'10.09.10 『ヒックとドラゴン』@TOHOシネマズ錦糸町
どうしても見たくて、急に思い立って行ってきた。字幕版がよかったけど、ほとんどないし(涙)いろいろ考えて行けずにいたけど、意外に錦糸町なら帰りに行きやすいことが判明。ぐずぐずしてると終わっちゃうので、吹替版だけど見て帰ることにした。
*ネタバレありです
「バイキングの島、バーク島では島を襲い、食料を奪っていくドラゴン達との戦いが、日々繰り返されていた。バイキングの頭ストイックの息子ヒックは、賢く勇気もあったが、ひ弱な体型と優しい性格から、バイキングには向かないと誰からも思われていた。そんなある日、ヒックは傷ついた1匹のドラゴンと出会い…」という話で、これは本当によかった。ストーリー的には王道だし、展開も王道。でも、王道だからこそ大切なメッセージが詰まってる。そして、ドキドキ、ワクワクさせることで、その王道ゆえのメッセージに押し付けがましさや、わざとらしさをなくしている。
実はPIXERとかの表情と動きが過剰なアニメはちょっと苦手。ファンタジーも最近ちょっと食傷気味。なので、公開前から評判がよかったにもかかわらず、見るつもりはなかった。でも、Twitterでお世話になってるブロガーさん達の、絶賛のつぶやきを見ているうちに、どうしても見たくなった。結果、見に行って大正解! アニメなのでやっぱり動きや表情は大きめだけど、それは苦手と思うほどやり過ぎじゃない。すごくなめらか。冒頭からドラゴンに襲われてしまうけど、戦いの場面にも迫力があるし、そこに被るヒックのナレーションや、行動などから、彼が頭がよくて、勇気もあるけど、誤解されていて、本来の実力を発揮できないでいることが分かる。ヒックの悲しげな諦めの表情は何度も見ることになるけど、これが見事。ちょっと下唇突き出した後、軽く噛んで、眉をひそめて溜息をつくみたいな、このタイプの男の子が主人公の実写版映画でもよく見かける感じ。上手く説明できないけど(笑)
表情の豊かさで言ったらヒックの相棒になるトゥースにも言える。ドラゴンは実はいろんな種類がいるけど、トゥースはその中でも最強と言われるナイト・フューリーと呼ばれるドラゴン。夜の闇より黒い体を持ち、とても賢い。今まで誰も捕まえたことがないので、謎が多い。ヒックによると、何かとの間に生まれた子供のドラゴンとのこと(笑) このトゥースがカワイイ! 甥っ子が大好きな『リロ&スティチ』のスティチに似てるなと思ったら、同じスタッフだったんだね(笑) これは、ネコ飼ってたら絶対好き! これは製作側の狙いみたいだけど、トゥースの目は爬虫類というより、ネコっぽい。動きもネコに似てるし。
ヒックはひ弱なのでバイキングとみとめられず、ドラゴンとの戦いで片腕、片足を失ったゲップのもとで鍛冶屋の見習をしている。バイキングになりたいヒックは、知恵と鍛治屋の腕を生かして、ドラゴンを生け捕りにする大砲のようなものを発明する。トゥースは実はそれに引っ掛かってしまったのだった。ドラゴンが落ちた辺りを探しに行き、傷ついたトゥースを見つけたヒックは、ナイト・フューリーを倒せばヒーローになれると知りつつ、殺すことができない。何故、殺さなかったかについては、後に初恋の相手であるアスティに聞かれて答えているけど、この気持ちが重要なんだなと思う。難しく言えば同調なんだろうけど、要するに"相手を思いやる"ということ。これが大切。それは、相手を優先するということではなくて、相手の気持ちを推し量るということ。もちろん、人の考え方や感じ方はそれぞれだから、こうだろうと考えたことが、違っていることもあるけど、それでも気を使ってくれたことは伝わるはず。
ヒックはトゥースが尾羽根の片方を失っていることに気づき、義翼を作り、もう一度トゥースを飛ばそうとする。初めは警戒していたトゥースも、次第に心を開く。おずおずとヒックが差し出した手の平に、トゥースがコツンと頭をつけるシーンが大好き! ネコを飼っていたら、絶対経験あるはず! ネコ嫌いの方の理由の1つに、自分勝手だからというのをよく聞くけど、ネコ好きにとってはそこが魅力。いくら呼んでも来ないのに、抱っこしてと脚をよじ登ってきてくれた時の喜びといったら(笑)このシーンの場合は少し違って、警戒してた相手が初めて心を開いてくれたわけだから、喜びもひとしお。ヒックの気持ちがよく分かる。そして、このシーンに至るまでが丁寧に描かれているので、2人が"相棒"になっていく感じがすんなり入ってくる。
ヒックは試行錯誤しながら、トゥースの義尾翼を作って、谷でトゥースとともに試す。簡単に説明すると、義尾翼に連結したハンドルが取り付けられたハーネスみたいなものと、鞍みたいなものをトゥースに装置してヒックが乗り、義尾翼を操作しながら飛ぶというもの。警戒するトゥースをなだめて義尾翼を取り付ける。最初は暴れて振り落とされたり、上手く飛べなかったりするけど、ヒックは根気よく改良を続ける。それはもちろんトゥースのためだと思うけど、トゥースを飛ばしてあげることに夢中になっている部分もある。そしてそれが正しい姿なんだと思う。介護問題となると、自身は体験したこともないし、もっともっと大変な側面があると思うので、そう簡単ではないと思うけど。でも、やっぱりそういう側面があったから、ヒックは頑張れたんだと思う。この辺りも、決して長い時間はかけていないのに、丁寧に描かれているので、すごくよく伝わってくる。子供達はきっと、こんなおばちゃんみたいにいちいち分析しなくても、感覚で理解できると思う。
鍛治屋のゲップはドラゴンとの度重なる戦いで、片腕と片脚を失っている。だから今はめったに前線には立てない。なので戦いに参加させてもらえないヒックの気持ちがよく分かる。ヒックの父親ストイックは、自身が頭であるため、息子を愛しているけど、後継ぎとしては失望している。ゲップはドラゴンと戦うのが向いていないのであれば、得意なことを極める道もあるのでは?とストイックに言うけど、"バイキングの男はこうあるべき"という価値観を捨てられない。それは間違っているわけではないし、村をおさめる頭ならば、意見がぐらついてしまうのも違うのかなとも思うのだけど、全ての人や事が一つの価値観で計れるはずもなく、ヒックのように"規格外"の人物ができてしまう。でもそれは、一つの考え方によってであって、いろんな見方をしたら"規格外"の人なんていないはずなのだけど…
ヒックも村で暮らす以上、村の価値観にそって考えてきた。だから、足手まといだと言われながらもドラゴンと戦う日を夢見ていた。初恋の相手アスティが華麗にドラゴンを退治してみせれば、憧れと同時に自分のダメさ加減に情けない思いをしたりしていた。そんなヒックの気持ちを察したゲップの助言で、ヒックもドラゴン退治の練習に加わることになるけど、あんなに望んでいたのに嬉しくない。ドラゴン達は穏やかに接したら攻撃を仕掛けてこないことが分かったし、トゥースの仲間を殺したくはない。ヒックはドラゴン達=退治するものという図式に疑問を持ちつつ訓練に参加する。攻撃することに躊躇するから、いつも一歩遅れてしまう。仲間はヒックをダメだと決めつけて、足手まといだと思う。でも、そんなヒックがドラゴン達をおとなしくさせるようになると彼を英雄扱いする。それは力で屈服させたわけではなく、実は彼らの警戒心を解いただけのこと。そして、それはトゥースとの触れ合いによって学んだこと。この辺りもきちんと段階を踏んで描かれているから、ヒックが少しずつドラゴンのことを理解していく過程や、疑問が確信に変わっていく感じも、しっかりと伝わる。チビッコ達にもきっと分かる!
急にヒーローになったヒックを不審に思ったアスティは、彼の後をつけて行き、ヒックの秘密を知る。アスティを乗せたヒックとトゥースが大空を舞うシーンは、ホントに全てが美しくて、気がついたら涙が止まらなくなってた。実は、思い出すと今も泣きそう(笑) 風景の美しさもそうだし、初恋の少年と少女が空を舞うのもそうだし、一心不乱に飛ぶトゥースのうれしそうな姿もそう。それはヒックとトゥースの間にしっかりと友情が芽生えている証拠。すごいスピード感で、見たこともない絶景の中を飛び回るシーンは感動! 無条件で泣いてた(笑) ホントに大画面で、しかも3Dで見てよかった!
この夜空の大飛行で、2人はドラゴン達の秘密を知る。この秘密はデカイ! 文字通りデカイ(笑) 訓練の成績優秀者による公開ドラゴン退治試験に合格すると、ヒックはドラゴン退治に参加できるようになる。ドラゴンを退治したくはないけど、自分もみんなと同じように出来ると認めて欲しい気持ちも分かる。不本意ながらも、期待に応えなければと思う気持ちも。でも、みんなの期待が裏目に出てしまう… 人間の前に姿を現すことのなかったトゥースが、ヒックの危機に夢中になって飛んで来る姿にまた涙。なんてかわいい(涙) 捕らえられたトゥースを救おうと、父親を説得するため、ドラゴン達の秘密を話してしまうヒック。ヒックはもちろんこの秘密をきちんと解決するつもりだったけど、父が決めた方法じゃない。この辺の行き違いの感じは、ハラハラしつつも、お互いの立場や考え方の違いを考えれば、こんなことになっちゃうよねと思い、短絡的なストイックや、上手く説明できないヒックにイライラすることはない。どちらが正しくて間違っているかは、いろんな考え方があるけれど、チビッコだってきっとヒックと同じ意見のハズ!
ここまでの展開も、この後の展開も、とっても王道。こうあって欲しいという方向に進むし、こうあって欲しいと思う位置に着地する。ただ、ヒックにとっては辛い勲章を授かってしまうけれど… 実は、現在8巻(日本では6巻)まで出版されている原作にはないエピソード。原作は未読だけど、パンフレットによると、伝説のバイキング ヒック・ホレンダス・ハドック3世の自伝を、原作者のクレシッダ・コーウェルが英訳したという形をとっているらしく、ヒック達はドラゴンを飼い馴らせる唯一のバイキングで、ドラゴン訓練でトゥースレスというチビドラゴンとコンビを組んで以来、2人(?)で数々の冒険をするという話らしいので、今回の映画は別物かも。原作に思い入れがあると違和感があるかも知れないけれど、未読の身としてはこの大胆な変更は良かったんじゃないかと思う。ヒックはそれまで努力して段階を経てきたし、ヒックの身に起きたことは悲劇だけど、成し遂げたことは大きい。だからヒックならきっと、これからも困難に打ち勝っていけるハズ! そんな希望が持てるラストだった。そして、障害のある方や子供達にも、ヒックの存在が心強く感じるんじゃないかと思う。
声優さん達の演技もよかったと思う。得にヒックは一人もしくは、トゥースに話すことが多いので、一人でずっと喋りっぱなしになる。少年のはずなのに大人声だったから、最初のナレーションでは困惑気味だったけど、ヒックのあのあきらめの表情と、台詞のトーンがピッタリ合ってた。有名俳優やタレントを使わず、プロの声優さんのみだったのは良かったと思う。個人的には俳優のスキルと、声優のスキルって違うと思っているので。あと、ご本人の顔が浮かんでしまうし。
画がホントに素晴らしい! ヒック達が身につけている毛皮の質感とか、髪の毛の感じとかビックリするくらいリアルなのに、顔の感じがアニメっぽい。そのバランスも良かった。あんまりリアル過ぎるのも違うと思うし。風景がすごく美しかった。飛べなくなったトゥースがいた谷のようなところは幻想的で美しい。そして、前にも書いたけど、トゥースがヒックとアスティを乗せて大空を舞うシーンの美しさ! これはホントに劇場で見て良かった!
とにかく少年とドラゴンの友情、少年と父親との関係、少年の初恋、少年の成長がきちんと丁寧に描かれている。大切なことがたくさん詰まっていて、押し付けがましくない。子供達に是非見てほしい。甥っ子達にも見せてあげたい!
『ヒックとドラゴン』Official site
どうしても見たくて、急に思い立って行ってきた。字幕版がよかったけど、ほとんどないし(涙)いろいろ考えて行けずにいたけど、意外に錦糸町なら帰りに行きやすいことが判明。ぐずぐずしてると終わっちゃうので、吹替版だけど見て帰ることにした。
*ネタバレありです
「バイキングの島、バーク島では島を襲い、食料を奪っていくドラゴン達との戦いが、日々繰り返されていた。バイキングの頭ストイックの息子ヒックは、賢く勇気もあったが、ひ弱な体型と優しい性格から、バイキングには向かないと誰からも思われていた。そんなある日、ヒックは傷ついた1匹のドラゴンと出会い…」という話で、これは本当によかった。ストーリー的には王道だし、展開も王道。でも、王道だからこそ大切なメッセージが詰まってる。そして、ドキドキ、ワクワクさせることで、その王道ゆえのメッセージに押し付けがましさや、わざとらしさをなくしている。
実はPIXERとかの表情と動きが過剰なアニメはちょっと苦手。ファンタジーも最近ちょっと食傷気味。なので、公開前から評判がよかったにもかかわらず、見るつもりはなかった。でも、Twitterでお世話になってるブロガーさん達の、絶賛のつぶやきを見ているうちに、どうしても見たくなった。結果、見に行って大正解! アニメなのでやっぱり動きや表情は大きめだけど、それは苦手と思うほどやり過ぎじゃない。すごくなめらか。冒頭からドラゴンに襲われてしまうけど、戦いの場面にも迫力があるし、そこに被るヒックのナレーションや、行動などから、彼が頭がよくて、勇気もあるけど、誤解されていて、本来の実力を発揮できないでいることが分かる。ヒックの悲しげな諦めの表情は何度も見ることになるけど、これが見事。ちょっと下唇突き出した後、軽く噛んで、眉をひそめて溜息をつくみたいな、このタイプの男の子が主人公の実写版映画でもよく見かける感じ。上手く説明できないけど(笑)
表情の豊かさで言ったらヒックの相棒になるトゥースにも言える。ドラゴンは実はいろんな種類がいるけど、トゥースはその中でも最強と言われるナイト・フューリーと呼ばれるドラゴン。夜の闇より黒い体を持ち、とても賢い。今まで誰も捕まえたことがないので、謎が多い。ヒックによると、何かとの間に生まれた子供のドラゴンとのこと(笑) このトゥースがカワイイ! 甥っ子が大好きな『リロ&スティチ』のスティチに似てるなと思ったら、同じスタッフだったんだね(笑) これは、ネコ飼ってたら絶対好き! これは製作側の狙いみたいだけど、トゥースの目は爬虫類というより、ネコっぽい。動きもネコに似てるし。
ヒックはひ弱なのでバイキングとみとめられず、ドラゴンとの戦いで片腕、片足を失ったゲップのもとで鍛冶屋の見習をしている。バイキングになりたいヒックは、知恵と鍛治屋の腕を生かして、ドラゴンを生け捕りにする大砲のようなものを発明する。トゥースは実はそれに引っ掛かってしまったのだった。ドラゴンが落ちた辺りを探しに行き、傷ついたトゥースを見つけたヒックは、ナイト・フューリーを倒せばヒーローになれると知りつつ、殺すことができない。何故、殺さなかったかについては、後に初恋の相手であるアスティに聞かれて答えているけど、この気持ちが重要なんだなと思う。難しく言えば同調なんだろうけど、要するに"相手を思いやる"ということ。これが大切。それは、相手を優先するということではなくて、相手の気持ちを推し量るということ。もちろん、人の考え方や感じ方はそれぞれだから、こうだろうと考えたことが、違っていることもあるけど、それでも気を使ってくれたことは伝わるはず。
ヒックはトゥースが尾羽根の片方を失っていることに気づき、義翼を作り、もう一度トゥースを飛ばそうとする。初めは警戒していたトゥースも、次第に心を開く。おずおずとヒックが差し出した手の平に、トゥースがコツンと頭をつけるシーンが大好き! ネコを飼っていたら、絶対経験あるはず! ネコ嫌いの方の理由の1つに、自分勝手だからというのをよく聞くけど、ネコ好きにとってはそこが魅力。いくら呼んでも来ないのに、抱っこしてと脚をよじ登ってきてくれた時の喜びといったら(笑)このシーンの場合は少し違って、警戒してた相手が初めて心を開いてくれたわけだから、喜びもひとしお。ヒックの気持ちがよく分かる。そして、このシーンに至るまでが丁寧に描かれているので、2人が"相棒"になっていく感じがすんなり入ってくる。
ヒックは試行錯誤しながら、トゥースの義尾翼を作って、谷でトゥースとともに試す。簡単に説明すると、義尾翼に連結したハンドルが取り付けられたハーネスみたいなものと、鞍みたいなものをトゥースに装置してヒックが乗り、義尾翼を操作しながら飛ぶというもの。警戒するトゥースをなだめて義尾翼を取り付ける。最初は暴れて振り落とされたり、上手く飛べなかったりするけど、ヒックは根気よく改良を続ける。それはもちろんトゥースのためだと思うけど、トゥースを飛ばしてあげることに夢中になっている部分もある。そしてそれが正しい姿なんだと思う。介護問題となると、自身は体験したこともないし、もっともっと大変な側面があると思うので、そう簡単ではないと思うけど。でも、やっぱりそういう側面があったから、ヒックは頑張れたんだと思う。この辺りも、決して長い時間はかけていないのに、丁寧に描かれているので、すごくよく伝わってくる。子供達はきっと、こんなおばちゃんみたいにいちいち分析しなくても、感覚で理解できると思う。
鍛治屋のゲップはドラゴンとの度重なる戦いで、片腕と片脚を失っている。だから今はめったに前線には立てない。なので戦いに参加させてもらえないヒックの気持ちがよく分かる。ヒックの父親ストイックは、自身が頭であるため、息子を愛しているけど、後継ぎとしては失望している。ゲップはドラゴンと戦うのが向いていないのであれば、得意なことを極める道もあるのでは?とストイックに言うけど、"バイキングの男はこうあるべき"という価値観を捨てられない。それは間違っているわけではないし、村をおさめる頭ならば、意見がぐらついてしまうのも違うのかなとも思うのだけど、全ての人や事が一つの価値観で計れるはずもなく、ヒックのように"規格外"の人物ができてしまう。でもそれは、一つの考え方によってであって、いろんな見方をしたら"規格外"の人なんていないはずなのだけど…
ヒックも村で暮らす以上、村の価値観にそって考えてきた。だから、足手まといだと言われながらもドラゴンと戦う日を夢見ていた。初恋の相手アスティが華麗にドラゴンを退治してみせれば、憧れと同時に自分のダメさ加減に情けない思いをしたりしていた。そんなヒックの気持ちを察したゲップの助言で、ヒックもドラゴン退治の練習に加わることになるけど、あんなに望んでいたのに嬉しくない。ドラゴン達は穏やかに接したら攻撃を仕掛けてこないことが分かったし、トゥースの仲間を殺したくはない。ヒックはドラゴン達=退治するものという図式に疑問を持ちつつ訓練に参加する。攻撃することに躊躇するから、いつも一歩遅れてしまう。仲間はヒックをダメだと決めつけて、足手まといだと思う。でも、そんなヒックがドラゴン達をおとなしくさせるようになると彼を英雄扱いする。それは力で屈服させたわけではなく、実は彼らの警戒心を解いただけのこと。そして、それはトゥースとの触れ合いによって学んだこと。この辺りもきちんと段階を踏んで描かれているから、ヒックが少しずつドラゴンのことを理解していく過程や、疑問が確信に変わっていく感じも、しっかりと伝わる。チビッコ達にもきっと分かる!
急にヒーローになったヒックを不審に思ったアスティは、彼の後をつけて行き、ヒックの秘密を知る。アスティを乗せたヒックとトゥースが大空を舞うシーンは、ホントに全てが美しくて、気がついたら涙が止まらなくなってた。実は、思い出すと今も泣きそう(笑) 風景の美しさもそうだし、初恋の少年と少女が空を舞うのもそうだし、一心不乱に飛ぶトゥースのうれしそうな姿もそう。それはヒックとトゥースの間にしっかりと友情が芽生えている証拠。すごいスピード感で、見たこともない絶景の中を飛び回るシーンは感動! 無条件で泣いてた(笑) ホントに大画面で、しかも3Dで見てよかった!
この夜空の大飛行で、2人はドラゴン達の秘密を知る。この秘密はデカイ! 文字通りデカイ(笑) 訓練の成績優秀者による公開ドラゴン退治試験に合格すると、ヒックはドラゴン退治に参加できるようになる。ドラゴンを退治したくはないけど、自分もみんなと同じように出来ると認めて欲しい気持ちも分かる。不本意ながらも、期待に応えなければと思う気持ちも。でも、みんなの期待が裏目に出てしまう… 人間の前に姿を現すことのなかったトゥースが、ヒックの危機に夢中になって飛んで来る姿にまた涙。なんてかわいい(涙) 捕らえられたトゥースを救おうと、父親を説得するため、ドラゴン達の秘密を話してしまうヒック。ヒックはもちろんこの秘密をきちんと解決するつもりだったけど、父が決めた方法じゃない。この辺の行き違いの感じは、ハラハラしつつも、お互いの立場や考え方の違いを考えれば、こんなことになっちゃうよねと思い、短絡的なストイックや、上手く説明できないヒックにイライラすることはない。どちらが正しくて間違っているかは、いろんな考え方があるけれど、チビッコだってきっとヒックと同じ意見のハズ!
ここまでの展開も、この後の展開も、とっても王道。こうあって欲しいという方向に進むし、こうあって欲しいと思う位置に着地する。ただ、ヒックにとっては辛い勲章を授かってしまうけれど… 実は、現在8巻(日本では6巻)まで出版されている原作にはないエピソード。原作は未読だけど、パンフレットによると、伝説のバイキング ヒック・ホレンダス・ハドック3世の自伝を、原作者のクレシッダ・コーウェルが英訳したという形をとっているらしく、ヒック達はドラゴンを飼い馴らせる唯一のバイキングで、ドラゴン訓練でトゥースレスというチビドラゴンとコンビを組んで以来、2人(?)で数々の冒険をするという話らしいので、今回の映画は別物かも。原作に思い入れがあると違和感があるかも知れないけれど、未読の身としてはこの大胆な変更は良かったんじゃないかと思う。ヒックはそれまで努力して段階を経てきたし、ヒックの身に起きたことは悲劇だけど、成し遂げたことは大きい。だからヒックならきっと、これからも困難に打ち勝っていけるハズ! そんな希望が持てるラストだった。そして、障害のある方や子供達にも、ヒックの存在が心強く感じるんじゃないかと思う。
声優さん達の演技もよかったと思う。得にヒックは一人もしくは、トゥースに話すことが多いので、一人でずっと喋りっぱなしになる。少年のはずなのに大人声だったから、最初のナレーションでは困惑気味だったけど、ヒックのあのあきらめの表情と、台詞のトーンがピッタリ合ってた。有名俳優やタレントを使わず、プロの声優さんのみだったのは良かったと思う。個人的には俳優のスキルと、声優のスキルって違うと思っているので。あと、ご本人の顔が浮かんでしまうし。
画がホントに素晴らしい! ヒック達が身につけている毛皮の質感とか、髪の毛の感じとかビックリするくらいリアルなのに、顔の感じがアニメっぽい。そのバランスも良かった。あんまりリアル過ぎるのも違うと思うし。風景がすごく美しかった。飛べなくなったトゥースがいた谷のようなところは幻想的で美しい。そして、前にも書いたけど、トゥースがヒックとアスティを乗せて大空を舞うシーンの美しさ! これはホントに劇場で見て良かった!
とにかく少年とドラゴンの友情、少年と父親との関係、少年の初恋、少年の成長がきちんと丁寧に描かれている。大切なことがたくさん詰まっていて、押し付けがましくない。子供達に是非見てほしい。甥っ子達にも見せてあげたい!
『ヒックとドラゴン』Official site
'10.09.23 甥っ子T画伯&K画伯作品集
前日から甥っ子2号Kくんがお泊り中。帰りが遅かったので、朝会った(笑) 粘土細工をしていたので、写真撮影! この粘土も下に見えてる赤いテーブルも家から持参(笑) ひよこは型抜きだけど、自分でつけた足がカワイイ!
甥っ子K画伯(4才)の粘土作品。型抜きですが… http://p.twipple.jp/SSxPB Posted at 01:07 PM
K画伯の"ひよこ" 足かわいい
K画伯の"ウサギ&数字"
この日ホントはサッカーの試合があったお兄ちゃんのTくんは、3時頃合流! 早速、粘土細工を始めた。お兄ちゃんは型を使わず作っていくのはさすが! トラは最初口が笑っちゃってたけど、しまじろうを参考に修正!
お兄ちゃんT画伯(6才)の粘土作品 トラだそうです http://p.twipple.jp/XfXJC Posted at 03:37 PM
T画伯の"トラ"
T画伯粘土作品第2弾 ドーナツとサカナ http://p.twipple.jp/yptzG Posted at 03:50 PM
T画伯の"ドーナツ&サカナ"
でも、カニの口は笑っちゃったね(笑) 最初、目は胴体についていたけど、こちらも修正。左は私が直したけれど、右はTくん本人が修正。
T画伯の"カニ" 口笑っちゃってる(笑)
T画伯の全作品
右上から:火山 → トラ → サカナ → ドーナツ → カニ → シマウマ
http://twitter.com/maru_a_gogo
前日から甥っ子2号Kくんがお泊り中。帰りが遅かったので、朝会った(笑) 粘土細工をしていたので、写真撮影! この粘土も下に見えてる赤いテーブルも家から持参(笑) ひよこは型抜きだけど、自分でつけた足がカワイイ!
甥っ子K画伯(4才)の粘土作品。型抜きですが… http://p.twipple.jp/SSxPB Posted at 01:07 PM
K画伯の"ひよこ" 足かわいい
K画伯の"ウサギ&数字"
この日ホントはサッカーの試合があったお兄ちゃんのTくんは、3時頃合流! 早速、粘土細工を始めた。お兄ちゃんは型を使わず作っていくのはさすが! トラは最初口が笑っちゃってたけど、しまじろうを参考に修正!
お兄ちゃんT画伯(6才)の粘土作品 トラだそうです http://p.twipple.jp/XfXJC Posted at 03:37 PM
T画伯の"トラ"
T画伯粘土作品第2弾 ドーナツとサカナ http://p.twipple.jp/yptzG Posted at 03:50 PM
T画伯の"ドーナツ&サカナ"
でも、カニの口は笑っちゃったね(笑) 最初、目は胴体についていたけど、こちらも修正。左は私が直したけれど、右はTくん本人が修正。
T画伯の"カニ" 口笑っちゃってる(笑)
T画伯の全作品
右上から:火山 → トラ → サカナ → ドーナツ → カニ → シマウマ
http://twitter.com/maru_a_gogo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!
赤塚不二夫生誕75周年
もちろん、知ってるけど毎度のWikipediaで調べてみた!
赤塚 不二夫(あかつか ふじお、本名:赤塚 藤雄)は、日本の漫画家。
1956年に貸本漫画『嵐をこえて』でデビュー。
その後石森章太郎を慕い、トキワ荘に入居。
以後作品発表の舞台を漫画雑誌に移し、
1962年に『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』の大ヒットで一躍人気作家となる。
1967年に代表作である『天才バカボン』の爆発的ヒットと、
その後の『もーれつア太郎』『レッツラゴン』といった一連のヒット作や、
長期連載作品等により「ギャグ漫画の王様」[1]と謳われ、
戦後ギャグ漫画史の礎を築いた。
とのことで、詳しくはWikipediaで!
先生、意外に若かったんだな・・・
お誕生日おめでとうなのだ!
赤塚不二夫生誕75周年
もちろん、知ってるけど毎度のWikipediaで調べてみた!
赤塚 不二夫(あかつか ふじお、本名:赤塚 藤雄)は、日本の漫画家。
1956年に貸本漫画『嵐をこえて』でデビュー。
その後石森章太郎を慕い、トキワ荘に入居。
以後作品発表の舞台を漫画雑誌に移し、
1962年に『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』の大ヒットで一躍人気作家となる。
1967年に代表作である『天才バカボン』の爆発的ヒットと、
その後の『もーれつア太郎』『レッツラゴン』といった一連のヒット作や、
長期連載作品等により「ギャグ漫画の王様」[1]と謳われ、
戦後ギャグ漫画史の礎を築いた。
とのことで、詳しくはWikipediaで!
先生、意外に若かったんだな・・・
お誕生日おめでとうなのだ!
'10.08.30 『おにいちゃんのハナビ』(試写会)@よみうりホール
yaplogで当選! いつもありがとうございます。実はこの日『ミレニアム2』の試写会にも応募しててたんだけど、こちらは残念ながらハズレ(涙) でも、これも良さそうなので楽しみに行ってきた。
*ネタバレありです!
「白血病での病院生活から半年ぶりに自宅に戻った華。入院中に引きこもりになっていた兄を、何とか外に連れ出そうとする。地元名物の花火大会に、兄の同級生達が花火を奉納すると聞き、参加させようとするが…」という話。かなりベタなシーンが多かったけど泣けた。王道ストーリーで、思ったとおりに展開して、思ったとおりに終わるけど、ボロボロ泣いてしまったのは、王道ゆえ。そして、主役2人がよかった。
これ実話がベースとのこと。2005年に放送された、中越地震の1年後を取材したドキュメンタリーで紹介された、妹の追善供養のために花火を奉納する20歳の兄のエピソードが、監督の心を掴み、今回の映画化となったのだそう。チラシにはそこまでしか書いていないので、実際のお兄ちゃんが引きこもりだったのかは不明で、白血病で妹さんを亡くされたのかも分からない。ただ、映画としては引きこもりから立ち直る話とした方が、2人の絆が際立つし、お兄ちゃんの妹への思いに説得力があったように思う。
見る前は、てっきりお兄ちゃんは花火師なんだと思っていたので、20歳で引きこもりの青年と聞いてビックリ。ビックリすることもないけど(笑)一家は以前東京に住んでいたけど、体の弱い華のため、空気の良い新潟県小千谷市片貝に越してきた。東京にいた頃は友達も多く、明るかったお兄ちゃんの太郎は、転校先で馴染めず、高校を卒業するまで友達はできなかった。すっかり自信を失った太郎は、卒業後、大学にも行かず、就職もしないと言い出し、両親に責められる。自分がこんな状況になっているのは、したくもない転校をしたからだと言う太郎に、華のためには仕方がないだろうと言う父親、では自分のためには何をしてくれたのだとキレる太郎を殴ってしまう父。そして引きこもり…
うーん。太郎が引きこもりになってしまった理由を、甘えだと言ってしまえばそうなんだけど、やっぱり思春期にこの経験は辛いと思う。いじめにあったというセリフはないので、"透明な存在"ということなんだと思う。また、家ではどんな感じだったのかも分からないので、両親が気づいていたのかも不明。いじめはもちろん辛いけれど、それを回避するために"透明な存在"になったからといって辛くないわけじゃない。『カラフル』のレビューにTB頂いたりして、他の方の記事を拝見させて頂くと、休み時間や教室の移動時に1人なのは辛いことだと書かれていた。自分にも少し経験がある。単純に寂しいってことじゃなく、自分は誰からも必要とされない無価値な人間なんだと思ってしまう。それが辛い…
妹の体調のことは十分理解していて、自分の状況を"妹のせい"とは思っていない。でも、体の弱い妹を心配する両親に甘えられなかった側面はある。自身も長女で長子なので、経験があるけど、上の子って今まで独占してきた両親の愛情が、自分から妹もしくは弟に移ってしまったと感じる瞬間がある。子供なのでそんなにハッキリ理解できるわけじゃないから、自分のことが好きじゃなくなったんだと思ってしまう。そして、素直に甘えられなくなる。でも、甘えたい。そもそもアピールしなくても親は見ててくれたから、甘えアピールがヘタ。で、すねたりして「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なのに」と言われてしまい、さらに自己嫌悪… この年になってみれば、そういう一つ一つが、きちんと理解できるし、両親の愛情がなくなったわけじゃないことも分かる。でも、どんなことでも、悩んでいる最中は、出口が見えなくて辛い… そして、それを乗り越えても、新たな悩みが来るし(笑)
長々、長子の辛さばかり書いたけど、下の子って実は一人だけ愛情独占した時期ってないのかも知れない。もちろん、赤ちゃんのうちは比重が大きくなるけど、上の子にも注意は向いてるわけだし。だからかもしれないけど、下の子は自己アピールが上手いというか、ポジショニングが上手い気がする。ちゃっかりしてる部分もあるけど、憎めないというか… 6歳と4歳の甥っ子達を見てるとすごく感じる。下の子の成長をかなり見落としている気がするし… もちろん、どっちもかわいいので、愛情の濃い薄いの問題じゃない!
と、何を長々と甥っ子達の事まで書いてきたかと言えば、太郎と華のキャラの違いが、誇張されている部分はあるけど、長子と下の子って感じがするなと思ったから。例えば太郎が引きこもるきっかけになった両親とのシーンで、「俺のために何かしてくれたことあるのか?」というセリフの裏に、ただ華の病気だけではない、さっきからつらつら書いてきたことが根底にあるのかもと思ったから。そして、越してきてから華にはたくさん友達ができるのに、自分にはできないことの劣等感に、ますます追い詰められたところで、少し休みたいと甘えてみたものの、受け入れられず深みにはまって上記のセリフ、そして父親から殴られて引きこもり。正直、甘い部分もあるけど、透明な存在であることや、両親に愛されていないんじゃないかという思いや、妹に対する劣等感、社会に対する不安などで、押し潰れそうになる気持ちは分かる気がする。
華は2番目の子なので、生まれた時から自分1人だけが注目されていたことはあまりない。だから、自分の居場所を作るのが上手い。家族の中で、自分の居場所をポジショニングしてきたから、場を読むのも上手いし、他人の中でも上手くポジショニングできるんだと思う。華に友達が多いのは、もちろん彼女の性格がいいからだし、努力もしていると思うけれど、太郎が考えているほど、華にとっては難しいことじゃないのかも。そして、華は自分の体が弱いため、家族に迷惑をかけているという思いがある。お兄ちゃんが辛い思いをしているのも自分のせいだと思っている。だからこそ、あえて明るく振舞っている部分もあるのかもしれない。太郎が引きこもってしまったと知り、あの手この手で部屋から出そうとする。引きこもりの人に対して、どう対処するのが正解なのか分からないけれど、このズカズカ入ってくる感じはいいのかも知れない。谷村美月ちゃんは『おと な り』でも、やっぱり他人の家にズカズカ入り込んでくる役をやっていた。この役はどうにも好きになれなかったけど、今回は良かったと思う。それは、あちらが完全に自分のためだったのに対して、こちらはお兄ちゃんのためだし、やっぱり家族だから。例え、嫌がる兄を友達3人と一緒に街へ連れ出すという、太郎の最も苦手な体験をさせているとしても、少々やり過ぎながら嫌ではないのは、その辺りのことがきちんと伝わったからだと思う。
亡くなった妹さんのために花火を上げるという話なので、華は病気が再発して亡くなってしまう。だから、前半は2人の仲のいい姿がたっぷり描かれる。太郎が始めた新聞配達のアルバイトに、毎朝自転車の荷台に乗って一緒に回るのは、太郎に続けさせるためだけじゃなくて、自分も楽しいのだと思う。兄と妹というより、恋人っぽい(笑) ちょっと大袈裟な気がしないでもないけれど、後に華の存在がいかに太郎の支えであったかということで、彼が華のために花火を上げることに説得力を持たせている。20歳と高校生の兄妹にしては、ちょっと子供っぽいくらい無邪気だけど、後の伏線だからOK。華が亡くなってしまうと知っているからかもしれないけれど、どのシーンもキラキラと輝いている。特に2人が自転車に乗って、曲がりくねった道を、「気持ちいい」「気持ち良いな」と言いながら走るシーンが好き。
華の病気は白血病。華によると、白血病は自覚症状がほとんどないのだそう。ただ、ぶつけた覚えもないのにアザが出来ていたら、その兆候だそうで、華もアザが出ていたのに、4人そろってご飯を食べるという夢が叶うまで、アザのことは黙ったままで、雨の中太郎の帰りを待ち続けたために体調を崩して再発という図式は、ちょっと注意が足りない気がするし、それで命を落としたら、また兄に傷を負わせることになりはしないかと思ったり… 時々、感動させようとするあまり、あざといとは言わないけれど、ちょっと興ざめしてしまうシーンがあったのが残念。両親土下座シーンとか(笑)
映画の舞台となっている新潟県小千谷市片貝では、毎年"片貝まつり"と呼ばれる花火大会が開催される。この花火大会は、県民が花火を奉納する形で行われる。結婚や出産など人生の節目に家族や個人で奉納する他にも、片貝中学校を卒業すると同時に会を作り、20歳、33歳、42歳、還暦に奉納されている。来年成人するというのに友人のいない太郎を、華は会に入れようとする。始めは断られるが、再発した華に花火を見せるため、自ら頭を下げて入れてもらう太郎。でも、なかなか溶け込めない。この辺りのおずおずした感じを高良くんが好演。消極的ながらも、次第に仲間に溶け込んでいく感じにも説得力があって良かった。でも、華のための花火を上げるため、時間とお金を全て注ぎ込みたいと考えた太郎は、会を辞めてしまう。花火当日、玉送りで花火玉を打ち上げ会場に運ぶ会の仲間達の前に立ちはだかる両親が、太郎を仲間に加えてやって欲しいと土下座。これはやり過ぎな気が… 太郎は引きこもっていたけど、今は前向きに頑張っているのだし、会を抜けたのは彼の意志。太郎に寂しい思いをさせたという負い目や、彼が頑張っているからこその行動だとは思うけど、成人する息子に対してこれは過保護だし、彼の決意に対して失礼な気がした。どうせベタなら、会のメンバーが迎えに来る設定の方がよかったかも。
とはいえ、再び会のメンバーとなり、始めはおずおずと花火玉を引いていた太郎が、会場入りする頃には楽しそうにはしゃいでいる姿には、思わず微笑んでしまうのだけど(笑) 片貝まつりのシーンは大迫力で、花火の映像がホントに美しい。花火って上空で破裂した後、火の玉みたいになって広がっているんだね。その形と色の美しさには感動。それぞれの思いが込められた花火は美しく、それを見守る人々の表情を見ていると、微笑ましいと同時にうらやましくなる。太郎の配達する新聞を毎朝待っていてくれるおばあちゃんのために、家族が奉納する花火に感動。でも、やっぱり感動的なのは華のための花火。どんな花火かは書かずにおくけど、見たら絶対感動するはず! ホントに美しくてカワイイ花火だった。タイトルの『おにいちゃんのハナビ』はダブルミーニングになっているので、お楽しみに。
キャストは主役2人が良かった。正直、セリフ廻しなどは拙い部分はあるけれど、一生懸命さが心を打つ。谷村美月ちゃんは、体が弱いがゆえに前向きに、毎日大切に生きている感じを上手く演じていたと思う。ちょっといい子過ぎかなという気がしないでもないキャラを、嫌味にならず演じていて良かったと思う。ただ、これは彼女だけのせいではないけど、太郎を連れ出しての買物シーンや、ファーストフード店でのはしゃぎっぷりは、ちょっとやり過ぎな気が… 楽しそうな場面で微笑ましいけど、同じ店内にいたら迷惑かも(笑)
高良健吾くん良かった。ちょっとセリフが聞き取りにくい部分もあったりするけど、引きこもって人と関わりを持つことに臆病になっている太郎には合っていると思う。上手いなと思ったのは、無理矢理連れ出された先での立ち方。右肩が上がってて、左半身が少し引けてる感じが、オタクっぽいというか、他人と関わるのが苦手な感じが伝わった。華に連れていかれた会での居心地の悪そうな感じとか、断られてしまうと、別に入りたいわけじゃないと言っちゃう感じとかも良かった(笑) 華に引っ張られて少しずつ変わって行くのは、自分もそうしたいからだし、お見舞いに毎日行くのは、華のためだけじゃない。不器用ながら少しずつ進んで行く感じは良かった。資金を稼ぐためバイトも増やし、自分で花火玉を作る。だんだん日に焼けて逞しくなっていくのも良かった。ベタな言い方だけど、どんどんいい顔になっていった。
主役2人が良かっただけに、両親の演技が大袈裟だったのがちょっと残念だったかも… 母親の宮崎美子も、父親の大杉漣も良かったのだけど、前述の土下座シーンといい、ラスト太郎と抱き合うシーンといい、ちょっと大芝居… まぁ、脚本や演出もあるので、2人のせいだけではないのだけど… 若い役者さん達の拙いながらも一生懸命な演技が、見る側の心を打つような作品の場合、ベテラン俳優達の芝居がやけに大袈裟に感じてしまうのは何故だろう。あと、ベタなシーン多過ぎ。ベタなのも嫌いではないのだけど(笑) 塩見三省さんが出てたのがうれしかった。あと「時効警察」の真加出くんが出てたのもビックリ!
と、何だかけなしてるみたいだけど、土下座以外のベタなシーンでは泣かされてしまった。前にも書いたけど、兄妹がチャリに乗って坂を下るシーンと、花火のシーンはホントにキレイ。これは映画館の大画面で見る価値あり! 主役2人もいいので、爽やかな感動ものが見たい方にはオススメ!
気づけば長文(笑) でも、なんとか締め切りに間に合った!
『おにいちゃんのハナビ』Official site
yaplogで当選! いつもありがとうございます。実はこの日『ミレニアム2』の試写会にも応募しててたんだけど、こちらは残念ながらハズレ(涙) でも、これも良さそうなので楽しみに行ってきた。
*ネタバレありです!
「白血病での病院生活から半年ぶりに自宅に戻った華。入院中に引きこもりになっていた兄を、何とか外に連れ出そうとする。地元名物の花火大会に、兄の同級生達が花火を奉納すると聞き、参加させようとするが…」という話。かなりベタなシーンが多かったけど泣けた。王道ストーリーで、思ったとおりに展開して、思ったとおりに終わるけど、ボロボロ泣いてしまったのは、王道ゆえ。そして、主役2人がよかった。
これ実話がベースとのこと。2005年に放送された、中越地震の1年後を取材したドキュメンタリーで紹介された、妹の追善供養のために花火を奉納する20歳の兄のエピソードが、監督の心を掴み、今回の映画化となったのだそう。チラシにはそこまでしか書いていないので、実際のお兄ちゃんが引きこもりだったのかは不明で、白血病で妹さんを亡くされたのかも分からない。ただ、映画としては引きこもりから立ち直る話とした方が、2人の絆が際立つし、お兄ちゃんの妹への思いに説得力があったように思う。
見る前は、てっきりお兄ちゃんは花火師なんだと思っていたので、20歳で引きこもりの青年と聞いてビックリ。ビックリすることもないけど(笑)一家は以前東京に住んでいたけど、体の弱い華のため、空気の良い新潟県小千谷市片貝に越してきた。東京にいた頃は友達も多く、明るかったお兄ちゃんの太郎は、転校先で馴染めず、高校を卒業するまで友達はできなかった。すっかり自信を失った太郎は、卒業後、大学にも行かず、就職もしないと言い出し、両親に責められる。自分がこんな状況になっているのは、したくもない転校をしたからだと言う太郎に、華のためには仕方がないだろうと言う父親、では自分のためには何をしてくれたのだとキレる太郎を殴ってしまう父。そして引きこもり…
うーん。太郎が引きこもりになってしまった理由を、甘えだと言ってしまえばそうなんだけど、やっぱり思春期にこの経験は辛いと思う。いじめにあったというセリフはないので、"透明な存在"ということなんだと思う。また、家ではどんな感じだったのかも分からないので、両親が気づいていたのかも不明。いじめはもちろん辛いけれど、それを回避するために"透明な存在"になったからといって辛くないわけじゃない。『カラフル』のレビューにTB頂いたりして、他の方の記事を拝見させて頂くと、休み時間や教室の移動時に1人なのは辛いことだと書かれていた。自分にも少し経験がある。単純に寂しいってことじゃなく、自分は誰からも必要とされない無価値な人間なんだと思ってしまう。それが辛い…
妹の体調のことは十分理解していて、自分の状況を"妹のせい"とは思っていない。でも、体の弱い妹を心配する両親に甘えられなかった側面はある。自身も長女で長子なので、経験があるけど、上の子って今まで独占してきた両親の愛情が、自分から妹もしくは弟に移ってしまったと感じる瞬間がある。子供なのでそんなにハッキリ理解できるわけじゃないから、自分のことが好きじゃなくなったんだと思ってしまう。そして、素直に甘えられなくなる。でも、甘えたい。そもそもアピールしなくても親は見ててくれたから、甘えアピールがヘタ。で、すねたりして「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なのに」と言われてしまい、さらに自己嫌悪… この年になってみれば、そういう一つ一つが、きちんと理解できるし、両親の愛情がなくなったわけじゃないことも分かる。でも、どんなことでも、悩んでいる最中は、出口が見えなくて辛い… そして、それを乗り越えても、新たな悩みが来るし(笑)
長々、長子の辛さばかり書いたけど、下の子って実は一人だけ愛情独占した時期ってないのかも知れない。もちろん、赤ちゃんのうちは比重が大きくなるけど、上の子にも注意は向いてるわけだし。だからかもしれないけど、下の子は自己アピールが上手いというか、ポジショニングが上手い気がする。ちゃっかりしてる部分もあるけど、憎めないというか… 6歳と4歳の甥っ子達を見てるとすごく感じる。下の子の成長をかなり見落としている気がするし… もちろん、どっちもかわいいので、愛情の濃い薄いの問題じゃない!
と、何を長々と甥っ子達の事まで書いてきたかと言えば、太郎と華のキャラの違いが、誇張されている部分はあるけど、長子と下の子って感じがするなと思ったから。例えば太郎が引きこもるきっかけになった両親とのシーンで、「俺のために何かしてくれたことあるのか?」というセリフの裏に、ただ華の病気だけではない、さっきからつらつら書いてきたことが根底にあるのかもと思ったから。そして、越してきてから華にはたくさん友達ができるのに、自分にはできないことの劣等感に、ますます追い詰められたところで、少し休みたいと甘えてみたものの、受け入れられず深みにはまって上記のセリフ、そして父親から殴られて引きこもり。正直、甘い部分もあるけど、透明な存在であることや、両親に愛されていないんじゃないかという思いや、妹に対する劣等感、社会に対する不安などで、押し潰れそうになる気持ちは分かる気がする。
華は2番目の子なので、生まれた時から自分1人だけが注目されていたことはあまりない。だから、自分の居場所を作るのが上手い。家族の中で、自分の居場所をポジショニングしてきたから、場を読むのも上手いし、他人の中でも上手くポジショニングできるんだと思う。華に友達が多いのは、もちろん彼女の性格がいいからだし、努力もしていると思うけれど、太郎が考えているほど、華にとっては難しいことじゃないのかも。そして、華は自分の体が弱いため、家族に迷惑をかけているという思いがある。お兄ちゃんが辛い思いをしているのも自分のせいだと思っている。だからこそ、あえて明るく振舞っている部分もあるのかもしれない。太郎が引きこもってしまったと知り、あの手この手で部屋から出そうとする。引きこもりの人に対して、どう対処するのが正解なのか分からないけれど、このズカズカ入ってくる感じはいいのかも知れない。谷村美月ちゃんは『おと な り』でも、やっぱり他人の家にズカズカ入り込んでくる役をやっていた。この役はどうにも好きになれなかったけど、今回は良かったと思う。それは、あちらが完全に自分のためだったのに対して、こちらはお兄ちゃんのためだし、やっぱり家族だから。例え、嫌がる兄を友達3人と一緒に街へ連れ出すという、太郎の最も苦手な体験をさせているとしても、少々やり過ぎながら嫌ではないのは、その辺りのことがきちんと伝わったからだと思う。
亡くなった妹さんのために花火を上げるという話なので、華は病気が再発して亡くなってしまう。だから、前半は2人の仲のいい姿がたっぷり描かれる。太郎が始めた新聞配達のアルバイトに、毎朝自転車の荷台に乗って一緒に回るのは、太郎に続けさせるためだけじゃなくて、自分も楽しいのだと思う。兄と妹というより、恋人っぽい(笑) ちょっと大袈裟な気がしないでもないけれど、後に華の存在がいかに太郎の支えであったかということで、彼が華のために花火を上げることに説得力を持たせている。20歳と高校生の兄妹にしては、ちょっと子供っぽいくらい無邪気だけど、後の伏線だからOK。華が亡くなってしまうと知っているからかもしれないけれど、どのシーンもキラキラと輝いている。特に2人が自転車に乗って、曲がりくねった道を、「気持ちいい」「気持ち良いな」と言いながら走るシーンが好き。
華の病気は白血病。華によると、白血病は自覚症状がほとんどないのだそう。ただ、ぶつけた覚えもないのにアザが出来ていたら、その兆候だそうで、華もアザが出ていたのに、4人そろってご飯を食べるという夢が叶うまで、アザのことは黙ったままで、雨の中太郎の帰りを待ち続けたために体調を崩して再発という図式は、ちょっと注意が足りない気がするし、それで命を落としたら、また兄に傷を負わせることになりはしないかと思ったり… 時々、感動させようとするあまり、あざといとは言わないけれど、ちょっと興ざめしてしまうシーンがあったのが残念。両親土下座シーンとか(笑)
映画の舞台となっている新潟県小千谷市片貝では、毎年"片貝まつり"と呼ばれる花火大会が開催される。この花火大会は、県民が花火を奉納する形で行われる。結婚や出産など人生の節目に家族や個人で奉納する他にも、片貝中学校を卒業すると同時に会を作り、20歳、33歳、42歳、還暦に奉納されている。来年成人するというのに友人のいない太郎を、華は会に入れようとする。始めは断られるが、再発した華に花火を見せるため、自ら頭を下げて入れてもらう太郎。でも、なかなか溶け込めない。この辺りのおずおずした感じを高良くんが好演。消極的ながらも、次第に仲間に溶け込んでいく感じにも説得力があって良かった。でも、華のための花火を上げるため、時間とお金を全て注ぎ込みたいと考えた太郎は、会を辞めてしまう。花火当日、玉送りで花火玉を打ち上げ会場に運ぶ会の仲間達の前に立ちはだかる両親が、太郎を仲間に加えてやって欲しいと土下座。これはやり過ぎな気が… 太郎は引きこもっていたけど、今は前向きに頑張っているのだし、会を抜けたのは彼の意志。太郎に寂しい思いをさせたという負い目や、彼が頑張っているからこその行動だとは思うけど、成人する息子に対してこれは過保護だし、彼の決意に対して失礼な気がした。どうせベタなら、会のメンバーが迎えに来る設定の方がよかったかも。
とはいえ、再び会のメンバーとなり、始めはおずおずと花火玉を引いていた太郎が、会場入りする頃には楽しそうにはしゃいでいる姿には、思わず微笑んでしまうのだけど(笑) 片貝まつりのシーンは大迫力で、花火の映像がホントに美しい。花火って上空で破裂した後、火の玉みたいになって広がっているんだね。その形と色の美しさには感動。それぞれの思いが込められた花火は美しく、それを見守る人々の表情を見ていると、微笑ましいと同時にうらやましくなる。太郎の配達する新聞を毎朝待っていてくれるおばあちゃんのために、家族が奉納する花火に感動。でも、やっぱり感動的なのは華のための花火。どんな花火かは書かずにおくけど、見たら絶対感動するはず! ホントに美しくてカワイイ花火だった。タイトルの『おにいちゃんのハナビ』はダブルミーニングになっているので、お楽しみに。
キャストは主役2人が良かった。正直、セリフ廻しなどは拙い部分はあるけれど、一生懸命さが心を打つ。谷村美月ちゃんは、体が弱いがゆえに前向きに、毎日大切に生きている感じを上手く演じていたと思う。ちょっといい子過ぎかなという気がしないでもないキャラを、嫌味にならず演じていて良かったと思う。ただ、これは彼女だけのせいではないけど、太郎を連れ出しての買物シーンや、ファーストフード店でのはしゃぎっぷりは、ちょっとやり過ぎな気が… 楽しそうな場面で微笑ましいけど、同じ店内にいたら迷惑かも(笑)
高良健吾くん良かった。ちょっとセリフが聞き取りにくい部分もあったりするけど、引きこもって人と関わりを持つことに臆病になっている太郎には合っていると思う。上手いなと思ったのは、無理矢理連れ出された先での立ち方。右肩が上がってて、左半身が少し引けてる感じが、オタクっぽいというか、他人と関わるのが苦手な感じが伝わった。華に連れていかれた会での居心地の悪そうな感じとか、断られてしまうと、別に入りたいわけじゃないと言っちゃう感じとかも良かった(笑) 華に引っ張られて少しずつ変わって行くのは、自分もそうしたいからだし、お見舞いに毎日行くのは、華のためだけじゃない。不器用ながら少しずつ進んで行く感じは良かった。資金を稼ぐためバイトも増やし、自分で花火玉を作る。だんだん日に焼けて逞しくなっていくのも良かった。ベタな言い方だけど、どんどんいい顔になっていった。
主役2人が良かっただけに、両親の演技が大袈裟だったのがちょっと残念だったかも… 母親の宮崎美子も、父親の大杉漣も良かったのだけど、前述の土下座シーンといい、ラスト太郎と抱き合うシーンといい、ちょっと大芝居… まぁ、脚本や演出もあるので、2人のせいだけではないのだけど… 若い役者さん達の拙いながらも一生懸命な演技が、見る側の心を打つような作品の場合、ベテラン俳優達の芝居がやけに大袈裟に感じてしまうのは何故だろう。あと、ベタなシーン多過ぎ。ベタなのも嫌いではないのだけど(笑) 塩見三省さんが出てたのがうれしかった。あと「時効警察」の真加出くんが出てたのもビックリ!
と、何だかけなしてるみたいだけど、土下座以外のベタなシーンでは泣かされてしまった。前にも書いたけど、兄妹がチャリに乗って坂を下るシーンと、花火のシーンはホントにキレイ。これは映画館の大画面で見る価値あり! 主役2人もいいので、爽やかな感動ものが見たい方にはオススメ!
気づけば長文(笑) でも、なんとか締め切りに間に合った!
『おにいちゃんのハナビ』Official site