゴイ迫力。ROCK調の曲がガンガン響いてくる。
THE MUSIC OF THE NIGHT:
ここの前、オルガンを弾くシーン。ラミンものすごいハイテンション! この後、よくこの曲に入れるなというくらい。でも、とうとうクリスティーヌを連れて来ちゃった興奮が感じられて良い。そして、ファントム最大の聴かせどころ、The music of the night。エロい! ここと第二幕のThe point of no returnのシーンは、この作品でも特にセクシーな部分なんだけど、ここまで官能的なThe music of the nightを観たのは初めて。ラミンは甘く囁くというよりは、声の力で押してくる。声は圧倒的。ファントムになっているので、アンジョルラスみたいな若々しい声や歌唱ではないけれど、そのパワーがスゴイ。そして身のこなしが情熱的でエロい。手の動きエロ過ぎ。それに応えるシエラの表情がまたエロくて、ものすごい官能的。イヤ素晴しい! ぞくぞくする。これは四季版では絶対ムリだわ(笑) 日本人にされたら見ている側も照れちゃうと思うし。でも、これを観てしまったらなぁ・・・。イヤ、ホント素晴しい。ファントムはセクシーじゃないとね! クリスティーヌ人形はないので、ファントムに触れられて失神するクリス。お姫様抱っこで船に寝かし、最後のフレーズを歌い上げるラミン・ファントム。「Night~」が美しい。ショー・ストップになってた。
STRANGER THAN YOU DREAM IT:
で、クリスティーヌが目覚めて有名なアン・マスクド・シーン。一応、映画ブロガーのはしくれなので、映画豆知識を披露しておくと、ガストン・ルルー原作のこの作品は、数々映画化、ドラマ化されてきたけど、映画版で有名なのは1925年のロン・チャニー版で、特にこのアン・マスクド・シーンは伝説となっている。本公演の時点から、このシーンとアングルとかそっくりなので、オマージュなのかなと思う。ちなみに、Masqueradeの赤い死のデザインもロン・チャニー版にそっくり! まぁ、ロン・チャニー版は白黒だけど(笑) で、本題に戻ると、ここでのお怒りがスゴイ! こんなに怒ってるのも初めて。まぁ、なにしろほとんどの記憶が四季版なので・・・。イヤ、四季版がダメだと言っているのじゃなくて、四季版はあまり感情を表に出さない日本人に合わせて抑え目演出になっている。なにしろAll I ask of youでは、20回くらいキスしろと言われたのを、大幅に減らしたそうなので(笑) だから、このお怒りっぷりを日本人にしろというのも、見せられるのもムリかもなんだけど、個人的にはこの情熱的な2人に引き込まれているので、この怒りも大歓迎。スゴイわー。でも、ガンガンに怒った後、ヘナヘナってなっちゃう。その緩急がいい。この葛藤はすさまじい。母にも嫌われたって嘆くのが、もう、かわいそうで・・・

PRIMA DONNA:
ずっと官能的でハイテンション・シーンが続いたので、ここはコミカル場面で楽しい。支配人2人と、カルロッタ、ピアンジ、マダム・ジリー、メグ、そしてラウルの七重唱となり大迫力。Il Mutoのバレエ・シーンが後になったので、カルロッタの着替えシーンはここに。これちょっと楽しい。
IL MUTO:
劇中劇のシーン。ここはロココ調のセットが魅力なんだけど、舞台の関係でほぼなし。男装のセラフィーモ役のクリスティーヌと、伯爵夫人のカルロッタがじゃれ合うベッドはソファになってた。カルロッタのカエル声上手い。そして、カルロッタちょっとかわいい(笑) この後のバレエ・シーンで、再びロイヤル・バレエ団のセルゲイ・ポルーニンが登場。素晴しい踊りを見せてくれる。そしてブケー殺害! これ見えてます!
RAOUL I'VE BEEN THERE / ALL I ASK OF YOU:
屋上へ逃げてきたクリスティーヌとラウル。クリスティーヌのマントが水色からライトグリーンになってる。これかわいい。シエラ・ボーゲスによく似合う。ここでのクリスティーヌの怯える演技も良かった。人殺しとしてのファントムに恐怖を感じながら、声の魅力に抗えずにいる感じ。初めてこのシーンに説得力があった。あの声なら納得。クリスティーヌと呼びかけるラウル、そしてファントム。ファントムを探すうち泣き崩れてしまうクリスティーヌ。(・∀・)イイ!! そして、ラウルが彼女をなぐさめるために歌いかけるAll I ask of you。 実はラウルがフルで歌うのってこの曲だけなので、力入ってる! 力強く自信に満ち溢れている。なので、クリスティーヌが安心してラウルにすがる気持ちが良く分かる。上手い。2人かなりのイチャつき度。濃厚キスした後のクリスティーヌのはしゃぎっぷりがカワイイ! なので、その後のファントムが・・・(涙)
ALL I ASK OF YOU (Reprise):
書き忘れましたが、屋上ってことでスクリーンには屋根の装飾や、その向こう側にパリの夜景が映っている。オーケストラピット上の、スクリーンの天使像が屋根の頂上という設定なので、ファントムは指揮者手前の装飾部分に現れる。本公演では劇場的に可能であれば、天使像に乗っている。WEで観たときは2階席だったので、真正面にファントムが現れた覚えがある。帽子被っているのが切ない

この記事も一度終了。第二幕へ続きます。 お疲れ様でした!(笑)

'11.10.22 『オペラ座の怪人25周年記念公演』 in ロンドン @ TOHOシネマズ・スカラ座
当blogで何度か登場している「オペラ座の怪人」 サー・アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲による荘厳なMusical。この作品本当に好き。大好きだけど海外の情報まで調べる程のファンではなかったので、全くのノーマークだった・・・ 10月7日付読売新聞朝刊で、かなり大きく取り上げられた記事を見つけて絶叫! しかも「Les Miserables 25周年コンサート」同様、映画館での上映あり! 「レ・ミゼ」の時には見逃してしまったので、これは絶対行かなきゃ! ということで、早速チケット取って行って来たー!
*ネタバレしまくりです! 抑えきれません(笑) しかも、長文・・・(o´ェ`o)ゞ

「19世紀パリ・オペラ座。コーラス・ガールのクリスティーヌ・ダーエは、新作オペラの主役に抜擢される。幼なじみのラウル・ド・シャニュイ子爵との再会をよろこぶのもつかの間、彼女の音楽の天使が姿を現す。その頃、オペラ座では、オペラ座の怪人による不可解な事件が起きていて・・・」というあらすじは、あまり上手くないし、今更いらない気もするけれど、一応入れておく。参考までに、映画版公開時の記事は
コチラ、そして劇団四季吹き替え版による放送時の記事は
コチラ
とにかく、観終わってから約一週間。『ミッション:8ミニッツ』の記事も書き終わったのに、全然感想が書けなかったのは、あまりの感動に何から書いていいのかまとまらなかったから。まるで熱に浮かされたようになってしまい、動画やロンドンで実際に観た方々のblogを読みまくり、感動を(一人で)分かち合ったりしてた(笑) イヤ、ホントに凄いものを観てしまった。どなたかが"劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい"というコピーがあるけど、"本物は本当に凄い"とおっしゃってたけど、まさにそのとおり! 今年映画で凄いものを観たと思ったのは2本。『ブラック・スワン』と『ツリー・オブ・ライフ』 その気持ちは今も変わらないし、この作品を"映画"とするのはちょっと違う気もするけれど、今年一番の凄いものを観てしまったという感じ。もう、最初から最後まで力入りっぱなし。感情を持っていかれっぱなしで、本編終了後は疲れ切ってぐったり(笑) でも、なんて甘美な疲労感・・・。号泣して目が痛かったけど(笑) すでに断っておりますが、長文でかなり熱く語りますので、かなりウザイです(笑) しかも、ネタバレしまくること間違いなし。もう完全に自分のためだけに書く! ←すでにウザイ
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール、2011年10月1日ソワレ、2日マチネ & ソワレの計3公演で延べ15,000人を動員。イギリス国内およびヨーロッパ各地の映画館でライブ上映された。実際にRAH(ロイヤル・アルバート・ホール)で3公演を観劇し、今回の映画も観たという熱烈なファンの方々のblogを拝見させていただいたところによると、カメラ自体は全公演に入っていたそうだけど、今回の映像はカーテンコールも含めて10月2日ソワレのものだそう。どうやらファントム役のラミン・カリムルーの歌唱は、この回が一番良くなかったらしい。それでも、あの歌唱と声量・・・。ベストだったらどんなことになっちゃうのか。まぁ、プロだしミュージカル俳優は歌手とは違うからね。基本は演技なので。そして、これもラミン・ファンの方々によると、いつもの彼の歌唱法とは違い、基本に忠実に歌っているので、彼特有のエロさがないとのこと。イヤイヤ、十分過ぎるほどエロかったのだけど(笑) 前置きが長過ぎるわけだけど、何が言いたいかといえば、今まで観たどの『オペラ座の怪人』よりも情熱的でセクシーだったということ。常にハイテンションでお互いが命がけのギリギリさがあった。好みはいろいろあると思うけれど、個人的にはそれこそがファントムとクリスティーヌに求めていたことなので大満足!
「オペラ座の怪人」の観劇歴はウエスト・エンドで1回、劇団四季版を10回観ているらしい。昔つけていた観劇日記を見てビックリ(笑) あ、映画版も観てるけど、あれは個人的には別カウントなので・・・。舞台版はかなり観ている方だと思うけど、最後に観たのが10年以上前! シーンは全て頭に入っているけど、個々の公演を全て覚えているわけではない。何となく、四季版ではいつもクリスティーヌに恵まれなかった印象。劇団四季なので大失敗ってことにはならないし、上手いんだけど、スター制を行わないシステムゆえか、没個性というか・・・。ある一定のラインからはみ出さないというか・・・。劇団の方針がそうなので、否定するつもりはないけど、エロくないのが個人的には致命的・・・。と、脱線してまで長々書いてきたのは、作品に思い入れがあって、求めているスタイルがあり、それなりの回数を観たけど、歌唱、演技、容姿も含めて初めて満足できたということ。もちろん他にも素晴しい方々はたくさんいるかと思うけれど・・・。
あと、もう一つ言っておきたいのは、日本ではあまり知られていないけど、実はサー・アンドリューは「Love Never Dies」という続編を作っている。簡単なあらすじは「オペラ座の怪人事件から10年後、マダム・ジリーとメグ・ジリーの協力を得て、マンハッタンで劇場を運営しているファントム。依頼を受けて歌うため、今は零落した夫ラウルと息子グスタフと共に、NYにやってきたクリスティーヌと再会。実はグスタフはファントムとの間に出来た子供で、2人は再び強く惹かれ合う」という話。以前、スーザン・ケイという人が書いた続編「ファントム」を読んだ覚えはあるけど、内容はファントムとの間に子供がいるということしか覚えていない(笑) たしか、フレデリック・フォーサイスも続編を書いたと思うけれど、こちらは未読。なので、完全にオリジナルなのか、どちらかを原作としているのか不明。個人的には、今作「オペラ座の怪人」で、ファントムは死ぬのだと思っているので、スーザン・ケイの続編を読んでしまったことを後悔したし、サー・アンドリューが続編を作ったと聞いても興味はなかった。でも、どうやらこの続編LND(「Love Never Dies」)のオリジナル・ファントム & クリスティーヌが、今回主演のラミン・カリムルーとシエラ・ボーゲスだったらしい。日本のブロガーさんにもこの作品の熱烈なファンの方がいらした。残念ながら今年の8月でクローズしてしまい、ブロードウェイ進出の話も頓挫してしまったらしい(涙) どうやら、この作品を何とか復活させたいという思惑があるのかなと思ったりする・・・。例えば、ラウルがクリスティーヌの楽屋を訪ねて来るシーン。本当はシャンパンを持って来るけど、今公演では真っ赤なバラを1輪持って来る。これはLNDの中で、クリスティーヌがラウルがいつもくれたと言っていることへのオマージュなのだそう。そう考えると、ラストの演出もこの続編につなげたいという意図があったようにも思えて、なるほどと思うのだけど、別に続かなかったとしても、この演出の方が好みなので全然問題なし。
何故あえて、この映画とは直接関係ないLNDまで持ち出してきたかといえば、もう一度観るための備忘録でもあり、そういう商業的意図があったのだとしても、2人の演技は素晴しかったと言いたかったから。ちなみにLND好きな方々は、この作品でのラミンの力強く、情熱的で、圧倒的な歌唱をほめていて、その歌唱が本作では少し感じられなかったと語っていた。どうやら、ラミン自身も、今作では歴代ファントム達に敬意をはらい、基本に忠実な歌唱をしていると語っていたという記事も読んだので、その辺りを考えると、もちろんこれは「オペラ座の怪人 25周年」を記念した公演であって、その結果としてあわよくばLNDをって感じなのかなとは思ったりする(笑)
前置きだけで、かなり長文になってしまったので、とりあえずここでキャスト紹介をして、一度区切ることにする。本編については、1幕と2幕 & カーテンコールの2つに分けて書こうかと考えている。って、どんだけ書くんだよ!Σ(゚Д゚ノ)ノ
Casts 
オペラ座の怪人:ラミン・カリムルー
1978.9.19生 イラン系カナダ人 WEでラウルとファントムを演じた。
2007年からファントム役。
「Love Never Dies」オリジナル・ファントム、「Miss Saigon」クリス、
「Les Miserables」マリウス & アンジョルラス、
映画版「オペラ座の怪人」ではクリスティーヌの父親役で出演している。
「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」アンジョルラス
2011.11.29から「Les Miserables」にジャン・ヴァルジャン役で出演が決定!
クリスティーヌ・ダーエ:シエラ・ボーゲス
1982.5.20生 アメリカ人
2006年から「The Las Vegas Spectacular」でクリスティーヌを演じた。
「Love Never Dies」オリジナル・クリスティーヌ
ラウル・ド・シャニュイ子爵:ヘイドリー・フレイザー
1980.4.20生 イギリス人 現「Les Miserables」ジャベール
「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」グランテール。
ラミン・カリムルーとは親友でバンドを結成している。
豆知識 
HANNIBAL、IL MUTOシーンのバレエ・ダンサーはロイヤル・バレエ団プリンシパルのセルゲイ・ポルーニン!
THE PHANTOM OF THE OPERAのシーン、クリスティーヌのボディ・ダブルは現WEクリスティーヌ・アンダーで、「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」コゼットのケイティ・ホール
ケイティ以外にも現ラウル、旧クリスティーヌのセリア・グラハムもアンサンブルで登場!
『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in ロンドン|公式サイト
当blogで何度か登場している「オペラ座の怪人」 サー・アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲による荘厳なMusical。この作品本当に好き。大好きだけど海外の情報まで調べる程のファンではなかったので、全くのノーマークだった・・・ 10月7日付読売新聞朝刊で、かなり大きく取り上げられた記事を見つけて絶叫! しかも「Les Miserables 25周年コンサート」同様、映画館での上映あり! 「レ・ミゼ」の時には見逃してしまったので、これは絶対行かなきゃ! ということで、早速チケット取って行って来たー!
*ネタバレしまくりです! 抑えきれません(笑) しかも、長文・・・(o´ェ`o)ゞ

「19世紀パリ・オペラ座。コーラス・ガールのクリスティーヌ・ダーエは、新作オペラの主役に抜擢される。幼なじみのラウル・ド・シャニュイ子爵との再会をよろこぶのもつかの間、彼女の音楽の天使が姿を現す。その頃、オペラ座では、オペラ座の怪人による不可解な事件が起きていて・・・」というあらすじは、あまり上手くないし、今更いらない気もするけれど、一応入れておく。参考までに、映画版公開時の記事は


とにかく、観終わってから約一週間。『ミッション:8ミニッツ』の記事も書き終わったのに、全然感想が書けなかったのは、あまりの感動に何から書いていいのかまとまらなかったから。まるで熱に浮かされたようになってしまい、動画やロンドンで実際に観た方々のblogを読みまくり、感動を(一人で)分かち合ったりしてた(笑) イヤ、ホントに凄いものを観てしまった。どなたかが"劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい"というコピーがあるけど、"本物は本当に凄い"とおっしゃってたけど、まさにそのとおり! 今年映画で凄いものを観たと思ったのは2本。『ブラック・スワン』と『ツリー・オブ・ライフ』 その気持ちは今も変わらないし、この作品を"映画"とするのはちょっと違う気もするけれど、今年一番の凄いものを観てしまったという感じ。もう、最初から最後まで力入りっぱなし。感情を持っていかれっぱなしで、本編終了後は疲れ切ってぐったり(笑) でも、なんて甘美な疲労感・・・。号泣して目が痛かったけど(笑) すでに断っておりますが、長文でかなり熱く語りますので、かなりウザイです(笑) しかも、ネタバレしまくること間違いなし。もう完全に自分のためだけに書く! ←すでにウザイ

ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール、2011年10月1日ソワレ、2日マチネ & ソワレの計3公演で延べ15,000人を動員。イギリス国内およびヨーロッパ各地の映画館でライブ上映された。実際にRAH(ロイヤル・アルバート・ホール)で3公演を観劇し、今回の映画も観たという熱烈なファンの方々のblogを拝見させていただいたところによると、カメラ自体は全公演に入っていたそうだけど、今回の映像はカーテンコールも含めて10月2日ソワレのものだそう。どうやらファントム役のラミン・カリムルーの歌唱は、この回が一番良くなかったらしい。それでも、あの歌唱と声量・・・。ベストだったらどんなことになっちゃうのか。まぁ、プロだしミュージカル俳優は歌手とは違うからね。基本は演技なので。そして、これもラミン・ファンの方々によると、いつもの彼の歌唱法とは違い、基本に忠実に歌っているので、彼特有のエロさがないとのこと。イヤイヤ、十分過ぎるほどエロかったのだけど(笑) 前置きが長過ぎるわけだけど、何が言いたいかといえば、今まで観たどの『オペラ座の怪人』よりも情熱的でセクシーだったということ。常にハイテンションでお互いが命がけのギリギリさがあった。好みはいろいろあると思うけれど、個人的にはそれこそがファントムとクリスティーヌに求めていたことなので大満足!
「オペラ座の怪人」の観劇歴はウエスト・エンドで1回、劇団四季版を10回観ているらしい。昔つけていた観劇日記を見てビックリ(笑) あ、映画版も観てるけど、あれは個人的には別カウントなので・・・。舞台版はかなり観ている方だと思うけど、最後に観たのが10年以上前! シーンは全て頭に入っているけど、個々の公演を全て覚えているわけではない。何となく、四季版ではいつもクリスティーヌに恵まれなかった印象。劇団四季なので大失敗ってことにはならないし、上手いんだけど、スター制を行わないシステムゆえか、没個性というか・・・。ある一定のラインからはみ出さないというか・・・。劇団の方針がそうなので、否定するつもりはないけど、エロくないのが個人的には致命的・・・。と、脱線してまで長々書いてきたのは、作品に思い入れがあって、求めているスタイルがあり、それなりの回数を観たけど、歌唱、演技、容姿も含めて初めて満足できたということ。もちろん他にも素晴しい方々はたくさんいるかと思うけれど・・・。
あと、もう一つ言っておきたいのは、日本ではあまり知られていないけど、実はサー・アンドリューは「Love Never Dies」という続編を作っている。簡単なあらすじは「オペラ座の怪人事件から10年後、マダム・ジリーとメグ・ジリーの協力を得て、マンハッタンで劇場を運営しているファントム。依頼を受けて歌うため、今は零落した夫ラウルと息子グスタフと共に、NYにやってきたクリスティーヌと再会。実はグスタフはファントムとの間に出来た子供で、2人は再び強く惹かれ合う」という話。以前、スーザン・ケイという人が書いた続編「ファントム」を読んだ覚えはあるけど、内容はファントムとの間に子供がいるということしか覚えていない(笑) たしか、フレデリック・フォーサイスも続編を書いたと思うけれど、こちらは未読。なので、完全にオリジナルなのか、どちらかを原作としているのか不明。個人的には、今作「オペラ座の怪人」で、ファントムは死ぬのだと思っているので、スーザン・ケイの続編を読んでしまったことを後悔したし、サー・アンドリューが続編を作ったと聞いても興味はなかった。でも、どうやらこの続編LND(「Love Never Dies」)のオリジナル・ファントム & クリスティーヌが、今回主演のラミン・カリムルーとシエラ・ボーゲスだったらしい。日本のブロガーさんにもこの作品の熱烈なファンの方がいらした。残念ながら今年の8月でクローズしてしまい、ブロードウェイ進出の話も頓挫してしまったらしい(涙) どうやら、この作品を何とか復活させたいという思惑があるのかなと思ったりする・・・。例えば、ラウルがクリスティーヌの楽屋を訪ねて来るシーン。本当はシャンパンを持って来るけど、今公演では真っ赤なバラを1輪持って来る。これはLNDの中で、クリスティーヌがラウルがいつもくれたと言っていることへのオマージュなのだそう。そう考えると、ラストの演出もこの続編につなげたいという意図があったようにも思えて、なるほどと思うのだけど、別に続かなかったとしても、この演出の方が好みなので全然問題なし。
何故あえて、この映画とは直接関係ないLNDまで持ち出してきたかといえば、もう一度観るための備忘録でもあり、そういう商業的意図があったのだとしても、2人の演技は素晴しかったと言いたかったから。ちなみにLND好きな方々は、この作品でのラミンの力強く、情熱的で、圧倒的な歌唱をほめていて、その歌唱が本作では少し感じられなかったと語っていた。どうやら、ラミン自身も、今作では歴代ファントム達に敬意をはらい、基本に忠実な歌唱をしていると語っていたという記事も読んだので、その辺りを考えると、もちろんこれは「オペラ座の怪人 25周年」を記念した公演であって、その結果としてあわよくばLNDをって感じなのかなとは思ったりする(笑)
前置きだけで、かなり長文になってしまったので、とりあえずここでキャスト紹介をして、一度区切ることにする。本編については、1幕と2幕 & カーテンコールの2つに分けて書こうかと考えている。って、どんだけ書くんだよ!Σ(゚Д゚ノ)ノ


オペラ座の怪人:ラミン・カリムルー
1978.9.19生 イラン系カナダ人 WEでラウルとファントムを演じた。
2007年からファントム役。
「Love Never Dies」オリジナル・ファントム、「Miss Saigon」クリス、
「Les Miserables」マリウス & アンジョルラス、
映画版「オペラ座の怪人」ではクリスティーヌの父親役で出演している。
「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」アンジョルラス
2011.11.29から「Les Miserables」にジャン・ヴァルジャン役で出演が決定!
クリスティーヌ・ダーエ:シエラ・ボーゲス
1982.5.20生 アメリカ人
2006年から「The Las Vegas Spectacular」でクリスティーヌを演じた。
「Love Never Dies」オリジナル・クリスティーヌ
ラウル・ド・シャニュイ子爵:ヘイドリー・フレイザー
1980.4.20生 イギリス人 現「Les Miserables」ジャベール
「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」グランテール。
ラミン・カリムルーとは親友でバンドを結成している。


HANNIBAL、IL MUTOシーンのバレエ・ダンサーはロイヤル・バレエ団プリンシパルのセルゲイ・ポルーニン!
THE PHANTOM OF THE OPERAのシーン、クリスティーヌのボディ・ダブルは現WEクリスティーヌ・アンダーで、「レ・ミゼラブル 25周年コンサート」コゼットのケイティ・ホール
ケイティ以外にも現ラウル、旧クリスティーヌのセリア・グラハムもアンサンブルで登場!

'11.10.18 『ミッション:8ミニッツ』(試写会)@ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン試写室
これスゴイ見たくてyaplogで試写会応募したけとハズレ(涙)しかし!お友達のmigちゃんからお誘いがー!やった☆
ネタバレありです!
「シカゴで起きた列車爆破テロ。さらなるテロ攻撃を防ぐため、事故の犠牲者の最期の8分間に入り込み、犯人を探す任命を遂行するスティーブンス大尉。犯人が見つかるまで、爆発の瞬間までの8分間が何度も繰り返される中、1人の女性と出会う。彼女を救いたいと願う大尉に驚愕の真実が伝えられる…」という話。これはおもしろかった。まず、言っておきたいのは、宣伝コピーの"ダマされる"というのを、どんでん返し的なものを想定していると、肩透かしだと思う。オチもついたような、ついてないような… ダメとはならないまでも、つまらなく感じる人はいるかも。個人的には好きだった。
見たいと思った最大の理由はダンカン・ジョーンズの長編2作目だから。前作『月に囚われた男』かなりおもしろかった。当blogの去年のベストテン入り作品。アイデア勝負という部分もありつつ、ちょっとチープなSF感が個人的に好きだった。まだ2作しか見ていないし、上手く言えないけど、この感じがダンカン・ジョーンズ監督の持ち味なのかなと思う。今作もちょっとそんな感じ。もっとも、これは脚本が先にあって、出演が決定したジェイク・ギレンホールに熱烈に推薦され監督することになったらしいけど… SF映画は嫌いではないけど、あまり得意な分野ではないので、宇宙人が出てくるわけでも、近未来の話しでもない本作が、SF映画なのかは謎。でも、Science Fictionの略なのだから、やっぱりSF映画なのでしょう。そういう意味で、2台の列車が爆発炎上するわりに、こじんまりとした感じや、スッキリしてるようでしてないラストは、ダンカン・ジョーンズならではという気がして、個人的には好き。
うーん。これネタバレしないで書くのはとっても難しいので、ネタバレはします! でも、ラストに関しては、キッチリ説明されているわけではないので、あくまでもそういうことなんだろうなという憶測。なので、全く違う感想の方もたくさんいると思う。見た人によって感想が違う作品は、個人的には嫌いではないのだけど、"ダマされる" と言われてしまっている以上、きちんと説明されないと嫌だと感じる人もいるかも知れない。と、一応長めに断りをいれつつ(笑)
スティーブンス大尉の任務はあらすじにも書いたとおり、列車爆破犯を探し出すために、死者の脳内に残された8分間の記憶に潜入すること。人間の脳には亡くなる直前の8分間の記憶が残っているのだそうで、対象者の脳と同調することにより、8分間だけ自在に行動することが可能になるというシステム。この特殊プログラムはソース・コードといい、原題も『SOURCE CODE』となっている。冒頭、列車内で目覚めた大尉は、向かいの席の女性に親しげに話し掛けられる。自分をショーンと呼ぶこの女性に見覚えはない。トイレで鏡を覗くと全くの別人。おもしろいのは、見ている側にはもちろん、スティーブンス大尉の姿であり、この後もスティーブンス大尉の姿で進行するということ。そして、彼同様一切の情報が与えられていないということ。こんな特殊任務を任されるということは、大尉はよほど優秀な人材のはずなのに、全く説明を受けていないのは何故か… これが大きな伏線。
わけが分からないうちに爆発が起きて、目が覚めると小さなカプセル状の操縦席のような所にいる。小さなモニターから呼びかける女性はグッドウィン大尉。彼女によると、彼の任務は犯人を捕まえることでも、列車爆破を阻止することでもなく、犯人を割り出すこと。彼がいたのは、実際には存在しない世界。現実には起こってしまった爆発を止めることはできないということで、そう言われればそうかもと見ている側は納得する。でも、実際に転送を体験しているスティーブンス大尉にはそう簡単は受け入れられない。事実、転送を繰り返す度、少しずつ何かが変化する。いくら周りにいる人々は全員死者であり、見ている彼らは同調している対象者の記憶だと言われても、現実と全く変わりない状態で存在する彼らを救いたいと思うのは当然のこと。まして彼は軍人なのだし…
最初は状況が把握出来ず、ほとんど収穫のないまま終わってしまい。その都度、爆発して現実に戻ってくる。戻ってくる度、古い宇宙船のような装置も少しずつ変化する。ある時などは冷却装置のみ作動し、機内がどんどん凍りついてしまう。実はこれも大きな伏線。何故、自分が選ばれたのか? 空軍パイロットとしてアフガニスタンにいたはずなのに・・・ 彼がこの特殊任務に加わった経緯について、何となくはぐらかすグットウィン大尉。この作戦のリーダーはラトレッジ博士。彼の指示を仰ぎつつ、少しずつ情報を与えてくる。この辺り、ちょっとまどろっこしい気もするけれど、俳優たちが上手いのでイライラすることはない。スティーブンス大尉は、何度も繰り返されるミッション中、向かいの席の女性クリスティーナに好意を持つようになる。この女性と彼が同調している男性ショーンは、友人以上恋人未満という感じらしい。彼女の態度や親密さ加減も、ミッションの回数を重ねるごとに近くなる。大尉が彼女に恋するのは唐突な気がしないでもないけれど、彼がそもそもクリスティーナに好意を持っていたショーンと同調したからだと考えれば、なるほどと納得したりする。そして、その想いが彼を犯人探しへと向かわせる。
基本は列車内と爆発直前に停車した駅、そして軍の施設内が舞台。この駅は海外でよくあるホームのないタイプ。目的地のシカゴは大都会だけど、この駅は静かで、まるで田舎の駅のよう。8分間のミッションでは、基本この駅と車両、爆弾の仕掛けられたトイレ内くらいしか移動しない。そのこじんまり感が個人的にはわりと好きだった。時にちょっと古いサスペンスタッチ、時にアクションなども盛り込みつつ、大尉は犯人に辿り着く。犯人については実は初回からちゃんと出ていて、多分そうじゃないかなと思っていていたら、やっぱりそうだった。イヤ、自分が特別勘が鋭いからではなくて、さりげないけど分かりやすく出ているので。
そして、スティーブンス大尉が何故、この任務に選ばれたのか、何故彼でなければならなかったのかが明かされることになる。ちょっと、この辺り科学的なことに疎いので、ついていくのがやっとだったけど、要するに本当の意味での同調が必要だということなのかな・・・。全てを知った上で彼が望んだことは悲しいけれど、人間として当然だと思う。そして、彼は望みをかけて最後のミッションに向かい、一つずつ叶えていく。それにはグッドウィン大尉の協力が必要。彼女もまた彼とミッションを繰り返すうち、彼に同調したのかなと思ったりするし、単純に人として正しい行動だと思う。法律的なことは不明だけど・・・。でも、彼女の決断がある不思議な現象を生む。
以下ネタバレ!
列車爆破を阻止したスティーブンス大尉は、それによって生じた別の世界でショーンとして存在することになる。列車事故が起きた世界と、起こらなかった世界。パラレルワールド。で、8分間に転送されたスティーブンス大尉は、完全に対象者と同化してしまったわけだけど、転送元のスティーブンス大尉が存在する世界もまた存在するわけで・・・。となると、SOURCE CODEが起動される限り、これは無限にスティーブンス大尉は対象者と同化して、パラレルワールドを生み出して行くことになるってこと・・・。って、よく分からなくなってきた(笑) でも、そんなことをつらつら考えてたら、じわじわ怖くなっておもしろかった。
限られた空間ながら画面に登場してくる人物は多い。犯人探しがメインのようで、実は犯人はどうでもいいので、主要な人物は4人。ラトレッジ博士はジェフリー・ライト。やっぱり上手い。最初は爆弾テロを阻止すべく尽力している立派な人物に見えるけれど、実際は自ら作り上げたSOURCE CODEを守るためならば手段を選ばない、マッド・サイエンティストな感じを好演。ホント怖いのはこういう人かも。グッドウィン大尉のヴェラ・ファーミガは軍人としての職務と、人間としての正義の間で苦悩する感じが良かった。それを大芝居でしないところがいい。彼女が行った行為は、ある面では人としてやってはいけないことだけど、ある面では人として正しいことでもあるように思う。そして、彼女はスティーブンス大尉に同調して、少し恋愛に近い感情を持ったのかもしれない・・・ 上手く言えないけど。そう思ったのはヴェラ・ファーミガのおかげ。クリスティーナのミッシェル・モナハンがかわいい。正義感があって、自分を素直に出せる。ミッションの回によってはアクションとまではいかないけれど、それなりに活躍。ショーンや彼に同調したスティーブンス大尉が恋する気持ちは分かる。スティーブンス大尉のジェイク・ギレンホールも良かった。正直、濃いのであまり好みのタイプではないけど、着実にミッションを遂行していく場面はかっこよく見えたりする。って失礼か(笑) でも、良く考えるとこの役スゴイかわいそう・・・ 『月に囚われた男』もかなりかわいそうな人だったけど、自分で運命を拓いた。スティーブンス大尉も同じく、自ら運命を切り開く。それでいいのかな? と、思う部分もあるけれど、この状況なら仕方ない、がんばれスティーブンス大尉!と、思えたのは、ジェイク・ギレンホールのおかげ。
全体的な作りモノ感が好き。列車爆破シーンは大迫力。でも、列車内というこじんまり感は好き。列車内はセットだそうだけど、そのちょっとデザイン化された座席の感じが好き。2階建て車両なんだけど、吹き抜けになっている。この感じもおもしろい。その画の色合いとか、列車内で起こるサスペンスがちょっとヒッチコックを思わせる。スティーブンス大尉のカプセル状の操縦席みたいなののデザインも好き。マンガ的。これも伏線。
うーん。8分間が何度も繰り返されるわりに、犯人は別にって感じだし、ラストが分かりにくいと感じる人もいると思う。『インセプション』的要素もあるけど、スケール感は全然あちらが上。でも、個人的にはこのこじんまり感は嫌いじゃない。ダンカン・ジョーンズきっとサブカルな人なんじゃないかと思う。『月に囚われた男』が好きだった人は好きだと思う。こじんまりしたSF(何だそれ(笑))好きな人にオススメ! ジェイク・ギレンホールファンの方は是非!
『ミッション:8ミニッツ』Official site
これスゴイ見たくてyaplogで試写会応募したけとハズレ(涙)しかし!お友達のmigちゃんからお誘いがー!やった☆


見たいと思った最大の理由はダンカン・ジョーンズの長編2作目だから。前作『月に囚われた男』かなりおもしろかった。当blogの去年のベストテン入り作品。アイデア勝負という部分もありつつ、ちょっとチープなSF感が個人的に好きだった。まだ2作しか見ていないし、上手く言えないけど、この感じがダンカン・ジョーンズ監督の持ち味なのかなと思う。今作もちょっとそんな感じ。もっとも、これは脚本が先にあって、出演が決定したジェイク・ギレンホールに熱烈に推薦され監督することになったらしいけど… SF映画は嫌いではないけど、あまり得意な分野ではないので、宇宙人が出てくるわけでも、近未来の話しでもない本作が、SF映画なのかは謎。でも、Science Fictionの略なのだから、やっぱりSF映画なのでしょう。そういう意味で、2台の列車が爆発炎上するわりに、こじんまりとした感じや、スッキリしてるようでしてないラストは、ダンカン・ジョーンズならではという気がして、個人的には好き。
うーん。これネタバレしないで書くのはとっても難しいので、ネタバレはします! でも、ラストに関しては、キッチリ説明されているわけではないので、あくまでもそういうことなんだろうなという憶測。なので、全く違う感想の方もたくさんいると思う。見た人によって感想が違う作品は、個人的には嫌いではないのだけど、"ダマされる" と言われてしまっている以上、きちんと説明されないと嫌だと感じる人もいるかも知れない。と、一応長めに断りをいれつつ(笑)
スティーブンス大尉の任務はあらすじにも書いたとおり、列車爆破犯を探し出すために、死者の脳内に残された8分間の記憶に潜入すること。人間の脳には亡くなる直前の8分間の記憶が残っているのだそうで、対象者の脳と同調することにより、8分間だけ自在に行動することが可能になるというシステム。この特殊プログラムはソース・コードといい、原題も『SOURCE CODE』となっている。冒頭、列車内で目覚めた大尉は、向かいの席の女性に親しげに話し掛けられる。自分をショーンと呼ぶこの女性に見覚えはない。トイレで鏡を覗くと全くの別人。おもしろいのは、見ている側にはもちろん、スティーブンス大尉の姿であり、この後もスティーブンス大尉の姿で進行するということ。そして、彼同様一切の情報が与えられていないということ。こんな特殊任務を任されるということは、大尉はよほど優秀な人材のはずなのに、全く説明を受けていないのは何故か… これが大きな伏線。
わけが分からないうちに爆発が起きて、目が覚めると小さなカプセル状の操縦席のような所にいる。小さなモニターから呼びかける女性はグッドウィン大尉。彼女によると、彼の任務は犯人を捕まえることでも、列車爆破を阻止することでもなく、犯人を割り出すこと。彼がいたのは、実際には存在しない世界。現実には起こってしまった爆発を止めることはできないということで、そう言われればそうかもと見ている側は納得する。でも、実際に転送を体験しているスティーブンス大尉にはそう簡単は受け入れられない。事実、転送を繰り返す度、少しずつ何かが変化する。いくら周りにいる人々は全員死者であり、見ている彼らは同調している対象者の記憶だと言われても、現実と全く変わりない状態で存在する彼らを救いたいと思うのは当然のこと。まして彼は軍人なのだし…
最初は状況が把握出来ず、ほとんど収穫のないまま終わってしまい。その都度、爆発して現実に戻ってくる。戻ってくる度、古い宇宙船のような装置も少しずつ変化する。ある時などは冷却装置のみ作動し、機内がどんどん凍りついてしまう。実はこれも大きな伏線。何故、自分が選ばれたのか? 空軍パイロットとしてアフガニスタンにいたはずなのに・・・ 彼がこの特殊任務に加わった経緯について、何となくはぐらかすグットウィン大尉。この作戦のリーダーはラトレッジ博士。彼の指示を仰ぎつつ、少しずつ情報を与えてくる。この辺り、ちょっとまどろっこしい気もするけれど、俳優たちが上手いのでイライラすることはない。スティーブンス大尉は、何度も繰り返されるミッション中、向かいの席の女性クリスティーナに好意を持つようになる。この女性と彼が同調している男性ショーンは、友人以上恋人未満という感じらしい。彼女の態度や親密さ加減も、ミッションの回数を重ねるごとに近くなる。大尉が彼女に恋するのは唐突な気がしないでもないけれど、彼がそもそもクリスティーナに好意を持っていたショーンと同調したからだと考えれば、なるほどと納得したりする。そして、その想いが彼を犯人探しへと向かわせる。
基本は列車内と爆発直前に停車した駅、そして軍の施設内が舞台。この駅は海外でよくあるホームのないタイプ。目的地のシカゴは大都会だけど、この駅は静かで、まるで田舎の駅のよう。8分間のミッションでは、基本この駅と車両、爆弾の仕掛けられたトイレ内くらいしか移動しない。そのこじんまり感が個人的にはわりと好きだった。時にちょっと古いサスペンスタッチ、時にアクションなども盛り込みつつ、大尉は犯人に辿り着く。犯人については実は初回からちゃんと出ていて、多分そうじゃないかなと思っていていたら、やっぱりそうだった。イヤ、自分が特別勘が鋭いからではなくて、さりげないけど分かりやすく出ているので。
そして、スティーブンス大尉が何故、この任務に選ばれたのか、何故彼でなければならなかったのかが明かされることになる。ちょっと、この辺り科学的なことに疎いので、ついていくのがやっとだったけど、要するに本当の意味での同調が必要だということなのかな・・・。全てを知った上で彼が望んだことは悲しいけれど、人間として当然だと思う。そして、彼は望みをかけて最後のミッションに向かい、一つずつ叶えていく。それにはグッドウィン大尉の協力が必要。彼女もまた彼とミッションを繰り返すうち、彼に同調したのかなと思ったりするし、単純に人として正しい行動だと思う。法律的なことは不明だけど・・・。でも、彼女の決断がある不思議な現象を生む。

列車爆破を阻止したスティーブンス大尉は、それによって生じた別の世界でショーンとして存在することになる。列車事故が起きた世界と、起こらなかった世界。パラレルワールド。で、8分間に転送されたスティーブンス大尉は、完全に対象者と同化してしまったわけだけど、転送元のスティーブンス大尉が存在する世界もまた存在するわけで・・・。となると、SOURCE CODEが起動される限り、これは無限にスティーブンス大尉は対象者と同化して、パラレルワールドを生み出して行くことになるってこと・・・。って、よく分からなくなってきた(笑) でも、そんなことをつらつら考えてたら、じわじわ怖くなっておもしろかった。
限られた空間ながら画面に登場してくる人物は多い。犯人探しがメインのようで、実は犯人はどうでもいいので、主要な人物は4人。ラトレッジ博士はジェフリー・ライト。やっぱり上手い。最初は爆弾テロを阻止すべく尽力している立派な人物に見えるけれど、実際は自ら作り上げたSOURCE CODEを守るためならば手段を選ばない、マッド・サイエンティストな感じを好演。ホント怖いのはこういう人かも。グッドウィン大尉のヴェラ・ファーミガは軍人としての職務と、人間としての正義の間で苦悩する感じが良かった。それを大芝居でしないところがいい。彼女が行った行為は、ある面では人としてやってはいけないことだけど、ある面では人として正しいことでもあるように思う。そして、彼女はスティーブンス大尉に同調して、少し恋愛に近い感情を持ったのかもしれない・・・ 上手く言えないけど。そう思ったのはヴェラ・ファーミガのおかげ。クリスティーナのミッシェル・モナハンがかわいい。正義感があって、自分を素直に出せる。ミッションの回によってはアクションとまではいかないけれど、それなりに活躍。ショーンや彼に同調したスティーブンス大尉が恋する気持ちは分かる。スティーブンス大尉のジェイク・ギレンホールも良かった。正直、濃いのであまり好みのタイプではないけど、着実にミッションを遂行していく場面はかっこよく見えたりする。って失礼か(笑) でも、良く考えるとこの役スゴイかわいそう・・・ 『月に囚われた男』もかなりかわいそうな人だったけど、自分で運命を拓いた。スティーブンス大尉も同じく、自ら運命を切り開く。それでいいのかな? と、思う部分もあるけれど、この状況なら仕方ない、がんばれスティーブンス大尉!と、思えたのは、ジェイク・ギレンホールのおかげ。
全体的な作りモノ感が好き。列車爆破シーンは大迫力。でも、列車内というこじんまり感は好き。列車内はセットだそうだけど、そのちょっとデザイン化された座席の感じが好き。2階建て車両なんだけど、吹き抜けになっている。この感じもおもしろい。その画の色合いとか、列車内で起こるサスペンスがちょっとヒッチコックを思わせる。スティーブンス大尉のカプセル状の操縦席みたいなののデザインも好き。マンガ的。これも伏線。
うーん。8分間が何度も繰り返されるわりに、犯人は別にって感じだし、ラストが分かりにくいと感じる人もいると思う。『インセプション』的要素もあるけど、スケール感は全然あちらが上。でも、個人的にはこのこじんまり感は嫌いじゃない。ダンカン・ジョーンズきっとサブカルな人なんじゃないかと思う。『月に囚われた男』が好きだった人は好きだと思う。こじんまりしたSF(何だそれ(笑))好きな人にオススメ! ジェイク・ギレンホールファンの方は是非!

'11.10.08 『猿の惑星 創世記』@吉祥寺オデオン
チェブラーシカ目当てで吉祥寺アニメワンダーランドへ向かう途中、同じく吉祥寺に向かうtomocoさんとtwitterで盛り上がって見に行くことに! 駅前のはらドーナツ前で待ち合わせて行ってきたー
ネタバレありです!
「製薬会社でアルツハイマーの特効薬を開発中のウィル。研究所内で暴れ、射殺されたチンパンジーが、密かに産み落としていた赤ん坊を引き取ることになる。シーザーと名付けられたその猿は驚異的に進化した知能を持っていた…」という話。これはおもしろかった! 実はSHOWBIZ COUNTDOWNなどでずいぶん前から映像は見てて、すごい期待度だったんだけど、ちょっと期間が開いてしまったので、最近ちょっと冷め気味だった。でも、初日見てきた人達のtwitterでの絶賛ぶりを見て期待値が一気にMAXへ。で、結論としては全く期待を裏切らない! 多分、細かく考えたらツッコミどころもたくさんあると思うけど、そんなことは全く気にならない。一気に見てしまったという感じ。そして感動。まさか『猿の惑星』で泣くとは思わなかった…(笑)
旧シリーズは未見。正確には1作目の『猿の惑星』は昔テレビで放送されたのを見たけど、途中で寝てしまい、翌日学校で完全にネタバレしてしまったため、見る気を失ってしまった(笑) まぁ、オチを知ってても楽しめるのかもしれないけど、やっぱりあれはねぇ… 念のためオチは伏せるけど、今作はそのオチも踏まえて、何故そうなってしまったのかということを描いているので、知ってた方がニヤリだと思うけれど、未見でも十分楽しめる。ここから新シリーズを作るのか、旧シリーズにつなげて終わりとするのか不明だけど、どちらにしてもきちんと落としつつ、見事に繋がるラスト。まぁ、旧作はほぼ未見だし、全然覚えてないので、実際どうかは不明なのだけど…
うーん。旧シリーズのオチには触れないとは言っても、今作を見ればバレバレではある。要するにどのようにして人類は破滅に向かい、猿によって支配されるに至ったかということを描いているわけなので… それには、必ず起因となる人物が存在する訳で、今作ではその1人がウィルということになっている。もちろん他にもいろんな人物や要因が重なってはいるのだけど… 映画によっていろんなパターンがあるかと思うけれど、この作品の面白いところは、例えば1人の愚か者によって核兵器発射のボタンが押されたというような、決定的な事象が引き起こしたわけではないということ。それぞれが、少しずつ自分勝手な行動やミスを犯し、それが積もり積もって、決壊してしまったということ。その身勝手やミスも決して責められるものではないところが、実は怖いけれどもおもしろい。
きっかけはウィルの新薬によって、一頭のチンパンジーが驚異的な進化を遂げたこと。ウィルが新薬開発にのめり込んでいるのは、父親がアルツハイマー患者だから。混乱するとかなり大変だけど、正常な反応をする時もある。治せるものなら治してやりたいと考えるのは、家族ならば当然だと思う。まして、自分にはその能力があるのであれば、上司から難色を示されてもごり押ししたくなる気持ちも分かる。多くの発明は誰かを救いたい、誰かの役に立ちたいということが原点なんだと思うので、例えそれが父親を救いたいからであっても、自分勝手とは思わない。この辺り、父親の病状や音楽教師であったこと、ウィルとの関係をサラリと、でも分かりやすく描いている。父親役のジョン・リスゴー、ウィルのジェームズ・フランコともに上手いので、ウィルの新薬にかける思いに説得力がある。
ウィルが勤める製薬会社はジェネシス。ちょっとベタ(笑) ジェネシスではチンパンジーを新薬開発の実験に使っている。先日、読売新聞に映画公開に関連して、チンパンジーと実験について興味深い記事が掲載されていた。この作品を見られた京都大学霊長類研究所所長の松沢哲郎氏によるもので、それによるとチンパンジーは動物学ではヒト科チンパンジー属ということになるそうで、アメリカではAPE(類人猿)と分類され、Monkeyとは区別されていて、映画の中でもハッキリと言い別けられているのだそう。全く気づかなかった(笑) 区別の仕方としては尻尾の有無だそう。実はチンパンジーはワシントン条約で指定された絶滅危惧種で、ヨーロッパや日本では医療などの実験はされていないのだそう。ただアメリカでは実験が行われているとのこと。チンパンジーと人間のDNAの塩基配列は98.8%一致していて、相互で感染が起こる。ただ、チンパンジーには有効でも人間には効かない、もしくはその逆もあるそうで、この映画で描かれていることは、事実に基づいている部分があるとのこと。個人的には動物実験は反対だけど、自分が使っているものの多くは、動物実験が行われて開発されたものだと思うので、偉そうなことは言えない…
シーザーは子供の頃から天才ぶりを発揮。病状の進んだウィルの父親は、フォークの柄で目玉焼きを食べようとしちゃうけど、それを静止して持ち変えてあげる。その時のシーザーの表情が素晴らしい。諭すようでもあり、悲しげでもあり。何かの感想にも書いたけど、子供はいつか親を越える時が来るんだと思うけど、それはとっても切ないことなんじゃないかと思う。シーザーの表情にはそれがあった。禁を侵してウィルは父親に新薬を投与し、劇的な効果を得る。勝手に持ち出したということだけでなく、認可の降りていない薬を投与することは、人体実験にもなってしまうわけで、本来ならば許されないこと。でも、ペットの枠を越えた祖父→父→孫みたいな関係が、シーザーのその後に大きな影響を与えたことは間違いないと思う。楽しかった思い出が彼を苦しめたり、悲しませたりしたかもしれないけれど、彼がリーダーとして理性的だったのは、2人と暮らした記憶があったからだと思う。
何故、シーザーが猿たちを率いて反乱を起こすことになったのかについては、いちいち書かないけれど、ちょっとしたタイミングのズレや誤解なとが積み重なってしまったから。シーザーはただ、大好きなおじいさんを守りたかっただけ。誰かが特別に悪いわけではないのに、疑心暗鬼を生み、悪い方へ向かってしまう負の連鎖は、人間や動物、両手がハサミの人造人間まで、散々見てきた。でも、こういうことってあるよね…
シーザーはある事件が原因で、霊長類保護施設に入れられてしまう。この施設の所長は特に仕事に情熱があるわけでもなく、猿たちに対する愛情もないらしい。特に猿たちの世話をしている彼の息子は、彼らを虐待するしまつ。この息子役が『ハリー・ポッター』シリーズのマルフォイ役の子。ハリポタ・シリーズは3作目までしか見ていないけど、よくもまぁ憎たらしく成長しましたねという感じ(笑) でも、彼のおかげでシーザーにとっても感情移入することができた。ここから、わりとしっかりとシーザーがいかにしてリーダーになっていくかが描かれる。そして、シーザーの気持ちがきちんと伝わってくる。彼は自由になりたかっただけ。そして、自分の尊厳を守っただけ。それを教えたのは人間だし、その思いに火をつけたのも人間。シーザーが計画を練り、行動を起こしてからはもう一気! あんまり書いてしまうとつまらないので、詳細は避けるけど、もうホントにずっと猿たち応援(笑) わりとベタなシーンもあったりするけど、それも含めて楽しめる。猿たちの頭脳が進化したからといって、人間になるわけではなく、体は猿のままなわけだから、力も人間より強い。特に橋のシーンでは、猿の特性をフルに生かした戦闘シーンとなっていて大迫力! 自分も人間なのにずっと、猿がんばれ! 猿がんばれ!(笑) そして、シーザーが目指した場所が分かって涙・・・ そうだよね。そこしか知らないものね。やっぱりそこだよねと思ったら泣いてた 。゚(゚´ω`゚)゚。ピー その後、感動シーンが。お互い心がしっかり結ばれたこのシーンは好き。
そして実は裏で、人間のちょっとした怠慢や不注意、そして別の人間の傲慢さから、もう一つの人類破滅のシナリオが静かに進行していく。隣人がことあるごとに出てくるなと思っていたら、この人ただのうるさい人じゃなくて重要人物だった! このラストは怖いけど、なるほどと納得してニヤリ。強引な上司が黒人、不注意な人物が太っているというキャスティングは、ちょっとステレオタイプな気がするけれど、やっぱりこういうイメージなんでしょうかね(笑) ちょっと納得してしまう部分もあるけれど・・・
キャストは豪華。ウィルのジェームズ・フランコが『猿の惑星』に出演すると聞いた時は猿役?!と思ったけれど、こう来ましたか(笑) 良く考えると彼が科学者としての禁を破ってしまったことが原因の一つなわけで、ホントは人類を滅亡させる男だったりする。でも、憎めない・・・。もちろん、父親を救いたいからという理由があって、そういう方向に描かれてはいるのだけど、やっぱりジェームズ・フランコの演技のおかげ。演技やっぱり上手いと思う。ウィルの彼女役で『スラム・ドッグ$ミリオネア』(感想は
コチラ)以来、映画出演が相次ぐフリーダ・ピント。紅一点で頑張っていたし、アジア女性の控えめな美しさで花を添えていたけれど、誰でもよかったような役でちょっと残念・・・
ウィルの父親役のジョン・リスゴーが見事。アルツハイマーの症状が出ている時よりも、そのことで自分を責める感じが悲しい。薬で回復してからはウィルとシーザーに愛情を注ぐ感じがきちんと描かれているから、その後に起こる悲劇がやるせなく、そして切ない。ウィルの手を止めるシーンは泣いた。
そして、何といってもシーザー役のアンディ・サーキス! アンディ・サーキス出演の作品は6本見たけど、その内3本は『ロード・オブ・ザ・リング』3部作。そして『キング・コング』(感想は
コチラ)と本作。全てモーション・キャプチャーでの演技で、ご本人の姿は唯一『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』の冒頭の十数分のみ。あれもホビット姿だったし(笑) でも、実はその全てで泣かされている。特に今回の演技はスゴイ! 無邪気だったシーザーが、大人になっていく過程を見事に表現。前述のフォークのシーンでの、哀しみの混じった複雑な表情は見事! ウィルと引き離された悲しみ、虐待された恨み、そして自由を得るために立ち上がることを決意する瞬間、全てきちんと伝わってくる。だから、シーザーを応援してしまう。ラストの威厳に満ちた姿が素晴しい。シーザーはきっと人類を滅ぼそうとは思っていなかったと思う。ただ、人間が勝手に滅んだだけ。それは、できないからじゃない。そう思わせる素晴しい演技。全くご本人の姿は出てこないけれど、この演技は必見!
前述したとおり、チンパンジーは絶滅危惧種なので、本物は一頭も出てこない。全てCG。これはスゴイ! 3Dにしなかったのも良かったと思う。猿のモーション・キャプチャーや、戦闘シーンの迫力が売りではないということ。見せたいのはそこじゃない。エンターテイメントに徹しながら、大切なメッセージはきっちり伝わってきた。
普段あまり映画を見ない人も、映画好きの人ももれなく楽しめる作品だと思う。オススメ!!
『猿の惑星 創世記』Official site
チェブラーシカ目当てで吉祥寺アニメワンダーランドへ向かう途中、同じく吉祥寺に向かうtomocoさんとtwitterで盛り上がって見に行くことに! 駅前のはらドーナツ前で待ち合わせて行ってきたー



旧シリーズは未見。正確には1作目の『猿の惑星』は昔テレビで放送されたのを見たけど、途中で寝てしまい、翌日学校で完全にネタバレしてしまったため、見る気を失ってしまった(笑) まぁ、オチを知ってても楽しめるのかもしれないけど、やっぱりあれはねぇ… 念のためオチは伏せるけど、今作はそのオチも踏まえて、何故そうなってしまったのかということを描いているので、知ってた方がニヤリだと思うけれど、未見でも十分楽しめる。ここから新シリーズを作るのか、旧シリーズにつなげて終わりとするのか不明だけど、どちらにしてもきちんと落としつつ、見事に繋がるラスト。まぁ、旧作はほぼ未見だし、全然覚えてないので、実際どうかは不明なのだけど…
うーん。旧シリーズのオチには触れないとは言っても、今作を見ればバレバレではある。要するにどのようにして人類は破滅に向かい、猿によって支配されるに至ったかということを描いているわけなので… それには、必ず起因となる人物が存在する訳で、今作ではその1人がウィルということになっている。もちろん他にもいろんな人物や要因が重なってはいるのだけど… 映画によっていろんなパターンがあるかと思うけれど、この作品の面白いところは、例えば1人の愚か者によって核兵器発射のボタンが押されたというような、決定的な事象が引き起こしたわけではないということ。それぞれが、少しずつ自分勝手な行動やミスを犯し、それが積もり積もって、決壊してしまったということ。その身勝手やミスも決して責められるものではないところが、実は怖いけれどもおもしろい。
きっかけはウィルの新薬によって、一頭のチンパンジーが驚異的な進化を遂げたこと。ウィルが新薬開発にのめり込んでいるのは、父親がアルツハイマー患者だから。混乱するとかなり大変だけど、正常な反応をする時もある。治せるものなら治してやりたいと考えるのは、家族ならば当然だと思う。まして、自分にはその能力があるのであれば、上司から難色を示されてもごり押ししたくなる気持ちも分かる。多くの発明は誰かを救いたい、誰かの役に立ちたいということが原点なんだと思うので、例えそれが父親を救いたいからであっても、自分勝手とは思わない。この辺り、父親の病状や音楽教師であったこと、ウィルとの関係をサラリと、でも分かりやすく描いている。父親役のジョン・リスゴー、ウィルのジェームズ・フランコともに上手いので、ウィルの新薬にかける思いに説得力がある。
ウィルが勤める製薬会社はジェネシス。ちょっとベタ(笑) ジェネシスではチンパンジーを新薬開発の実験に使っている。先日、読売新聞に映画公開に関連して、チンパンジーと実験について興味深い記事が掲載されていた。この作品を見られた京都大学霊長類研究所所長の松沢哲郎氏によるもので、それによるとチンパンジーは動物学ではヒト科チンパンジー属ということになるそうで、アメリカではAPE(類人猿)と分類され、Monkeyとは区別されていて、映画の中でもハッキリと言い別けられているのだそう。全く気づかなかった(笑) 区別の仕方としては尻尾の有無だそう。実はチンパンジーはワシントン条約で指定された絶滅危惧種で、ヨーロッパや日本では医療などの実験はされていないのだそう。ただアメリカでは実験が行われているとのこと。チンパンジーと人間のDNAの塩基配列は98.8%一致していて、相互で感染が起こる。ただ、チンパンジーには有効でも人間には効かない、もしくはその逆もあるそうで、この映画で描かれていることは、事実に基づいている部分があるとのこと。個人的には動物実験は反対だけど、自分が使っているものの多くは、動物実験が行われて開発されたものだと思うので、偉そうなことは言えない…
シーザーは子供の頃から天才ぶりを発揮。病状の進んだウィルの父親は、フォークの柄で目玉焼きを食べようとしちゃうけど、それを静止して持ち変えてあげる。その時のシーザーの表情が素晴らしい。諭すようでもあり、悲しげでもあり。何かの感想にも書いたけど、子供はいつか親を越える時が来るんだと思うけど、それはとっても切ないことなんじゃないかと思う。シーザーの表情にはそれがあった。禁を侵してウィルは父親に新薬を投与し、劇的な効果を得る。勝手に持ち出したということだけでなく、認可の降りていない薬を投与することは、人体実験にもなってしまうわけで、本来ならば許されないこと。でも、ペットの枠を越えた祖父→父→孫みたいな関係が、シーザーのその後に大きな影響を与えたことは間違いないと思う。楽しかった思い出が彼を苦しめたり、悲しませたりしたかもしれないけれど、彼がリーダーとして理性的だったのは、2人と暮らした記憶があったからだと思う。
何故、シーザーが猿たちを率いて反乱を起こすことになったのかについては、いちいち書かないけれど、ちょっとしたタイミングのズレや誤解なとが積み重なってしまったから。シーザーはただ、大好きなおじいさんを守りたかっただけ。誰かが特別に悪いわけではないのに、疑心暗鬼を生み、悪い方へ向かってしまう負の連鎖は、人間や動物、両手がハサミの人造人間まで、散々見てきた。でも、こういうことってあるよね…

シーザーはある事件が原因で、霊長類保護施設に入れられてしまう。この施設の所長は特に仕事に情熱があるわけでもなく、猿たちに対する愛情もないらしい。特に猿たちの世話をしている彼の息子は、彼らを虐待するしまつ。この息子役が『ハリー・ポッター』シリーズのマルフォイ役の子。ハリポタ・シリーズは3作目までしか見ていないけど、よくもまぁ憎たらしく成長しましたねという感じ(笑) でも、彼のおかげでシーザーにとっても感情移入することができた。ここから、わりとしっかりとシーザーがいかにしてリーダーになっていくかが描かれる。そして、シーザーの気持ちがきちんと伝わってくる。彼は自由になりたかっただけ。そして、自分の尊厳を守っただけ。それを教えたのは人間だし、その思いに火をつけたのも人間。シーザーが計画を練り、行動を起こしてからはもう一気! あんまり書いてしまうとつまらないので、詳細は避けるけど、もうホントにずっと猿たち応援(笑) わりとベタなシーンもあったりするけど、それも含めて楽しめる。猿たちの頭脳が進化したからといって、人間になるわけではなく、体は猿のままなわけだから、力も人間より強い。特に橋のシーンでは、猿の特性をフルに生かした戦闘シーンとなっていて大迫力! 自分も人間なのにずっと、猿がんばれ! 猿がんばれ!(笑) そして、シーザーが目指した場所が分かって涙・・・ そうだよね。そこしか知らないものね。やっぱりそこだよねと思ったら泣いてた 。゚(゚´ω`゚)゚。ピー その後、感動シーンが。お互い心がしっかり結ばれたこのシーンは好き。
そして実は裏で、人間のちょっとした怠慢や不注意、そして別の人間の傲慢さから、もう一つの人類破滅のシナリオが静かに進行していく。隣人がことあるごとに出てくるなと思っていたら、この人ただのうるさい人じゃなくて重要人物だった! このラストは怖いけど、なるほどと納得してニヤリ。強引な上司が黒人、不注意な人物が太っているというキャスティングは、ちょっとステレオタイプな気がするけれど、やっぱりこういうイメージなんでしょうかね(笑) ちょっと納得してしまう部分もあるけれど・・・
キャストは豪華。ウィルのジェームズ・フランコが『猿の惑星』に出演すると聞いた時は猿役?!と思ったけれど、こう来ましたか(笑) 良く考えると彼が科学者としての禁を破ってしまったことが原因の一つなわけで、ホントは人類を滅亡させる男だったりする。でも、憎めない・・・。もちろん、父親を救いたいからという理由があって、そういう方向に描かれてはいるのだけど、やっぱりジェームズ・フランコの演技のおかげ。演技やっぱり上手いと思う。ウィルの彼女役で『スラム・ドッグ$ミリオネア』(感想は


そして、何といってもシーザー役のアンディ・サーキス! アンディ・サーキス出演の作品は6本見たけど、その内3本は『ロード・オブ・ザ・リング』3部作。そして『キング・コング』(感想は

前述したとおり、チンパンジーは絶滅危惧種なので、本物は一頭も出てこない。全てCG。これはスゴイ! 3Dにしなかったのも良かったと思う。猿のモーション・キャプチャーや、戦闘シーンの迫力が売りではないということ。見せたいのはそこじゃない。エンターテイメントに徹しながら、大切なメッセージはきっちり伝わってきた。
普段あまり映画を見ない人も、映画好きの人ももれなく楽しめる作品だと思う。オススメ!!



昨日の夜中『スリーデイズ』の元ネタ『すべて彼女のために』見た。リメイク版の方がエンタメ度は高いけど、個人的にはオリジナルが好き! #eiga Posted at 01:26 PM

先日試写会で見た『スリーデイズ』の元ネタ。リメイク版の方が逃走劇を長く描いているため、エンタメ度は増しているけど、本作の方がアッサリしていて好み。最近、ホント集中力が続かなくて2時間超は辛い。リメイク版も2時間は超えてなかったかもしれないけれど、このくらいの長さでいいかも。
いくら彼にとって正当な理由があったとしても、そしてやむを得なかったとしても、彼のしてしまったことは許されることではないわけだから、あんまりくどくど見せられるよりも、アッサリ終わった方が、逆に変に考え過ぎなくていいかも。俳優的にも本作の方が好み。ダイアン・クルーガーはそんなに好きな女優さんではなかったし、エリザベス・バンクスも頑張ってはいたのだけど、この役にはやっぱりダイアン・クルーガーだなぁ・・・ ダイアン・クルーガーのクール・ビューティーな感じの方が役に合っている。ラッセル・クロウがもともと苦手なのもあるけど、どうしても彼がこういう役を演じてしまうと、"普通の国語教師"ではなくなってしまうからねぇ・・・ オリジナルのイケてないおじさんの方が哀愁漂ってていいかも。
