2016.05.04 『レヴェナント 蘇えりし者』@TOHOシネマズ市川コルトン
もう何度も書いて申し訳ないけど、デカプーことレオナルド・ディカプリオ登壇のジャパンプレミア当選してた。枚数オーバーで入場できず その代わりとして貰ったムビチケを使って、快晴だけど風の強いGW後半中日に見に行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「西部開拓時代のアメリカ西部。ヒュー・グラスは先住民の妻との間に生まれた息子ホークと共に、毛皮ハンター達のガイドとして同行中、子連れの熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。隊長はグラスが助からないと判断し、最期を看取り彼を埋葬してくれる者を募る。ホーク、ジム・ブリジャー、そしてジム・フィッツジェラルドが残ることになる。しかし、フィッツジェラルドはグラスの目の前でホークを殺害し、グラスを生き埋めにして置き去りにしてしまう・・・」という話。なんとこれ実話ベースなのね? しかも、同じ原作を元に一度映画化もされているとか? それは知らなかった。思っていたのとは少し違っていたけど、156分飽きることなく見れた。とにかく、エマニュエル・ルベツキのカメラワークと映像がスゴイ。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 (感想はコチラ)のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作品。撮影は前作に続きエマニュエル・ルベツキ。毎度のWikipediaによりますと、原作はマイケル・パンクの「蘇った亡霊:ある復讐の物語」(The Revenant: A Novel of Revenge)で、これは実在の罠猟師ヒュー・グラスの壮絶なサバイバル体験を描いた作品。前述したとおり、同じ原作で1971年にリチャード・C・サラフィアン監督による『荒野に生きる』(『Man in the Wilderness』)が公開されている。
アメリカ公開は2015年12月25日プレミア公開、2016年1月8日一般公開。日本では2016年4月22日公開。相変わらずの時間の空きっぷりはなんとかならないのか? 第73回ゴールデン・グローブ賞映画作品賞 ドラマ部門、映画作品賞 ドラマ部門 主演男優賞、監督賞受賞。そして、第88回アカデミー賞監督賞、主演男優賞、撮影賞受賞など各映画賞で主要な賞を受賞、もしくはノミネートされている。アカデミー賞作品賞ノミネート作品ながら、公式サイトもWikipediaも情報少なめ。製作に関する部分とか、キャストの変遷などの記載もないので、いつものように書くことができなくてちょっと寂しい
少しだけ実在のヒュー・グラスのことも書いておこうかな? Wikipediaにはかなり詳細に記述があるけど、全部は書けないのでとりあえずザックリ要約しておく。出生は1780年前後。両親は現北アイルランドのアルスターから移民してきたスコティッシュ・アイルランド系。伝記には様々な脚色が加えられており、熊に襲われる以前にグラスがどこで何をしていたのかは不明とのこと。1822年にウィリアム・ヘイリー・アシュレー将軍の名で、毛皮貿易を目的とした探検隊の募集広告が掲載され、グラスはこの2回目の探索に参加。この年の8月、グラスは子連れのハイイログマに遭遇し襲われてしまう。仲間のトマス・フィッツパトリックと、ジム・ブリジャーに助けられるも重傷を負ってしまう。アシュレー隊長はグラスが助からないと判断。最期を看取り埋葬する者を募り、トマス・フィッツパトリック(23才)と、ジム・ブリジャー(19才)が残ることとなる。しかし、2人はグラスから銃と旅道具などを盗んで放置してしまう。
グラスは武器も旅の道具もなく、片脚を骨折していた。アメリカ領で一番近いフォート・カイオワまではミズーリ川沿いに320キロ。6週間、草の実と根を食べて飢えをしのぎ、あるときは幼いバイソンをしとめて食らいつく狼2頭を追い散らして肉を口にし、あるときは友好的な先住民に出会うと、開いた傷を保護するため背中にクマの皮を縫いつけてもらい食べ物と武器を受け取ったりしながら、生還を果たす。街に戻ったグラスは"蘇った亡霊"と呼ばれたが、これは戻るを意味するフランス語revenirから派生した英語、reverantをあてたあだ名とのこと。現在ではrevenantというのは、帰ってきた者という意味でも使われているらしい? 復讐のためフィッツパトリックとブリジャーを探す旅に出たようだけれど、ブリジャーに関しては若さに免じて赦したそうで、フィッツパトリックについては入隊を理由に復讐を断念したとのこと。後半生についてはWikipediaでどうぞ。
うーん。事前に息子を殺し自分を置き去りにした相手に復讐する話だということは知っていたので、てっきりそれがメインなんだと思っていた。意外になかなか復讐しない(笑) 原作は未読なので、どの程度実際に忠実なのか、またどの程度原作に忠実に映画化しているのか不明なのだけど、実際のグラスが結局復讐はしていないことも関係ありなのかな? でも、やっぱりこれは復讐よりもサバイバルがメインなのでしょう。壮絶なサバイバル体験を通して、グラスがどう変わったか、どのような境地に達したのかということを描きたいということなのだと思う。全体の約3分の2がグラスのサバイバル、3分の1が前半の導入部から熊に襲われ置き去りにされるまでと、生還して復讐部分という印象。あくまで印象なので実際の配分は違うかもしれないけど、自分はこんな比重に感じた。それくらいサバイバル部分が長い。
ということで、サバイバル部分に関しても、先住民に襲われたりとちょこちょこアクセントになる出来事はあるけど、基本はグラスが雪山を這いつくばったり、歩いたりしているシーンが続く。映画としてはそれで飽きてしまうことがないのがスゴイのだけど、そのシーンをいちいち文章に書いても全くおもしろくないし、細々覚えているわけでもない。なので、いつものようにシーンごとに詳細を書いて、そこに感想を加える書き方は違うかなと思う。なので、サバイバル部分についてはザックリと書きつつ、自分が重要だと感じたり、おもしろいと思ったシーンについては詳しく記載しようかなと思う。まぁ、どうでもいいことだけど、一応断り書きとして書いておく
さて、冒頭。雪景色の森の中。凍てつくような川の中を進む男たち。少年もいる。このカメラワークがスゴイ。彼らの背後から横に回り込むような感じで、しかも煽るように顔を映す。人物のアップはほぼこの下から煽るアングル。これは緊迫感があってスゴイ。こんな間近で撮られたら俳優も緊張するし、圧迫感があると思うけど、見ている側も同じく緊張する。何か獲物を狙っているかのよう。1人は主人公のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)で、少年は彼の息子のホーク(フォレスト・グッドラック)。このシーンの意味があまり分からなかったのだけど、ガイドであるグラスが危険がないか見回り中に熊などを見つけたということだったのかな? それとも、ホークに狩りを教えてるってことだったのかな? 後者のような気もする・・・ 彼らが獲物をしとめたシーンは映されない。代わりに近くで野営している毛皮商の隊が映る。そして銃声。この銃声に不快感をあらわにするジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)。銃声で何かを刺激してしまうことを懸念しているのだった。確かにそうなのだろうけれど、何となく嫌な感じの男。まぁ、この人物がグラスの復讐相手になると知っているせいもあるかもしれないけれど、最初から喧嘩腰という感じで、その後もグラスのことをよく思っていない描写が度々入る。この辺りは伏線として上手いと思った。
フィッツジェラルドが心配したとおり、銃声に刺激されたのか先住民の一団に襲われてしまう。この場所はアリカラ族の土地であったこともあり、ポワカという娘を連れ去ったのがこの狩猟隊だと考えたからでもあった。フィッツジェラルドの機転もあり、最低限の毛皮を運び出すことに成功するも、隊は多くの犠牲者を出してしまう。冒頭の静けさから一転、この襲撃シーンはスゴイ迫力だった。船に乗り込み辛くも逃げ切った狩猟隊。アンドリュー・ヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)はグラスの指示を仰ぐ。この辺りの川はアリカラ族の統治下であるため、山越えルートを提案するが、フィッツジェラルドが猛反対。隊長は少し心が揺れつつも、終始グラス案を採用すると言っているのに、執拗に川下りルートを主張するフイッツジェラルド。彼は、グラスと彼の息子を侮辱する発言までする。かなりしつこくてゲンナリするけど、ここでの確執を描いているから、後にフィッツジェラルドがグラスを置き去りにすることに説得力を持たせている。この論争をしている間に、一部の隊員たちが船で川を下ってしまい、山越えルートを行かざるを得なくなる。
グラスの生い立ちなどについては一切語られない。妻と息子のことについてもサラリと回想シーンで見せる程度。回想シーンの感じによると、どうやらグラスは先住民のある部族と暮らしていたらしい。何故彼らと暮らしていたのかは不明。その部族の娘と恋に落ち、ホークが生まれたらしい。ホークが7歳くらい(?)になるまで彼らと共に暮らしていたようなので、結構長く一緒にいたっぽい。こちらも回想シーンによると、どうやら急襲に遭い村は焼かれ、その際ホークは顔に火傷を負い、妻は矢が当たって命を落としてしまう。これは辛い。知らなかったとはいえ、フィッツジェラルドの発言は酷い。まぁ、もちろんこんな過去がなくても、人の家族を侮辱していいはずないけれど・・・
さて、いよいよ熊! 見回りのためなのか1人で森を歩くグラス。そこに子連れのハイイログマが。子供がいたから気が立っていたのか、母親熊が突然グラスを襲う。今作、とことんリアルにこだわるため、極力スタントなし、CGなしで撮影したらしいけれど、これはさすがにCGだよね? かなりリアルだったのだけど、さすがに熊と取っ組み合いはしてないよね?(笑) スゴイ迫力だった。熊は一度去るけど、グラスが銃を手にすると戻って来る。ギリギリ撃つも仕留めることが出来ず再び襲われてしまう。仲間が駆けつけた時には首を裂かれ瀕死の状態。背中などにも傷を負い、脚も骨折している。助からないと判断されても仕方がないかもしれない。とはいえ、当然麻酔なしで傷を縫い、脚を伸ばすなどの応急処置をして、板の上にグラスを寝かせて皆で運んでくれる。思っていたより長い間運んでくれる。前述したとおり、復讐メインだと思っていたので、この仲間の対応は意外だった。しかし、冬の山道を歩くのは自分たちだけでも大変なのに、寝たきり状態の成人男性を運ぶのは大変な作業。とうとう限界に達し、隊長はグラスの回復は見込めないと判断。フィッツジェラルドの助言に従い安楽死させようとするが果たせない。そこで報酬を出してグラスの最期を看取り、彼を埋葬する者を募る。すると、息子のホークと、若いジム・ブリジャー(ウィル・ポールター)、そしてフィッツジェラルドが残ることになる。グラスを見捨てるべきだと発言していたフィッツジェラルドが、この役目を買って出たのは報酬目当てなのでしょう。ところで、公式サイトによるとブリジャーは、グラスの下でガイド見習いをしているとのことだけど、そういう説明あったかな? ブリジャーは早い段階からグラスを助けようとしていたのだけど、その理由がちょっと分かりにくかったので、公式サイトを見て納得。
3人はグラスを見守るけれど、正直彼が助かると信じていたのはホークのみだったと思う。フィッツジェラルドに至っては死を望んでいる。ホークとブリジャーがそばを離れた隙に、彼に生きることを諦めるように言う。グラスの反応を合意と受け取ったフイッツジェラルドは、グラスの首を絞めて殺そうとしているところをホークに見つかり、止めに入った彼をグラスの目の前で殺してしまう。遺体を隠し、戻って来たブリジャーにホークは行方不明だと告げる。そして、ブリジャーにグラスは助からないから、彼を埋めて仲間の後を追おうと持ち掛ける。もちろんブリジャーは反対するけれど、結局フイッツジェラルドに押し切られてしまう。報酬をもらう約束をしているわけだから、任務を遂行する義務があるし、人道的にもしてはならない行為だと思う。フイッツジェラルドに関しては最初からグラスを助ける気などさらさらない様子なので、同情の余地はないけれど、ブリジャーに関して言えば、気持ちが分からなくもない。それだけ極限状態であるともいえる。ブリジャーはせめてもと自ら削って模様をつけた水筒(?)を置いて行く。 この水筒は模様を彫っている時点で、フィッツジェラルドに注意されたりして、見ている側に注目させているので、その後もキッチリ見ていたけど、後に重要な役割を果たす。
全てを奪われたグラス。土の中で目を覚ますと動かない体を引きずり、文字通り地を這って皆の後を追う。埋葬されることもなく、雪の中に放置されたホークの遺体を見つけるシーンは切なかった。同時に見ている側にもフィッツジェラルドに対する怒りがこみ上げる。ここからグラスの壮絶なサバイバルが始まる。雪山を這い、生の魚を食べ、フィッツジェラルドが向かったであろう砦を目指す。そうしている間に、足を引きずっているものの、立ち上がって歩けるようになっているので、結構長い間彷徨っていたのかもしれない。先住民に襲われたりと、映画としても結構な時間を割く。ただただグラスが這っているだけのシーンが続いても飽きてしまうことがないのは、やっぱりこだわり抜いた映像と、デカプー熱演によるものか?
雪原で倒れてしまい、目を覚ますと先住民の男性が動物の肉を食べていた。分けて欲しいと手ぶりで訴え、生肉をむさぼるグラス。やがて2人は身の上話を始める。先住民の男も妻子を失ったことから、連帯感のようなものが生まれる。安心したせいかグラスは体調を崩し、高熱を出して倒れてしまう。吹雪の中男は1人グラスを運び、木の枝を切りテントのようなものを作ってグラスを寝かせる。男の手際の良さと淡々とした作業に、なんだかとっても印象に残った。しかし、翌朝グラスが目を覚ますと、なんと男は木に吊るされていた。このまま2人で砦まで行くのか?と思っていたので、かなりショックだった。近くにフランス(カナダ?)の毛皮隊の一団がいる。彼らが男を吊るしたのでしょう。何のために?
グラスは一団に見つからないように近づき、馬を盗もうと考える。その時、1人の男が先住民の女性を連れて来て、暴行を始める。この女性こそアリカラ族のポワカ(メウラ・ナケコ)だった。グラスはポワカだと知っていたわけではないと思うけれど、彼女を助け馬を奪って逃走する。一団が気づいて追って来る。そこにポワカを探していたアリカラ族が攻め込んで来て、乱闘となる。グラスも追われ、追いつめられて馬ごと崖から落ちてしまう。このチェイスの迫力もスゴかったし、何といっても馬ごとダイブのシーンがスゴイ。グラス目線になっているので、自分も一緒に落ちていく感覚。怖い 意識を取り戻したグラスは、死んだ馬の腹を裂き、内臓を取り出して、裸になって腹の中で眠る。かなりショッキングなシーンだけど、自分は『馬々と人間たち』(感想はコチラ)で同様のシーンを見ていたので、内臓を取り出した時点で想像がついたので、驚かなかったけど、初見だったら衝撃的だったと思う。
一方、フィッツジェラルドとブリジャーは砦に辿り着く。フイッツジェラルドは隊長にグラスの死を見届け埋葬した、ホークはどこかへ去ったと嘘の報告をする。隊長はこれを信じて2人に報酬を払うが、ブリジャーは受け取らない。ブリジャーはフイッツジェラルドを咎めるが、逆に銃を突きつけられてしまう。そんな中、フランス隊の生き残りの男が砦に連れてこられる。男はブリジャーがグラスのために置いて行った水筒を持っていた。それを見つけたブリジャーはグラスが生きていることを確信。これを聞くと隊長は自らグラス捜索に向かい、倒れているグラスが発見する。戻ってみるとフイッツジェラルドは金庫内のお金を持ち出し逃亡していた。グラスは隊長にフィッツジェラルドに息子を殺されたこと、生き埋めにされ置き去りにされたことを告げ、自ら復讐したいと申し出る。隊長はこれを承諾し、自らも共に向かうことにする。しかし、フィッツジェラルドムカつくわ~(*`д´) 隊長が同行してくれるのは意外。これはやっぱり責任感なのかしら? 隊長であるってこともそうだし、あの時判断を誤ったことに対するつぐないをしているようでもあった。
さて、ここから2人の追跡が始まる。とはいえ、数日かかる感じでもなかったし、上映時間的にもそんなに長くはない。でも、結構雪原を行く2人のシーンが続く。ここで隊長は任務の過酷さから、家に帰っても妻の顔を覚えているか分からないなどと弱音を吐く。この時点で死亡フラグか?と思ったらやっぱりだった(笑) 二手に分かれてフィッツジェラルドを探そうということになり、先にフィッツジェラルドを見つけた隊長。説得するけれど、もちろん聞くはずもない。銃声が響き、見ている側は隊長が撃たれたことを確信する。グラスが遺体を見つけると、隊長の頭部の皮が剥がされていた。実は、フィッツジェラルドは以前、先住民(だったよね?ギャング団だったっけ?)に捕まったことがあり、その際に頭皮を剥がされていたのだった。これは何か意味があるのかな?屈辱的なってことだけ?
グラスは隊長の遺体を隊長の馬の背に乗せ、けん引して歩を進める。場面が切り替わって高い位置からグラスの姿を捉える。銃を構えるフィッツジェラルドの目線。馬上のグラスを狙い撃つ。ゆっくりと馬上から倒れるグラス。フィッツジェラルドが遺体を確かめに来る。何故か遺体には突っ張り棒の枝。馬上に居たのは隊長の遺体。後ろの馬の背にクの字に垂れ下がっていたのがグラス!グラスはフィッツジェラルドを撃つ。ここから格闘が始まる。ここ結構長め。いつの間にか川のほとりでもみ合う2人。結局、グラスが優勢となり、とどめを刺せば復讐完了となるが、何故か手を止める。復讐は神に委ねると言うのだった。川を下って行くフィッツジェラルド。すると、そこにアリカラ族の一団が現れる。そこにはポワカの姿が。そして、族長はフィッツジェラルドを殺す。これはポワカを救ったグラスへの恩返しということなのかな?そして、それが神の裁きでもあるということ?キリスト教徒ではないので、この宗教観については理解し切れていないと思う。
ラストはグラスのアップで終わる。原作は未読だし、実際のグラスについてもWikipediaの知識しかないので、グラスが壮絶サバイバルによって宗教的な思考を得たり、スピリチュアルなものに触れたりしたのかも分からない。でも、映画ではその辺りを全編通して描きたかったのかなと思う。スピリチュアルな部分というのは、グラスは度々妻の幻影を見る。最初の内は回想シーンのようでもあったけれど、次第に幻想的な感じになってくる。寝ているグラスの上に宙に浮くような感じで現われたり・・・ 前作でも、それが主人公の妄想なのか、現実に起きているのか分からない描写が多用されていたけど、これはイニャリトゥ監督の手法でもあるのかな?でも、『21グラム』や『バベル』(感想はコチラ)では、そんなシーンはなかったような・・・ 宗教観については、前述したとおり自分はキリスト教徒ではないので、よく分からないし、今作から感じたものがキリスト教の思想に則ったものなのかも分からない。でも、宗教的な死生観のようなものは伝わって来た。ただ、それが何なのかまでは分からなかった。グラスが生き抜いたこと、そして全てを奪った相手に対して直接は復讐しなかったことは、彼の中で変化が起きたのだと思うのだけど、あまりのサバイバルの壮絶さと、描こうとしていることの大きさにちょっとついて行けず。ぼんやりとした理解になってしまったのが残念。まぁ、多分自分の理解力が足りないだけだと思う(o´ェ`o)ゞ
キャストは全員とても良かった。ドーナル・グリーソンは、荒っぽい任務に向いていないけれど、必死に誠実であろうとする隊長を好演。彼の判断ミスが壮絶サバイバルを生んだわけでもあるのだけど、それを責めることは出来ない。それはドーナル・グリーソンのおかげ。ウィル・ポールターが若さゆえの純粋さを感じさせて良い。時には非情にならなければならない時もあるわけで、でもそれを納得できない青さのようなものを的確に表現していたと思う。個性的な風貌も合っていた。『リトル・ランボーズ』(感想はコチラ)のリー・カーターだよね?あと『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』(感想はコチラ)の憎たらしい従兄弟だよね?大人になったねぇ 悪役フィッツジェラルドのトム・ハーディがさすがの演技。フィッツジェラルドの言っていることは、正論ではないけど、全く間違っているわけではない部分もあるわけで、だけどやっぱり許せない役でなければならない。その辺りを見事に演じていたと思う。憎らしいけど憎めない、でもやっぱり憎らしいのはトム・ハーディのおかげ。
今作の一番の見どころは、念願のオスカーを受賞したレオナルド・ディカプリオの演技。『タイタニック』の世界的大ヒット以来、王子様的な人気が出てしまい、顔だけ役者のようなイメージになってしまったけれど、そもそもは『ギルバート・グレイプ』で天才子役と絶賛された演技派。もちろん、演技も評価されていたとは思うけれど、アカデミー賞という分かりやすい評価が得られなかったため、そのことがネタにされてしまうほど。ご本人もさぞ苦しんだことでしょう。そんな中、ようやくつかんだオスカー!イヤ、これはホントにアカデミー賞納得。演技の上手さということよりも、熊に襲われる、雪山を這いずり回る、生魚や生肉を食べる、凍るような川を泳ぐ、馬の腹の中に全裸で眠るなどなど、まさに体当たり。これだけやればオスカーあげてくれと言いたくなる(笑) もちろん演技も素晴らしかった。ホントによくやったよデカプー って上から(笑)
とにかく映像がスゴイ! Wikipediaによりますと、撮影は自然光、特に黄昏時の1時間半程度のマジックアワーにこだわり、撮影セットは東向きの朝用と西向きの夕方用の2種類が用意されたのだそう。劇中に登場する砦のセットは、全方位どこを写しても自然に見えることを目指して制作されたとのこと。時系列に沿って順撮りで撮影していたため、当初撮影したカナダでは、予想以上の暖冬であったこともあり、撮影中に雪が早々に溶けてしまったらしい そこで、季節が反対の南米の高地に移動して撮影が続行され、ロケ期間は9ヶ月に及んだ。撮影は実際にヒュー・グラスが置き去りにされた土地で撮影されたそうで、かなり過酷な状況だったらしく、機材が凍ってしまったり、俳優やスタッフたちが低体温症になったりしたのだそう。スタントは使わず、ディカプリオ自身も、凍った川に入ったり、ベジタリアンなのに実際に生肉を食い、動物の死体の中で眠る等、過酷なものであったとことで、あれは本当に食べていたのね (*`ロ´ノ)ノ
何度もしつこいけど映像がスゴイので是非映画館で見て欲しい。いわゆるレオ様目当てだと、かなり辛い体験になるかも?でも、俳優ディカプリオ好きな方なら必見です!
『レヴェナント 蘇えりし者』Official site