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【art】 「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」鑑賞@東京国立博物館・平成館

2006-07-29 00:52:27 | art
'06.07.28 「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」鑑賞@東京国立博物館・平成館

伊藤若冲の作品を中心とした江戸絵画のコレクション展。すべて個人蔵というからスゴイ! プライス氏がコレクションを始めたきっかけは、あのフランク・ロイド・ライトのお供で行った古美術店での若冲の掛け軸と出会い。スポーツカーの代わりに購入したのが「葡萄図」 当時日本ではあまり人気がなく現在の人気は逆輸入。

若冲は大好き。大胆な構図で今にも動き出しそうな迫力で描かれた動物たち。でも、よく見ると細部まで細かくしっかりと描かれていてとても繊細。大胆で繊細というのは日本絵画に共通することだけど、若冲の力強さはすごい。「紫陽花双鶏図」は美しく繊細な紫陽花の前に雌鳥に向かう雄鶏の迫力がすごい。でも、その羽の模様の美しさや繊細さもスゴイ。背景の木などにところどころ配された苔と思われる緑青が効いている。「雪中鴛鴦図」は雪の池に泳ぐ鴛鴦のかわいらしさと手前に描かれた雪の積もった木の寒さが美しい。庭に鳥などの動物を飼いその姿や動きを何年も観察し続けたらしいけど、単純に写し取るのではなくやはり絵画になっているのが素晴らしい。かと思うと「伏見人形図」のようなかわいらしい作品もある。

今回の目玉「鳥獣花木図屏風」 まず升目を描き一つ一つ色で埋めて描いてあるそうで、升目の数は左右合わせて約86,000個だそう。デジタルアートにも通じるといわれて注目されているけど、感想は「絞りの着物みたい」と思った。後から分かったけど『モザイク画』とか『升目描き』と呼ばれ、染織に関連するものだと言われているそう。描かれているのは架空の動物がほとんど。他の作品とは違い大胆にデフォルメされている感じ。実はこれ若冲の作品かどうか定かではないらしい。でも、これほどの作品を描けるのはやはり若冲ではないかと思う。

他にも大好きな酒井抱一や円山応挙などの作品も多数展示。できるだけ自然に近い形で見てほしいということで照明にも工夫されている。明るくなったり暗くなったりしてその表情が変わる。面白い試み。点数も多く見ごたえ十分。

最後に淡い色で描かれた屏風がある。「素晴らしい!」と思い近づくと応挙! やはり素晴らしいものはオーラが出ている。


プライスコレクション展 公式サイト

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【cinema】『ゆれる』

2006-07-28 01:08:29 | cinema
'06.07.26 Tと『ゆれる』@新宿武蔵野館

これは気になった。公開間もないレディースデーだったのでレイトでも満員。

「兄と幼なじみの智恵子と出掛けた渓谷。智恵子が吊橋から転落死する。兄が突き落としたのか? 弟は何を見たのか?」

良く出来てる。引き込まれるし面白い。でも重くて後味が悪い。「ゆれる」って言うのは、吊橋だろうし、人間関係だろうし、気持ちとか心だろう。真実さえゆれる。

器用で何をしても格好のいい弟猛と、不器用でうだつの上がらない兄稔。導入部東京から戻るオダジョーと、迎える香川照之の対比をきちんと描いているから、ラストが生きる。映像で心情を描くのが上手い。例えば、兄が好意を持っているのを知り、智恵子を家まで送るというシーン。兄は確実に猛の考えに気付いている。画面に落ち着きがない。多分、似たような事が繰り返されて来たのだろう。上手く言えないけどそういう過去まで伝わる。

田舎を嫌い東京に出て成功し、女性にも不自由しない生活を送る猛は、地元に残り女性にも縁のない稔を軽蔑することで、自分が故郷を捨てた後ろめたさや、実は空虚な人生を正当化している気がする。倒れたお膳を片づける兄の足元に汁がこぼれる。それを見つめる猛の目線がいい。それで2人の関係が分かる。

香川照之がすごい。気持ちを上手く表現出来ないために、人から軽んじられたり疎ましく思われてしまう人っている。智恵子を吊橋に誘うシーンもしつこくて怖い。もちろん伏線でもあるけど。自分を殺して生きるのは決して楽ではない。裁判が始まってからの人格のゆれもいい。見ている側にも本当に無実なのか?という疑問を持たせる。

法廷で猛は決断を下す。その結論も最終的にはゆれる。それが記憶のゆれなのか、気持ちのゆれなのか、気持ちのゆれ故の記憶のゆれなのか…。最後に猛は真実に気付くけど、本当に気付いたのだろうか?

隠していた気持ちや感情が一瞬のゆれで次々露呈して行く感じが面白いしすごい。でも見たくなかった部分の気もする。いろんなことが絡み合って伏線になっているのですべてのことに裏の意味があるような気がしてきたりする。後味の悪ささえ計算のうち? なんだか上手くまとまらない…。

ラストの香川照之の表情が秀逸。


『ゆれる』公式サイト

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【cinema】『フーリガン』

2006-07-04 00:20:29 | cinema
'06.07.02 KTと『フーリガン』@シネマライズ

ホントはKTの仕事で50セントの映画にお付き合いだったけど、こっちが気になってしまい見ることに。

「ハーバードを退学になったマットはロンドンに住む姉を訪ねる。姉の義弟の影響で次第にフーリガンの世界にのめり込んでいく」という話。何だか見覚えがあると思ったら『さらば青春の光』だった。まぁ、あの映画の主人公たちよりちゃんと仕事してるけど。大の大人が何故あんなに夢中になるのか? マットや義弟ピートは20代前半の設定だろうけど、ケンカに加わる人々の中には明らかにオッサンもいるし。

別に単純にサッカーが好きでご贔屓のチームを応援するのはいいし、仲間が出来るのもいいことだと思う。PUBでの盛り上がりは微笑ましくもある。応援に熱が入り過ぎてケンカになるのも別に自然だとは思うんだけど…。やり過ぎだろうと。死人を出してはいかん!

女子には理解できない世界なんだけど、男の人はこういう面はあるのかなとは思う。メンツとか仲間意識とか。もちろん女子にもプライドもメンツもあるけど、使うところと使い方が違うってこと。バカにしているわけではないんだけど、やっぱり「う~ん」と思ってしまう。

その分義兄スティーヴの悲劇には感じものはある。やってしまったことの罪と罰は当然だとは思うけど、トミーという人物は全く理解不能。要するにヤクザってことでしょうか? 彼の身に起きたことは気の毒ではあるけれど、ピートの言うとおり(もちろん挑発だけど)自身にも責任があるだろうと。まぁ、それを認めたくなくてああなのだろうけど。人のせいにしたら楽だし。

イライジャ・ウッドは『ロード・オブ・ザ・リング』以降の作品選びのセンスがいい気がして注目している。ファームでの人間関係や闘うことなどを通して成長する青年を上手く演じていると思う。

ファームと呼ばれるフーリガン組織(?)のことを描いているので、サッカー自体のことはあまり関係ない。話自体も前述した作品だけでなく既視感もあるし、感動的でもない。マットが感銘を受けたピートの生き方もグッとはこない。潔いと言えなくもないけど…。10代の子達が見たらまた違うかも。サッカーとケンカシーンの映像は迫力があった。


『フーリガン』公式サイト

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