'15.04.11 『ソロモンの偽証 後篇・裁判』@TOHOシネマズ日本橋
前篇(感想は
コチラ)見てから、続きが見たくてウズウズしてた! 後篇は一般試写会なかったみたいだし、劇場鑑賞券も応募したけどハズレ
自腹で見てきた
普通のことだけど(笑)

ネタバレありです! 結末にも触れています!
「柏木卓也は大出俊次に殺されたのだという告発文を、学校が隠蔽していたとするテレビ番組が放送され、城東第三中学は揺れていた。そんな中、藤野涼子と神原和彦を中心とした学校内裁判の準備は進んで行く。そして、8月15日の終戦記念日にいよいよ開廷するが・・・」という話。という話も何も、最初から学校内裁判をするって言ってるからね(笑) 一人の少年の死が、やがて事件となって広がって行き、涼子たちが校内裁判をすると盛り上がる前篇と比べると、真実に辿り着き収束する後篇は盛り上がりには欠ける部分はあったけれど、見応えはあったと思う。感動して泣いてしまう部分もあったし、最後はスッキリと終われたのではないかなと思う。
結構、映画サイトのレビューなどを読むと、犯人がいないからミステリーじゃないと感じている方がいるみたいだけど、自分は前篇見た時には原作未読だったけど、犯人はいないと思っていたけどなぁ・・・ "事件"となっているけど、これはそういう意味での殺人事件じゃないと思っていた。逆に言えば、これは原作にはないエピソードらしいけれど、大出俊次(清水尋也)たちに酷い虐めにあっていた、三宅樹里(石井杏奈)と浅井松子(富田望生)を助けなかった藤野涼子(藤野涼子)に対して、君みたいな偽善者が一番タチが悪いんだと言い放ち、彼女を自殺を考えるほど苦しめた柏木卓也(望月歩)こそ、ある意味犯罪者なのかなと思っていた。だから、絶対カギは柏木卓也自身だと思っていたし、神原和彦(板垣瑞生)もそれに関わりがあると思っていた。これは、特別自分が勘のいい人間だと言っているわけじゃなくて、見てたら普通に分かるような気が・・・ イヤ、バカにしているわけではないです! 前篇にはその伏線が確かに感じられたと思う。ただ、後篇は裁判シーン部分に重点を置いたため、ちょっと全体的に粗い印象だったのは確か。その辺りのことも書きたいと思うので、対比のためあえてこの意見を入れてみた
原作を読んだ後に映画化された作品は別として、原作がある作品の場合、ネタバレしたくないので映画を見る前は読まない。ただ、前篇があまりに謎だらけだったのと、なにしろ文庫本で6冊あるので、絶対に後篇公開日までに読み終わらない自信もあり、ちょっと迷ったけど読み始めてみた(笑) 今、2冊目の2/3くらいまで読み終わった。原作は3部に分かれていて、第Ⅰ部:事件、第Ⅱ部:決意、第Ⅲ部:法廷となっていて、その分類で行くと第Ⅰ部が残り1/3程度で終了するところで、映画で言うと前篇のテレビ番組が放送され、保護者会が開かれているところ。クドクド書いているのは、要するに後篇のネタバレは全くなしで見たということ。なので、単純に映画を見た感想ですよということと、映画が原作通りに描かれているのかが分からないということが言いたいわけです! くどくてゴメン
で、何が言いたいかと言うと、映画化にあたり変更された部分や、省かれた部分があっただろうと考えて、それがちょっと雑だったかなという印象を持ったから。まぁ、文庫本6冊ある原作を前・後篇とも2時間超とはいえ、2本にまとめるのは大変な作業だったと思う。どこを入れてどこを省くか、相当苦労されたのではないかな? 原作では主役の藤野涼子だけでなく、主要な人物たちの家庭事情まで書き込んである。例えば、映画では完全に脇役である野田健一(前田航基)について、彼が両親を憎んでいて、その理由も読者にきちんと提示されているので、早く誰か気づいて何とかしてあげて!とドキドキしながら読んでいるけど、そのことが柏木卓也の死と直接関係しているわけではない。となれば、省くのは当然なのだけど、柏木家に関して、兄の存在を無くしたことは仕方がないかなと思いつつ、実の兄ですら弟を不気味で嫌な存在だと感じていたことや、柏木卓也が両親すら手玉に取っていた描写がなかった分、彼の死の"真相"が分かりにくくなったような気がする。まぁ、自分も原作1/3も読み終わっていないので、実際の"真相"は分かっていないのだけど・・・
あと、森内恵美子先生(黒木華)の告発状を盗んだ、垣内美奈絵(市川実和子)については、彼女側のエピソードが一切ないので、動機が全く謎のままなのがちょっと・・・ 森内先生の告発状が垣内美奈絵によってテレビ局に送られたことで、柏木卓也の死は"事件"となり、物語が一気に動くので、その部分は省けなかったのだろうけれど、後篇に引っ張る要素として謎の存在としたのはいいけれど、後篇で先生の頭をワインボトルで殴打するという傷害事件を起こすものの、アッサリ自首し警察署へ向かう前に先生に「あなたの人生を狂わせてしまってごめんなさい」と謝られても・・・ 原作では自分が読んだ部分に、垣内美奈絵側の事情描かれていて、それは到底納得できない、自分勝手な理由ではあるものの、一応"動機"が提示されている。でも、映画では辛うじて前篇に、かなり修羅場の夫婦喧嘩を目撃されたっていうシーンが入っているだけ。前・後篇一気に見ているなら、ギリギリ喧嘩見られて逆恨み?と納得できるけれど、それだってかなり脳内補完が必要。わざわざ1エピソード入れる必要もなかったかもしれないけれど、せめて調査員(島田久作)の事後報告的な説明を入れてもよかったのでは? 垣内美奈絵の市川実和子は、好演していたと思うけれど、役者の演技に頼り過ぎというか、それだけで動機まで汲み取れというのはちょと乱暴な気もした。
他にもちょっと粗いと感じた部分もあったけど、何度も言うけど膨大な量の原作を、約5時間にまとめたのは素晴らしかったと思うし、やっぱり引き込まれた。メインは校内裁判となっているため、前半は駆け足な印象だけど、それは別に気にならなかった。あれだけしつこかったテレビ局のディレクター茂木悦男(田中壮太郎)が、後半おとなしく裁判を傍聴しているだけなのは若干違和感があったけれど、この辺り映画化の際に省かれたのか、原作でもそうなのか分からない。一応、ジャンルとしてはミステリー映画ということで宣伝しているように思うけれど、前篇で張りまくった伏線は、一応収拾されているものの、ざっくりした説明だった部分は否めない。いくら中学生の学校内裁判だとしても、さすがに殺人容疑を扱うわけだから、弁護側も検察側も、それそれ捜査をしたに違いないと思うけれど、その捜査状況のような部分は、一部は丁寧過ぎるほど描いているわりに、一部はアッサリしていたりする。垣内美奈絵の監視カメラ映像は、調査員から入手したとは言っていたけど、そもそもの情報はどこから入手したのか? まぁ、それは森内先生に証人依頼をした時点で出た話なのだろうけれど、前述したとおり事件が大きく動いた告発状の件なのに雑だったように思う。
ただ、あくまで中学生の裁判であるこだわったのかなとは思う。それ以外の大人のエピソードに関しては、極力排除したのかなと・・・ なので、前半は三宅樹里と母親(永作博美)、そして藤野涼子と三宅樹里のシーンが多めだった。そもそもこの件が"事件"になったきっかけは、三宅樹里の書いた告発状が発端であり、彼女が告発状の内容は嘘だと告白すれば、少なくとも大出俊次の容疑は晴れるわけなので、テレビ局のディレクターから、告発状を書いたのはおそらく三宅樹里だという情報を得た藤野涼子が、彼女を訪ねるのは当然だし、そもそもいじめにあっていた三宅樹里が、今さら嘘だったと認めるのは大変なことであることも分かる。ただ、2人とも好演していたけど、ちょっと長かったかなぁ・・・ 三宅樹里が自分の嘘を認めるか、認めないかは別として、彼女が証言台に立つことは分かっているので・・・ 予告編にも出てたし(笑) その後も、彼女を引っ張る割には、アッサリ浅井松子の両親に謝罪して解決っていうのも・・・ 前篇も含めて盛り上げるために引っ張ったエピソードの扱いが雑な印象。
大出俊次のアリバイがアッサリ立証されるのも、放火容疑で逮捕されている大出の部下を出廷させるさせないで、父親の剛(佐々木蔵之介)ともめることで、親子の絆がより強くなった部分はあったものの、肩透かしではあった。ただまぁ、どんなに前篇で煽っていようが、大出俊次が直接的には柏木卓也を殺害していないことは分かっているので、それは別にいいかのか? ただ、あの放火で大出家は祖母を亡くしていたはずだけど、そこも含めて大出の犯行だったってこと? それは原作の設定だろうから、そのこと自体に問題はないけど、要するに原作にある陰鬱だったり、陰惨さだったりする部分は、かなり排除されている印象。あくまで描きたいのは中学生の校内裁判であって、事件の内容を問うものではないからいいのかもしれないけれど・・・
映画の前半部分で、ある重要な証人が出て来る。津川雅彦が演じている電機屋店主により、ある人物が証人として出廷することになる。原作では店主が目撃したシーンが冒頭なんだよね? 自分はまだたどり着いていないけど、きっと読者は「そうだったのか~
」となるシーンなのだと思うのだけど、店主は早い段階で出てきており、種明かし自体は裁判シーンまで引っ張ったものの、誰が探していた人物なのかが、証人台に立つまでに分かってしまったのは残念だったかも
最初に倉田まり子(西畑澪花)と向坂行夫(若林時英)が、その後に涼子が事件関係者の写真を持って目撃情報を確認に行くというのは、原作どおりなのかもしれないけれど、ちょっとくどかったし、その人たちを確認して違うなら、もうあの人しかいないじゃんと分かってしまうのが、謎解き部分としては残念だった気がする。原作冒頭のような、ミスリードさせるシーンも入っていなかったので、「そうだったのか~
」もなかったので・・・
うーん、なんだか貶してばかりいるようだけど、決してそういう意図ではなく、見ている間はずっと引き込まれて見ていたし、見終わってからもスッキリしたことは間違いない。ただ、上記に書いた部分については、見ている間も気になっていることだったのと、映画サイトの感想などを見ると、わりとそこを指摘している方が多かったかなと思ったので書いてみた(笑)
裁判は、終戦記念日の8月15日から5日間にわたり開廷された。生徒も保護者も傍聴可能。最初こそからかいの声が上がったけれど、浅井松子の父親(塚地武雅)が一喝することで収まり、その後は証人や被告人に対するヤジや、証言に対する反応はあったものの、概ね真剣な態度で傍聴していた。証人として出廷したのは、佐々木礼子刑事(田畑智子)、津崎正男元校長(小日向文世)、森内恵美子元担任教師、大出俊次の父親の弁護士、三宅樹里、電機屋店主、そしてもう1人。当然被告人として大出俊次も証言台に立つ。この内、重要なのはやはり三宅樹里と、最後の証人。電機屋店主は最後の証人を出廷させるための証人。
佐々木刑事は柏木卓也の死が自殺である根拠、大出俊次を犯人とは思わない根拠を証言。大出俊次は問題児ではあるが、殺人をして平然としていられるほどの度胸はないと言い放ち笑いを誘う。ふざけていたわけではないし、中学生の裁判だからとなめているわけでもないけれど、どこか学芸会の延長と思っているような印象。あくまで個人的な印象ではあるけれど。開廷時には言葉を詰まらせていた涼子だが、そんな佐々木刑事を真顔にさせたのは見応えあった。
津崎校長については告発状を隠ぺいした件について追及。告発状を書いたのは城東第三中学の生徒である可能性が高く、佐々木刑事と相談の上、生徒を守るために公表しないこととした。その代わりに、面談を行ったというのは、見ていた通りであり、もちろんそれは承知の上。ただ、それが間違っていたとは思わないか? 校長先生のその判断が浅井松子を死なせることになってしまったのではないか? という質問は、もちろんそういう側面はあるとは思うけれど、かなりストレート。よくぞ言ったなとも思うけれど、中学生の未熟さと真っ直ぐさと言えるかも? ただ、その後続けて、校長先生が自分たち生徒を守るため全力を尽くしてくれたこと、責任をとって辞職したことに触れ、ありがとうございましたと頭を下げて、答弁を終わらせたのは、出来過ぎな気がしなくもないけれど、それが生徒たち全員の気持ちでもあるのかなと思うと、少し救われる。原作でも津崎校長はかなり頑張っているし、小日向文世さんが厳しく追及されているのはちょっぴり辛い(笑)
森内恵美子元先生については、まずは告発状を破り捨てたという先生の嫌疑を晴らすことから。生徒たちだけなく、一部の先生たちまで森内先生の言葉を信じなくて申し訳ないと謝罪。学校を辞めたことは、最終的には森内先生自身の判断だけれども、犯人扱いして追い込んだのは間違いない。確かに、担任教師として校長先生に報告するべきだ思うけれど、いたずらだと思って破り捨ててしまっていたとしても仕方のない状況。まして、冤罪でここまで大事になってしまったのは酷い。原作では、森内先生は自分が美人であることを鼻にかけていて、生徒に対しても好き嫌いが激しく、特にニキビで悩む三宅樹里など汚いものを見るような目つきで見られたと感じていたりと、少なくとも良い教師とは言えない。なので、そういう部分を見透かした柏木卓也を嫌っているという設定だけど、映画では森内先生はあくまで事件を動かす一部という位置づけなので、そこまでキャラ付けはされていない。だから、自信がなくオドオドしているところを、柏木卓也に見抜かれていて、そのことで彼のことを恐れていたと涙ながらに語るだけで、自分はもう教壇に立つことはないけれど、今までのことは許して欲しいという趣旨のことを述べて証言台を降りる。まぁ、かなり酷い目にあってしまったけれど、教師には向いていなかったかもしれない・・・ 証言を終えた先生が、学校を後にしようとした際に、例の垣内美奈絵との対面シーンがある。前述したとおり、彼女の動機が薄い点については残念だけど、森内先生が感情を爆発させたのは良かったと思う。謝って済む問題じゃないし。
大出俊次の父親の弁護士の出廷理由は、大出俊次のアリバイ証明。大出家の火事は保険金目当ての自作自演。実行犯の男は、柏木卓也が亡くなった、12月24日クリスマス・イヴの夜、その打ち合わせのために大出家を訪ねていた。その際、大出俊次に挨拶したが、彼からの反応はなかった。近くにあった時計を見たので、彼が学校の屋上にいたと言われる時間に家に居たことは間違いないとのこと。涼子は本人の証言を求めたけれど、実際の事件の容疑者を、中学生の裁判に出廷させるなど無理な話。それでも涼子のために、最大限努力してくれたのが、代理出廷という形。まぁ、この証言だって大出俊次の父親の部下によるものなのだから、信憑性が薄いようにも思うけど、いわゆる殺人事件は起こっていないのだろうと思っているので、見ている側としても一応納得。ただ、ここで大出俊次が自分の無実が証明されたと大騒ぎして、傍聴人たちの反感を買うことになる。これは次の証人と、その証言内容から、何故か弁護人の神原和彦が彼を糾弾する伏線となっている。
次の証人は三宅樹里。見ている側は彼女が告発状を書いた本人であることは知っているわけで、要するに彼女がそれを認め、大出俊次に恨みがあったため、彼を犯人に仕立て上げたと言えば、この裁判は終了する。前篇終了時さらに追い打ちをかけようと、新たな告発文をテレビ局に送ろうとしていたことからも、彼女の心はかなり歪んでしまっているように思うけれど、ここで自分の罪を認められれば、変われるチャンスでもある。確かに、彼女をいじめた大出俊次たちの行為を許すことはできないし、例え彼女の言動が気に入らなかったとしても、自分ではどうにもならない容姿を貶したり、暴力を振るったのであれば100%彼らが悪い。でも、それによって生じてしまった"自分"の中の心の歪みは、自分で直すしかない。浅井松子が亡くなってから登校していないことや、テレビ局のディレクターからの情報が漏れたのか、既に彼女の家には告発状を書いたのはお前だろうという内容の脅迫文が複数届いている。彼女としても追い詰められたわけで・・・ でも、残念ながら彼女は、告発状を書いたのは浅井松子であると証言してしまう。そこで、あの事故の日の浅井松子と樹里のシーンが挿入される。浅井松子が樹里を問いただしている。殺人現場を見たというのは嘘なのか? 嘘に決まってる! だったら大出君たちに謝りに行こう! 馬鹿じゃないの
殺されちゃう! 自分が嘘の告発状を出す片棒を担いてしまったこと、樹里が自分を裏切っていたことに傷ついた松子は、雨の中を闇雲に走り出し、そして事故に遭ってしまったのだった。見ている側としては、最初から分かっていたこととはいえ、結果的に浅井松子を死に追いやったのに、自己保身のため彼女に罪を被せようとする三宅樹里に対して、怒りというか失望というか、やりきれない気持ちを抱く。自分の罪を認めることは勇気がいることではあるけれど・・・ でも、残念ながら傍聴人も含めて、校内裁判に出廷していた全員が、本当に告発状を書いたのは誰なのか、分かってしまったのではないかと思う。今後彼女が別の意味での制裁をうけなければいいけど・・・ ただまぁ、本当に描きたいのは最後の証人による証言なので、ここで大出俊次が無罪であることが分かってしまうと、この後見せ場がなくなっちゃうからね(笑)
さて、いよいよ被告人が出廷。傍聴席からは大出俊次を非難する声が上がる。憮然とした態度。まぁ、これまでの行状や、ここまでの経緯を考えれば、彼としてもこうでもしていなければいられないでしょう。ここでの見せ場は弁護人である神原和彦が、何故か大出俊次を攻撃し始めたこと。告発状が嘘だというのであれば、その人物は何故そんな嘘をついたのだと思うか? あなたに恨みがあってやったことではないのか? 彼は資料を読み上げ、○月×日仲間と一緒に嫌がる男子生徒の顔を便器に押し付けたことはありませんか?などと、彼のいじめの罪状を列挙し始める。父親に殴られて鬱屈した思いは、自分よりも弱い者を痛めつけることで晴れましたか? 鋭い口調で責め立てる。彼の弁護人としての狙いはどこにあるのかは不明だけど、おそらくこれは大出俊次にいじめられていた生徒たちの代弁であり、傍聴席で聞いている三宅樹里への言葉であったかもしれない。大出俊次が柏木卓也を殺害していないならば、この法廷において無罪となるべきである。だからと言って、彼が日頃行ってきた行為については、社会的に裁かれてしかるべきだと思う! 彼が父親から暴力を振るわれていることは、大変不幸なことだし同情もするけれど、だからといっていじめをしていいことには絶対にならない。事実、辛い生い立ちでも、正しい人生を歩んでいる人はたくさんいるのだから・・・ この部分は、いくら彼が中学生であったとしても、胸のすく思いだった。
さて、いよいよ最終日。電機屋店主が証言台に。この店主は柏木卓也の遺体が発見される前日。つまりクリスマスイブの夜。彼と同じ年頃の少年が、店の前の電話ボックスにいるのを目撃。様子が変だったので声を掛けたが、少年は逃げるように去ってしまった。倉田まり子と向坂行夫は大出俊次ら3人の写真、藤野涼子は柏木卓也の写真を持って、店主を訪ねたが、それぞれ見覚えはないと言われていた。この日、改めて検事の涼子から、その少年に心当たりはないかと質問され、その人物はここにいると答える。その人物とは神原和彦。見ている側は既に分かっているけど、当然廷内は騒然となる。涼子は判事の井上康夫(西村成忠)に神原和彦の証人喚問を要求する。驚いた判事は2人を舞台裏に呼び事情を聞くが、そもそもこのことは神原和彦が涼子に依頼したことであり、自分が証言することがどうしても必要であると主張する。
証言台に立つことを認められた神原和彦から、いよいよ真相が語られる。あの日、柏木卓也から呼び出された神原和彦は、父親が犯罪者である過去にきちんと向き合っていないと罵倒され、あるゲームを持ちかけられる。彼が生まれた病院、以前住んでいたマンションなど、柏木卓也が設定した4か所へ行き、そこで何を感じたかを連絡するというもの。小学生時代の2人の関係がどんなものだったのか一切語られないので、何故急に柏木卓也が神原和彦を呼び出したのか、そして何故それに応じたのかは不明。ただ、柏木卓也の態度は、友人に対するものではなかった。人を見下したような物言い。そもそも神原和彦が過去と向き合えていなかったからといって、それを責める権利は彼にはない。当然、そんなゲームは出来ないと断ると、では死んでやると言う。勝手にしろよと思ったりもするけれど、神原和彦はこれに応じる。自分だったらどうするだろう? 今の自分なら、断って帰って、親に相談するかな・・・ 今現在学校も違うし、付き合いもなかったわけだから、関係悪化しても別にいいし・・・ でも、中学生だとそうもいかないのかな? それとも自分も少し興味があったのか? まぁ、ゲームに参加してくれないと話にならないけど(笑)
4カ所のポイントの内、1つは神原和彦が生まれた病院であり、もう1つが電機屋店主に目撃された電話ボックスなのだけど、他2カ所については言及がないので不明。それぞれのポイントで彼がどう感じていたのかも不明。電機屋前は最終ポイントで、神原和彦は終了の報告をする。すると、城東三中の屋上に来いと言う。全てを終えて今何を感じているかの報告はそこで受けるというのだった。呼び出されたのは23時過ぎ。そんな時間に行けないと断るけれど、結局行ってしまう。まぁ、行ったから証言台にいるわけだけど(笑) しかし、どうやって家を抜け出したんだろう? まぁ、その辺りはいいか
屋上に到着した神原和彦は、今の気持ちを伝える。辛い作業ではあったけれど、彼の心の中には、あの事件と共に封印していた幸せな思い出もよみがえっていたのだった。父親は酒乱で暴力ばかり振るっていたけれど、優しい時もあったし、家族が仲良く過ごした時間も確かにあったのだった。それを思い出せて良かったと思っていると伝えると、柏木卓也は「最低の答えだ」と言い、彼を罵倒し始める。さすがの神原和彦もこれ以上つき合いきれない。すると君が行くなら自分はここから飛び降りると言う。それでも行ってしまう神原和彦。そして、柏木卓也は自ら身を投げた。これが真相。神原和彦が、この証言をしたのは自分を裁いて欲しかったから。涙を流しながらも毅然とした態度で、自らを裁いて欲しいと訴える姿には心打たれるし、再び人の死と深く関わることになってしまった運命には同情せざるを得ないけれど、ちょっと回りくどくない? いくら彼がそういう方向に誘導していたとしても、藤野涼子たちが校内裁判をする決心をするとは限らないし、学校側が許さなければ裁判自体がないわけで・・・ しかも、電機屋店主から、あの日目撃したのが神原和彦であるという証言を引き出せなかったらどうするつもりなのか? まぁ、その時はなんとかしたのでしょうけれど(笑) かなりご都合主義な感じがしなくもないけど、映画のクライマックスとしては良かったと思う。
ただ、何故柏木卓也がこんなに神原和彦にこだわったのかという部分が、ほとんど観客の解釈に委ねる形になってしまったのがちょっと消化不良。彼の死の真相がミステリーであり、それを明らかにするための手段が、告発された大出俊次の裁判を行うということなので、どうしても謎として引っ張る必要があるし、本来の裁判内容とは論点がずれるのも分かるけど、どうにも説明不足な気が・・・ 自分は原作を途中まで読んでいるので、柏木卓也が頭が良く、周囲を馬鹿にした冷めた目で見ていて、それゆえ自分の中で孤独を(勝手に)深めていたのだろうと想像出来るけれど、映画だけ見た人はこれで分かるのかな? 確かに、前篇で藤野涼子を歪んだ正論で責め立てる描写はあるし、今作でも森内先生が彼が怖かったという証言をしているので、彼が"普通"でないことは伝わるかもしれないけれど、神原和彦にこだわった理由が分からない。おそらくは、(勝手に)孤独を深めた彼が、攻撃する相手として、最も大きな成果を得られるであろうと考えたが、意に反して神原和彦を助けることになってしまったってことかな? そして、彼にも去られてしまって絶望したってこと? まぁ、そうなのでしょうね・・・ 彼は彼なりに誰かと繋がりを求めていたし、助けを求めていたのだろうけれど、自分でもそれを認められなかったということでしょうかね? その辺りのことは明言されていない以上、想像するしかない。何もかも全部説明するのも白けるけれど、彼が抱えていた問題を伝えたかったわけではないってことなのかな? ちょっと自分としてはそこがモヤモヤしたけれど、この映画が描きたかったのは、柏木卓也の死の真相ではないってことなのかな? でも、それを知りたくて裁判したのではないのかな? 23年後の涼子の場面とか、特別必要とも思わないので、それよりはそこを見せて欲しかった。
涼子たちが開廷した校内裁判の被告人は、あくまでも大出俊次なので、陪審員たちによる審議の後、彼の無罪判決が下り裁判は終わる。当然、神原和彦の罪を裁く場ではないので、これについては不問。理由はどうあれ、柏木卓也が自殺したことは間違いないので・・・ 法廷では神原和彦が自分の関与を黙っていたことについて、大出俊次が激昂して殴りかかる場面もあったけれど、閉廷後に彼の方から神原和彦に握手を求めて来る。このシーンは良かった。一度、現在の中原涼子(尾野真千子)と上野素子校長(余貴美子)のシーンに戻り、校長からその後あなたたちはどうしたのか聞かれた涼子が、「私たちは友達になりました」と答え、その後、藤野涼子・神原和彦・倉田まり子・野田健一・向坂行夫が並んで校門から出るシーンで終了。まぁ、投げっぱなしだったり、説明不足だったりする部分はあったけれど、終わり良ければ総て良しという感じで、見終わった後のスッキリ感はあった。感想書いたら、いろいろモヤモヤしてしまったけれど(笑) あと、上野校長の「あれ以来、この学校ではいじめは起きていない」っていうのは、ちょっと空々しい気がしたかなぁ
キャストについては、津崎校長の小日向文世、母親役の夏川結衣が良かった。あくまで主役は子どもたち。出過ぎず出なさ過ぎずのさじ加減が素晴らしい。森内先生の黒木華も良かった。原作よりも良い人になっていたので得な部分もあったかもだけど、彼女の不幸がある意味事件を動かしたので。運命に翻弄されながらも、自分の未熟さを認め、教師として去る姿を好演。垣内美奈絵を殴るシーンはスゴイ! 三宅樹里の母親役の永作博美も、過保護なのか自己保身なのか、娘を守るために間違った方向に行く親を演じて見事。
何といっても中学生たちが魅力的! 演技の技術としては拙い部分もあったかと思うけれど、それを補って余りある一生懸命さ。彼らの真っ直ぐな視線や演技が胸打つ。印象に残ったのは、やはり主演の藤野涼子役の藤野涼子。この役があまりにハマっていたので、この先の役選びが大変かなという気もするけれど、目の強さが印象的で、このまま良い女優さんになって欲しいと思う。神原和彦役の板垣瑞生は、やや役得部分もあったかなと思うけれど、難役を頑張って演じていたと思う。彼がカギになることは皆分かっているわけで、それでも正しさを失わず引っ張って行っていたと思う。役柄的に一番大変だったのは三宅樹里役の石井杏奈かな? 被害者が加害者になってしまうという部分だけでなく、彼女の中にある"悪"の部分も感じさせて良かった。そうそう! 井上康夫役の西村成忠くんて、蛍こと中島知子の息子ちゃんなのね? ビックリ! 彼も頑張っていた
映画を見てから感想書き終わるまで時間が経ってしまったので、そろそろ公開終わっちゃう? まだやってるかな? とりあえず、前篇見た方はオススメしなくても後篇も見てるよね?(笑) でも、これは前篇・後篇続けて見た方が絶対いいと思う。原作が長いので2時間でまとめるのは無理だし、2部作になるのはいいのだけど、公開期間が中途半端だった気もする。続けて見ることが可能な状況で上映できないのであれば、思い切って1年後とかにして、前篇DVD見て復習して見る方が、緊張感そのままに見れたかもしれない。とはいえ、裁判シーンは見応えあるので、DVD出てから続けて見ようと言わず、映画館で是非←ちょっとフォロー(笑)
『ソロモンの偽証』Official site
そうそう! 前篇で自分が疑問に思ったことを書いておいたので、その回答を書いておく!
1.柏木卓也の自殺の原因?➡明言なし(周囲をバカにして孤独を深めたことが原因?)
2.自殺するまでどこで何を?➡家に引きこもり。
3.学校は対策を?➡家を訪ねたが本人に会えず(津崎校長が証言)
4.両親が登場しないのは?➡後篇で登場するが特に意味はなし。
5.歩道橋で涼子と会ったのは偶然?➡不明。
6.三宅樹里へのいじめは歩道橋が最初?➡不明(たぶん違う)
7.松子の壊された物は?➡不明(大切なものを壊されたと三宅樹里が証言してた?)
8.樹里が告発したのは、いじめが原因?➡Yes
9.松子は事故当日樹里に会った?何を聞いた?➡会った。告発状は嘘だと言われた。
10.森内先生と柏木卓也の間に何が?➡森内先生が一方的に怯えていた。
11.垣内美奈絵が森内先生に粘着した理由➡明言はないが前篇で夫婦喧嘩を見られている(原作ではこれと、森内先生の態度が原因)
12.柏木卓也と神原和彦の間に何が?➡自殺当日、柏木卓也から神原和彦はゲームをさせられていた。何故、"彼"だったのかは明言なし。
やっぱり、少なくとも12の、何故神原和彦だったのかは、ハッキリと描くべきだった気がするなぁ・・・ 原作ではどうなっているのかな? 頑張って読む! でも、それじゃ本末転倒な気も