・*・ etoile ・*・

🎬映画 🎨美術展 ⛸フィギュアスケート 🎵ミュージカル 🐈猫

【cinema】『ぼくのエリ ~200歳の少女』

2010-07-31 16:29:34 | cinema
'10.07.18 『ぼくのエリ 200歳の少女』@銀座テアトルシネマ

『きな子』から、『くらげくん』まで時間があるので、急いでランチして京橋へ移動。『ぼくのエリ』鑑賞。ブロガーさん達の間でとっても評判がすごくいいので、とっても見たかった。

*ネタバレありです!

「学校でいじめにあっているオスカー。両親は離婚し、一緒に暮らす母親も、たまに遊びに行く父親も、かわいがってくれるけれど、それぞれ新しい恋人がいて、オスカーよりもそちらが大切な様子。孤独なオスカーは、ある夜エリという不思議な子供に出会う…」という話で、これはヴァンパイアと少年の哀しく美しい愛の話。そして"生きる"ことの切なさや辛さを描いている。これは、よかった。例えば『パンズ・ラビリンス』とかみたいに、見終わった後、その世界観にどっぷり浸って動けないというようなことはなかったけれど、その耽美な感じは好きだった。

スウェーデンの映画。スウェーデンといえば、イングマル・ベルイマンだけど、多分見たことはない。『処女の泉』は録画してあるけど、ビデオなので… ラッセ・ハレストレム監督もスウェーデン出身だけど、見た作品はほとんどがアメリカで撮られたもの。唯一見たスウェーデン時代の作品は『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』のみ。これは、ちょっぴり切なくてかわいくて好きだった。と、つらつら書いているけど、それくらいスウェーデン映画には馴染みがないということが言いたかった(笑) スウェーデンと言えば北欧。雪、白夜…というイメージ。スウェーデンの方がってことではなくて、北欧が寒くてちょっと暗いイメージ。あと、おとぎの国っぽい。メルヘンというよりも、もう少し妖精っぽいというか… 上手く言えないな(笑)とにかく、真っ白な雪の世界に、ちょっぴり野暮ったいかもしれないけれど、ニット帽やカラフルな防寒服を着て、頬を真っ赤にした子供達の姿が浮かぶ。家に帰ると暖炉の側でムーミンを読んじゃうような(笑)オスカーもエリも、そういう無邪気な明るさはないし、話の性質上、画的にも明るさはないものの、基本このイメージ。この雰囲気が好き!

ヴァンパイアものではあるのだけど、例えば『アンダーワールド』(←これは好き)とは全然違う。もっとひっそりとした存在。エリは永遠に13歳だけど、その妖しさはスゴイ。タイトルに少女とあるのに、あらすじで子供としたのはワケがある。知ってて見ても哀しい話しではあるけれど、エリの隠されている部分が分かった時に、よりエリとオスカーの哀しさが分かる。だから極力ネタバレは避けるけど、話したい部分がそこなので、触れないわけにも… まぁ、無粋なぼかしが入ってしまっているので、分かりにくくなってしまっているけれど、エリのセリフに注意していれば分かるかと… で、この部分がエリと同居している初老の男性や、オスカーのその後の運命をより切なく、でも耽美なものにしている。これを書いてしまうと、分かってしまうかなと思うけれど、正直に言うとそちら系の映画はそんなに惹かれない。全然否定する気はないけど、題材としてはノーマルがいいかなと思うので… ただ、この映画に関しては、この設定じゃないとダメかなと思う。いい意味で独特の暗さや、単なる恋愛だけでない"生"とか"性(さが)"とかを感じさせる。上手く言えないけど…

ヴァンパイアものなんだけど、いい方にも悪い方にも美化して描いていないのが、ハリウッド映画とは違うところかな。エリは実際にヴァンパイア・パワーを発揮すると、それはもう野獣のような感じで、あんまり見たことないけど、サー・クリストファー・リーが遥か昔に演じていたように、美女の白い首筋に、黒マントに蝶ネクタイのドラキュラが牙をたてるというような優雅さは皆無。高架下を通り掛かったほろ酔いオヤヂの首めがけて、背中におぶさってガブガブ噛み付く。これはかなり衝撃的! で、なるべくそういう襲撃をせずに、ひっそり暮らすために、同居人のオッサンが必要になってくる。

この役名すら分からない地味な初老のおじさんこそ、重要なキーパーソン。エリが人を襲わなくてすむように、実はこのおじさんが人を殺し、その血をエリに飲ませているという仕組み。彼は夜になるとナイフ、じょうご、血をためるポリタンクなど、道具一式を持ってバスに乗って出かけ行く。詳しい描写は避けるけど、手順自体はよく考えられていて無駄がない。ただし、手際はよくない。そして失敗ばかり。最初はその感じを笑っていく映画なのかと思ってたけど、実はここがエリがオスカーに近いた理由の1つでもある。そして、多分おじさんが男性を狙うのも伏線なんだと思うけど、違うかな?もちろんエリはオスカーに惹かれているんだと思うけれど、それだけじゃないってところに、打算というにはもっと切羽詰まった、生きていくことや、性(さが)を感じた。勝手な解釈かもしれないけど…

オスカーは孤独な少年。離婚した両親は、彼らなりにオスカーを愛しているし、可愛がってもいる。でも、オスカーよりも自分を優先してしまうところがある。オスカーは繊細で、感受性の豊かなタイプ。だから、そういう両親の気持ちも、敏感に感じ取ってしまう。そして、その寂しさや悲しさを自分の中におさめてしまう。どうして父親は、たまに息子が遊びに来たときくらい、恋人に遠慮してほしいと言えないのか(怒)と思うけど、誰もが親に向いているわけではない。この父親の"恋人"も伏線なんだと思う。恋人だという描写はないけど、なんとなく分かるように撮っているのが上手い。孤独で"不思議なもの"に 興味のあるオスカーは、会った瞬間からエリに惹かれていく。オスカーはエリの正体を盗み見るけど、彼の気持ちは揺らがない。オスカーがもともとそういうタイプだったのかは分からないけど、子供の頃には憧れることはある。オカルト的な不思議な世界にも、もうひとつの事実についても。後者については、いろんな憧れ方があると思うけれど… でも、まさにあの瞬間に彼の運命は決まったのでしょう。きっと彼も人生の最期には、あの初老の男性のように幸福を感じながら逝くんだと思う。そういう運命を案じさせるラストがよかった。

キャストは誰一人分からなかった…(笑)大人も出てくるけど、あくまで脇役。そしてオスカー、もしくはエリがそれぞれ大人と一緒にいるシーンはあるけど、2人一緒にいる時に第三者が絡むことはほとんどなし。まぁ、当然と言えば当然だけど(笑)でも、それぞれが2人以外の人と関わる時は、たいてい陰欝な感じ。そして、たいてい辛くてやるせない。2人でいるシーンも決して明るかったり、楽しかったりするわけではないのだけど、2人は心や気持ちが通じ合っている感じは分かる。2人だけの独自の世界が出来上がる。それがいい。その世界が毒を含んでいるのもいい。主演の2人がよかった。オスカーは髪も眉毛もプラチナブロンドで、肌も抜けるように白い。おかっぱ頭の写真を見た時は、彼がエリなんだと思っていた。それくらい少女っぽい美しさ。でも、実際に動く彼は、完全な文系男子ではあるけど、やっぱり男の子なんだよね。その感じがよかった。少女っぽい美少年の… って感じではなくて、普通のちょっと不思議なモノに興味のある男の子が運命的な出会いをする。その相手がエリ。邦題では"200歳の少女"となっているけど、劇中では特に200歳であるとの記述はなかった気がするけれど… エリはヴァンパイアなので、永遠に13歳の姿。多分、演じているのは女の子だれど、いわゆるヴァンパイア=近寄りがたい美しさ、気高さというようなものは全くない。ホントに普通の子供。あ、もちろんかわいいのですが(笑) いつも孤独で、寂しくて、人を殺さなければならない運命を、受け入れきれもせず、抵抗できもせずという感じ。それがエリの"普通の子供の容姿"により、オスカーや初老の男性だけでなく、見ている側も守ってあげたいと思わせる。いつも自信がなさそうに悲しげ、でも一度ヴァンパイア・パワーのスイッチが入るとスゴイ殺傷能力を発揮する。でも、その後のエリの心細げな姿を見ると切なくて、許してあげたくなる。プールはやり過ぎだけど…(笑)とにかく、オスカーのカーレ・ヘーデブラント、エリのリーナ・リアンデションが演技とは思えないほどピッタリはまっている。彼らの不安や恐怖感が相乗効果で作品自体にも、不安感を与えている。このキャスティングは素晴らしい。

作品自体も映像も暗くて、静かなトーンで進む。特に言及はなかったけれど、カーがルービックキューブで遊んでいるので、1970~80年なのかな。なぜこの時代なのかは不明。原作がそうなのかな? スウェーデンは社会主義ではなかったと思うけど、冷戦時代のヨーロッパの暗く不安な感じを生む効果がある。ケータイやネットがないので、情報が広がりにくいので、エリが今まで生きて(?)これたのも納得。エリがなぜヴァンパイアになったのか特に説明はない。でも、エリは生きていくために、オスカーを選んだ。その感じが切なくて耽美。その切なさは北欧の感じと合っている。洗練され過ぎていないけれど、どこかスタイリッシュ。

その洗練され過ぎないスタイリッシュさは、作品全体に言えること。全体の雰囲気や映像がいい。そしてラスト! エリの全てを受け入れて、列車にのるオスカー。レトロな車両の座席に座り、窓の外を優雅に眺めるオスカー。足元に大きな荷物。そして… このラストが素晴らしい! ヴィスコンティの映画のように優雅で美しい。そしてデカダンス。今まで見た中で10本の指に入る美しさ。

エリの殺傷能力がすごいので、けっこうグロいシーンもあるけれど、これは映画館で見て欲しい。どっぷりその世界に浸って見た方がいいと思うので… いわゆるヴァンパイアものとは違うので、そちらを期待して行くと全然違うので注意!


『ぼくのエリ 200歳の少女』Official site

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【cinema】『きな子~見習い警察犬の物語』(試写会)

2010-07-25 16:42:26 | cinema
'10.07.18 『きな子 ~見習い警察犬の物語』(試写会)@ニッショーホール

rose_chocolatさんからのお誘い。この日はまさに映画DAY♪ 10:30開映のこの映画の後、京橋へ移動して『ぼくのエリ 200歳の少女』を鑑賞。その後、すぐ近くのぴあFF会場に移動して、migさんの弟さんの片岡翔監督の『くらげくん』を鑑賞。同時上映の『白昼のイカロス』を見た後、ブロガーさん達と一緒に新宿へ移動。映画ブロガーさん達との"第2回 オトナ会"と盛り沢山! しかも、全スケジュールrose_chocolatさんとご一緒させていただいた。スゴイ達成感! そして愉しかった♪ それぞれについては、後々レポートするとして、とりあえず本題へ(笑)

*ネタバレありです! ちょっと辛口かも・・・

「優秀な警察犬訓練士だった父と、その相棒のラブラドールレトリーバーとの信頼関係に憧れていた杏子は、亡父の後輩の訓練所で見習訓練士として働き始める。明るく懸命に仕事をこなす杏子は、所長の家族にも受け入れられていく。そんな中、病弱なので警察犬には向かないと言われるラブラドールレトリーバーの子犬と出会う…」という話で、実話がベースとなっている。設定は変われど、犬と人間の愛情を描いているので、ストーリー的には王道。映画の中では起伏を持たせるために、事件が起きたりしているけれど、それも散々見てきた印象。だから正直に言ってしまえば、ストーリー自体に目新しいものもなかったし、特別感動するところもなかった。それでも、朝早かった割には寝てしまったりしなかったし、涙目になって涙が止まらなくなってしまったのは、きな子のかわいさだけではないと思うけれど…

うーん。いきなりネタバレしてしまうけど、実際のきな子は警察犬になるための試験を6回受けているけれど、今のところ合格はしていない。CMでも流れている顔面着地は、実際に本物のきな子が取材中のテレビカメラの前で披露してしまったこと。それが放送されたことにより、人気者になったのだそう。杏子のモデルになった見習訓練士の川西智紗さんについては、どこまで忠実なのか不明。杏子は所長の家に住み込みで働いているけれど、川西さんもそうだったのかは不明。ただ、朝早くから犬舎の掃除やエサの準備などの作業があるため、訓練所の近くに住んでいないと辛そうではある(笑) チラシには、きな子について記載はあるけれど、川西さんとの関係については"一緒に頑張っている"と書かれている程度なので、2人が実際どんな風に訓練をされているのかも不明。公式サイトを見てみれば紹介されているのかもしれないけれど、パソコン立ち上げてる暇がなくて、ケータイサイトだと公式blogへのリンクが貼られているだけなので分からない・・・

と、何故そんなにつらつら実話と映画部分の関連性について書いているかといえば、タイトルに『きな子』とあるけれど、やっぱりこれは杏子の成長物語であって、きな子の警察犬としての成長物語としては弱いなという印象があるから。たしかに、きな子は所長の娘の命を救うけれど、それは特別警察犬じゃなくても犬の特性として、いろんな作品で見てきたので・・・ 警察犬の主な任務は臭いから犯人もしくは遭難者などを探すことかと思うので、きな子が警察犬になればこの作業をすることにはなると思うけれど・・・ もちろん、杏子ときな子が試験に向けて特訓しているシーンもあるし、試験のシーンもあるけのだけれど、何となく"警察犬訓練"に見えなかったというか・・・ 警察犬の訓練については全然詳しくないので、全く分からないのだけど。まぁ、一緒にするのはどうかと思うけれど、例えばペットに芸を仕込むのも繰り返し教えるわけだから、警察犬も同じなのだとは思うけれど・・・

何度も書いているけれど、実際の川西さんの状況が分からないので、本当にお父様をガンで亡くされているのか、お父様は訓練士でいらしたのか、所長のご家族との関係はこんな感じで、本当に実家を継ぐために夢を諦めた先輩訓練士の方がいらしたのか不明。すべて実話なのだとすれば大変失礼なことになってしまうけれど、この辺りが映画オリジナルなのだとすれば、先輩のエピソードなどは不要だったかなと思う。人生や考え方は人それぞれなので、何が正解かなんて言えることではないけれど、少なくとも映画のエピソードとして、訓練士になることを誰よりも応援してくれた父が倒れたと聞き、実家のうどん屋さんを継ぐことを決意するというのは何となくしっくり来ない。父の本心として稼業を継いで欲しかったというのはあると思うけれど、誰よりも応援してくれていたのならば、それを貫くのも親孝行なのかなと思ったりするのだけど・・・ まぁ、ここは母親の反対を押し切って訓練士になる決意をした杏子との対比と、その決意に甘さがあることを表現しているのだと思うけれど・・・

所長の家族との関係はありがちではあるけれど、よかったかなと思う。明るくてしっかりものの母と、料理が大好きな優しい兄、ちょっぴり生意気な妹。一人っ子で兄弟がなく、親元を離れたばかりで心細い杏子の支えになっていく。明るく頑張り屋の杏子の存在が、家族にとっても長女が出来たような感じになっていくのも微笑ましい。イマドキ亭主関白な父親としては、これまた王道で散々見てきたタイプではありながら良かったとは思う。所長としても繰り返し出てくる「勝手にやったらどうですか?」というセリフ通り、昔気質に自分で考えて覚えろという突き放し型。ただ、この突き放し型って常に彼らを見守る気配りと、忍耐力が必要なんだけど、現代の若者には伝わりにくい気がする。実際、働き初めて1ヶ月もせずに仕事を辞めてしまったという新入社員が「自分を教育してくれる体制が整っていなかった」的な発言をするような時代なので・・・ 甘ったれるなと新人だったのは遠い昔になってしまったOLちゃんとしては思うけれど、手取り足取り教えてもらうことが当たり前のマニュアル世代の若者には、所長のやり方は通用しなくなっているのは事実で、映画の中ではどんどん見習い訓練士達が辞めてしまうという設定になっている。ただ、昔気質のというには、寺脇康文演じる所長は若い気がするし、王道キャラでもあるので、ちょっと入り込めず。ある程度は教えてあげても良いんじゃないかと思った。警察犬は生きているわけだから・・・ 確かに、きな子の担当は杏子なので、体の弱いきな子にムリをさせてしまい、試験当日に体調を壊していることに気づかなかったのは、杏子の責任だけど、それを監督するのも所長の責任なのでは? 18歳の女の子の胸倉を掴んで怒鳴りつけて命の大切さを説くのであれば、事前に体調の見極めや、病気の症状について説明しておくべきでは? というツッコミは、あくまで「見習警察犬と見習訓練士の映画」として見た場合の感想。

もちろん「見習警察犬と見習訓練士の映画」なんだけど、要するに対象としている層が違うということ。多分、時期的にファミリー映画なんだと思うので、チビッコ達や普段あまり映画を見ないタイプの人には、ザックリとした「見習警察犬と見習訓練士の映画」としては、とっても分かりやすくて、感動できる作品だと思う。正直に言うと、人間ドラマ部分も警察犬としての訓練部分も描き込みは浅いという印象。でも、深く描き込んでしまうと万人ウケしなくなること事実だと思う。どちらが正しいとか優れているとかいうことではなくて、あくまで好みの問題。映画がそんなに好きではない人には、映画を見ること自体忍耐の要る作業なわけだから、ザックリと分かりやすい方が見やすいし、映画好きの人の中にも分かりやすい作品が好きな人もいると思うので。あくまで、個人的には全体的にザックリしているなという印象だったということ。

杏子はきな子の体調を見抜けなかったことで自信を失い、体が弱いので警察犬にはなれないと言われていたきな子を、自分のわがままで厳しい訓練に巻き込んでしまったのではないかと悩み、訓練所を去ってしまう。訓練士の夢を諦めるのはとりあえず置いておいて、正直きな子を警察犬にするというのはエゴなんじゃないかと思っていた。実際のきな子も体が弱いのか、分からないけれど、正直向き不向きってあると思うので・・・ 人間なら、それでも好きならヘタなりに夢を追い続けるというのも人生だと思うけれど、きな子が警察犬になりたいと望んでいるわけではないと思う。何度も試験に落ちているなら向いていないんだと思うので、厳しい訓練をさせるのはかわいそうなのではと思っていた。映画の中では、杏子がいなくなって悲しむきな子の姿や、所長の娘と杏子の家に向かう途中、嵐に遭いさらに脚をくじいてしまった彼女を救うため向かった先が、自分の家ではなく1度しか行ったことのない杏子の家であるということで、きな子と杏子の絆を描いているし、ズッコケぶりがテレビで紹介されて人気者になったきな子が、一日署長などの見世物のような仕事をさせられている姿を紹介することで、2人で警察犬を目指すことに説得力を持たせている。それは映画なのでアリだし、刷り込みとは思わない。でも、ここまでやったのならば、実話を基にしたフィクションとして、警察犬になったことにしてしまっても良かった気がしないでもない。実際のきな子が合格していないので、映画でも警察犬にはできなかったのだと思うけれど・・・ まぁでも、結果が分からないままの終わり方も嫌いではなかった。

キャストは、所長役の寺脇康文の大げさな芝居がちょっと気に掛かった・・・ キャラ的には良かったと思うのだけど、ちょっと舞台っぽいというか、作り過ぎな気がした。昔気質な感じはよく出ていたと思うのだけど、子役や若い俳優さん達と芝居をする場合、彼らはヘタではなくても、どうしても一本調子になりがちなので、そこでキャラを出し過ぎると、すごく空回りしてしまう気がする。そういう意味では所長の妻役の戸田菜穂は良かったと思う。生き方がヘタな夫を支える、明るくてしっかり者の妻を好演していた。キャラ的にも演技的にも出過ぎず、脇に徹していたのは好感が持てた。子役たちも演技的に特別上手いとは思わなかったけど、良かったと思う。特に、娘役の大野百花ちゃんは、寂しさを素直に表現できない感じがすごく良かった。ちょっと生意気なのも上手い。百花ちゃんと誕生日が同じであることが判明! 歳は恐ろしく違いますが(笑) 主役の夏帆ちゃんも、演技は特別上手いとは思わなかったけれど、一生懸命さが伝わってきた。『書道ガールズ』の記事にも書いたけれど、演技が拙くても一生懸命な姿が人を感動させることもある。そういう面では良かったと思う。そして、やっぱりカワイイ

見終わった後は、ほんわかとした気分になっていたのだけど、レビューを書いてみたら思いのほか辛口になってしまった・・・ 書いているうちに、思っても見なかった方向に行ってしまうことは結構あります(笑) 辛口になってしまった理由としてはザックリしていて描きこみが甘いってことだけど、伝わらないわけではないし、感動もできる。自然も美しくて映像がキレイ。なによりきな子がカワイイ! 子犬の頃はもちろん、杏子恋しさにキューンと鳴く姿や、嵐の中必死に走る姿、必死に命令に応えようとする姿だけじゃくて、とくかく全てがカワイイ!

大味ながらも上手くまとまっているし、家族愛や動物との触れ合い、杏子の成長などが伝わる。ファミリー映画としてよく出来ていると思う。犬好きの方は是非。


『きな子 ~見習い警察犬の物語』Official site


コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【Googleのロゴ】アレクサンダー・カルダー生誕112周年

2010-07-22 02:07:31 | Google's logo
Googleのロゴがアレクサンダー・カルダー仕様に!




もちろん知ってるけど、毎度のWikipediaで調べてみた!

アレクサンダー・カルダー(Alexander Calder)は、
アメリカ合衆国の彫刻家・現代美術家。

動く彫刻「モビール」の発明と制作で知られている。
モビールやスタビルと呼ばれる抽象彫刻のほか、
絵画、リトグラフ、タペストリー、ジュエリー、玩具など
さまざまな分野で創作活動を展開した。

とのことで、詳しくはWikipediaで!

このロゴはモビールをイメージしているのかな?
彫刻やモビール作品については、そんなに詳しくないし、
現代アートも実はそんなに得意ではない。

でも、なぜこんなに興奮して書いているのかといえば、
大好きなブラニフ航空の航空機に、ペイントをほどこした人だから!

ブラニフ航空といえば、キャビンアテンダントの制服がエミリオ・プッチだったり、
アメニティーグッズがかわいかったりと、
ミッドセンチュリーモダンな感じが大好き♪

語ると長いのでこの辺で・・・(o´ェ`o)ゞエヘヘ

Happy Birthday!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【cinema】『エアベンダー』(試写会)

2010-07-21 00:22:26 | cinema
'10.07.09 『エアベンダー』(試写会)@スペースFS汐留

rose_chocolatさんのお誘い♪ 決算期なので心配だったけど、なんとか無事に上がれた。開場時間は過ぎてしまったけど…

この日は、美容学校の主催だったみたいで、平成20年に世界理容美容技術選手権大会で優勝した理容師 飛田恭志氏によるヘアカットイベントがあった。事前にある程度の形は整えてあったっぽいけど、宣伝マン2人のサイドの部分に、刈り込みを入れていく。最後の1人は既に刈り込みをしてあったところに、さらに追加していく。インタビューに答えながら、あっという間に仕上げてしまった! 映画にちなんだ刈り込みは矢印。これは主役のアンの額に彫られた矢印からイメージされている。しかし、刈り込みっててっきりバリカンでやるんだと思ってたけど、はさみなんだね! まさに超絶技巧! ご本人曰くヘアベンダーとのこと(笑) さすが! すごいかっこよかった! 写真OKとのことだったので、撮ったのだけど、遠くて全然伝わらない(涙)

ヘアベンダー飛田恭志氏


Before


サイドに刈込みを入れる


After

*本題! ネタバレありです!

「かつて世界は気・土・水・火の4つの国に分かれており、それぞれを自在にあやつるベンダーと呼ばれる能力者達が守っていた。しかし、4つのエレメントを全て操り、世界の均衡を保つ存在であるアバターが姿を消して100年、火の国はアバターが誕生すると言われている気の国を滅亡させ、世界を制覇しようとしていた。そんな中、南の水の国で、1人の少年が発見される…」という話で、これはファンタジー。元はエミー賞を受賞したアニメ。この作品のファンだった『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督が、自ら脚本も手がけて実写化した作品。アニメ版のことは全く知らなかったので、原作どおりなのかは不明だけど、面白かった。

『ロード・オブ・ザ・リング』以降、やたらと量産されている感のあるファンタジー映画。 おもしろさも、出来栄えもピンキリだけど、これはピンとはいかないけれど、まぁよかったのではないかと思う。シャマラン作品は何故か全部見ている。幽霊とか、妖精とか、自然現象とかを題材の映画を、壮大なテイストでチープに描くのが持ち味で、どんでん返しのオチが有名。うーんとなってしまう時もあるけど、嫌いではない。『ヴィレッジ』のオチは好きだったし。でも、今回は壮大なテーマを壮大に撮っている。その辺りは原作によるものかと思われる。多分、シャマラン監督は『ロード・オブ・ザ・リング』好きなんだろうな。なんとなく画的に似ているシーンがある。砦で戦闘体制を取る兵士達が、きれいに並ぶ姿をカメラが追うと、指揮官がすっとその列に並ぶ感じとか、彼らを鼓舞するために槍で地面を叩き、声を上げる感じとか。まぁ、ああいう戦闘シーンはあんな感じになるか… アンが乗る空飛ぶ動物は、ちょっと顔が『かいじゅうたちのいるところ』に似てた気も… あ、パクリと言うつもりはないです。原作どおりかもしれないし。でも、シャマランけっこうデジャブ感多い気が… そこも嫌いじゃないんだけど(笑)

うーん。そもそもが、やっぱり架空の世界の話だし、主役のアンは12歳、その旅の仲間も少年少女ってことで、ちょっと子供向けファンタジー感が強いし、そもそもこの1本では終らないので、ダメな人は多いかもしれない。個人的にはこの世界観は好きだった。原作も、神話のような世界にカンフーを持ち込んだ点が人気を呼んだとのこと。その融合が面白かった。主役アンのノア・リンガーくんをはじめ、主要若手俳優さん達はマーシャル・アーツの経験者。マーシャル・アーツって何?と思ったら、武術のことなんだとか。武術のことはサッパリ分からないし、カンフー映画もあまり見ない。なので、詳しいことは良く分からないけど、ベンダー達が使う型はオリジナルなんじゃないかと思うんだけど、すごくキレイ。ウォーターベンダーは水を扱うので、静かで流れるような動きをするし、ファイヤーベンダー達は激しい動き、アースベンダーはちょっと垢抜けない(笑)でも、それぞれの個性があっておもしろい。4つの国はそれぞれ人種も分けて設定してあるのも興味深い。火はインド系、水はヨーロッパ系、土はアジア系、気は…なんだろう?(笑) アンは白人だし、師匠は黒人、建物や衣装はチベットっぽかった。それぞれのエレメントの性格が、それぞれの人種の性格にもあっている。例えば、土の国は火の国に征圧されていて、ベンダー達は隔離されている。そこにアバターであるアン達が現れて、土の国の人達を解放するのだけど、土の国の人達は、確かに無気力になってしまっている部分もあるけれど、この現状を受け入れて耐えているようにも見える。なんとなく、アジア人の特徴は、だまって受け入れて、じっと耐えるところなのかなと思うので。水の国の人々は冷静で、決して取り乱さないし、火の国は激情型。インド人が激情型かは知らないけれど、やっぱり熱いタイプではあるでしょう。そういうのが分かりやすかったし、面白かった。

ストーリーとしてはホントに単純明快。あらすじ紹介に書いたとおり、4つのエレメントの国があって、それぞれを自在に操れるベンダー達の中から、4つ全てを操れるアバターが生まれて、世界に均衡を保っている。この辺りはハッキリした説明はないのだけど、アバターも死んでしまうらしく、輪廻転生するらしい。転生の順番は気→水→土→火で、各エレメントを操る修業もこの順番で行う。今回は気の番でなので、アンは気の国のエアベンダーとして生まれた。ちなみに、前々世はアバター"キヨシ"だったらしい(笑) アバターは生涯独身で、家族を持つことはできない。アンはその運命を知り、逃げ出してしまった。今までさんざん輪廻してきたのに、急に嫌になっちゃうのかというツッコミはなしで(笑) とにかく、アバターとしての能力を秘めつつも、現在は気しか扱えないアンは、今のところはエアベンダーでしかない。なのでタイトルは『エアベンダー』(原題は『THE LAST AIRBENDER』)となっている。完全なアバターとなるべく、ウォーターベンダーのカタラ達により、100年の眠りから覚めたアンが、彼らとともに修業の旅をするという話。しかも、これ途中で終わってます。勝手な思い込みだけど、シャマラン監督は『ロード・オブ・ザ・リング』(もしくは「指輪物語」)ファンだと思われるので、3部作なのではないかと… でもまぁ、特別勘が鋭くなくても、今後の展開は想像がつく。4つのエレメントを操る技を習得すると言うことは、今作の敵役であるファイヤーベンダーから技を習わないといけないわけで、それはどうするのかって答えもすでに出てるくらい分かりやすい。

と、書くと全くダメみたいだけど、それがそうでもない(笑) こういう、アクションファンタジーものの王道ストーリーではあるけれど、武術を主体としているためか、ほんのりアジア風味になっていてそれがおもしろい。どこがと言われると難しいのだけど・・・ そして、そのアジア風味も、結構アジアンだけど、やっぱりアジア風味。どこか非アジア人から見たアジアみたいな感じ。シャマランはインド系だけど・・・ でも、その"アジア風味"が作品に合ってて良かったと思う。



こういう王道ストーリーを映像化する場合、見所はCGを駆使した映像になるのかなと思う。もちろん話題の3Dだけど、試写会は2Dでの鑑賞。でも迫力はあったし、さっきから散々書いている通り、各国の性格分けがハッキリ分かる世界観は好きだった。CGを多用した映像は、リアルさを追求するか、作り物感をあえて出して行くかに分かれると思う。この作品は後者なんだと思う。3Dだとどんな感じになるのか分からないけれど、気や土の比較的自然とCGを合成しやすい部分では、それでもリアルな感じがしたけれど、今回少ししか登場しなかった火の国はまだしも、水の国、特に南の水の国は特に作り物っぽかった。これが狙いなのか、そうなってしまったのかは分からないけれど・・・ 正直に言えば、南の水の国に入った辺りから、カタラの兄サカと南の水の国の王女ユエとの恋愛部分が取ってつけたっぽくて、若干飽きてきたのだけど、その後、最大の見せ場がやってきた。この戦闘シーンについては、前の方に書いてあるとおり既視感があったりするのだけど、ウォーターベンダーとしての技をマスターしたアンの力が発揮されるシーンは圧巻。でも、CMで流れちゃってるけど・・・ あれ見せちゃうのはどうなのかな?

キャストはほとんど知らない俳優さんばかり・・・ サカ役のジャクソン・ラスボーンは『トワイライト』シリーズに出ているみたいだけど、分からなかったし今も分からない(笑) カタラ役のニコラ・ペルツはかわいいけれど、残念ながら華がないかも。ただ、マーシャル・アーツを基礎としたウォーターベンダーの技の動きはキレイだったと思う。ズーコ王子(変な名前(笑))のデヴ・パテルは良かったと思う。『スラムドッグ$ミリオネア』のジャマール同様、切ない役がとっても合ってる。繊細で傷つきやすいけれど、芯が強く大胆なところもある感じが良かったと思う。実は、デヴくんはテコンドーの黒帯所持者で2004年には世界大会で銅メダルを獲得しているのだそう。アンやカタラに比べると、マーシャル・アーツ的な動きを披露するシーンは少ない。気の国の塔での立ち回りは吹替えかもしれないけれど、少ないシーンでも切れの良い動きを見せていてカッコイイ。そんなズーコ王子を見守るアイロ伯父のショーン・トーブが良かった。いつも冷静にズーコを擁護しているけれど、傍若無人なジャオ司令官の振る舞いに怒りを爆発させるシーンはカッコイイ! 今回あまり技を披露するシーンはなかったけれど、かなりの能力者みたいなので、今後の活躍が楽しみ。ジャオ司令官はどこかで見たことがあると思ってずっと考えながら見てた。特徴のある声にも聞き覚えがあって思い出した! 『スパイダーマン2』で、遅刻を繰り返した挙句、時間内に届けられなかったピーター・パーカーをクビにするピザ屋さんだ! ずいぶん出世なさいましたね。心なしか恰幅もよくなられたような(笑)

主役のノア・リンガーは10歳でテコンドーを始め、わずか2年で黒帯所持者となった。2008年2月にはATA(全米テコンドー協会)テキサス区からコンベンション・オブ・ザ・イヤー賞を受賞したらしい。この賞がどのくらいすごいのかは不明(笑) でも、アメリカのテコンドー界では有名らしい。ちなみにアンの髪型は坊主だけど、ノアくんもテコンドーの練習をする際の暑さ対策として、坊主頭だったらしい(笑) 特別演技が上手いとは思わなかったけれど、世界に均衡をもたらす唯一の存在であるという事実を背負う不安や、迷い、そして切なさなどが感じられたのは良かったと思う。それは彼の大きな目と、しっかりしているけれどどこか不安げな容姿によるところが大きい。かわいいけれど、かわい過ぎない感じが役にとっても合っている。映画の設定ではアンは12歳。その小さくて華奢な体がしなやかに繰り出される技や型が美しい。王道ストーリーで、人物描写が薄かったわりに、アンの苦悩が伝わったのは彼の個性のおかげ。続編が楽しみ。

ファンタジー物というか、まさにゲームという感じのロールプレイングものという印象。ゲーム好きの人は楽しいんじゃないかと思う。既視感もツッコミどころもたっぷりあるけれど、嫌いじゃない。スピード感があるので飽きなかった。なにより4つのエレメントと、その人種の性格が合っている世界観が好きだった。娯楽作品に徹している感じもいいと思う。難しいことは考えず、映画を楽しみたいという人にはいいと思う。ただし、今作では完結しないのでお気をつけて(笑)

追伸:シャマラン作品といえば、ご本人出演シーンですが、残念ながら今回なしです。それが気になって集中できなかった(笑)


『エアベンダー』Official site

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【Googleのロゴ】七夕

2010-07-07 02:52:57 | Google's logo
毎度のGoogleロゴがこんなことに!



七夕

あんなことや、こんなこと願っておきましょ(笑)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【cinema】『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(試写会)

2010-07-03 00:47:05 | cinema
'10.06.25 『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(試写会)@九段会館

yaplog!で当選。いつもありがとうございます。全米で予想を超える大ヒットってことで、バカ映画を期待して応募。見事当選した。

*ややネタバレありです!

「結婚式を2日後に控えて、4人でラスベガスへ繰り出した花婿ダンたち。屋上でアランが持ち込んだお酒を飲み始める。カジノで大儲けすることを見込んで泊まったスウィートルーム。翌朝、目覚めると部屋は大荒れ。何故かトラと赤ちゃんがおり、花婿ダンがいなくなっていた…」というあらすじで分かると思うけど、バカ映画です。バカ映画ということ以外、特に説明する必要もない感じ。だから、後は合うか合わないか。個人的には嫌いではなかったかな。特別好きでもないけれど(笑) でも、おもしろかった。

アメリカでは結婚式前夜に、花婿もしくは花嫁と友人達がバカ騒ぎをするという、バチェラー(バチェロレット)パーティーを開くらしい。ハリウッド映画ではけっこう登場するので、知ってはいた。ダグの結婚式会場が、ラスベガスからどのくらいの距離の位置にあるのか分からないけど、結婚式2日前に1泊でワクワクしながら行っちゃう感じが、女子としては若干イライラする(笑) まぁ、バチェラーパーティーというのは、映画で見る限り、バカ騒ぎをするってことみたいなので、ありなんだと思うけれど、騒ぎたい=ラスベガスっていうのがねぇ。まぁ、そうじゃないと話にならないんだけど・・・(笑) 個人的にはそんなにラスベガスに惹かれないんだけど、『ベガスの恋に勝つルール』でも、失意の主人公たちがラスベガスに繰り出し、バカ騒ぎをした挙句、泥酔して結婚しちゃってたし、アメリカ人にとっては特別な場所なのかもしれない。

"消えた花ムコ"とサブタイトルにあるとおり、花ムコのダグは消えてしまうので、主役は残りの3人ということになる。その辺りを踏まえてもダグを含めた4人のキャラは、この手のドタバタコメディーにありがちな割り振りではある。花ムコになるダグは友情に厚く、優しくて、好人物。その上イケメンだけど一番個性がないともいえる。まぁ、途中消えちゃうからいいけど(笑) 教師で息子がいるフィルは、顔も頭もいいけれど、そういうタイプにありがちな、要領が良くて調子がよく、カジノで大儲けすると過信して、ホテルの一番豪華なスウィートに泊まろうと主張。でも、カードは歯科医のスチュのもの。嫌いなタイプ(笑) 歯科医のスチュは、バーテンダーと浮気した彼女から束縛されている。カジノに行くことが気に入らない様子の彼女の言っていることは、この時点では一見まとも。でも、後の電話攻撃はちょっとヒステリック。でも、彼女を愛しているから結婚を申し込むという。これはすでにDV(笑) スチュは気づくと損な役回りを押し付けられるイケてないキャラ。そして、もちろん残りの1人はデブキャラです(笑) このデブキャラくんは花嫁の弟。花嫁はかなりキリリとした美女なのに、弟はダラっとした大人になりきれていないというか、子供のままのような人物。ネタバレもなにも、このデブキャラがこの度の泥酔の原因なのは明らか。実の父のセリフなどで伏線もあるし。でも、犯人がいないと事件も起きないので、そういう意味では重要人物。この4人と合コンしたら、やっぱりダグだなという、そのダグが消えてしまうわけです(笑)

4人で屋上でノリノリで乾杯した後、画面が切り替わって翌朝。ムックリ起き上がったアランがボーっとしながらバスルームへ用を足しに行くと、なんとトラが! そこから、ドタバタ3人が確認した事実は、強盗にでも押し入られたかのような部屋。前歯が抜けているスチュ、どうやら病院に行ったらしいフィル、バスルームのトラ、そしてクローゼットに赤ちゃん! ひとまず、部屋を出て朝食を取りながら、昨日のことを必死で思い出そうとする3人。見上げると部屋の窓の外の彫刻に、ベッドのマットが(笑) このマットは後にいい働きをするのだけど・・・ とりあえず、フィルが行ったと思われる病院に手がかりを求めて行ってみようと、車を出してもらうと、アランの父親のベンツではなくパトカーが出てくる始末。もう全く訳が分からない・・・ 3人も訳が分からないけど、見ている側も訳が分からない。これ一体どうなるんだろうと思っていると、次々ビックリエピソードが明らかになる。なんとスチュはストリッパーと結婚しており、アランは自分のバッグと間違えて、チャイニーズ・マフィアの800万ドル入りバッグをどこかに失くしてしまったらしい。ダグは、彼らに拉致されていた・・・

と、ネタバレはココまでにして、こんな感じでドタバタと3人の珍道中が展開される。とにかく、見ている側としても出発点はあの破壊されつくした部屋しかないわけで、決して若くはない3人の男が泥酔した結果として、トラと赤ちゃんがいる理由がサッパリ分からないけど、これがかなり力技的な部分も多々あるけれど、意外にもいろんなピースがはまっていき、切羽詰りながらも何とか問題をクリアしていく。だいぶ強引なところはあるけれど、いろんな疑問は一応クリアになる。その辺りは上手いなと思った。ただ、終始ドタバタしているし、かなり下ネタ満載で下品(笑) だから、合わない人もいると思う。個人的には、結構笑えた。どんなに窮地に陥っても、3人で力を合わせてダグを助けようとする姿は面白いけど、感動するというものではないので、これはあくまでバカ映画なのでしょう。ただ、スタンガンはやり過ぎかなぁ・・・ マネするチビッコもいるんじゃないだろうかと心配。あ R15+だった(笑)

そもそも有名俳優を使わず、低予算で作られた映画。それが口コミで広がり、全米コメディ映画史上歴代No.1の興業収入を獲得したのだそう。なので、俳優さんもほとんど知らない人ばかりだった。一応、アラン役のザック・ガリフィアナキスは『ベガスの恋に勝つルール』に出演していたそうだけど、覚えてなかった・・・ アシュトン・カッチャーの友達役の人かな・・・ みんな、ダメキャラをきちんと演じていて、ダメなのにイライラしなかったのは彼らの演技のおかでだと思うけれど、正直特別演技で印象に残る人はいなかったかなぁ・・・ コメディーって低く見られるけど、笑いを取るのって実は難しいので、演技は上手いのだと思うのだけれど、やっぱりこういうタイプの映画は、登場人物のキャラが立っているので、なかなか俳優さんの"演技"として印象に残りにくいのかもしれない。唯一、画面に登場して名前と顔が一致したヘザー・グラハム。スチュが泥酔して結婚してしまったストリッパーを演じていたけど、相変わらずカワイイ! 今年の1月で40歳を迎えたとは思えない! ストリップシーンこそなかったけれど、露出度の高い服のボディラインは見事。確かにアップになると若干目じりに小じわは見えるものの、20代後半~30代前半にしか見えない! お人形さんみたいにカワイイ。

とにかく、ドタバタとダメ男3人の珍道中が繰り広げられる。前にも書いたけれどかなり下品。下品といえば、チャイニーズ・マフィアのボス、レスリー・チョー役のケン・チョンは以前はお医者さんだったそうで、後にコメディー俳優に転身したそうだけど、あの役でいいのだろうか(笑) トランクから出てきたあのシーンとか・・・ と、こちらが心配になっちゃうくらいバカ映画。でも、バカ映画はバカ映画なりに「バカで最高!」となるような、例えば『俺たちフィギュアスケーター』みたいな爽快感はなかったかなぁ。でも、映画は何もズッシリ重量感のある作品ばかりが映画ではないので、たまにはこういうのもストレス発散になっていいと思う。そういう意味ではおもしろかった!

バカ映画が見たい人にはオススメ! 下ネタが苦手な人はダメかも(笑)


『ハングオーバー』Official site

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする