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【cinema】『ソルト』(ジャパンプレミア)

2010-08-31 01:39:06 | cinema
'10.07.27 『ソルト』ジャパンプレミア試写会@東京国際フォーラム

rose_chocolatさんのお誘い。rose_chocolatさんありがとうございました! アンジェリーナ・ジョリー舞台挨拶つき! かなり時間ギリギリだったけど、これは行くしかないでしょう! 生アンジー見たいぞ(笑) レッドカーペットイベントも行われるけど、私達は入場できない。そのかわり、スクリーンでイベントの模様を見ることができる。rose_chocolatさんが引き換えておいて下さったので、ゆったり座ってアンジー登場を待つ。

レッドカーペットイベントは国際フォーラムのロビーで行われる。黒の大きくスリットの入ったドレス姿のアンジーがエスカレーター上に登場! うわぁー セクシー! しかし、アンジーのセクシーなお姿をしっかり見れたのはここだけ。カメラマンの方! ヘタ過ぎます 写っていた時間の1/3は後ろ姿、残りがほぼ横顔… 一瞬こちらを向くも引いてしまう。ようやく角を曲がって正面向いたと思ったら、スゴイ勢いで場所移動… ソルトと書かれた報道陣用撮影ポイントでも、やっとアップきたと思ったら、またもやスゴイ勢いでの引き… どうやら、スリットから見えるアンジーの美脚を、下からなめるように撮りたかったみたいだけど、なめらかな動きとは言いがたく… まぁ、スクリーン上での鑑賞自体がご好意なのだろうから、見れただけでもありがたいことではあるのですが(笑)


やっとアップ撮影


急激に引かれたので勢いのある写真に(苦笑)

試写会は舞台挨拶つきなので、レッドカーペットイベントを終えたアンジーを待っての開始。伊藤さとりさんの司会で始まる。アンジー登場! 40列目くらいだったけど、会場自体が広いので遠い… 表情までは確認出来ず。でも、スタイルいい! すごいセクシーなんだけど、男っぽい印象。カッコイイ! 今回、スパイ映画ということで、本物のスパイの人に会って話を聞いたのだそう。スパイの人ってそんな気軽に会えちゃうものなのか? 元スパイ? 実際に会った印象はスパイは意外に地味で、孤独で、辛い仕事なのだそう。まぁ、そうでしょう…(笑) あらかじめ、質問も答も用意されている感じだけど、きちんと答えてくれてる印象。昼間の記者会見時には、パンツスーツで髪は下ろしてたみたいだけど、夜だけに夜会巻風。前述の黒のドレスはVERSACE、パンプスはGUCCIとのこと。今回はお子さん達も一緒に来日。なんと、この後すぐにソウルに向かうとのこと。ホントに女優さんはタフじゃないとできないね。というわけで本題へ…

*ネタバレありです 辛口かも?

「CIAエージェントのソルトは、仕事も充実し、愛する夫と幸せに暮らしていた。ある日、ロシアのスパイと名乗る男が自首してくる。男はソルトという名のロシアのスパイがCIA内部にいると告げるが…」という話で、アンジーが舞台挨拶でも語っているとおりスパイ映画。個人的にはアンジー鑑賞映画かなと… つまらなくはなかったけど、アンジーじゃないと辛いかも。

普通のOLちゃんにとって、スパイなんて映画か小説の中の出来事だろうと思っていたけど、つい最近アメリカでロシアのスパイが捕まったことを考えると、いまだにスパイというのは存在するんだね。イヤ中東とか、情勢不安な地域なら想像できるけど、冷戦時代が終わってずいぶん経っても、アメリカとロシアは探り合う関係なのかと思ってビックリ。まぁ、それこそスパイという言葉のない時代から、そういうことは行わていたし、会社内の噂話だって情報戦とも言えるか(笑) 多分、先日逮捕されたスパイも、アンジーの言うとおり活動自体も意外に地味で、いわゆるスパイ映画みたいに、銃撃戦を繰り広げたり、荒唐無稽なスパイ用具を使ってセキュリティをくぐり抜けたりしてはいない気はするけれど(笑)

で、何故スパイのことをそんなにつらつら書いたのかといえば、実際に地味なスパイに会ったと言うわりに、これはやっぱり"スパイ映画"なのであって、見所はアクションシーンとアンジーのみ(笑) まぁ、この2点だけでも十分楽しめるのだけど… うーん。感想終わっちゃったな(笑) まぁ、要するにアンジー堪能映画なのですが、原作のソルトは男性なのだそう。映画ではイブリン・ソルトとなっているけど、ホントはエドウィン・ソルトだったのだそうで、トム・クルーズが演じる予定だったらしい。うーん…

そもそも、さんざん書いたとおり、スパイ映画というのは、誇張があるものなのだと思っている。ホントの地味で孤独なスパイを描いて、見応えのある作品もたくさんあるけど、スパイ映画と聞いて思い浮かぶのは『007』シリーズとかのスパイアクションで、いかに危険で難しいミッションをやり遂げるかというもの。この作品ももちろん後者なんだけど、そこにイブリン・ソルトの悲しい生い立ちと、一人の人間としての幸せや、悲劇を盛り込んだという感じ。その幸せ部分のために彼女は闘ったのだろうから、そういう意味では男性よりも女性にした方が説得力があったかもしれない。そして悲劇がより際立ったかも。

ロシアスパイ達の目的は、自国の大統領を暗殺し、それを口実にアメリカに報復攻撃を行うというもの。そもそも原作の設定は現代なのかな? 冷戦時代ならともかく、いまだに微妙な関係ではあったとしても、自国の大統領を犠牲にするという作戦自体もさることながら、そもそもそこまでして今アメリカと戦う理由がよく分からない。まぁ、スパイ達が潜入したのはかなり前で、彼らが探している"ソルト"は少女の頃に、ロシア(ソ連?)で事故に遭い、両親を失った少女になりすましてアメリカに潜入しているので、当時はこんな情勢になるとは思ってなかったのかも知れないけれど。でもまぁ、そもそもの計画自体や、アクションが荒唐無稽だったとしても、そこはハリウッド・ルールのスパイアクションということでありかと(笑)

アクションシーンの迫力はスゴイ。CMでも流れてたと思うけど、逮捕されたソルトがパトカーから逃げるシーンは、CGなしで撮影されたとのことで、生の迫力はスゴイ! でも、CG慣れしてしまうとやっぱりこじんまり感はある。いくら"正義"のためとは言え、一般人を巻き込み過ぎなのもどうかと思うし。といっても、この映画も結局巻き込むけど(笑)ただ、何となくスピード感に欠けた気がする。アンジーの走りも遅い気がしたし(笑)

映画としては、CIAに現れた謎の男により、ロシアスパイの嫌疑をかけられたソルトが、いかにして逃走するかが第1の山場、逃走を続けるソルトが、ロシアスパイ達が計画を進めるロシア大統領暗殺を実行し逮捕され、再び逃走するまでが第2の山場。そして、ソルトの真の姿と目的が明らかになり、黒幕と対決するまでが第3の山場という感じなんだけど、黒幕自体もわりと早い段階で分かってしまうので、なんとなく一番盛り上がるべき第3の山場が一番盛り上がらず… そして何となくチープな印象。ホワイトハウスの地下には、シェルター状の執務室があるらしいけど、なんだかチープな感じ… まさか本物そっくりに作ってはいないと思うけど、それにしても世界大戦を起こせるだけの決定的な装置のある部屋にしては、なんとなくチープ(涙)

何十年も潜伏して指令を待ち続けたスパイが起こすにしては、何となく荒唐無稽で説得力に欠ける理由。着のみ着のままで脱出したはずのソルトが、豪華な衣装で登場。など、ツッコミどころ満載ながら、これはアンジー鑑賞映画なんだと思えば全てOK(笑) イヤ、バカにしてないです! アンジー鑑賞映画なんだという視点で見れば、良く出来た映画だと思う。冒頭から下着姿のアンジーが、北朝鮮の警察(?)から拷問を受けている。目が潰れるくらい殴られていても美しい! スパイ容疑をかけられたアンジーが逃走するため、監視カメラをふさいだのは、自分が身につけていた下着! スリットの入ったタイトスカートのまま、素足で逃走。一度家に戻ってジーンズに着替えるけど、いつ下着を着用したのか? 実は結構気になっちゃいました(笑) 変装のため黒髪に染めるアンジー。メイクも合わせてアイラインを強調してダークなイメージ。このアンジーもセクシー! ロシアスパイのアジトに向かう時には、ポンチョみたいなのがついてる黒のコートで、全身黒ずくめ。これは直後のシーンの伏線なのかな… そして、ラストは男装です。最初はちょっと変装してるけど、直ぐに素顔に戻るので大丈夫! まぁ肩幅とかが華奢なので、正直男性用の軍服は似合いませんが、マニッシュな格好はセクシー!

ソルトを追う同僚役でリーヴ・シュレイバーとキウェテル・イジョフォーが出てたくらいで、その他の役者さんはほとんど知らなかった。オルロフの人は見たことがある気もするんだけど… 上記の2人は上手いけど、この人達でなければという役柄でもないかも。それでもリーヴ・シュレイバーは後半に見せ場があって、映画としてもオチになっているんだけど、正直彼では弱いかな… もう早い段階で分かっちゃってるってこともあるんだけど、オチにならない感じって言ったらヒドイかな。特別推理力がなくても、そこしかないでしょってとこに落ち着くので、よっぽどのカリスマ性がないとオチとしては辛いかも… って失礼か(笑)正直、『特効野郎Aチーム』のオチも個人的には弱い気がするけど、あちらが楽しめたのは、バカだったから(笑) 褒めてます! 要するに楽しむところが他にもあったってこと。そもそも、テイスト自体が違うので、比較するのは間違いなので、比べてるわけではないんだけど。

多分、悲しい生い立ちのソルトという女性スパイが、愛する夫とのつかの間の幸せも壊されるという悲劇を背負い、ロシアスパイやCIAを敵に廻し、悪と一人対決するシリーズを作りたいんだと思う。それにしては旦那さんが地味だった(笑) っていうか、どう考えてもアンジーが男前過ぎるんだよね。登場人物の中で断トツで男前なので(笑) まぁ、だからこそクモを愛する穏やかな旦那さんを愛したのかもしれないけれど。ほどよくイケメンだし(笑)

この暗い感じは嫌いではないし。アクションシーンは見応えあり。山場がなんとなくチープになってしまったのが残念だけど、ラストのヘリコプター内でのキウェテル・イジョフォーとの駆け引きはよかったし、その後のシーンもカッコイイ。ここは切なかった。続編作る気満々な終わりもイヤではなかった。ただ、続編見るかは微妙… DVDなら見るかも。

アクションシーン満載だけど、話の内容が暗いのでスカッと感はない。適度に考えなくてはならないけど、オチは比較的分かりやすいので、そういう感じが好きな人はいいかも。黒髪アンジーはアメコミヒロインっぽいので、アメコミ好きな方もいいかも。アンジーファンなら是非!

バタバタしてて、記事UPに一ヶ月かかっちゃった(涙) もう終わってるかも…

『ソルト』Official site


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【cinema】『Colorful カラフル』(試写会)

2010-08-16 01:03:55 | cinema
'10.08.01 『Colorful カラフル』(試写会)@よみうりホール

yaplogで当選! いつもありがとうございます。普段アニメ映画ってジブリも含めてあまり見ない。苦手ということはないんだけど、なんでかな… 見てみようと思ったのは、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』の原恵一監督だったから。

*ネタバレありです!

「亡くなってあの世に向かう列に並ぶボクは、プラプラと名乗る少年に呼び止められる。抽選に当たったので、もう一度下界に戻るチャンスを与えると言う。ボクに与えられたのは自殺した中学生 小林真の体だったが…」という話。全体としてよかったと思う。感動して泣いてしまったシーンもあったし。でも、テーマというか小林真くんを取り巻く環境が重い… まぁ、自殺してしまったのだから、当たり前だけど。でも、そういう重いテーマを美しい背景と、ヒョロリと重力を感じさせないキャラ達が、演じる(?)ことによって、見ている側もそんなに重みを感じない作りになっているのがよかった。

小林真の中に入るまで、ボクのセリフはなく、字幕のみ。プラプラという関西弁の少年が、ボクの置かれた状況や、小林真についての概要を説明する。もちろんボクも質問はしているので、会話としては成立しているけど、見ている側は一方的にまくし立てるプラプラの、関西弁のみを聞いている。それがちょっと不思議な感覚。しかもこのボクは、せっかく新しい人生をやり直せるというのに、全く嬉しそうではなく、むしろ迷惑といった様子。そんな感じを誰かの声で語られても、あまりいい気分ではないし、ここでセリフがないのも、ボクがこんな感じなのも伏線でもある。多分、プラプラという名前も伏線。

全く知らなかったのだけど、原作は直木賞作家の森絵都の同名小説で、第46回産経児童出版文化賞を受賞している。1999年にはNHK-FMでラジオドラマ化、2000年にはKAT-TUNの田中聖主演で映画化もされている。うーん… KAT-TUNか(笑) 実写だとどんな感じなのか分からないけど、これはこの色のトーンを抑えたアニメで良かったのかなと思う。前にも書いたけれど、主人公を取り巻く環境はかなり重いので… 実写だと生々しいかも。

プラプラの説明によると、主人公なボクは大きな過ちを犯して死んだ罪な魂なので、本来ならば輪廻のサイクルから外されてしまい、もう2度と生まれ変われないはずだった。でも、抽選に当たったので、下界に戻り一定期間修業を受ける。前世の記憶が戻り、過ちを自覚した瞬間にホームステイは終了するというもの。辛いことも、悲しいこともたくさんあるけど、死んでしまおうと思ったことはないし、今のところ自分以外の誰かになりたいと思ってはいない。まぁ、もうそんなこと考える歳でもないし(笑) でも、不慮の事故で死んでしまい、もう一度チャンスを与えますって言われたらどうするだろうか…

主人公のボクは、このチャンスをありがたいとは思っていない様子。これを逃すともう2度と生まれ変われないと言われても、別にいいですというスタンス。よほど辛いことがあったのだろうかと思うと同時に、無気力な感じも受ける。でも、この態度にも意味がある。ボクのセリフが字幕のみなのもきいている。声のトーンが分からないので、ボクのホントの感情が直接伝わってこない。だから、見る人によって印象は変わると思う。その辺りも含めてカラフルなのかなと思ったりする。

結局、うむを言わせず、ボクは小林真の体にホームステイすることになる。小林真は、学校でいじめにあい、今では完全に存在感を無くした"透明な存在"。ある日、密かに想いを寄せている桑原ひろかが中年男性とラブホテルに入って行く姿を目撃してしまう。呆然としている真に、さらに追い撃ちをかけるように、母がフラメンコ教師と同じホテルから出て来た。絶望した真は、母親の睡眠薬を大量に飲んでしまった。ボクがホームステイしたのは、病院に搬送された小林真が息を引き取った瞬間。真が生き返って喜ぶ家族は、父親、母親、そして兄の満。退院した真を腫れ物に触るように扱う家族。でも、ボクには勝手が分からない。実はここがポイント。

ボクは小林真にホームステイしているだけだから、ホントは小林真ではないわけで、しかもあまり情報がもらえないので、小林真がどんな人物だったのかよく分からないまま、小林真として暮らさないといけない。家でも学校でも無難な言動をしているつもりなのに、何故か周囲は戸惑いを見せる。小林真はどういう人物だったのか… 所属していた美術部でも、彼の特等席はみなと離れた窓際の席。人と関わることを避けている様子。でも、急に積極的な発言をするようになった真を、初めこそ驚いていたけど、周囲は気にも止めていない様子。唯一、同じ美術部の佐野唱子だけが、別人のようだと言う。この同級生を、うっとおしく思うけれど、彼女だけが透明な存在だった真を見ていたと言える。

真になったボクは、初めのうちは人ごとだった、父親や母親の事で、だんだんイライラしたり、腹を立てたりするようになる。父親は人がいいだけのサラリーマンで、雑務を押し付けられ、残業ばかりで家庭を顧みる暇がない。優秀な兄は出来の悪い弟をバカにしている。母親は寂しさからか、フラメンコ教師と不倫。真はそんな家族を嫌っていて、家庭でも孤独だった。ボクの怒りは真の自殺の原因となった母親に向かっていく。この母親を麻生久美子が好演している。あの1度きりなのか、前から続いていることなのか分からないけれど、母親が過ちを犯したことは事実。でも、真のために必死で努力していることが、全て否定されるのは可哀相な気がする。それは麻生久美子のおかげ。そして、思春期特有の潔癖さと、やはり母親は女ではなく、母でいて欲しいという思いや、母に対する甘えが攻撃となって出てしまう。そして、また苛立つ。

真ほど深刻な状況じゃなくても、親に対して苛立った覚えは誰しもあると思う。それが反抗期だし、思春期だから。でも、あのイライラが実は自分の視野が広がって、世の中には自分の思い通りにならないことがあるということが、分かってきたけど、それを認められなかったからなんだと気づく。でも、真の親世代になってしまった今でも、思い通りにならなくてイライラすることはあるし、自分の感情をコントロールできないことはある。時々、子供みたいなキレ方する人もいる(笑) でも、さすがにこの年になれば、そのイライラの原因が何か分析して、解決できないまでも、気持ちの整理をつけることくらいはできるようになる。でも、ボク(真)にはそれがまだできない。

ボクの気持ちや心が、少し外に向けて開いたので、早乙女くんという友達ができる。目立つタイプではないけれど、誰にでも分け隔てなく接することのできる人物。こういう人が一番強くて、素晴らしい人なんだと思う。早乙女くんにとってはきっと普通のことなんだと思う。でも、普通に接してくれることが、誰かを救うこともある。一緒に行った靴屋で、早乙女くんにからかわれて、恥ずかしい思いをするけれど、それをイジメだとは思わずに、笑い話にできる。それは早乙女くんとの間に、信頼関係が築けたから。このエピソードはよかった。もちろん、からかいとイジメを混同してるわけではないし、イジメをしてる子は悪意を持ってやっているのだろうから、からかいとは違うと思っているけれど、こういうことをからかいだと思えるようになったのは、ボクにとってよかったことなんだと思う。

片思い中のひろかについては、ボクにしては大胆な行動に出る。やっぱりどうしても援助交際する気持ちは理解できない。彼女はサラリと綺麗なものやカワイイものが欲しいし、1回すれば2万だよと言うけれど… 彼女の背景とかが語られないので、もしかしたら家庭に何か問題があって孤独感を感じているのかもしれない。でも、寂しいから買い物をしてしまい、そのお金欲しさに体を売るという発想はどうしても理解できない。まぁ、貞操観とか道徳観とかは、世代によっても違うので、理解するのは無理なのかもしれないし、彼女達が後々後悔しなければいいのだとは思うけれど。ただ、ひろかは「美しいものが大好きなのに、時々壊したくなる」と言い、ただ1人理解した真の絵を黒く塗り潰そうとする。この辺りに彼女の葛藤があるんだと思う。ひろかの声は南明奈。ちょっと合わなかった気が…

早乙女くんという友達もできて、少しずつ外に向かって心を開いたけど、家族に向かっては鬱屈していく。特に母親に対しては、出された食事も食べない。父親と釣りに行く時に寒いだろうと買ってくれたダウンも着ない。この釣りの帰り道、何故真が飲んだ大量の睡眠薬があったのか、母親が受けた心の傷と、それに気づけなかった後悔を父親から聞くことになる。ボクは真ではないので、そんな話をされても的なスタンスで聞いているけれど、それなら何故イライラしているのか、何故許せないのかという矛盾には気づいていない。受験生でもある真の成績は最悪。心配した兄は、美術などいわゆる勉強以外の分野を伸ばす学校を探してくる。母親は既に下見に行っていた。家族が自分を思ってくれていることに気づき、初めて自分の本当の気持ちや、自分が本当にしたいことに気づく。そして、ボクが犯した過ちと、ボクが誰なのかも…

と、書いてしまうとオチが分かってしまうとかもしれないけれど、要するにこれは"再生"の話。ボクがホームステイしてホントの自分に気づくストーリーになっているけど、ほんの少し心を開けば、周りも変わるし、自分も変わるということを言いたいんだと思う。多分、真と同じような境遇にある人は、何故自分は被害者なのに、自分が変わらないといけないのかと思うんじゃないかと思う。自分も人によって傷ついた時にはそう思った。でも、自分の人生は自分しか生きられないし、自分についた傷を本当に癒せるのは自分しかいない。家族や友達も手助けはしてくれるけど、それは自分が求めないと気づいてもらえない。言わないでも分かって欲しいけど、ホントの思いは言わなきゃ分からない。イジメられてる相手なんか無視してやればいい。死んでしまったらもったいない。死んだ気になれば、生まれ変われる。ということが言いたいんだと思うし、それはとっても伝わった。人は一色じゃないんだというメッセージは、タイトルから想像はつくけど、真が辿り着いたのだと思えば、すんなり入ってくる。

小林真の冨澤風斗くんは感受性が豊かで繊細ゆえに、自分の感情を持て余してしまう感じを上手く演じていたと思う。佐野唱子の宮崎あおいはさすがに上手い。イジメにあっていた唱子もやはり感情を表すのが苦手。でも、不器用ながら必死に伝えようとする感じがよく分かる。父親の高橋克実は上手いんだけど、どうにもご本人の顔がチラついてしまって… このお父さんの絵には合ってなかった気がする。麻生久美子がよかった。この母親は確かに過ちを犯した。それは思春期の少年には堪えがたいこと。いくら、義母の態度に傷ついていても、家のことを一人で背負って孤独であっても、やっぱり言い訳にはならないと思う。でも、償おうとしても真に無視され続けて、苦しむ姿は可哀相だった。そう思えたのは麻生久美子のおかげ。

全体的に色のトーンを抑えた絵が印象的。近景は絵っぽいけど、遠景は写真っぽい。そういう景色の中、細い線でマンガっぽいキャラ達が描かれることで、少し距離感を持って見ることができた。かなり重い内容だけど、ズッシリ重くなり過ぎなかったのは、この画のタッチと希望が感じられるラストのおかげ。

音楽の使い方も良かったと思う。miwaという女性歌手が"僕が僕であるために"、エンディングで"青空"をカヴァーしている。やっぱり"青空"イイ! 鑑賞後、20代前半くらいの男の子が、「エンディングの曲いいな」って言ってたけど、もう元ネタがTHE BLUE HEARTSって知らないんだね(涙)

冒頭が強烈なだけに、日常が描かれる展開に中弛みを感じる部分もあるけど、良かったと思う。同世代に見てほしい。

『カラフル』Official site

※ちょっと、公私共にバタバタしていて、感想UP遅くなりました・・・ スミマセン


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【cinema】『特攻野郎Aチーム』(試写会)

2010-08-11 02:11:16 | cinema
'10.07.30 『特攻野郎Aチーム』(試写会)@一ツ橋ホール

yaplogで当選! いつもありがとうございます。ホントはこの前に『ソルト』ジャパンプレミアに行ってるんだけど、諸事情によりこちらを先に書くことにする。

*ネタバレありです!

「レンジャー部隊のハンニバル大佐は、途中で偶然出会った元レンジャーBAとともに、一人で敵地に向かった仲間のフェイスを救う。敵地から脱出するため、精神病院に入院中のマードックを退院させ、ヘリで脱出を図る。無事生還した彼ら4人は、チームを組み特殊任務を次々とこなしていくが…」という話で、これはもうあらすじのまま(笑) ストーリーとかそういうことは関係なく、アクションを楽しむ映画。そういう意味では、やり過ぎな部分も含めておもしろかった。

元は1983年1月23日から1987年3月8日まで、4シーズンに分けて、全98話が制作されたアメリカのテレビドラマ。日本でも放送された人気シリーズ。同行のYuweeの弟さんは大好きでよく見ていたみたいだけど、ウチの弟は「ナイトライダー」派だったので…(笑) 個人的には全く覚えがなかったので、新作映画の感覚で見てしまったのだけど、テレビシリーズを見ていた人は懐かしいかも。思い入れがあると、逆に違うと感じてしまったりするのかな? でも、wikiで調べたところによると、キャラ設定は変わっていないみたいだけど…

ハンニバルことジョン・スミス大佐は変装の名人で、ミッションの計画、指揮は天才的。葉巻がトレードマーク。テレビシリーズでは『ティファニーで朝食を』のジョージ・ペパードが演じていた。今回演じるのはリーアム・ニーソン。フェイス(テレビシリーズではフェイスマン)ことテンプルトン・アーサー・ペック中尉は、その名のとおりイケメンで、交渉事の達人。テレビシリーズではダーク・ベネディクトが演じており、今回は『ハングオーバー』のブラッドリー・クーパー。マードックことH・M"ハウリング・マッド"マードック大尉は、自他ともに認める世界一の戦闘機パイロット。現在は精神病院に入院中。革のフライトジャケットがトレードマーク。ちなみにRh-AB型。日本版でのニックネームはクレイジー・モンキー(笑) テレビシリーズは『スタートレック』のドワイト・シュルツ。今回演じるのは『第9地区 』のシャルト・コプリー! そして、BAこと"B・A"ボスコ・アルバート・バラカス軍曹。メカに強く、怪力の持ち主、そして飛行機嫌い。こちらもRh-AB型。日本版でのニックネームはコング… テレビシリーズのミスターTも、今回演じたクイントン・"ランペイジ"・ジャクソンも俳優兼格闘家とのこと。

と、長々人物紹介を書いてしまったけど、この作品の魅力はこのキャラが立ちすぎたメンバーと、荒唐無稽なアクションシーンかと思うので。っていうか、それしかありません(笑) だってミッション自体も強力磁石で、コンテナごと持ち上げてみたりと、手際は鮮やかながらバカ(笑) なので、これは真面目に見る映画ではなく、バカ映画として見る映画なんだと思う。もちろん褒めてます! そういう意味ではおもしろかった。正直、個人的には、シャルト・コプリーを見に行ったみたいなところあるので、それだけでOK(笑)

Aチームは危険な任務を次々こなして鼻高々。レンジャー部隊の中でも一目置かれる存在。そんな中、あるミッションが持ち上がる。フセインが使っていた、偽札製造機がイラク国外へ持ち出されるという。非常に精巧なドル紙幣を作り出す機械なので、組織の手に渡る前に奪還したいというもの。これに名乗りを上げたのが、我らがAチームとフェイスの元カノであるソーサが率いる部隊。ハンニバルは親友である将軍に直訴するも却下。その後の将軍とCIAエージェントの密談を知ってか、知らずか強行突破! 無事、機械は回収するものの、奪われてしまった挙げ句、軍法会議にかけられて、不名誉除隊の上、逮捕されてしまう。絶体絶命のピンチをどう乗り切るのか? 果たして彼らの名誉は回復するのか? というのが、今後の展開で、上記メンバー達が入り乱れて話は進む。

まずはどうやって仲間を救出するかってことだけど、これはハンニバル大活躍なんだけど、ある人物も協力している。この人物が敵か味方かってとこも伏線なんだけど、もうネタバレも何も(笑) 将軍の車が爆発された時点で、オチは分かる。だから、これは作戦そのもののバカさ加減を楽しむべき。個人的には、得意の交渉術で、満喫しているフェイスの刑務所ライフを見せるシーンで、Sex Pistolsの"Anarchy in the UK"が流れたのと、マードック救出シーンの本物の戦車登場が好き。あと、大砲を打って戦車を飛ばすという発想がスゴイ! 実際可能なのかは別として、もうレンジャーとしての才能なのか、何なのか(笑)

舞台はメキシコ、イラク、ドイツ、アメリカとかなりグローバルですが、そんなに世界を股にかけた感がないのは何故だろう(笑) 多分、どこでもやってることが荒唐無稽で、どこが舞台でも変わらないからだな。でも、そこがいいところ! でも、フェイスが駅の混雑を利用して、ソーサに接近したりするようなスパイっぽい作戦もあったりする。1人1人の得意分野がきちんと生かされるようになってて、それぞれ見所も用意されている。その分、オチは甘いけど(笑) 最初はビシッと決めてたCIAのパトリック・ウィルソンが、だんだん情けない姿になっていくのも見所。この辺りも実はきちんと計算されている。

キャストがみんなはまってる! ハンニバル役がリーアム・ニーソンと聞いて意外な気がした。あんまりアクションの印象がなかったし、バカ映画の印象もなかったので。でも、さすが名優! そこはバカ映画を変に高尚にし過ぎることなく、バカ映画として見応えのあるものにしていた。もちろん褒めてます! フェイスのブラッドリー・クーパーは、これと『ハングオーバー』しか見ていないけど、どちらも似たような役どころ。女たらし具合はこちらの方が上かも。個人的にこのタイプは苦手だし、ブラッドリー・クーパー自体もそんなに好みではないけど、この役はピッタリ。そして、ハンニバルに代わって立てた計画に自信が持てないところなんかは、実は真面目な一面も見せてよかった気がする。

BAの自動車好きや飛行機嫌いは元々の設定みたいだけと、クイントン・"ランペイジ"・ジャクソンがモヒカン頭のあの巨体で、マードックに愛車を潰されて大泣きしたり、飛行機に乗るたび麻酔を打たれている姿はかわいらしい。刑務所にいる間に信仰に目覚め、暴力反対派になるところも笑えた(笑) CIAのパトリック・ウィルソンはこんな役でいいのか? と思うくらい、あんまりおいしくない役の気がするんだけど…(笑) でも、前半のかっこよさはさすが! そして、マードックのシャルト・コプリー! 『第9地区』で主役に大抜擢されての今作。『第9』では、ファンになるにまでには至らずだったけど、今回この映画を見たいと思ったのは、彼のマードックがプロペラにぶら下がって意味不明なことを叫んでいる映像を見たから。期待に違わぬバカっぷりを発揮。しかも飛行機の操縦はスゴ腕というギャップがカッコイイ(笑) 自信が持てずにいるフェイスを勇気づけるシーンも好き。

とにかく4人のバカっぷりとアクションが見事! あまり難しいことを考えず、スカッと楽しみたい人にはオススメ!

エンドロールに出てきた年配の男性2人、もしかしてオリジナル・キャストかな? ハンニバルのジョージ・ペパードは故人なので、フェイスのダーク・ベネディクト、マードックのドワイト・シュルツ辺りかと…

『特攻野郎Aチーム』


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【cinema】『インセプション』

2010-08-08 23:32:12 | cinema
'10.07.24 『インセプション』@TOHOシネマズ六本木

これは見たかった! だってレッドカーペット行けなかったし(涙) 平日18:00六本木着はかなり辛い… ということでリベンジ!

*ネタバレありです! そして長文!

「他人の夢の中に入り込み、潜在意識を操作する産業スパイのコブは、エネルギー会社のCEOサイトーから仕事を依頼される。ある人物の夢に入り込み、ある考えを植え付けて欲しいという。意識の植え付けは大きなリスクをともなうが…」という話。これは面白かった! twitterによると某演出家と某女優(?)さんはダメだったそう。某女優(?)さんにいたっては、爆睡した挙げ句評価0点だったそう(笑) まぁ、これは極端な例としても、ダメな人は全然ダメかもしれない。基本的に個性の強い作品は好みが分かれるのは運命なので(笑)

まずはその発想がおもしろい! 特に原作はなく、脚本も手がけるクリストファー・ノーラン監督が構想10年の末映画化した。何でこんなこと思いつくんだろ? でもこれ、映像で見てももちろんおもしろいけど、小説で読んで頭で画を描いたらスゴイおもしろいと思う。だってコブやアリアドネ達がしていることは、まさにそういうことだから。つまり、数人でチームを組み、ターゲットと共に夢を共有する。そして、夢を構築して、ターゲットの意識下の情報を盗んだり、操作したりする。こんなことが実際に行われたら大問題だと思うし、概要説明はあるけど、基本的な夢をどうやって共有するのかってところの具体的な説明はなかったと思う。脳波計のようなものでつながって、みんなで一緒に寝ていたけど、どういう仕組みなのかは不明。そもそも、眠り(夢じゃなくて)なんてそんなに簡単にコントロールできるものなのか? というツッコミはなしで! とにかく、その世界観に浸るべし(笑)

この映画の主題は夢=深層心理を操れるかってことなので、コブとアーサーは夢のまた夢へと入って行く。この辺りが混乱するところかと思う。冒頭のサイトーからの挑戦で、サイトーの情報を盗むエピソードでは実はよく理解できなかった。これがきっかけで、サイトーがコブ達に依頼したのは、ライバル会社の次期社長に、ある考えを植え付けたいというもの。これは大変リスクが大きいので、通常3名で行うところ、精鋭を揃えて5名のチームを組む。対象者を眠らせる調香師ユスフ、対象者の身近な人物のイメージを自身に投影させる能力のあるイームス、夢の舞台となる箱(町並みや建物等)の設計者アリアドネが新たに加わる。彼らをスカウトしていく場面は現実だけど、どこか夢の中っぽくて好き。

コブはどうやらこの技術を義父である教授に習ったみたいで、自分より優秀な学生ってことで紹介されたのがアリアドネ。まだ少女のようなアリアドネがすごくいい。演じるエレン・ペイジが上手いので、この先の展開で単に夢を設計するだけでなく、重要な人物になっている。また、彼女だけが初心者なので、彼女の訓練自体や、そこから疑問に感じたことなどが、このシステムに関しての、見ている側への説明になっている。そういう意味でも重要人物(笑) とにかく、ここまではサイトーとの夢対決、メンバー集めでの中東の街でのチェイスなど、特に詳しい説明もなくスピード感のある展開で、少し不安になるけど、コブがアリアドネを連れていったパリの街で、解決するので大丈夫!

とにかくその映像が素晴らしい! 夢の中にいる自覚がなかったアリアドネに、少々荒療治ではあるけどパリの街を爆破して自覚させる。この爆破の映像がイイ! 普通のOLちゃんなので、爆発シーンなんて映画かテレビでしか見たことないけど、ホントに建物が爆発すると、埃が舞ったりするわけだけど、分かりやすく説明するため、お店のお花やフルーツがキレイに飛ぶ。そして飛んだまま止まる! この感覚がイイ。お花やフルーツの色合いもポップ。この映像はCMでも流れているので、こんな拙い説明よりもそちらをそちらを見た方が早いかも(笑)そして! こちらもさわりの部分だけCMで流れているけど、夢の構造と自分の仕事を理解したアリアドネが、パリの街を歪ませるシーンが圧巻! 奥の方からガーッと持ち上がってくる。どこでおもしろさを感じるかは人それぞれかと思うけど、個人的にはココ! 彼女の映像いじりはちょっとやり過ぎだけど、2人が仮想パリを歩きながら、どんどんアリアドネが理解して行くのと同時に、こちらも理解していく仕組みなので、ここでついていけないとキビシイかも。なぜなら、実際にターゲットに仕掛ける際には、夢らしい荒唐無稽さはあっても、パリの街を折り畳んじゃうような荒唐無稽さはムリなわけで、実はこのホテルのラウンジもアリアドネが設計したものだということを理解しつつ、進んで行かないと、3つ以上の夢の階層を下りて行くので、今どこにいるのか見失ってしまうと思う。見失っても楽しめるけど、これはやっぱりついて行かないと!

コブが設計の部分では素晴らしい才能を持っているのに、自ら行わないのは、ある秘密があるから。ずっとチームを組んでるアーサーも、深い理由までは知らない。それにはコブの妻モルが絡んでいる。詳しくは伏せるけれど、モルは自ら命を断った。妻殺しの容疑で追われる身となったコブは、義母に預けたままの子供達に会うために、この仕事を成功させて、その報酬としてサイトーの圧力で、この問題をクリアにしたいと考えている。モルに対して複雑な思いを抱える彼は、度々無意識下でモルを登場させてしまい、皆の足を引っ張ってしまう。モルの自殺の原因や、何故コブが疑われているのか、何度も映し出される最後に見た子供達の姿などは、違和感を感じたりするけれど、それはラストへの伏線になっている。

このモルという女性の心理がイマヒトツ理解というか、共感できなかった。ある考えに取り付かれてしまったのは分かるけど、それは母親としてどうか? でも、それら全てもラストの伏線ならば見事! このモルを演じたマリオン・コティヤールがイイので、悲しげでミステリアスな存在となっている。主要な人物で女性はモルとアリアドネのみなので、2人が対比となっているのもいい。まだ恋ではないけど、多分アリアドネはコブに惹かれている。コブの秘密が皆を危険にさらすことになるというだけではなく、コブ自身に興味を持っているから心配なのだし、知りたい。そして、彼女が時に強引に、時に優しく真相に迫ることにより、見ている側もコブの秘密とともに、夢の闇の部分を知ることになる。この構造が上手い!

問題を抱えたまま、チームはターゲットであるエネルギー会社次期社長ロバートを夢の中へと引き込む。ある考えが浮かんだ時、人はどこでその発想が浮かんだのか考えるものなので、意識の植え付けの場合、階層を3つ使い、簡単に探れないようにする必要があるそうで、舞台を変えて対象者に違和感なく刷り込みを行う構造になっている。もちろんここが見所! もうハンパなくおもしろかった! 全員で繋がって夢を共有し、夢の中で作戦を展開するんだけど、もちろん現実では寝てるわけで、戻るためには起きないといけない。この起きるための刺激をキックと呼ぶけど、全員で起きるためにはかなり大きな刺激が必要になる。そのため、夢をコントロールしてキックを起こす人が必要になるけど、これは夢主が行う。また、夢の中では時間の経過が現実より早く、現実では10分程度でも、夢の中では数日経っていたりする。階層を重ねて深く潜ると、この時間経過の速度は増す。それぞれの階層の夢主は、そのタイムラグを計算して、同時に各階層でキックを起こさないといけない。眠っていられる時間も限られているので、キックの時間までに任務を遂行しなくてはならない。この設定もおもしろい!

それぞれの階層で舞台が変わる。あんまり詳しく書いてしまうのもヤボなので、詳細は避けるけれど、1階層目の夢主はユスフ。ここはターゲットであるロバートに自然に近づくため、アメリカのビジネス街が舞台になっている。ニューヨークかボストン辺りかな・・・。雨が降っていて暗い感じ。ここで問題が生じる。ロバートは夢を攻撃されることを想定して、訓練を受けていた。コブ達はロバートの意識から攻撃を受けることになる。バンに乗り込みユスフ以外のメンバーは眠りにつく。2階層目の夢主はアーサー。ここはクラシカルなホテルが舞台。ラウンジでコブはロバートに接近し、彼の夢が狙われていることを告げ、彼の潜在意識を守るため、自分達と行動を共にすることを承諾させる。そしてさらに、3層目へと。3層目の夢主はイームスで、舞台はスキー場。実は、ここが目的地。ここで彼の弱点をつき、心理的に揺さぶりをかけ、ある考えを植えつけることが出来れば任務完了。後は、それぞれ上の階層で起こるであろうキックのタイミングにあわせて、キックを起こすだけ。でも、ここでもモルにじゃまをされ、さらに深い階層へ進まなくてはならなくなる。そして、この階層こそがコブの秘密。もうこの展開が面白い! 何でこんなこと考えつくんだろう?

コブの秘密については悲しくて美しい。モルについても、悲劇だけど、それが真実ならば、彼女的には幸せなのかも。モルは命を断ってしまうけど、それもラストの伏線なのかもしれない。夢で死ぬと目覚めると思っているけれど、実は"虚無"へ落ちてしまうそうなので・・・ コブが構築した世界観は、今まで見たこともない映像だった。SF的で、近未来的だけど、どこか懐かしい・・・ でも、現実感はない。この世界観はスゴイ! ここにはコブとモルの悲しい愛が溢れている。モルは精神のバランスを崩してしまうけれど、それほどまでに愛する相手を見つけられたというのはうらやましくもある。でも、他にも2人の愛すべき対象がいたことを忘れてしまうのはどうなんだろう? と思うけど、実はこれすら伏線なのかも。とにかく、全ての世界観がスゴイ。コブは結局、任務遂行を見届けるため、強引にメンバーに加わったサイトーが虚無に落ちたため、さらに深い階層へと入っていく。もう、どこが現実なのか・・・ でも、その地に足がつかない感じがおもしろくてたまらない! 要するに、劇中アーサーがイギリスの数学者ロジャー・ペンローズの"ペンローズの階段"を再現して説明する、パラドクスということ。作品全体が、パラドクスであるということかと・・・。

このミッションで好きだったのは、2階層目のアーサーが夢主の部分。アリアドネが設計したクラシカルなホテルは、アールデコで素敵。そこで、3階層目に向かった(眠った)彼らにキックを起こさせるため大活躍! 詳細は避けるけど、キックが始まると無重力になるので、ここからが見所。相変わらず襲って来るロバートのボディー(?)ガード達が、マトリックスのエージェント・スミスみたいでスタイリッシュ! 彼らとの無重力でのバトルはCMでもチラリと流れているけど、これは長い筒状の廊下を作成し、グルグル回して無重力映像を作り出している。アーサー役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットはスタントなしで演じたそう。そのかいあって(?)同行のYuweeと私はアーサーファンに(笑) この廊下のシーンも好きなんだけど、キックにそなえて、無重力状態の中、寝ているメンバーをまとめる映像がグッときた! この発想がスゴイ(笑) まとめられてフワフワと浮かぶメンバー達は、全員寝てるというちょっと滑稽な姿。それを真面目そうなアーサーが、自らもフワフワ浮かびながら行うのがイイ! アーサーのスーツもクラシカルで好き!

冒頭に出てきた浜辺に建ってたサイトーの城を見た時には、ビックリしてどうなることかと思った(笑) 花鳥風月をモチーフとした蒔絵調の壁の装飾は、二条城からヒントを得つつ、一般的な日本にしたとのことだけど、一般的な日本ってこんなじゃないし(笑) でも、ここは『キルビル』とかでもそうだけど、仮想日本だからいいのかなとか思っていたら、舞台は日本の新幹線の中へ。コブが泊まってた東京のホテルはミッドセンチュリーモダンな家具や内装。レトロ調に仕上げましたというようなスタイリッシュさがすごくよかった! ホントにあったら泊まりたい(笑) その後、ヘリから見る東京の街もおもしろかった。

夢の中の映像やパリの街が歪むシーンについては散々書いてきたので割愛するとして、夢の中に潜入するなどという、最先端っぽいことをしているのに、全体的にどこかレトロ。『バットマン・ビギンズ』や『ダークナイト』でも感じていたのだけど、近未来的でありながら、どこかクラシカルでレトロ。その感覚が絶妙で大好き! パリの礼拝堂みたいな講義室にいる義父役、サー・マイケル・ケインの佇まいとか、いちいち画になる! その感じも好き。洒落もきいてて、キックの時にかかる曲を歌っているのはエディット・ピアフ。これは『ピアフ』で大ブレイクしたマリオン・コティヤールが出演しているから? とか、アリアドネという名前はやはり迷宮が出てくるギリシャ神話から取ったのか? などと考えるのもおもしろい。

キャスト達はみんなよかった! 渡辺謙はチームの中では断トツで最年長だけど、アクションもこなしていた。サイトーはこのミッションを依頼する人物で、自社を守るために、他社の次期社長の潜在意識を操作する依頼をする人物なわけだから、悪人とまでは言わないけれど、いい人物とはいい切れない。でも、最初は強引に夢の同行メンバーになったのに、アーサー→イームスと夢主が変わるごとに、次第に仲間として認められて、イメージもいい人になっている。この辺りを自然に演じていたのはさすが。アーサーのジョゼフ・ゴードン=レヴィットがかっこよかった! ちょっとエドワード・ノートン似。頭は良さそうだけどちょっと頼りなげな印象なのに、アクションもバッチリ。いつも冷静で突っ走りがちなコブを支えている感じがイイ。オールバックとクラシカルなスーツのせいか老けて見えたけど、まだ20代だった! これから楽しみ♪ イームスのトム・ハーディは、コブやアーサーとは別のイケメン担当。ちょっとワイルドさが魅力。ユスフのディリープ・ラオは、お笑い要素担当。その辺りは2人とも上手かったと思う。モルという役は、実は実体がなく、登場シーンは回想、もしくはコブの潜在意識が作り出すイメージ。なので矛盾が多く、妻としても、母としてもどうかと思うけど、それもコブのイメージならば仕方なし。でも、マリオン・コティヤールがその辺りをファムファタール的に、切なく儚げに演じていたのはさすが! ホントに上手い役者は殺人鬼を演じても、どこか魅力を感じさせるものだと思うので。そういう意味ではホントよかったと思う。そして美女です。

アリアドネのエレン・ペイジがいい! 彼女の演技派ぶりは聞いていたけど、出演作を見たのは初めて。チームの中で誰よりも若く、初仕事ながら優秀。コブの秘密をいち早く察知し、その問題を探る、と書くと聞こえはいいけど、プライバシーに関わることに踏み込んでしまうお節介な人にも見えてしまいかねない。でも、そうはなっていなかったのはエレン・ペイジの演技のおかげ。コブのレオナルド・ディカプリオもよかったと思う。どうしても、"レオ様"ってイメージが強すぎて、演技上手いのにあまり評価されないのが残念な印象。ただ、前作の『シャッター・アイランド』の役と、設定などがかぶる部分が多くて、なんとなくコブのキャラの印象が薄まってしまったのが残念だけど、あくまで個人的な感想。

後は、トム・ベレンジャーが意外な姿で登場。あ! ロバートのキリアン・マーフィーも良かった! 上手いけど個性が強いので、アクの強い役をやることが多いけど、"普通"の幸せを求める大富豪の息子役を見事に演じていたと思う。個人的にすごくうれしかったのは、義父役でサー・マイケル・ケインが出演してたこと! 優秀な教え子で、娘婿だったコブに対する複雑な感情を見事に表現。そしてカッコイイ! 大人の色気がある。そして何より品がある! 素敵

というわけで、さんざん熱弁をふるってきましたが、サスペンス、SF、アクション、家族愛、友情、恋愛など全ての要素が詰まっている! スゴイ映画だと思う。ラストについても謎な終わり方をしているけど、これも着地点としてはいいと思う。ハッピーエンドでもよかった気もするけど、全て煙に巻く終わりっていうのも、余韻があっていいと思う。

普段あまり映画を見ない人は混乱するかも知れないけど、張り巡らされた伏線を拾っていくタイプの映画ではなくて、螺旋状に階層が降りていくだけなので、あんまり各階層にこだわらず、そういうものなのだと、感覚で見ていった方がいいかも。って余計なお世話か…(笑) 音楽もかっこよかった。ちなみに、劇中でギターを弾いてるのは、The Smithsのジョニー・マー。

とにかく、この映像と世界観は映画館で見てほしい! オススメ!


『インセプション』Official site

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【cinema】『神様ヘルプ!』(試写会)

2010-08-03 23:22:34 | cinema
'10.07.23 『神様ヘルプ!』(試写会)@ポニーキャニオン

yaplogで当選! いつもありがとうございます。今回は、特典付き試写会ということで、1人での参加。ポニーキャニオン1Fのスペースに椅子を並べて、プロジェクターでの鑑賞。『レス・ポール』の時と同じだけど、座席数は今回の方が多い。後ろの席しか空いてなかったけど、前の人が全くかぶらない席を発見! よく見えた。

*ネタバレありです! 辛口かもです…

「25年前、理科教師が次々生徒や同僚教師を襲うという、陰惨な事件が起きた佐藤学園。今では廃校になったその校舎を、お化け屋敷にしようという企画が持ち上がり…」という話で、劇団アーバンフォレストの舞台「Tower of Sugar」を映画化したもの。うーん。これは… 見る前に予備知識をある程度入れておいた方がいいかも。せめて舞台劇の映画化であることは、知っておいた方がいいと思う。

大変申し訳ないのだけど、劇団アーバンフォレストについては知らなかった。劇団名は聞いたことがある気もするのだけど… 最近は行っていないけど、ミュージカルの舞台を見るのは好き。お芝居の方も、頻度はミュージカル作品に比べるとぐっと減るけれど、嫌いではない。お笑いやコメディーも好だけど、個人的には割と正統派なモノが好きで、アングラとまではいかなくても、ちょっと不思議なというか、個性的と呼ばれる変わった登場人物達が入り混じって、訳の分からない世界を展開するような作品は、舞台劇だけでなく、映画でも、小説でもあまり好きではない。劇団アーバンフォレストのお芝居を見たことがないので、あくまでもこの作品に限って言えば、あまり好みのタイプではなかった… 好みの問題なので、作品自体がダメと言っているわけではないです! あと、個人的には、たまにテレビで舞台の録画版を見たりすると、どうにも大芝居で苦手と感じるタイプなので… そもそも向いてないのに見ちゃっているので、レビューを書くのはかえって失礼かも。スミマセン・・・

何度も書きますが、劇団アーバンフォレストの他のお芝居を見たことがないので、この作品の感じが劇団の持ち味なのだとすれば、ファンの方にはとっても楽しいと思う。佐藤学園がホントの学校として現れるわけだし… ただ、この路線が若干苦手な身としては、キャラが立ち過ぎの登場人物達についていけず… 特に、企画担当者の上司の男性のキャラが… でも、これもそういう路線の舞台なのだと思えば、面白いキャラなんだと思う。ただ、それを知らないとダメな人はいるかも…

うーん。そもそもは廃校を舞台とした、サスペンス・ホラーだと思って見に行ったので、始めのうちは楽しかった。頭から血を流しながら、廃校を捜査する2人の刑事。単純でたたきあげ気取りの先輩と、先輩を鼻であしらう冷めた後輩の会話がコミカルに展開する。迷彩パンツの謎の"イマドキ"の若者。制服姿の男女の高校生モデルを連れて来る撮影隊。企画会社の女性とその先輩社員が、ホラープランナー(って何?(笑))のアツオを訪ねてやって来る。この導入部から、何だかみんな大芝居で、説明的だなと思ったけど、元が舞台なら納得。でも、キャラが立ち過ぎて、どうにも入り込めない… 特に、高校生カップルの女の子の彼氏への絡み方が、何だか古いなと思っていたら、これは伏線だった(笑) この導入部のドタバタ感も舞台だと思えば、つかみとしてはありなのかと… 刑事の掛け合いは、先輩刑事役の役者さんの間合が上手いので、適度にウザくて、適度に面白かった。

話の展開としては当然25年前の事件の謎へ迫っていく。理科教師の佐藤隆は、突然鋭利な刃物を持って校内を徘徊。夏期講習に来ていた生徒や教師を次々と殺害し逃走。いまだに行方が分かっていないという事件。この謎解きがホラーというかオカルトというか… 事件の発端となるのは戦前(だったかな? その辺り(笑)) 西条という男が無念の死をとげたことにあるんだけど… うーん。こういう感じって何なんだろう? チラシには「驚愕のアミューズメント・サスペンス・スリラー」となっているけど、最終的にはコメディーなんだと思う。そう思って見るとよくできているかも。

役者さん達は個人的にはあまり知らなかった… 主演の加藤和樹くんは、今人気の若手俳優さんとのことだし、会場も98%くらい女性だった。好みのタイプではないけれど、イケメンだと思う。ちょっと神経質そうな感じが、大量殺人犯となってしまう感じに合ってると思う。ちなみにアツオとの2役。西条役の松田悟志は、狂気の演技はスゴイと思うけど、これは舞台芝居かなと… でも、たまたま見かけたBSの美容番組みたいのでも、同じような声と滑舌だったので、そういう人なのかも(笑) 先輩刑事役の佐藤二朗は、笑い要素担当なので、その辺りの間合いはよかったと思う。ウザい人だったのに、最後は重要な役っていうのも王道だけど、よかった。

終盤にかけて陰惨な事件が再現される。時々、コミカルな部分も交えて見せるのは上手いと思う。西条の無念の死も、いくらなんでもそれはやり過ぎだろうと思うし、その恨みが佐藤に25年前の悲劇を起こさせたというのも、企画会社の女性の意外な能力と、逆にビックリな解決方法も、荒唐無稽なのにきれいにおさまっているのはスゴイと思う。ただ、やっぱりこれは舞台で見る、もしくは舞台を映画で見るという感覚の方がいいのかなと思う。もちろん、映画として見ても楽しめる人はいると思う。前にも書いたとおり、個人的には舞台でも、あまりに荒唐無稽な部分で笑いを取る感じは好みではないので…

劇団アーバンフォレストのファンの方、小劇団系のお芝居が好きな方にはオススメ!

ちなみに特典というのは『神様ヘルプ』サポーターズということで、劇場公開版のエンドクレジットに名前が載るらしい! 好みとは違ったけど、応援してます!


壁一面ポスター!

『神様ヘルプ!』Official site




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【cinema】『PFF Award 2010』

2010-08-01 00:50:22 | cinema
'10.07.18 『PFF Award 2010』@東京国立近代美術館フィルムセンター

本日3本目は、お友達のmigさんの弟さん片岡翔監督作品『くらげくん』を鑑賞するため、銀座テアトルシネマから急いで移動。時間的にはギリギリだったけど、意外に余裕だった。ロビーには翔監督や、鑑賞後"オトナ会"でご一緒する映画ブロガーさん達の姿が! 事前にrose_chocolatさんが取っておいて下さった席は、会場のほぼ中央。何と私の隣の隣の席には虎太郎くん、そして斜め後ろにはくらげくんと、主演の2人と一緒に見ることに! 素敵(笑)

コンペティション部門 Gは『くらげくん』と『白昼のイカロス』を上映。

『くらげくん』(上映時間:14分)

*ネタバレありです

「オトメンなくらげくんは、男の子らしい虎太郎くんのことが大好きだけど、引越さなくてはならない。少しでも虎太郎くんと長くいたいくらげくんは・・・」という話で、男の子同士のちょっぴり不思議な関係を描いている。前回見た『Mr.バブルガム』とは、テイストは違うけれど、ポップなのに毒がある感じは同じ。

出演者はほぼ2人きり。後から監督に伺ったところ、虎太郎くんもくらげくんも劇団に所属している子役さんだそう。でも、よくこの子達を見つけてきたなと感心。昭和のガキ大将というイメージの虎太郎くんは、坊主頭、ボーダーのセーター、ヒザにつぎあてのある丈の短いズボン、そして下駄。昭和といっても戦後という感じ(笑) でも、子役の子のルックスと合っている。ほめてます! 子供ながらにキャラが立っている。オトメンなくらげくんは、てっきり女の子が演じているのかと思った(笑) イヤそれくらいかわいかったので。"くらげくん"というのは、白いフレアーなワンピース姿が、くらげみたいだからついたアダ名。このアダ名は虎太郎のみが使っているのか、他の子からも呼ばれているのかは不明。でも、この白のワンピ+紫のカラータイツ、首にはスカーフ&オカリナといういでたちが、すごくカワイイ! そして子役の子に似合っている!

くらげくんはオトメンな気持ちで、男の子らしい虎太郎くんのことが好き。でも、それがハッキリと男の子が好きな子とは描いていない。たしか、舞台挨拶での質問でそういう部分もあると答えていらした気がするけれど、ハッキリと描いていない感じがよかった。このくらいの時って、男女の区別ってそんなになくて、女の子でも男の子より走るのが速かったり、力が強かったりする。でも、何となく思春期前段階って感じで、異性のことが気になってくる・・・ その、ごちゃごちゃ感の中で、異性に憧れたり、同性のカッコイイ子やカワイイ子に憧れたりすることってある。くらげくんの気持ちが、その"憧れ"よりも、やや強い感情になりつつあるんだと思う。その感じがすごくいい。虎太郎くんは、まだまだ子供っぽい男の子に見えるけれど、何となくくらげくんの気持ちに、"友達"だけでない部分があることを感じているのが、きちんと伝わってくる。岩場のシーンで、くらげくんは虎太郎くんにある提案をする。じゃんけんで勝ったら・・・ そこに、何となく"本気"を感じる虎太郎くん。それを感じて、わざとじゃんけんに負けるくらげくん(涙) イイ! くらげくんの寂しそうな笑顔と、必要以上に喜んでしまう虎太郎くん。分かる(笑)

2人が"デート"する映像がイイ。特に線路のシーン。市電のように道路に線路があるので、どこだろうと思っていたら、伍一さんが質問してくれた。江ノ電なのだそう。腰越の辺りかな? 線路を並んで歩く感じがカワイイ。これを大人や、男女だったらこういう感じにならないんだろうな。ちなみに2人が乗る電車も江ノ電。江ノ電のあのレトロでカワイイ感じが、戦後のガキ大将っぽい虎太郎くんと、ふわっと不思議なくらげくんにピッタリ。そして、陽だまりの中2人並んで座っている感じが微笑ましい。

2作しか見ていないけれど、映像の美しさとポップさ、そこに含まれるちょっとした切なさや毒がいい。ちょっとしたってところがポイント。後、音楽の使い方が好き。個人的には『Mr.バブルガム』の方が好みだけど、この作品も好き。

そして! 記事UPが遅れているうちに、昨日グランプリが発表され、『くらげくん』が準グランプリ獲得! スゴ~イ! 自分のことのようにウレシイ! おめでとうございます


左:くらげくん 右:虎太郎くん ピンボケ・・・

『白昼のイカロス』(上映時間:83分)

「上京し、雀荘で働くことになったハルヲ。親友の家のキッチンに居候しつつ、夜しか行動できない人々と出会う・・・」って感じなのかな・・・

ごめんなさい 実はこれ最初の10分くらいしか記憶がありません・・・ 気づいたら爆睡してました。

この作品、大学の同級生の女性お2人で作られた作品。1人の方が脚本、監督、そして主演もこなしている。ほぼ、この方の自伝的な作品らしい・・・ うーん。ドキュメンタリーっぽく撮りたいのは分かるし、"夜"がテーマになっているとのことで、夜しか映し出されないのだけど、映像自体も暗くてよく見えないし、何より声が聞こえなかった・・・ ということで、夢の中へ・・・

描きたいことや、やりたい感じはなんとなく分かるのだけど、80分超えといえば結構長い尺で、ほとんどセリフが聞こえてこないのは辛いかな・・・ そもそも、ドキュメンタリー(タッチも含む)って、被写体に興味が持てないと辛いものがあるし・・・

というわけで、感想は書けないです。ごめんなさい

第32回 ぴあフィルムフェスティバル


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